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第30話 決着の序章
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屋上で夏の風と景色を楽しんでいた俺の後ろ、いつの間にそこに立っていたのか? 因縁の相手、宿敵であり元カノのちかりがいつもと同じ無表情で立っていた。
「な、何故お前がここに!?」
驚かない方がどうかしてる。だってそうだろ? 俺達は別れて数日が経っている、こいつは今カレらしき三人の男とよろしくやっているはずだ。
早ければ今日の昼頃から、男の一人と仲良くデートと洒落込んでいてもおかしくない。なのに何故ここにいる?!
「ここに用があったから」
ただ一言そう呟く。
こいつのこの透き通るような声は好きだったが、今となっては夏なのに妙に背中に寒気を感じて仕方がない。
「そ、そうかよ。じゃあな、俺はお邪魔だろ」
こいつと関わったって仕方がないのだから、屋上の風は気持ちがいいがここからおさらばさせてもらおう。
そう考え、ちかりの横を通り抜ける。……抜けようとした。
「あなたに用があったから」
ちょうど真横に来た俺に、ちかりの言葉が耳に届く。こびりつく。
「用だと? 残念だったが俺にはお前に対して用は無いんだ」
正直今更何なのかと、カチンとくるがそれを抑えて丁寧にお断りを入れて差し上げた。浮気した女にここまで下手に出ることが出来るんだから、俺も随分と優しいもんだ。
「ん。でも、――あなたにはここにいて貰う」
ゾクっ。
どういうわけか? その声を聞いた時、心身ともに底冷えしてしまった。
ええい! 何をやっているか俺!!
そうだ、今の俺には伝家の宝刀がある。そう、浮気の証拠だ。これを突きつければ、余程面の皮が厚く無い限り黙らざるを得ない。そういうものだろう。
自分を奮い立たせ懐にしまったスマホを取り出す。くらえっ!
「言うこと聞くのはお前の方だぜ! ちかりちゃんよぉ!!」
◇◇◇
廊下を歩く崇吾は、ある事について酷く頭を悩ませていた。
ちかりの事だ。
彼女に惹かれたわけではない。むしろ忌避感すら覚えている。
だが、だからこそ何かが引っかかる。気になって仕方がなかった。
例えば、今朝早くに登校してちかりという少女の後をつけていた時、彼女は例の男の内の一人、そばかすの男と合流して会話をしていた。
(そう、別にそこは不思議じゃない。結局彼女はチャイムが鳴るまで彼と一緒にいたから、けど……)
奇妙なことが起きたのはその後だ。
始業のチャイムが鳴り時間が近づいていたので、調査を切り上げて教室に戻るその途中の事。
(太った男の子と会話をしているのが見えた。おかしい、さっきまで別の男の子と話していた彼女がどうやって? 僕よりも先に移動したとしても、あの様子は軽い挨拶程度のものでは無く、何分か前から一緒にいたように見えて仕方がなかった)
無論、確証は無い。単なる推測の域程度のものでしかない。
いくら悩んでも結論が出ず、だから再び調査を開始した。
他人、それも知り合いでも何でもない女性の近辺を調べるのは失礼以外の何者でもないが、それでもこのままにしては置けない。気にしないようにしても胸騒ぎで胸が苦しくなるからだ。
肝心の対象が、果たして今どこにいるのか?
そんな事を考えていると、とある教室から一組の男女が出て来るのを見た。
女性の方は、これが奇遇な事に目的の人物。そこのクラスの生徒だったのだろう。
そしてもう一人、男の方は眼鏡を掛けた男。正直見覚えは無かった。
まさか、別の浮気相手か? 下種な考えだが、彼女ならありえないとは言い切れない。
(うん? 眼鏡? 何か引っ掛かるな、何だったっけ?)
男の方に見覚えはないが、全く知らないわけではないような不思議な感覚に襲われる。
一緒にいる眼鏡の男。……脳の奥から一つの記憶が飛び出して来る。
(そうだ! 確か二週間くらい前だったかな、良くんが晴空さんに告白して玉砕した男の子の話をしていた。そして、その男の子は眼鏡を掛けていたって言ってたはず)
ということはあの男性はその告白した人物ということだろうか? しかし断られたはずでは?
