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新章 青色の智姫
第181話 三夜の光と闇
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アイヴォリー王国を象徴する白い光が照らす中、王族が登場する。
シルヴァノ・アイヴォリー、ペシエラ・コーラル・アイヴォリー、ライト・アイヴォリー、ダイア・アイヴォリー、それとシルヴァノの両親。国王一家が勢ぞろいである。
国王たちが出てくれば会場の貴族たちは揃って頭を下げている。
「みなのもの、今年も無事にこの時を迎えられた。実に喜ばしい限りだ」
国王の言葉を会場のいる人物たちはみんな黙って聞いている。
「本日は、客人も来ておいでだ、紹介しよう」
会場の中が軽く騒めく。留学中シアン・モスグリネ以外に客人がいるというのかという驚きだ。
ゆっくりと舞台裾から女性が三人出てくる。軽く頭を下げている貴族たちからも、その姿ははっきり見える。
「まさか……」
「なんだ、話通り来たのか」
驚くオニオール男爵としれっとした表情のカーマイルである。
「我が国に留学中のシアン・モスグリネ」
最初に紹介を受けて、スカートの裾をつまんで軽くひざを折るシアン。
「シアンの母君であり、私の学友であったロゼリア・マゼンダ・モスグリネ」
同じように挨拶をするロゼリア。
「そして、最後はモスグリネの北にあるムー王国の王妃、パール・ムー」
どよめきが起きる。
ムー王国は名前くらいは知っているという程度がほとんどだからだ。その国の王妃がわざわざこの三夜パーティーに顔を出しているのだから、驚きが起きているのである。
実は、年末祭の最初からすでにいたのだが、サプライズを企んだペシエラのアイディアによって、今日まで本性で顔を出していなかったのだ。
サプライズがうまくいったのが満足なのか、ペシエラはちょっとドヤ顔で笑っている。その顔が見えたシアンとロゼリアは、つい笑ってしまいそうになる。
今年の三夜パーティーには、王族が九人も参加している。集まった貴族たちはその多さに戸惑いを隠せずにいる。
「心配ございませんわ。わたくしたちは基本的に見ているだけ。みなさまはいつものように楽しんで頂ければ結構ですのよ」
「ええ、その通りです。それと、今年のパーティーは私の嫁いだ国モスグリネからも食材を提供させて頂いております。ぜひとも味わって下さいませ」
ペシエラとロゼリアが揃って挨拶をしている。
この様子を見ていたシアンだったが、じわりとその目に涙を浮かべていた。
なにせ、逆行前では互いの仲が悪かった二人だ。ことあるごとに衝突をしていたことを知っているからこそ、今現在の姿を見て感動の涙を流してしまうのである。
「シアン様?」
隣に立っているダイアが、シアンの異変に気が付いて声をかけている。
「どうかなさいましたか、ダイア様」
「いえ、涙を流してらっしゃるので、どうされたのかと思いまして」
「えっ」
ダイアの声でようやく自分が泣いていることに気が付くシアン。
涙を拭ってダイアを見ながら笑顔を見せる。ただ、泣いているせいか無理して笑っているようにしか見えなかった。
「な、なんで出てくるのでしょうね。私も分かりませんわ」
この表情には、ダイアはどう声をかけていいのか分からずに黙ってしまった。
(ふ~む、なるほどですね)
ロゼリアを挟んだ反対側に立っているパールは、シアンとダイアのやり取りを見ながら何かを感じ取っていたようだった。
ただ、今は三夜パーティーの真っ只中。今のところは聞きたい気持ちをぐっとこらえて、パーティーを満喫することにしたのだった。
パーティーが始まってある程度経った頃だった。
パールは立ち上がって、シアンに近付いていく。
「パール王妃様、何か御用でしょうか」
隣に立たれたことに気が付いて、シアンがどうしたのだろうかと声をかける。
「シアンと申しましたね。ちょっとお話を伺ってもいいでしょうか」
「……? よろしいですが」
パールの見せる表情に疑問を感じるものの、シアンは呼び掛けに応じる。
隣のロゼリアに一応声を掛けてから、パールと一緒に席を外していった。
王族用の控室に移動したシアンとパール。誰もいない場所に移動したために、シアンは念のために警戒をしている。なにせパール・ムーのことはよく知らないのだから。
「……本当に不思議な魔力を感じますね」
「へ?」
パールがシアンを見ながら発した言葉に、よく分からないといった声が出てしまう。
不思議な魔力というものが、よく分からないのだ。
「普通は一人の中には一人分の魔力しか感じないものですが、四人分の魔力を感じます。よくそんなに魔力を持って無事でいられるものですね」
「四人……分?」
シアンはよく分からないといった表情を見せている。
「あなた自身の魔力がない。すべては他人の魔力。その大きな魔力を持って、よく無事でいますね」
「他人の魔力? 一体どういうことですか」
シアンはパールの言っている意味が分からないと、大きな声で質問をしている。そのシアンの動きに、パールはまったく動じる様子はなかった。
「ケットシー、ちょっとよろしいかしら」
「もちろんですよ、女王陛下」
「ケットシー?!」
パールが名前を呼ぶと、ケットシーが姿を見せる。
