異世界の花嫁?お断りします。

momo6

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「私、どうしちゃったんだろーー」

ウルと部屋に戻った椿は、ボソリと呟きながら天井を見つめる。
ザイルから告白…プロポーズを受けて、「考えさせて下さい」そう言ってしまったのだ。

普段の自分なら、断っていた。
自分で“考えさせて下さい”など、言ったことに驚いたくらいだ。
確かに好みのタイプではあるけど、私にはエマがいるんじゃない。なのに、他の男に揺らぐなんて…
「あーーもーー!自分が嫌になる!!!」
こんなふしだらな女だったのかと自分を責める。

〔大丈夫ですか?〕
心配そうにウルが声をかけるが、「うん…」と曖昧な返事をした。ウルも何て声をかけたら良いのか分からずそれ以上は黙っていた。


「確かにイケメンにプロポーズされたら揺らぐよね…でも、エマが好きってなってたのに、少し離れただけで他の男に傾くなんてーー」
椿は、今までの人生でプロポーズを受けた事が無く戸惑っていた。エマの事は好きだが、直接エマから好きだと聞いた事がない。ふと、その事に気付くと自分だけが好きだったのだと項垂れた。

「好きだって言われてないじゃない、私の思い違いって事も…でも、あのキスは?ーーそもそも、この世界って気に入った異性に相手がいるのか聞くのが常識ってジョン?だっけ?が言ってた様な…あれ、ちょっとまって。私エマから何も言われてない・・・えっ?言われてないよね!?うそー!やっぱり私の片思いって事!?」

ジョンでは無くジャイロの事を椿は言っているのだが、正解はギルマスが話していた。可哀想なジャイロは椿の記憶には残っていないのであった。

椿は、エマから何も言われていない事に気付きガックリとベッドに倒れこむ。

「はぁー、1人で舞い上がってて馬鹿みたい。どうして、私って男運がないんだろ。」
自分の今までの事を考えてしまう。日本では浮気され、こっちの世界では変な男に絡まれて、好きになったのはオカマさんだし。しかも、片思い。
それに比べたら、ザイルは違う?キチンとプロポーズしてくれたしーーーってダメじゃん!私じゃなくて前世の私が好きなだけでしょう…
自分で言ってて悲しくなる。

ベッドに倒れこんだ椿は自分を責めて押し黙っていた。
〔つばき様、気分転換に食事はどうですか?そろそろ、夕食ではないでしょうか?〕

椿を気遣いながら、ウルが擦り寄るとその毛並みに癒される。
サワサワと毛並みを堪能しながらポツリと椿はボヤく。
「ウルは優しいね。ウルが人間だったらいいのに…」
その言葉にウルは優しく話をする。

〔やけになってはいけません。私は獣ですよ?人間には慣れません。今は悩む事がありますが、自分の気持ちに嘘は付けません。つばき様の悩みを手助けする事は出来ませんが、話なら聞けますよ。〕
やんわりと諭してくれるウルの優しさに椿は泣きそうになる。
「ありがとう」
お礼を言うのがやっとだった。
〔では、食堂に行きましょう。この匂いはお肉です。つばき様の好きそうな匂いがしますよ〕
クンクンと匂いを嗅ぐが椿にはよく分からなかった。

気を紛す為にした行動に椿は、気を取り直す。

「そうだね、くよくよ悩んでても仕方ないよね。うん。ありがとう!ウル!」
〔つばき様は、元気な姿が似合ってます。悩みがある時は話して下さいね〕

食堂に歩いていくと確かにお肉の様な匂いがしてきた。
中に入り、席に着くと煮込んだお肉が出された。
この匂いだったのかとウルを見るとドヤ顔をされたが、慣れないドヤ顔をしているせいか目や口がピクピク動いており、それが可笑しくクスクスと笑ってしまった。

慣れないドヤ顔にウルは椿が笑顔になるなら、ドヤ顔を練習しようと思うのであった。
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