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第199話 更なる事業拡大
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ルリさんを迎えまして、魔道具の指導を行いました。
思った以上にルリさんはめきめきと実力をつけていきまして、魔法かばん以外であれば、私と遜色のないものを作ることができるようになりました。
「さすがに空間魔法は厳しいですね」
「やはりかなり特殊な魔法なのですね。できないのは仕方ありませんか」
私が何度見せても、『シェド・ペス』の魔法をルリさんは使うことができませんでした。なので、空間魔法はそういうものだと理解するしかなかったですね。
とはいいましても、それ以外の魔法は使えますので、商会の売店はルリさんとティルさんのお二人に任せることになりました。
五年目の夏、ようやく私は自由の時間が増えたのです。
そんなわけで、次なる目論見のために、私は冒険者ギルドに向かいました。
「で、うちに何の用だというわけかな」
「はい、ミルクをもっと手に入れたいと思いますので、農園の方で飼ってみたいと考えております。他人頼りでは限界がありますからね」
「なるほど、そのミルクを手に入れられる魔物を見つけてこようというわけか。まったく、公爵令嬢が聞いてあきれるぞ」
「それで構いませんよ。今の私は、商人レチェなのですから」
困った顔のギルドマスターに、私ははっきりと言い放ってやりました。
私の発言に大きなため息をつくと、ギルドマスターは話を始めました。
「それなら、シルトの街の冒険者ギルドを訪ねればいい。あっちの方が詳しいはずだ」
「あら、そうなのですね」
その話を聞いた私は、早速行動を起こします。
今回はイチに乗ってシルトへと出向きます。
冒険者ギルドのゴーリ様にお会いして、ミルクを入手できる魔物の情報を聞き出すことに成功しました。
「本気で一人で行くのかな?」
「はい。まずはラッシュバードの時と同じ、番から始めてみようと思います」
「一応護衛をつけますから、あまり無理をしないで下さいよ。自分が公爵令嬢だということを忘れてもらっては困ります」
「分かっていますよ。でも、私も公爵家から飛び出て、だいぶ強くなりましたから大丈夫です」
心配そうにするゴーリ様ですが、私は平気だと言わんばかりに笑顔を作っておきました。
はい、結果ですが見事対象の魔物を捕獲して参りました。
ターラという魔物でして、見た目が牛のような魔物なんですよ。驚いたことに、私と対峙して襲い掛かって来るかと思いきや、近寄るなりなめてこようとしました。これは、じゃれつきですよね。
そんなわけで、あっさりと番をゲットしてシルトに戻ってきたのです。
「驚きましたね。自然の魔物がそんな簡単に懐くなんて……」
「私も驚いています。従魔契約をして連れて帰ろうと思いますので、よろしいでしょうか」
「ああ、構いませんよ」
ゴーリ様は呆然とした様子で対応して下さいました。信じられないものを見ているという顔ですね。もちろん、私も信じられませんが。
従魔登録を済ませるために、私は番に名前をつけます。分かりやすい名前をということで、オスを『カウ』、メスを『ミル』と名付けました。ひねりもへったくれもありません。
私はカウとミルを連れて、イチに乗ってキンソンへと引き揚げていきます。
そうして、ようやく農園へとやって参りました。
その前に、キンソンでイリスやルリ様たちをきちんと労ってからやってきましたよ。
「タ・ギア・ルド!」
ドンッと、牛小屋と放牧地が農園の中にでき上がります。
「レチェ様の魔法は何度見ても驚かされるな。てか、なんでターラなんか連れて帰ってきたんだ?」
「ミルクのためです。バターやクリームは作れていますが、今の入手量ではチーズやヨーグルトにまで到達できません。もっと、もっとミルクを手に入れたいのです」
「なんですか、そのチーズやヨーグルトって……」
ギルバートが呆れています。
チーズやヨーグルトがないとは、この世界って本当にいろんなものがアンバランスですね。だったら、私が前世知識を使ってバランスを取ってあげるだけです。
『主、さすが』
『僕たちの恩恵のおかげ。ターラも土属性の魔物。だから、主に懐いたー』
「あ、そういうことなんですね」
ターラの世話をしながら、私はノームから衝撃の事実を知らされます。私がノームと契約したことによって、土属性の魔物との間で絆が結ばれやすくなったのだそうです。
そういえば、ラッシュバードも土属性の魔物ですね。以前に冒険者ギルドで確認しましたからね。いろいろと納得がいくものです。
それからというもの、ターラはマリナさんが世話をすることになりました。精霊の力が目覚めたマリナさんなら、魔物を従えることもできるらしいです。ご都合主義といえばそうかも知れませんが、ありがたいことですね。
私は食堂で届けられてくるミルクを使って、チーズ作りに励みます。同時に、農園で働く人を募集することにします。ラッシュバードも増えてますし、さらにターラまでとなると手が回らなくなりそうですからね。
