異世界帰りの男は知っていた、何事も力で解決した方が手っ取り早い~容赦しない事を覚えて来た男の蹂躙伝~

こまの ととと

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第4話 さらなるトラブル

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「おい聞いたか? スゲー可愛い女の子が廊下に座り込んで泣きじゃくってたらしいぜ」

「え、ほんとかよ? 何年の何組の女だ?」

「そこまでは分からないけどさ、何故か男子の制服着てたってさ」

「へぇ男装の美少女ってか。俺そういうの好き」

 早速俺の成果に盛り上がってるな。名乗り出るつもりはないが、こうしてひとつの悪が裁かれたと思うと気分がいい。

 内心ほくそ笑んでいると隣の席から声をかけられた。

「君、そこの席に座ってるということは……君が入院していた江野君、で合ってるかな?」

 声をかけてきたのは、きっちりとした身形の如何にも模範生徒といった感じの男だ。誰だったか? 体感で二年も経ってしまうとよく思い出せない。

「あぁ確かに俺は江野だが、誰だったか? ちょっと思い出せないんだよ」

「無理もない、君はこの学校に入学して十日も経たずに事故に遭ったんだ。それから一ヶ月も意識を失っていたんだから、クラスメイトの顔もよくわからないだろう」

 俺はまだ高校一年生。
 入学して間もないことに事故にあって入院。確かにこの境遇ならクラスの人間の顔を把握しなくても恥ずかしくはないか。

「僕はこのクラスの学級委員で、黄畠修禄という。困ったことがあるなら、遠慮なく頼ってほしい」

「ああ、じゃあ、その時が来たらよろしく頼む」

 俺は軽く手を振って、適当な返事をした。
 確かに頼るに越したことはないが、今のところは様子見だな。
 授業が始まる前にスマホで時間を確認する。まだほんのちょっとだけ時間はあるがトイレに行くほどの余裕はないな。このままボーっと過ごさせてもらおうか。


「おいおい、お前が入学して早々病院送りされた江野って間抜けかぁ? なんだ生きてたのかよ、つまんねーな」

「……あん?」

 唐突に背後から下品な声をかけられた。

「何だお前は?」

「誰に向かってそんな口聞いてんだ、あ?」

「比島! 君こそ一体江野君に何の用だ?!」

 隣の席の黄畠が比島とかいう不良に向かって威嚇する。さすがは学級委員とでも言うべきか、この手の生徒には臆さないようだ。ちとステレオタイプのような気もしないでもないが。

「うるせえ! お偉い学級委員様なんざお呼びじゃねえんだよ。俺は今からこのアンラッキーな間抜け野郎にこの学校での礼儀ってやつを優しくも教えてやろうってんだ」

「ふざけたことを……! そう言って君は、またこの前のようにひ弱な生徒に因縁をつけて暴力を振るおうとしてるんだろう!」

「おいおい、俺がいつ暴力を振るったんだよ? つまらない言いがかりはやめてほしいもんだぜ」

 比島が黄畠を嘲笑する。
 なるほど、うちのクラスにもこんなどうしようもないのがいるのか。
 仕方ない、あんまり騒がれるのも嫌だしここは穏便に事を収めるとしよう。

「まあまあ落ち着けよ黄畠。それでなんだ、比島? とかいったか? ご丁寧に礼儀を教えてくれるそうだが、具体的に何をして下さるのかな?」

「江野君!? 一体君は何を?」

「だから落ち着けって。ここは俺に任せておくれよ」

「ほう、江野ぉ。お前は案外素直じゃねえか。だったら次の休み時間に校舎裏まで面かしな、新入りのマナーをありがたくレクチャーしてやるよ。けっひゃっひゃ」

 それだけいうと、下品な不良は元の席へと戻っていった。

 しかしねぇ、嫌味を軽く飛ばしたはずなんだが、それに気づかないとは所詮その程度のおつむか。

「江野君、君は何を考えているんだ! あんな不良にわざわざ自分から突っかかっていくなんて!」

「向こうから勝手に因縁つけてきただけだ。大丈夫だって、軽くお話してくるだけさ」

「うぅむ……」

 黄畠は納得のいかない顔で渋々と引き下がった。まあ、俺がこれからやろうとしていることを考えれば当然か。

 チャイムと同時に担任が入って来て、入院していた俺についてクラスの軽く紹介。その後はつつがなく一時限目の教師とバトンタッチして授業が行われた。

 体感二年のブランクがあって大変だったが、その度に黄畠に助けてもらって乗り越えられた。ま、あいつから見れば一か月意識不明だった人間を学級委員らしく面倒を見たってところだろうが。

 そういう責任感のある奴は嫌いじゃないが、苦労しそうな性格だとも思う。
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