20 / 83
20
しおりを挟む
あの日から、レオは何も言わなく。
ただ、椿が掃除する側で黙って見ている。椿からも特に話す事が無いので黙々と掃除をしていた。
着々と綺麗になっていく部屋を見て、椿は満足気だ。
そんな日々が続き、依頼の1ヶ月が経った。
「今日で、最後です。依頼完了の印をお願いします。」
レオに依頼書を渡すと無言で印を押す。
(やっと、解放されるーーこの沈黙が嫌だったのよね~)
安堵の息をもらしながら、返された依頼書を鞄に仕舞うとお辞儀をして踵を返す。庭にはお花の良い匂いが漂い、気持ちも爽やになる。
ルンルン気分で、門に向かって歩いていくと「お前みたいな女は初めてだ」グイッと肩を掴まれキスをされそうになり、寸止めでレオの唇を抑えた。
「っっっっ!!!」
声にならないほど驚いた椿は、抵抗するもレオがギュウゥと強く抱きしめながら「依頼完了なんてしたくない。また来てくれるか?」バリトンボイスで囁かれると背筋がゾワゾワする。
なに!このツンデレは!?ヤバイ、イイ声してる…
クラっと声にやられるが、気を持ち直して今までの事を思い出す。
ーーーしっかりするのよ!椿!
自分に言い聞かせながら、身をよじり腕の中から抜け出そうとするが、ガッチリと抱きしめられ椿が動くほど腕に力が入りキツくなっていく。
ーーーヤバイヤバイ、逃げられない、
「この1ヶ月。俺を無視して、側に居ても相手にしなく。あまつさえ俺の目の前で1人で飯を食べた女はお前だけだ。」
(あっ、やっぱりご飯の事は根に持ってたのね)
「俺がこんなに好きになったのもお前が初めてだ」
(えっ?いつそうなった?えっえっ?まじで言ってるの?)
「こんな変な女は貰い手がいないだろうから、俺が嫁に貰ってやる。短気で口が悪いと貰い手がいないだろ?」
(ーーーあはぁ~ん?ちょっと、クラってきた私を怒りたい。やっぱり、嫌な奴。失礼な奴だな。)
「ウル。出てきて」
《はい》
グルルッと椿の影から出てきたフェンリル にレオはうぉっ!?っと慌てふためいた。ドンっと椿を突き放し、逃げ腰になる。
よろめいた椿はウルに支えられ、これだから男は。と呆れる。
「なっなっなっなっっ??!」
プルプル震えながら、口をガタガタ震えるレオに椿は「ふん」と悪女っぽく鼻で笑いながらレオを見る。その妖艶さにドキンッとするレオに「気安く触らないで。私はあなたの事を好きでも何でも無いわ。もう、来ません。さようなら。ウル、家までお願い」
《分かりました》
ウルの背中に乗ると、しっかり毛を掴み。1秒でもここに居たくない椿はウルを急かし家まで疾走してもらう。
あまりの速さに、椿は顔を毛皮の中にうずめる。
訳もわからず呆然と立ち尽くすレオ。急に現れたフェンリル と帰ってしまった椿の事で、頭がいっぱいだ。
「あっれ~?珍しいな、レオが外にいるなんて。今日の天気は大荒れかなー?」
ギロリと声の主を睨みつけるレオだが、そんな事は御構い無しにズカズカと敷地内に入ってくる男。レオとは顔見知りの様だ。
「んん~?こんなに庭が綺麗になって、森だった庭が無くなったけど、心境の変化?ーーーあっ!中も綺麗になってる!まじでどーした!?お前が掃除する訳ないだろ?誰だ?誰がやったんだ??」
「お前には関係ないだろ?ジャイロ。何しに来た」
冷やかしながら話すジャイロにレオは益々、不機嫌になる。
珍しい物でも見たかの様に、ジャイロはレオを舐めるように見つめ口を開く。
「人嫌いで有名なレオが外に出るとはーーー懲りずにまた、好きな女が出来たのか?前ので、懲りただろ?忘れたのか?」
「忘れるわけないだろ。そのせいで、人間が…女が嫌いになったんだ。ーーージャイロには関係ないだろ」
ぶっきらぼうに話すレオに、色々と突っ込みをしたいが我慢して本来の目的を話す。
「まぁ、冗談はこれくらいにして。調べて欲しい事がある。ある女性の事なんだがーーー」
「女?ジャイロにも遂に相手が出来たのか?」
「そんな所だ。素敵な女性なんだ、性格はキツイが根が素直で体型も好みだ。俺の女にする。」
「へぇ~?ジャイロにそこまで、言わすなんてな。まぁ、中に入って詳しく聞こう。」
「あぁ、そうだな。その女性に会った時は女神降臨かと見間違えるほどに美しかったんだ。」
ジャイロは、椿に会った事をレオに話していた。
ただ、椿が掃除する側で黙って見ている。椿からも特に話す事が無いので黙々と掃除をしていた。
着々と綺麗になっていく部屋を見て、椿は満足気だ。
そんな日々が続き、依頼の1ヶ月が経った。
「今日で、最後です。依頼完了の印をお願いします。」
レオに依頼書を渡すと無言で印を押す。
(やっと、解放されるーーこの沈黙が嫌だったのよね~)
安堵の息をもらしながら、返された依頼書を鞄に仕舞うとお辞儀をして踵を返す。庭にはお花の良い匂いが漂い、気持ちも爽やになる。
ルンルン気分で、門に向かって歩いていくと「お前みたいな女は初めてだ」グイッと肩を掴まれキスをされそうになり、寸止めでレオの唇を抑えた。
「っっっっ!!!」
声にならないほど驚いた椿は、抵抗するもレオがギュウゥと強く抱きしめながら「依頼完了なんてしたくない。また来てくれるか?」バリトンボイスで囁かれると背筋がゾワゾワする。
なに!このツンデレは!?ヤバイ、イイ声してる…
クラっと声にやられるが、気を持ち直して今までの事を思い出す。
ーーーしっかりするのよ!椿!
