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新章 青色の智姫
第109話 騎士団の催し
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魔物の解体ショー。
学園祭の出し物で、まさかのイベントが催されていた。
やって来たシアンの目の前では、プルネの姉であるフューシャが参加者の一人として立っていた。
そこに集まっているのは、騎士たちと冒険者と言われる人たちだ。彼らによって、魔物の解体というものがどういうものかを見せるイベントが開かれているようなのだ。
しかし、なぜフューシャがいるのかが分からないシアンたちだった。
「学園に通われるのは貴族のご子息ご息女たちではございますが、必ずしも魔物と無縁というわけではございません。ですので、本日は武術大会のお休みの時間をお借りして、魔物について見聞を広めて頂きたく思います」
確かにその通りだった。貴族の領地によっては、街道に魔物が出没することすらあるのは事実なのだ。
もちろん、魔物の姿を見たことがないという貴族もいるだろう。しかし、それは騎士や冒険者たちが排除して回っていることで成り立っているのだ。
「諸君の中には騎士を目指す者もいるだろう。そういった者は、今日のこの催しをしっかり見ていってくれたまえ」
見学者たちは騒めいている。
「申し遅れたが、私は騎士団のオフライト・ノワールだ」
「助手を務めますのは、同じく騎士団のヴィオレス・ノワールでございます」
なんということだろうか。どこかで見たことがあると思ったら、ロゼリアの同級生だったオフライトとアイリスの兄であるヴィオレスの二人だった。いい感じに年齢を重ねてとてもかっこよくなっていた。
懐かしいなぁとシアンが眺めていると、解体用の魔物が運ばれてくる。
初心者でも狩ることができる、ウルフという魔物だった。
「では、解体を始める。なにぶん衝撃を受ける内容なので、耐えられないと思ったら素直に退出をして欲しい」
一応注意点を告げる。周りを見回して反応を確認したところで、オフライトが解体を始める。
さすがは騎士団の経験を積んでいるだけのことはある。解体の手際がとてもよい。
無駄な動きもなく毛皮も傷つけるなく、さっくりと解体が終わってしまった。
「ここまでになるにはかなり経験を積まないとならない。切り方を少し間違えただけでも、毛皮がダメになってしまうことがある。こうやって解体したものが、我々が普段目に触れるものになるというわけなのだよ」
オフライトの話に、シアンは納得している。
こうやって誰かが処理してくるからこそ、王族や貴族たちは食事や衣服にありつけるのだ。
オフライトが会場から退き、ヴィオレスが出てくる。
「それでは、学園の学生たちにも解体を行ってもらうとしようか」
そういって会場に姿を見せたのは、アッシュ、ガーネット、それとフューシャだった。
それにしても、武術大会でまだ勝ち進んでいる最中のアッシュとガーネットも出てくるとは思わなかった。
だが、よくよく考えてみると、イベントの司会進行として騎士団のオフライトとヴィオレスが出てきている時点で想像できない話ではなかった。なにせ、アッシュとガーネットの二人は騎士団入りを目指して入るのだから。
「お姉様までいるとは思いませんでしたね」
「私もそれが意外だったですね」
プルネとシアンが話をしていると、フューシャが再び顔を向けてにこりと微笑んでいる。
そうこうしているうちに、三人の前にはウルフが運ばれてくる。
会場の中がしんと静まり返る。
「では、三人とも準備はいいかな?」
ヴィオレスが確認をすると、三人はこくりと頷いている。
「終わったらそれぞれにオフライトと俺とで確認をさせてもらうからな。では、始めてくれ」
ヴィオレスの合図で、三人が一斉にウルフの解体を始める。
会場は固唾を飲んで三人の解体作業を見守る。
三人ともに手慣れているのか、その動きに迷いはない。短剣一本を使って、手際よく目の前のウルフを部位ごと切り分けていく。
時間にして十数分といったところだろうか。三人ともほぼ同じような時間でウルフの解体を終えてしまっていた。
あまりの手際のよさに、会場に集まった見学者たちからはため息が漏れ出ている。
机の上に短剣を置き、三人とも手を挙げたので、オフライトとヴィオレスがそれぞれ近い位置の解体処理の結果から評価していく。
「ふむ。さすがここに志願してやって来ただけのことはあるね。見事な手際だ」
二人揃って唸るほどの出来ばえだった。ケチをつけるほどの目立ったミスはそれほどなかった。
「これなら、解体職人として迎えても通用するくらいだ。解体を披露してくれた三人に拍手を」
オフライトが会場に呼び掛けると、観衆からは一斉に拍手が沸き起こる。拍手に応えるようにして、三人は観衆に対して頭を下げていた。
「フューシャ様って、解体がお得意なんですね」
「多分、お母様のメイドのおかげだと思います。私も仕込まれましたから」
ブランチェスカが話し掛けると、プルネはちょっと恥ずかしそうに答えていた。
解体ショーが終わると、解体されたウルフの肉はその場で調理されて集まった観衆に振る舞われたのだった。