気づいたら二人は居なくなっていた。考え事にとらわれ過ぎてしまったのだ。
折角のチャンスを……。
しかしくじける訳にはいかない。ついでと思い、崇吾は二人が出て来た教室を見ると、担任の教師が残っていた。
(どうせだし、クラスでの晴空さんの様子でも聞いてみようか。何かわかるかもしれないし)
どんな小さなことでも自分の疑問が晴れるなら、そんな軽い気持ちで崇吾は教室に踏み込んで行った。
「あの、先生。晴空さんの事でお尋ねしたい事があるんですが……」
「な、何故お前がここに!?」
驚かない方がどうかしてる。だってそうだろ? 俺達は別れて数日が経っている、こいつは今カレらしき三人の男とよろしくやっているはずだ。
早ければ今日の昼頃から、男の一人と仲良くデートと洒落込んでいてもおかしくない。なのに何故ここにいる?!
「ここに用があったから」
ただ一言そう呟く。
こいつのこの透き通るような声は好きだったが、今となっては夏なのに妙に背中に寒気を感じて仕方がない。
「そ、そうかよ。じゃあな、俺はお邪魔だろ」
こいつと関わったって仕方がないのだから、屋上の風は気持ちがいいがここからおさらばさせてもらおう。
そう考え、ちかりの横を通り抜ける。……抜けようとした。
「あなたに用があったから」
ちょうど真横に来た俺に、ちかりの言葉が耳に届く。こびりつく。
「用だと? 残念だったが俺にはお前に対して用は無いんだ」
正直今更何なのかと、カチンとくるがそれを抑えて丁寧にお断りを入れて差し上げた。浮気した女にここまで下手に出ることが出来るんだから、俺も随分と優しいもんだ。
「ん。でも、――あなたにはここにいて貰う」
ゾクっ。
どういうわけか? その声を聞いた時、心身ともに底冷えしてしまった。
ええい! 何をやっているか俺!!
そうだ、今の俺には伝家の宝刀がある。そう、浮気の証拠だ。これを突きつければ、余程面の皮が厚く無い限り黙らざるを得ない。そういうものだろう。
自分を奮い立たせ懐にしまったスマホを取り出す。くらえっ!
「言うこと聞くのはお前の方だぜ! ちかりちゃんよぉ!!」
◇◇◇
廊下を歩く崇吾は、ある事について酷く頭を悩ませていた。
ちかりの事だ。
彼女に惹かれたわけではない。むしろ忌避感すら覚えている。
だが、だからこそ何かが引っかかる。気になって仕方がなかった。
例えば、今朝早くに登校してちかりという少女の後をつけていた時、彼女は例の男の内の一人、そばかすの男と合流して会話をしていた。
(そう、別にそこは不思議じゃない。結局彼女はチャイムが鳴るまで彼と一緒にいたから、けど……)
奇妙なことが起きたのはその後だ。
始業のチャイムが鳴り時間が近づいていたので、調査を切り上げて教室に戻るその途中の事。
(太った男の子と会話をしているのが見えた。おかしい、さっきまで別の男の子と話していた彼女がどうやって? 僕よりも先に移動したとしても、あの様子は軽い挨拶程度のものでは無く、何分か前から一緒にいたように見えて仕方がなかった)
無論、確証は無い。単なる推測の域程度のものでしかない。
いくら悩んでも結論が出ず、だから再び調査を開始した。
他人、それも知り合いでも何でもない女性の近辺を調べるのは失礼以外の何者でもないが、それでもこのままにしては置けない。気にしないようにしても胸騒ぎで胸が苦しくなるからだ。
肝心の対象が、果たして今どこにいるのか?
そんな事を考えていると、とある教室から一組の男女が出て来るのを見た。
女性の方は、これが奇遇な事に目的の人物。そこのクラスの生徒だったのだろう。
そしてもう一人、男の方は眼鏡を掛けた男。正直見覚えは無かった。
まさか、別の浮気相手か? 下種な考えだが、彼女ならありえないとは言い切れない。
(うん? 眼鏡? 何か引っ掛かるな、何だったっけ?)
男の方に見覚えはないが、全く知らないわけではないような不思議な感覚に襲われる。
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(そうだ! 確か二週間くらい前だったかな、良くんが晴空さんに告白して玉砕した男の子の話をしていた。そして、その男の子は眼鏡を掛けていたって言ってたはず)
ということはあの男性はその告白した人物ということだろうか? しかし断られたはずでは?
気づいたら二人は居なくなっていた。考え事にとらわれ過ぎてしまったのだ。
折角のチャンスを……。
しかしくじける訳にはいかない。ついでと思い、崇吾は二人が出て来た教室を見ると、担任の教師が残っていた。
(どうせだし、クラスでの晴空さんの様子でも聞いてみようか。何かわかるかもしれないし)
どんな小さなことでも自分の疑問が晴れるなら、そんな軽い気持ちで崇吾は教室に踏み込んで行った。
「あの、先生。晴空さんの事でお尋ねしたい事があるんですが……」
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