自分に言い聞かせながら、身をよじり腕の中から抜け出そうとするが、ガッチリと抱きしめられ椿が動くほど腕に力が入りキツくなっていく。
ーーーヤバイヤバイ、逃げられない、
「この1ヶ月。俺を無視して、側に居ても相手にしなく。あまつさえ俺の目の前で1人で飯を食べた女はお前だけだ。」
(あっ、やっぱりご飯の事は根に持ってたのね)
「俺がこんなに好きになったのもお前が初めてだ」
(えっ?いつそうなった?えっえっ?まじで言ってるの?)
「こんな変な女は貰い手がいないだろうから、俺が嫁に貰ってやる。短気で口が悪いと貰い手がいないだろ?」
(ーーーあはぁ~ん?ちょっと、クラってきた私を怒りたい。やっぱり、嫌な奴。失礼な奴だな。)
「ウル。出てきて」
《はい》
グルルッと椿の影から出てきたフェンリル にレオはうぉっ!?っと慌てふためいた。ドンっと椿を突き放し、逃げ腰になる。
よろめいた椿はウルに支えられ、これだから男は。と呆れる。
「なっなっなっなっっ??!」
プルプル震えながら、口をガタガタ震えるレオに椿は「ふん」と悪女っぽく鼻で笑いながらレオを見る。その妖艶さにドキンッとするレオに「気安く触らないで。私はあなたの事を好きでも何でも無いわ。もう、来ません。さようなら。ウル、家までお願い」
《分かりました》
ウルの背中に乗ると、しっかり毛を掴み。1秒でもここに居たくない椿はウルを急かし家まで疾走してもらう。
あまりの速さに、椿は顔を毛皮の中にうずめる。
訳もわからず呆然と立ち尽くすレオ。急に現れたフェンリル と帰ってしまった椿の事で、頭がいっぱいだ。
「あっれ~?珍しいな、レオが外にいるなんて。今日の天気は大荒れかなー?」
ギロリと声の主を睨みつけるレオだが、そんな事は御構い無しにズカズカと敷地内に入ってくる男。レオとは顔見知りの様だ。
「んん~?こんなに庭が綺麗になって、森だった庭が無くなったけど、心境の変化?ーーーあっ!中も綺麗になってる!まじでどーした!?お前が掃除する訳ないだろ?誰だ?誰がやったんだ??」
「お前には関係ないだろ?ジャイロ。何しに来た」
冷やかしながら話すジャイロにレオは益々、不機嫌になる。
珍しい物でも見たかの様に、ジャイロはレオを舐めるように見つめ口を開く。
「人嫌いで有名なレオが外に出るとはーーー懲りずにまた、好きな女が出来たのか?前ので、懲りただろ?忘れたのか?」
「忘れるわけないだろ。そのせいで、人間が…女が嫌いになったんだ。ーーージャイロには関係ないだろ」
ぶっきらぼうに話すレオに、色々と突っ込みをしたいが我慢して本来の目的を話す。
「まぁ、冗談はこれくらいにして。調べて欲しい事がある。ある女性の事なんだがーーー」
「女?ジャイロにも遂に相手が出来たのか?」
「そんな所だ。素敵な女性なんだ、性格はキツイが根が素直で体型も好みだ。俺の女にする。」
「へぇ~?ジャイロにそこまで、言わすなんてな。まぁ、中に入って詳しく聞こう。」
「あぁ、そうだな。その女性に会った時は女神降臨かと見間違えるほどに美しかったんだ。」
ジャイロは、椿に会った事をレオに話していた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました
空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。
結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。
転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。
しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……!
「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」
農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。
「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」
ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる