逆行令嬢と転生ヒロイン

未羊

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第九章 大いなる秘密

第239話 妖精、登場

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 ロゼリアとチェリシアは、ペシエラも含めた三人の身の上を遂に明かす。そうしないと、この精霊の森にやって来た目的が果たせない可能性があったからだ。もちろん、この場に居ない人物には一切口外しないという約束の下である。
「時間遡行が禁法のによるものである可能性があるし、他人が使っているならその人物に代償がいくでしょう? だから、この事は一切口外してこなかったのよ」
「そうですわ。せっかくやり直しの機会が与えられたのです。その方には感謝こそしても、恨む事などありませんわ」
「ただ、私というイレギュラーのせいで、ペシエラがこうなっちゃったんだけどね……」
 話し終えたところで、三人が三様に言葉を続けた。
「だから、私とチェリシアは禁法扱いにはならないと思うの。でも、チェリシアが他人に成り代わった事で、ペシエラだけがその恩恵から外れたと思われるのよね」
 ロゼリアがここまで説明して、ようやく全員が状況を把握できたようである。
「なるほど、時間遡行と、異世界からの転生が重なった不幸な事故の結果、それが今ペシエラが置かれている状況というわけだね」
「そういう事ですね」
 シルヴァノの言葉をロゼリアが肯定する。
「でも、ペシエラが経験した未来では、モスグリネによってアイヴォリーは滅ぼされてしまうの」
「それを影から操っていたのがパープリアというわけか」
「確定ではないけれど、間違いないでしょうね」
 ペイルの予測を肯定するロゼリア。
「なるほど、ペシエラが俺を嫌うのはよく分かるな。すべて滅ぼされたんだから。初めて戦った時の剣は殺意がこもってたぞ」
「それはそうですわ。きっかけはロゼリアの処刑だったとはいえ、家族をみんな殺されたんですから」
 ペシエラがこう言うと、しばらくの間、沈黙が流れる。
 そして、次の口を開いたのはアイリスだった。
「そういえば、その時の私は一年次の夏合宿で死んだのでしたよね」
「ええそうよ。ケルピーを呼び出して無残にもね」
「……やはり父にとって私は、ただの使い捨ての駒に過ぎなかったという事なのですね」
 アイリスは悲しそうな表情をする。やはり、父親から愛されていないというのは、子どもにとってつらいものがあるのだろう。
「でも、今は私も母も無事に生きていますし、兄ともその気になればいつでも会えるので、よかったと思います」
 アイリスはどこか悲しそうに笑った。父親がどうしようもない人間だったために、もう家族がそろう事はないのだ。その姿を見たチェリシアは、そっと黙ってアイリスを抱き締めた。
「お喋りもそのくらいにした方がよいと思いますよ。そろそろ妖精たちの住処ですから、注意しないといたずらされちゃいますよ」
 黙々と歩いていたライが、全員に向かって注意を呼び掛ける。
 確かに、辺りを包む空気が微妙に変化してきていた。不安定というか、なんだか落ち着かない感じの不思議な空気である。ハイスプライトのライが言うんだから、本当に気を抜くといたずらされそうである。
「まぁ、人間?」
「えっ、人間?」
「堕ちた奴も居るぞ」
 周りから声が聞こえてくる。『堕ちた』と言っているので、ライの事を知ってる妖精も居るようだ。
「堕ちたって……。確かにその通りだけど、私は戻ってきたわよ。姿を見せなさい」
 ライが怒りながら言うと、ふらふらと光の玉が周りから寄ってきた。
「人間だ」
「あの人間、なんか呪われてる」
「堕ちた奴が大きくなってやがる」
 なんか口々にいろいろ喋っている。そういえば、レイニは人間サイズにもなれるが、基本的には小さかった気がする。なるほど、妖精は小さいのが普通のようだ。
「もう、しつこいなぁ。今の私は正気なんだから!」
 堕ちた事をしつこく言ってくるせいで、ライがキレた。そして、堕ちたとしつこく言ってくる妖精と口喧嘩を始めてしまった。
 しかし、そのやり取りの中でも、ロゼリアはしっかりと聞き取っていた。
「そこのピンクの妖精さん。呪われているってどういう事かしら」
 ライが口喧嘩している様子に目もくれず、花びらのようなピンク色のワンピースが目立つ妖精に、ロゼリアはすっと詰め寄った。
「誰が呪われてるというの? 答えてちょうだい」
 顔を近づけるロゼリア。それに気圧されたピンクの妖精はたじたじになりながらも、
「そ、そこのピンクの髪を結った子。妙な呪いが掛けられてるの」
 ペシエラの方を見ながら声を震わせて答えた。
 妖精はスプライトだとかピクシーでない限りは嘘を言う事はほぼない。つまり、ペシエラは何らかの呪い受けている事は確実なのである。
「呪い? 禁法の代償じゃなくて?」
「うん、呪い。代償は誰も受けてないわ」
 呪いで確定のようである。しかもペシエラだけ。そこで、ロゼリアはもう一度妖精に顔を近づけて、
「お願い、オリジン様に会わせて頂けないかしら。あの子を失うわけにはいかないの」
 心を込めて頭を下げながらお願いをするのだった。
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