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第10話 別れの祝勝会
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「……という感じで、泣いてすがる浮気女を振り切ってズバッと引導を渡したってわけだ。これで晴れて俺も自由の身、大手を振って堂々と新しい恋を追い求めることができる身分だ」
「へぇ。僕は晴空さんに会った事無いけど、以前聞いた話と違ってずいぶんと感情的な別れだったんだね」
「お、おう。だがそんな女に未練を抱かず振ってやったんだから、この勢いで次の恋人も見つけたいもんだぜ」
下校時間、その帰り道にたまたま崇吾と出会った。そして、ちかりとの別れ話を聞かせてやった。多少の脚色はあったものの、自分から振るという男気を発揮出来たのだから上々だろう。
崇吾は彼女が出来た事が無いと言っていたから、こういう話を聞かせるのもこいつの今後の参考になるだろう。
……正直崇吾が居て良かった面もある。おかげで、さっきまでの重い感じを大分感じ無くなった。
持つべきものは身の上話を話せる友って事だな。ふぅ。
「じゃあ今日は良くんの失恋を癒す為に、何か奢ってあげようかな?」
「生意気言いやがって。それに失恋にはケリをつけたんだ、慰めは……」
「いらないの? じゃ、奢ってあげない」
「いらないとまでは言ってない。そうだろ? だからここは好意に甘えるのもやぶさかじゃないって事だ」
「何それぇ? その頼み方じゃあ、精々ポテトのSサイズを一つが関の山かな」
「嘘だって、な? 俺なりのお茶目なやり取りだよ。頼む、奢ってくれるならチーズバーガーのダブルとシェイクのLサイズをつけてくれ!」
「それはそれで注文が多いんだけど。ま、いいや! 今回だけ特別って事で」
「はは、話せばわかる親友よ。感謝感謝だ」
「……どっちが生意気なんだか」
というわけで、大親友の崇吾君が奢って下さるとおっしゃるので、金魚の糞となりてバーガーショップまでついていく次第。
なんだよ俺の調子! 戻ってきたじゃないか。……そうだよ、何を引きずる先の長い若人の俺よ!
た、たかだか失恋の一つや二つぐらいでよぉ。
「なぁ?」
「何が?」
学生のお財布にも優しいチェーン店のバーガーショップともなれば、夕方には当然人がごった返す。
息苦しさをすり抜けて、注文とテーブル確保を速やかに済ませた手際に百戦錬磨の手応えを感じながらも、テーブルに肘を付く崇吾に話しかけた。
「お前も気配りの男だ、彼女の一人ぐらい出来てもおかしくないのにな」
「ちょっと余裕な発言だね。僕はさぁ……まぁ、おいおいって感じでいいかなって」
「おいおい、ね。そういう態度こそ余裕だと思うがな。いや、諦めの方かな?」
「……あんまり言うと奢る気無くしちゃうかなぁ僕」
「冗談だってのって。ありがたく美味しくいただきますよ」
頬に手のひらを置いたままジロリと崇吾。元が童顔のこいつにそういう目を向けられても怯みはしないが、拗ねられて困るのは他ならぬ俺だ。だから薬指と小指の間から睨めつけるなよ。
「……まぁ、お前の彼女探しは急ぐ必要は無いかもだけどさ。しかし、俺は次の恋人候補を探そうと心に決めている」
「へぇ、当てがあるんだ?」
「それが問題だ」
当てはない、今のところ当てはないが。まあ、なんだ。こういう親友同士の語らいに心を癒すのも悪いもんじゃないか。
彩美とのやりとりにしてもそうだ、俺はこういう楽しみが好きなのかもしれん。
あいつとだって……。そりゃ俺の方が圧倒的に喋ってたろうけどもさ、それでも短い返しに時間を忘れる魅力があって。……はぁ。
「……」
「急にどうしたの? 今日は浮き沈みが激しいね」
「いや、流石に沈むのはこれで終わりだって! 思いたいかな……」
「そういうところでまた沈んでるじゃないか」
そうかも。でもそれを認めるのはみっともなくないか?