こうして、学園祭の三日目は過ぎていったのだった。
学園祭の出し物で、まさかのイベントが催されていた。
やって来たシアンの目の前では、プルネの姉であるフューシャが参加者の一人として立っていた。
そこに集まっているのは、騎士たちと冒険者と言われる人たちだ。彼らによって、魔物の解体というものがどういうものかを見せるイベントが開かれているようなのだ。
しかし、なぜフューシャがいるのかが分からないシアンたちだった。
「学園に通われるのは貴族のご子息ご息女たちではございますが、必ずしも魔物と無縁というわけではございません。ですので、本日は武術大会のお休みの時間をお借りして、魔物について見聞を広めて頂きたく思います」
確かにその通りだった。貴族の領地によっては、街道に魔物が出没することすらあるのは事実なのだ。
もちろん、魔物の姿を見たことがないという貴族もいるだろう。しかし、それは騎士や冒険者たちが排除して回っていることで成り立っているのだ。
「諸君の中には騎士を目指す者もいるだろう。そういった者は、今日のこの催しをしっかり見ていってくれたまえ」
見学者たちは騒めいている。
「申し遅れたが、私は騎士団のオフライト・ノワールだ」
「助手を務めますのは、同じく騎士団のヴィオレス・ノワールでございます」
なんということだろうか。どこかで見たことがあると思ったら、ロゼリアの同級生だったオフライトとアイリスの兄であるヴィオレスの二人だった。いい感じに年齢を重ねてとてもかっこよくなっていた。
懐かしいなぁとシアンが眺めていると、解体用の魔物が運ばれてくる。
初心者でも狩ることができる、ウルフという魔物だった。
「では、解体を始める。なにぶん衝撃を受ける内容なので、耐えられないと思ったら素直に退出をして欲しい」
一応注意点を告げる。周りを見回して反応を確認したところで、オフライトが解体を始める。
さすがは騎士団の経験を積んでいるだけのことはある。解体の手際がとてもよい。
無駄な動きもなく毛皮も傷つけるなく、さっくりと解体が終わってしまった。
「ここまでになるにはかなり経験を積まないとならない。切り方を少し間違えただけでも、毛皮がダメになってしまうことがある。こうやって解体したものが、我々が普段目に触れるものになるというわけなのだよ」
オフライトの話に、シアンは納得している。
こうやって誰かが処理してくるからこそ、王族や貴族たちは食事や衣服にありつけるのだ。
オフライトが会場から退き、ヴィオレスが出てくる。
「それでは、学園の学生たちにも解体を行ってもらうとしようか」
そういって会場に姿を見せたのは、アッシュ、ガーネット、それとフューシャだった。
それにしても、武術大会でまだ勝ち進んでいる最中のアッシュとガーネットも出てくるとは思わなかった。
だが、よくよく考えてみると、イベントの司会進行として騎士団のオフライトとヴィオレスが出てきている時点で想像できない話ではなかった。なにせ、アッシュとガーネットの二人は騎士団入りを目指して入るのだから。
「お姉様までいるとは思いませんでしたね」
「私もそれが意外だったですね」
プルネとシアンが話をしていると、フューシャが再び顔を向けてにこりと微笑んでいる。
そうこうしているうちに、三人の前にはウルフが運ばれてくる。
会場の中がしんと静まり返る。
「では、三人とも準備はいいかな?」
ヴィオレスが確認をすると、三人はこくりと頷いている。
「終わったらそれぞれにオフライトと俺とで確認をさせてもらうからな。では、始めてくれ」
ヴィオレスの合図で、三人が一斉にウルフの解体を始める。
会場は固唾を飲んで三人の解体作業を見守る。
三人ともに手慣れているのか、その動きに迷いはない。短剣一本を使って、手際よく目の前のウルフを部位ごと切り分けていく。
時間にして十数分といったところだろうか。三人ともほぼ同じような時間でウルフの解体を終えてしまっていた。
あまりの手際のよさに、会場に集まった見学者たちからはため息が漏れ出ている。
机の上に短剣を置き、三人とも手を挙げたので、オフライトとヴィオレスがそれぞれ近い位置の解体処理の結果から評価していく。
「ふむ。さすがここに志願してやって来ただけのことはあるね。見事な手際だ」
二人揃って唸るほどの出来ばえだった。ケチをつけるほどの目立ったミスはそれほどなかった。
「これなら、解体職人として迎えても通用するくらいだ。解体を披露してくれた三人に拍手を」
オフライトが会場に呼び掛けると、観衆からは一斉に拍手が沸き起こる。拍手に応えるようにして、三人は観衆に対して頭を下げていた。
「フューシャ様って、解体がお得意なんですね」
「多分、お母様のメイドのおかげだと思います。私も仕込まれましたから」
ブランチェスカが話し掛けると、プルネはちょっと恥ずかしそうに答えていた。
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こうして、学園祭の三日目は過ぎていったのだった。
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