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「では、材料は私が持ってるもので使いますので。・・・期待はしないで下さいね?」
キラキラと見つめながら頷くシェフに、ニコニコしながらザイルも椿のそばで見守っていた。
やりずらいと思いながらも先程のクッキーを作る事にした。
チョコレートが見つけられなかったので、ドライフルーツを砕いて使用する。
ドライフルーツの甘さがあるので、砂糖を使わなくても大丈夫。砂糖も希少みたいで多く手に入らなかったのだ。
コネコネと型抜きを使わないで丸く整えていく。
焼いている間に、せっかくの厨房なので自分用におつまみを作ることにした。
皆がオーブンの前で焼きあがるのを待っている間にモエタキノコ?っだっけかな?エマに倒してもらったキノコの魔物を包丁で切り、ニンニクと塩コショウで味付けする。
ちなみに、塩と胡椒はとても高かった…お金があるから買えたけど、こんなに高いとは思わなかったよ。ニンニクは人が食べる物では無いと認識されていて、買った時は凄い顔されたな…
(鑑定:ニゲニエキノコ。炎で倒す事で、香りの良いキノコになる。椿が名前を間違えたので鑑定する。)
鑑定が出ていたが、椿は気にせず料理を続けた。
葉野菜も一緒に入れてフライパンで炒めていると、色合いの良いニンニクとキノコの美味しそうな匂いがしてきた。
「うん!いい感じ~よし、これに詰めといて~」
いそいそと出来上がったキノコ料理を創り出したタッパに詰めていく。蓋を閉めるとガシっと手を掴まれた。
「それ、何をしているのかしらん?」
「えっ?おつまみですけど。」
「おつまみですって?お酒なんてどこにあるのよ?まさか、勝手にお酒を持ち出したんじゃないでしょうね?」
シェフに質問と言うより、言いがかりをされムッとした椿はフライパンを置き「ここにありますよ!」キンキンに冷えたジョッキにシュワシュワと泡を立てたビールを作り出した。
「自分で用意します。」
イラっとしながら、ビールを持った手をシェフに見せるとグビリと飲まれてしまった。
「あー!何で勝手に飲むの!信じらんない!」
急いで取り返すも半分も飲まれてしまった。
「美味しいわね、うん。この料理もお酒に合うわ。」
「あっ!私の!食べないで下さいよ!」
椿の言葉を無視しながら、シェフはザイルに料理を進めた。
「ザイルちゃんも食べてみなさいよ。」
「あぁ…っっ!!これは、美味いな。」
「でしょ~?ほら、お酒も呑んでみて~」
「!!!なんだ、この美味さは!!!」
いつのまにか、椿からビールを奪いとったシェフはザイルに飲ませていた。
次々に無くなる料理に椿は成すすべも無く、ただただ立ち尽くしていた。
「ーー私のおつまみ、」
しょんぼりする椿をよそに、ザイルとシェフは話をしていた。
「この子を私の元に置いていいかしら?」
急に椿を抱き寄せたシェフにギョッとしながら、身動ぐとザイルがベリっと引き離しながら、キッとシェフを睨みつけ椿に説明した。
「ゴアがつばきを自分の所で働かせたい、と言うんだ。僕もつばきの料理を食べてみたいから…どうかな?」
思いもよらない提案に椿は即決した。働きたいと思っていた矢先だったので、すぐに飛びつく。
「是非!働かせて下さい!!」
「そうか、ありがとう。それと、つばきの料理を商品化して販売してもいいだろうか?」
「商品?別に構いませんけど、」
「なら話は早い、この国の特産物だけでは国の資金には足らなくてね。助かるよ。」
どう言う事だろう?と首を傾げながらも承諾すると、ザイルは仕事が残っているからと自室に戻っていく。
椿がキョトンとしているとシェフのゴアが説明してくれた。
「この国は、高い山にあるでしょ?だから、作物が育ちにくいのよ。それに働きにいくって言っても人里から離れているから難しいのよね。ザイルちゃんの部屋に街と繋げるドアがあるから、そこで品物を売ったり買ったりするのよ」
「ドア?ですか?」
「そう。ドアが街にあるお店と繋がっていて、商品を売り買い出来るのよ~こんな山から街に行くにはペガちゃんで行くかドアしか方法が無いのよね~」
ゴアの話に椿は思った。(アニメでみた事あるドアみたい。)と、そしてこちらから行けるなら逆に反対からも来れるのか?と疑問に思った。
(ん?ペガちゃん?ってペガサスの事?)