「も、問題無い問題無い! そろそろ出来る頃だろ? ちょっとカウンターに行って構えてるわ」
ちょっと恥ずかしくなったから話を切り上げ、席を離れようと腰を上げる。
「迷惑だと思うけどなぁ。もうちょっとまって……」
「三〇二番のお客様~!」
「あ、は~いここです! ほらね? もうちょっと落ち着きなよ」
「う、うん」
浮き上がった俺の尻は、すぐさま再びの着陸を迎える事となった。
今日は空回りが酷くないか? 別れを切り出した事以外、なんか上手くいかんな。
「へぇ。僕は晴空さんに会った事無いけど、以前聞いた話と違ってずいぶんと感情的な別れだったんだね」
「お、おう。だがそんな女に未練を抱かず振ってやったんだから、この勢いで次の恋人も見つけたいもんだぜ」
下校時間、その帰り道にたまたま崇吾と出会った。そして、ちかりとの別れ話を聞かせてやった。多少の脚色はあったものの、自分から振るという男気を発揮出来たのだから上々だろう。
崇吾は彼女が出来た事が無いと言っていたから、こういう話を聞かせるのもこいつの今後の参考になるだろう。
……正直崇吾が居て良かった面もある。おかげで、さっきまでの重い感じを大分感じ無くなった。
持つべきものは身の上話を話せる友って事だな。ふぅ。
「じゃあ今日は良くんの失恋を癒す為に、何か奢ってあげようかな?」
「生意気言いやがって。それに失恋にはケリをつけたんだ、慰めは……」
「いらないの? じゃ、奢ってあげない」
「いらないとまでは言ってない。そうだろ? だからここは好意に甘えるのもやぶさかじゃないって事だ」
「何それぇ? その頼み方じゃあ、精々ポテトのSサイズを一つが関の山かな」
「嘘だって、な? 俺なりのお茶目なやり取りだよ。頼む、奢ってくれるならチーズバーガーのダブルとシェイクのLサイズをつけてくれ!」
「それはそれで注文が多いんだけど。ま、いいや! 今回だけ特別って事で」
「はは、話せばわかる親友よ。感謝感謝だ」
「……どっちが生意気なんだか」
というわけで、大親友の崇吾君が奢って下さるとおっしゃるので、金魚の糞となりてバーガーショップまでついていく次第。
なんだよ俺の調子! 戻ってきたじゃないか。……そうだよ、何を引きずる先の長い若人の俺よ!
た、たかだか失恋の一つや二つぐらいでよぉ。
「なぁ?」
「何が?」
学生のお財布にも優しいチェーン店のバーガーショップともなれば、夕方には当然人がごった返す。
息苦しさをすり抜けて、注文とテーブル確保を速やかに済ませた手際に百戦錬磨の手応えを感じながらも、テーブルに肘を付く崇吾に話しかけた。
「お前も気配りの男だ、彼女の一人ぐらい出来てもおかしくないのにな」
「ちょっと余裕な発言だね。僕はさぁ……まぁ、おいおいって感じでいいかなって」
「おいおい、ね。そういう態度こそ余裕だと思うがな。いや、諦めの方かな?」
「……あんまり言うと奢る気無くしちゃうかなぁ僕」
「冗談だってのって。ありがたく美味しくいただきますよ」
頬に手のひらを置いたままジロリと崇吾。元が童顔のこいつにそういう目を向けられても怯みはしないが、拗ねられて困るのは他ならぬ俺だ。だから薬指と小指の間から睨めつけるなよ。
「……まぁ、お前の彼女探しは急ぐ必要は無いかもだけどさ。しかし、俺は次の恋人候補を探そうと心に決めている」
「へぇ、当てがあるんだ?」
「それが問題だ」
当てはない、今のところ当てはないが。まあ、なんだ。こういう親友同士の語らいに心を癒すのも悪いもんじゃないか。
彩美とのやりとりにしてもそうだ、俺はこういう楽しみが好きなのかもしれん。
あいつとだって……。そりゃ俺の方が圧倒的に喋ってたろうけどもさ、それでも短い返しに時間を忘れる魅力があって。……はぁ。
「……」
「急にどうしたの? 今日は浮き沈みが激しいね」
「いや、流石に沈むのはこれで終わりだって! 思いたいかな……」
「そういうところでまた沈んでるじゃないか」
そうかも。でもそれを認めるのはみっともなくないか?
「も、問題無い問題無い! そろそろ出来る頃だろ? ちょっとカウンターに行って構えてるわ」
ちょっと恥ずかしくなったから話を切り上げ、席を離れようと腰を上げる。
「迷惑だと思うけどなぁ。もうちょっとまって……」
「三〇二番のお客様~!」
「あ、は~いここです! ほらね? もうちょっと落ち着きなよ」
「う、うん」
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