ああ、事業拡大は大変ですね。
公爵家を出てから四年半。私の商会は更なる成長を続けているのです。
思った以上にルリさんはめきめきと実力をつけていきまして、魔法かばん以外であれば、私と遜色のないものを作ることができるようになりました。
「さすがに空間魔法は厳しいですね」
「やはりかなり特殊な魔法なのですね。できないのは仕方ありませんか」
私が何度見せても、『シェド・ペス』の魔法をルリさんは使うことができませんでした。なので、空間魔法はそういうものだと理解するしかなかったですね。
とはいいましても、それ以外の魔法は使えますので、商会の売店はルリさんとティルさんのお二人に任せることになりました。
五年目の夏、ようやく私は自由の時間が増えたのです。
そんなわけで、次なる目論見のために、私は冒険者ギルドに向かいました。
「で、うちに何の用だというわけかな」
「はい、ミルクをもっと手に入れたいと思いますので、農園の方で飼ってみたいと考えております。他人頼りでは限界がありますからね」
「なるほど、そのミルクを手に入れられる魔物を見つけてこようというわけか。まったく、公爵令嬢が聞いてあきれるぞ」
「それで構いませんよ。今の私は、商人レチェなのですから」
困った顔のギルドマスターに、私ははっきりと言い放ってやりました。
私の発言に大きなため息をつくと、ギルドマスターは話を始めました。
「それなら、シルトの街の冒険者ギルドを訪ねればいい。あっちの方が詳しいはずだ」
「あら、そうなのですね」
その話を聞いた私は、早速行動を起こします。
今回はイチに乗ってシルトへと出向きます。
冒険者ギルドのゴーリ様にお会いして、ミルクを入手できる魔物の情報を聞き出すことに成功しました。
「本気で一人で行くのかな?」
「はい。まずはラッシュバードの時と同じ、番から始めてみようと思います」
「一応護衛をつけますから、あまり無理をしないで下さいよ。自分が公爵令嬢だということを忘れてもらっては困ります」
「分かっていますよ。でも、私も公爵家から飛び出て、だいぶ強くなりましたから大丈夫です」
心配そうにするゴーリ様ですが、私は平気だと言わんばかりに笑顔を作っておきました。
はい、結果ですが見事対象の魔物を捕獲して参りました。
ターラという魔物でして、見た目が牛のような魔物なんですよ。驚いたことに、私と対峙して襲い掛かって来るかと思いきや、近寄るなりなめてこようとしました。これは、じゃれつきですよね。
そんなわけで、あっさりと番をゲットしてシルトに戻ってきたのです。
「驚きましたね。自然の魔物がそんな簡単に懐くなんて……」
「私も驚いています。従魔契約をして連れて帰ろうと思いますので、よろしいでしょうか」
「ああ、構いませんよ」
ゴーリ様は呆然とした様子で対応して下さいました。信じられないものを見ているという顔ですね。もちろん、私も信じられませんが。
従魔登録を済ませるために、私は番に名前をつけます。分かりやすい名前をということで、オスを『カウ』、メスを『ミル』と名付けました。ひねりもへったくれもありません。
私はカウとミルを連れて、イチに乗ってキンソンへと引き揚げていきます。
そうして、ようやく農園へとやって参りました。
その前に、キンソンでイリスやルリ様たちをきちんと労ってからやってきましたよ。
「タ・ギア・ルド!」
ドンッと、牛小屋と放牧地が農園の中にでき上がります。
「レチェ様の魔法は何度見ても驚かされるな。てか、なんでターラなんか連れて帰ってきたんだ?」
「ミルクのためです。バターやクリームは作れていますが、今の入手量ではチーズやヨーグルトにまで到達できません。もっと、もっとミルクを手に入れたいのです」
「なんですか、そのチーズやヨーグルトって……」
ギルバートが呆れています。
チーズやヨーグルトがないとは、この世界って本当にいろんなものがアンバランスですね。だったら、私が前世知識を使ってバランスを取ってあげるだけです。
『主、さすが』
『僕たちの恩恵のおかげ。ターラも土属性の魔物。だから、主に懐いたー』
「あ、そういうことなんですね」
ターラの世話をしながら、私はノームから衝撃の事実を知らされます。私がノームと契約したことによって、土属性の魔物との間で絆が結ばれやすくなったのだそうです。
そういえば、ラッシュバードも土属性の魔物ですね。以前に冒険者ギルドで確認しましたからね。いろいろと納得がいくものです。
それからというもの、ターラはマリナさんが世話をすることになりました。精霊の力が目覚めたマリナさんなら、魔物を従えることもできるらしいです。ご都合主義といえばそうかも知れませんが、ありがたいことですね。
私は食堂で届けられてくるミルクを使って、チーズ作りに励みます。同時に、農園で働く人を募集することにします。ラッシュバードも増えてますし、さらにターラまでとなると手が回らなくなりそうですからね。
ああ、事業拡大は大変ですね。
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