運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと

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第14話 先を見据えて

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「目のクマすごいね、どうしたワケ?」

「……気にするな」

 宿のモーニングサービスでパンとスープを食べながら、自分の迂闊さを呪っている俺。
 久しぶりに徹夜してしまった。本に夢中で夜が明けたなんてのは、余程の本の虫ぐらいしかやらないと思っていたが……まさか俺がこんな事するとは。

 ま、まあいい。簡単だが魔法の知識を得た。後は練習あるのみだ。
 今はスープでも飲んで腹を満たそう。

「あっつぁあ!?」

「大丈夫? 顎でスープは飲めないよ」

 だめだ、頭がはっきりしてない。
 足の疲れも取れてないし、最悪だよもう。

「そういえばさ、ここの椅子に座る時にこんなものが置いてあったんだけど……」

 そういって棚見が見せて来たのは、手のひらに乗っかる程度の小さな石のようなものだった。

「誰かの忘れ物かな? 石コレクターみたいな人の」

「なんだよ石コレクターって。ポケットにいつのまにか入ってた小石に気づいて置いていったんじゃないか?」

 そう、何の変哲もないただの石にしか見えない。
 別段表面が綺麗なわけでもないし、ゴミとして置いて行ったんだろう。迷惑な話だ。

「貸せ、後で外に捨てておいてやる。こういう自分勝手に店に迷惑掛ける人間のせいで、サービス内容が変わったりするんだ。そういう奴を見ると腹が立つ」

「ああ、いるいる。その場のノリで店の物壊してネットに上げるヤツ! ああいうののせいでオレも変な目で見られたりするんだよね~嫌い」

 やはりああいう迷惑系の人間というのは、似た見た目の陽キャにとっても嫌われる対象らしい。
 棚見の手から石を取ると、ポケットにしまい込んだ。

 ちなみに、今俺達は指輪に入っていた服に着替えている。やっぱり新鮮な服に着替えると気持ちがいいもんだな。
 制服は汚れも目立っていたし、どこかで洗濯したいもんだ。
 サイズもそれなりに揃っていて、男女どちらでも着れるような無難な服だが、それがありがたい。

「食べるもの食べたし……、それじゃあこれからどこ行くか決めようぜ」

 地図を取り出してテーブルに広げる棚見。

 現在地点が分かりやすく赤い点で示されている。これは昨日の道中で気づいた事だが、この点は俺達が進むと同時に移動しているようだ。これも所謂マジックアイテムってやつなんだろう。

 この村から先は一本道というわけじゃない。いくつか分岐されていて、それぞれが町やら森やらに繋がっているようだ。

 これがゲームならば、途中の洞窟あたりに寄って経験値を上げたり宝物を探したり、そういうことをするんだろうが……。

「俺個人の意見としては普通に次の町を目指したい。だけど、お前はどうだ?」

 二人旅をする以上、俺の意見だけを押し付けるのも不味いんじゃないか? 昨日からそういう考えるようにして、棚見に意見を求める事にした。

「オレ? オレはねぇ……」

 それからしばらく、旅の進路について話し合いが続いた。
 なんとなく、こういう時間は有意義に感じられて……悪くないかもしれないな。
 俺一人で旅をしていたら、間違いなく存在しない時間だったろう。別にそれでも構わないといえば構わないのだけれど。

 ◇◇◇

 村で食料を買い込んだ後は、旅の再開。
 地平線まで続く長い道のりだが、この草の匂いに風の心地よさならどこまでも歩いて行けそうだ。……とか普通は考えるものなんだろうが。

(ああ、やっぱ足が痛い。山歩きの疲れがそのまま残ってしまったじゃないか、ほんと何で寝なかったんだ俺)

 もはや後悔しても遅いが、今日の足取りは昨日以下だ。
 相変わらず一人で喋り続ける棚見の相手をする気力も昨日以下だ。……いや元々無いに等しいが。

 ……いや待てよ、こういう時こそ昨日手に入れた知識を使う番だ。

 幼児向け魔導書の中で紹介されていた魔法。疲れを癒すそれを試してみるか。

(えぇっとまず魔力を……。あ、そもそもその魔力を感じる所から始めなきゃじゃないか!?)

 ズブの素人も同然の俺は、基礎の基礎すらない。いきなり魔法を使ったってそういうわけもいかなかった。
 だ、だがまだ諦めるのは早い。その魔力の取り扱いについても書かれていたじゃないか!

 地球出身故に、未知の感覚を捉えるのは苦労するかもしれないが、使いこなせれば間違いなく便利なはずだ。

(今日は……無理かもしれないが、それでも同じような状況はこれからもあるかも知れないんだから。始めるなら早ければ早いほどいいはず)

 棚見の話声を聞き流しながら、本に書かれていた魔力を感じる方法を……。

「そういえば香月くんさ、オレ実は試しに練習してる事があんだよね~。ま、今朝からなんだけどさ」

「……え? あ、ああなんだよ?」

 さっきまで一人で喋っていた棚見が不意に話しかけてきたもので、反応するのが遅れてしまった。

「見ててよ~、これちょっとすごいかもよ。……はっ」

 そう言うなり手のひらを見せて来て――そうしたら急に手のひらが光り始め、て……?

「え? は?」

「ほら昨日読んだ本! あれ見てオレにも出来るんじゃねって思ってさ、へへ。起きてから練習してたんだよね。出来るようになったのはついさっきなんだけどぉ……」

 後半に関しては何を言ってるのか、もう耳に入って来なくなっていた。
 俺が今から始めようとした事をもうこいつは終わらせていた事実に正直ショック。
 さ、先を越されてしまった……! それに使いこなしているだと!?

「これすごいしょほんと。いや~感動だべマジ。イエーイ、香月くんも喜んでよ。ハッピー!」

「……はっぴー」

 投げやりな言葉しか出せない俺を誰が責められるものか。

 重い足と重くなった心を引きずるように、俺達は目的地である炭鉱跡地へと歩き続けた。
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