そんな疑問を抱きながら質問をする。
「ドアから街の人が入ったりしないんですか?」
椿の質問にゴアはキョトンとした。何か変な事を言ったのかと不安になるが、気になる事はすぐ聞いてしまう椿はもう一度質問する。
「この山にいるのは理由があるんですよね?もし、そのドアから悪い人達が来たらどうするんですか?」
「悪い人達って…大丈夫よ、ザイルちゃんが結界を張っているから許可した人しか通れないわよ。」
「結界…」
「あら?もしかして、出ようとか考えてるの?」
ドキリと体を震わすも否定するが、ニヤリと不気味に笑うゴアに体が凍りつく。
「図星ね、まったく。無理に結界を突き破ろうとすればあなたの身が引き裂かれるわよ。」
「ひっ!?ドアを通ろうなんて考えてませんよーはは」
乾いた笑いをしながら、椿は目を泳がせた。
「ふーん?まぁ、いいわ。仕事の内容を説明するわよ。まずーーー」
ゴアは椿の様子を気にも止めず今後の仕事について、説明を始めた。
椿は、ドアの事が頭から離れなかったが、ゴアが鋭く見るので話半分に説明をうけた。
キラキラと見つめながら頷くシェフに、ニコニコしながらザイルも椿のそばで見守っていた。
やりずらいと思いながらも先程のクッキーを作る事にした。
チョコレートが見つけられなかったので、ドライフルーツを砕いて使用する。
ドライフルーツの甘さがあるので、砂糖を使わなくても大丈夫。砂糖も希少みたいで多く手に入らなかったのだ。
コネコネと型抜きを使わないで丸く整えていく。
焼いている間に、せっかくの厨房なので自分用におつまみを作ることにした。
皆がオーブンの前で焼きあがるのを待っている間にモエタキノコ?っだっけかな?エマに倒してもらったキノコの魔物を包丁で切り、ニンニクと塩コショウで味付けする。
ちなみに、塩と胡椒はとても高かった…お金があるから買えたけど、こんなに高いとは思わなかったよ。ニンニクは人が食べる物では無いと認識されていて、買った時は凄い顔されたな…
(鑑定:ニゲニエキノコ。炎で倒す事で、香りの良いキノコになる。椿が名前を間違えたので鑑定する。)
鑑定が出ていたが、椿は気にせず料理を続けた。
葉野菜も一緒に入れてフライパンで炒めていると、色合いの良いニンニクとキノコの美味しそうな匂いがしてきた。
「うん!いい感じ~よし、これに詰めといて~」
いそいそと出来上がったキノコ料理を創り出したタッパに詰めていく。蓋を閉めるとガシっと手を掴まれた。
「それ、何をしているのかしらん?」
「えっ?おつまみですけど。」
「おつまみですって?お酒なんてどこにあるのよ?まさか、勝手にお酒を持ち出したんじゃないでしょうね?」
シェフに質問と言うより、言いがかりをされムッとした椿はフライパンを置き「ここにありますよ!」キンキンに冷えたジョッキにシュワシュワと泡を立てたビールを作り出した。
「自分で用意します。」
イラっとしながら、ビールを持った手をシェフに見せるとグビリと飲まれてしまった。
「あー!何で勝手に飲むの!信じらんない!」
急いで取り返すも半分も飲まれてしまった。
「美味しいわね、うん。この料理もお酒に合うわ。」
「あっ!私の!食べないで下さいよ!」
椿の言葉を無視しながら、シェフはザイルに料理を進めた。
「ザイルちゃんも食べてみなさいよ。」
「あぁ…っっ!!これは、美味いな。」
「でしょ~?ほら、お酒も呑んでみて~」
「!!!なんだ、この美味さは!!!」
いつのまにか、椿からビールを奪いとったシェフはザイルに飲ませていた。
次々に無くなる料理に椿は成すすべも無く、ただただ立ち尽くしていた。
「ーー私のおつまみ、」
しょんぼりする椿をよそに、ザイルとシェフは話をしていた。
「この子を私の元に置いていいかしら?」
急に椿を抱き寄せたシェフにギョッとしながら、身動ぐとザイルがベリっと引き離しながら、キッとシェフを睨みつけ椿に説明した。
「ゴアがつばきを自分の所で働かせたい、と言うんだ。僕もつばきの料理を食べてみたいから…どうかな?」
思いもよらない提案に椿は即決した。働きたいと思っていた矢先だったので、すぐに飛びつく。
「是非!働かせて下さい!!」
「そうか、ありがとう。それと、つばきの料理を商品化して販売してもいいだろうか?」
「商品?別に構いませんけど、」
「なら話は早い、この国の特産物だけでは国の資金には足らなくてね。助かるよ。」
どう言う事だろう?と首を傾げながらも承諾すると、ザイルは仕事が残っているからと自室に戻っていく。
椿がキョトンとしているとシェフのゴアが説明してくれた。
「この国は、高い山にあるでしょ?だから、作物が育ちにくいのよ。それに働きにいくって言っても人里から離れているから難しいのよね。ザイルちゃんの部屋に街と繋げるドアがあるから、そこで品物を売ったり買ったりするのよ」
「ドア?ですか?」
「そう。ドアが街にあるお店と繋がっていて、商品を売り買い出来るのよ~こんな山から街に行くにはペガちゃんで行くかドアしか方法が無いのよね~」
ゴアの話に椿は思った。(アニメでみた事あるドアみたい。)と、そしてこちらから行けるなら逆に反対からも来れるのか?と疑問に思った。
(ん?ペガちゃん?ってペガサスの事?)
そんな疑問を抱きながら質問をする。
「ドアから街の人が入ったりしないんですか?」
椿の質問にゴアはキョトンとした。何か変な事を言ったのかと不安になるが、気になる事はすぐ聞いてしまう椿はもう一度質問する。
「この山にいるのは理由があるんですよね?もし、そのドアから悪い人達が来たらどうするんですか?」
「悪い人達って…大丈夫よ、ザイルちゃんが結界を張っているから許可した人しか通れないわよ。」
「結界…」
「あら?もしかして、出ようとか考えてるの?」
ドキリと体を震わすも否定するが、ニヤリと不気味に笑うゴアに体が凍りつく。
「図星ね、まったく。無理に結界を突き破ろうとすればあなたの身が引き裂かれるわよ。」
「ひっ!?ドアを通ろうなんて考えてませんよーはは」
乾いた笑いをしながら、椿は目を泳がせた。
「ふーん?まぁ、いいわ。仕事の内容を説明するわよ。まずーーー」
ゴアは椿の様子を気にも止めず今後の仕事について、説明を始めた。
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