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第23話 終了の矢先に
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しかし残念だったな沢木ぃ、ちかりは苦い物が苦手なんだぜ? はっはっはっ……カフェオレ頼めば何も問題ないじゃねえか。
ま、まあそれはいい。さすがに中に入るとバレる可能性がある。
そこで、二人が入って行った喫茶店の向かいにあるコンビニに入り、雑誌を立ち読みしながら二人の動向を探ることにした。
ちょうどいい事に窓際のテーブルについた二人。
神は俺の味方だったようだな沢木ぃ。
流石に距離があるから具体的に何を頼んだとかそういうのはわからないが、知りたいのは別にそこじゃないからどうでもいい。
表情を変えずにカップを口元へと運ぶちかりと、テーブルの上のカップに手を付けずに一方的に話していると思わしき沢木。
当然何を話しているかは分からないが、随分と高揚しているようだ。やはり初めての彼女で色々とテンパってると思われる。傍から見たら初々しいと思う人間もいるかもしれないが、俺は全くそんなこと思わないぞ! 例え初めての彼女でアガってようが自分のペースを優先する男なんてスマートじゃない。
男にとっての初めてなんて相手にとっては知ったことじゃないんだぞ沢木ぃ。
もし俺に読唇術が使えたら、と思わないでもないがここは大人しく監視に徹する事にする。
それから約三十分後の事、二人はテーブルから離れた。
ほぼ一方的に話すだけにしては持ったじゃないか沢木。会話も得意そうなタイプには見えなかったが、これも彼女が出来たが故の頑張りか。
ま、相手のちかりの方はほとんど口を動かしていなかったあたり、相槌しか打ってないんだろうが。やはり会話を成立させるだけのコミュニケーションは取れていないようだ。ははっ。
喫茶店を出た二人を尾行しても、沢木が一方的に話しているように見えるだけだった。それでは全く気にならないのか、沢木は話すのを止める気配を感じられない。こいつ、粘るな。
それからさらに十分程、何かを話して別の方角へと歩く沢木。二人は別れたようだ。
結局喫茶店で飲んだだけか。
……こうして振り返るとあまり面白いものは見れなかったな。もう少し沢木が慌てふためくところなんか見たかったんだが。
しかし、ちかりの奴も何故あの男と? ……いや、別れた女に未練はない。どんな理由があろうと、もう俺には関係がないんだ。
とりあえず、沢木という男の事についてはある程度分かった。もう調査は下火にしていいだろう。
……いやしかし、本っ当に暇つぶし以外にはならなかったなぁこの調査!
沢木がどんな奴か? とか、あいつとちかりがこの先どうなる? とか本当のところ別に知った事じゃないしな。本当に!
気づけば沢木の姿はもう見えなくなっていた。今見える範囲に居るのはちかりだけか。……もう引き上げることにしよう。
その矢先だった。
一人になったちかりに近づく男の姿。なんだナンパか?
しかしナンパが得意そうなチャラ男には見えない。言ってはなんだが、沢木と同じタイプの人間に感じる。体型は全く違うが。だって沢木が良く言ってスリムなのに対してあの野郎、結構太いぞ。
その太った男は、汗を掻きながらも必死に作ったであろう笑顔でちかりに話し掛け――そうして二人は何処かへと去って行った。
………………へ?
ま、まあそれはいい。さすがに中に入るとバレる可能性がある。
そこで、二人が入って行った喫茶店の向かいにあるコンビニに入り、雑誌を立ち読みしながら二人の動向を探ることにした。
ちょうどいい事に窓際のテーブルについた二人。
神は俺の味方だったようだな沢木ぃ。
流石に距離があるから具体的に何を頼んだとかそういうのはわからないが、知りたいのは別にそこじゃないからどうでもいい。
表情を変えずにカップを口元へと運ぶちかりと、テーブルの上のカップに手を付けずに一方的に話していると思わしき沢木。
当然何を話しているかは分からないが、随分と高揚しているようだ。やはり初めての彼女で色々とテンパってると思われる。傍から見たら初々しいと思う人間もいるかもしれないが、俺は全くそんなこと思わないぞ! 例え初めての彼女でアガってようが自分のペースを優先する男なんてスマートじゃない。
男にとっての初めてなんて相手にとっては知ったことじゃないんだぞ沢木ぃ。
もし俺に読唇術が使えたら、と思わないでもないがここは大人しく監視に徹する事にする。
それから約三十分後の事、二人はテーブルから離れた。
ほぼ一方的に話すだけにしては持ったじゃないか沢木。会話も得意そうなタイプには見えなかったが、これも彼女が出来たが故の頑張りか。
ま、相手のちかりの方はほとんど口を動かしていなかったあたり、相槌しか打ってないんだろうが。やはり会話を成立させるだけのコミュニケーションは取れていないようだ。ははっ。
喫茶店を出た二人を尾行しても、沢木が一方的に話しているように見えるだけだった。それでは全く気にならないのか、沢木は話すのを止める気配を感じられない。こいつ、粘るな。
それからさらに十分程、何かを話して別の方角へと歩く沢木。二人は別れたようだ。
結局喫茶店で飲んだだけか。
……こうして振り返るとあまり面白いものは見れなかったな。もう少し沢木が慌てふためくところなんか見たかったんだが。
しかし、ちかりの奴も何故あの男と? ……いや、別れた女に未練はない。どんな理由があろうと、もう俺には関係がないんだ。
とりあえず、沢木という男の事についてはある程度分かった。もう調査は下火にしていいだろう。
……いやしかし、本っ当に暇つぶし以外にはならなかったなぁこの調査!
沢木がどんな奴か? とか、あいつとちかりがこの先どうなる? とか本当のところ別に知った事じゃないしな。本当に!
気づけば沢木の姿はもう見えなくなっていた。今見える範囲に居るのはちかりだけか。……もう引き上げることにしよう。
その矢先だった。
一人になったちかりに近づく男の姿。なんだナンパか?
しかしナンパが得意そうなチャラ男には見えない。言ってはなんだが、沢木と同じタイプの人間に感じる。体型は全く違うが。だって沢木が良く言ってスリムなのに対してあの野郎、結構太いぞ。
その太った男は、汗を掻きながらも必死に作ったであろう笑顔でちかりに話し掛け――そうして二人は何処かへと去って行った。
………………へ?
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