一体何が始まるというのか。シアンは警戒を一気に強めて、一歩引いてしまうのだった。
シルヴァノ・アイヴォリー、ペシエラ・コーラル・アイヴォリー、ライト・アイヴォリー、ダイア・アイヴォリー、それとシルヴァノの両親。国王一家が勢ぞろいである。
国王たちが出てくれば会場の貴族たちは揃って頭を下げている。
「みなのもの、今年も無事にこの時を迎えられた。実に喜ばしい限りだ」
国王の言葉を会場のいる人物たちはみんな黙って聞いている。
「本日は、客人も来ておいでだ、紹介しよう」
会場の中が軽く騒めく。留学中シアン・モスグリネ以外に客人がいるというのかという驚きだ。
ゆっくりと舞台裾から女性が三人出てくる。軽く頭を下げている貴族たちからも、その姿ははっきり見える。
「まさか……」
「なんだ、話通り来たのか」
驚くオニオール男爵としれっとした表情のカーマイルである。
「我が国に留学中のシアン・モスグリネ」
最初に紹介を受けて、スカートの裾をつまんで軽くひざを折るシアン。
「シアンの母君であり、私の学友であったロゼリア・マゼンダ・モスグリネ」
同じように挨拶をするロゼリア。
「そして、最後はモスグリネの北にあるムー王国の王妃、パール・ムー」
どよめきが起きる。
ムー王国は名前くらいは知っているという程度がほとんどだからだ。その国の王妃がわざわざこの三夜パーティーに顔を出しているのだから、驚きが起きているのである。
実は、年末祭の最初からすでにいたのだが、サプライズを企んだペシエラのアイディアによって、今日まで本性で顔を出していなかったのだ。
サプライズがうまくいったのが満足なのか、ペシエラはちょっとドヤ顔で笑っている。その顔が見えたシアンとロゼリアは、つい笑ってしまいそうになる。
今年の三夜パーティーには、王族が九人も参加している。集まった貴族たちはその多さに戸惑いを隠せずにいる。
「心配ございませんわ。わたくしたちは基本的に見ているだけ。みなさまはいつものように楽しんで頂ければ結構ですのよ」
「ええ、その通りです。それと、今年のパーティーは私の嫁いだ国モスグリネからも食材を提供させて頂いております。ぜひとも味わって下さいませ」
ペシエラとロゼリアが揃って挨拶をしている。
この様子を見ていたシアンだったが、じわりとその目に涙を浮かべていた。
なにせ、逆行前では互いの仲が悪かった二人だ。ことあるごとに衝突をしていたことを知っているからこそ、今現在の姿を見て感動の涙を流してしまうのである。
「シアン様?」
隣に立っているダイアが、シアンの異変に気が付いて声をかけている。
「どうかなさいましたか、ダイア様」
「いえ、涙を流してらっしゃるので、どうされたのかと思いまして」
「えっ」
ダイアの声でようやく自分が泣いていることに気が付くシアン。
涙を拭ってダイアを見ながら笑顔を見せる。ただ、泣いているせいか無理して笑っているようにしか見えなかった。
「な、なんで出てくるのでしょうね。私も分かりませんわ」
この表情には、ダイアはどう声をかけていいのか分からずに黙ってしまった。
(ふ~む、なるほどですね)
ロゼリアを挟んだ反対側に立っているパールは、シアンとダイアのやり取りを見ながら何かを感じ取っていたようだった。
ただ、今は三夜パーティーの真っ只中。今のところは聞きたい気持ちをぐっとこらえて、パーティーを満喫することにしたのだった。
パーティーが始まってある程度経った頃だった。
パールは立ち上がって、シアンに近付いていく。
「パール王妃様、何か御用でしょうか」
隣に立たれたことに気が付いて、シアンがどうしたのだろうかと声をかける。
「シアンと申しましたね。ちょっとお話を伺ってもいいでしょうか」
「……? よろしいですが」
パールの見せる表情に疑問を感じるものの、シアンは呼び掛けに応じる。
隣のロゼリアに一応声を掛けてから、パールと一緒に席を外していった。
王族用の控室に移動したシアンとパール。誰もいない場所に移動したために、シアンは念のために警戒をしている。なにせパール・ムーのことはよく知らないのだから。
「……本当に不思議な魔力を感じますね」
「へ?」
パールがシアンを見ながら発した言葉に、よく分からないといった声が出てしまう。
不思議な魔力というものが、よく分からないのだ。
「普通は一人の中には一人分の魔力しか感じないものですが、四人分の魔力を感じます。よくそんなに魔力を持って無事でいられるものですね」
「四人……分?」
シアンはよく分からないといった表情を見せている。
「あなた自身の魔力がない。すべては他人の魔力。その大きな魔力を持って、よく無事でいますね」
「他人の魔力? 一体どういうことですか」
シアンはパールの言っている意味が分からないと、大きな声で質問をしている。そのシアンの動きに、パールはまったく動じる様子はなかった。
「ケットシー、ちょっとよろしいかしら」
「もちろんですよ、女王陛下」
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パールが名前を呼ぶと、ケットシーが姿を見せる。
一体何が始まるというのか。シアンは警戒を一気に強めて、一歩引いてしまうのだった。
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