異世界の花嫁?お断りします。

momo6

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「つばきちゃ~ん!これもやって~」
「はーい!わかりましたー!」

忙しく動き回る椿。
あれから1ヶ月が過ぎようとしていた。
すっかり、厨房の仕事を覚え新しい料理っと言っても。椿の故郷の料理を振る舞い、お惣菜として容器に詰めている。

これは、ザイルが話していた商品化の仕事だ。
椿とゴアが料理を作り、ザイルが街で販売しているのだ。
これがとても人気ですぐ完売してしまう程になっていた。

忙しいけど、充実した日々に椿は昔の事を思い出していた。
(懐かしなぁ~日本で働いていた時みたい。やっぱり、働かないと落ち着かない。楽しいな~)
ニコニコと料理を作っていく椿の所へ、ザイルが様子を見に来た。

「楽しい事でもあった?」
「いーえ、何もありませんよ」
「そうか?つばきは楽しそうに働くんだな。」

そういうと、ゴアに今日は終わりでいいのか確認を取っていた。

「少し、時間をくれるかい?」
「ゴアさん!今日はもう上がってもいいですか?」
「大丈夫よ~また明日お願いね~」
「はい!わかりました」
では、行こうか。と椿の手を取り歩き出すザイルに椿はコクリと頷く。
もう、抵抗しても無駄なので諦めました。

ザイルには、はっきりと自分の気持ちを伝えたんだよね。
「私は誰とも結婚する気がありません。」って。それでも側にいたいって言われたけど丁重にお断りしました。
断ったのに、何故まだここを離れないの?って思うよね。それはなんと!!私、職にありつけたんです!
帰して下さい。ってお願いしたら、各地で私を探してるって教えてもらい…思い当たる節がありすぎてーーーそんな事で、今はゴアと料理を作りながら、ほとぼりが冷めるまでお世話になる事にしたんだ、エマ・・・どうしてるかな?

「どうかしたの?」
思いにふけっていたら、ザイルが覗きこんできた。
「わっ!なんでもないです!」
「そうか?では、話に戻るがこれはどうだ?」
ザイルは椿の料理を並べ、次の新作を選んでいた。仕事の合間にこうやって、一緒に考える時間を作ってくれる。

最初は昔の女…私の前世として見ていて、まともに向き合うのが嫌だったけど、話してみたら全然普通で驚いた。今は仕事仲間として見ているが冗談を言ったりするからとても話しやすい。
最近では、目の保養として拝んでいたんだけど。やめてくれと言われてしまった。心の中では密かに拝んでるけどね、

「ふーむ、どれも素晴らしい出来栄えだから迷うな。」
「それならこれとこれを合わせて販売したら?」
「なるほど!それは良いアイデアだね!」
こんなやりとりをしながら1日が過ぎていく。

トントン
「失礼します。つばき様、そろそろお時間ですが。」
「あっ!分かった~ウル!行くよ」
ユナが呼びにきて、ウルと一緒に外に出る。
ユナにキチンと説明して、奥様って呼ぶのをやめてもらった。渋っていたが、ザイルが話をしてくれたので承諾してくれた。ホント良かったよ。

そしてもう一つ。
私が離れられない理由は、この場所!温泉があるのだ!!

「ん~~いい気持ち、ウルも入ればいいのに~」
「つばき様、ウル様も一応殿方ですので、さすがに一緒はまずいですよ」
「そっか、なら男用にもう一つ作ればいいんじゃないかな?!」
「それもそうですね!時間を気にせず好きな時に入れますからね!」

椿とユナは湯船に浸かりながら盛り上がっていた。
外では、ウルが見張りをしていたが〔クシュンッッ〕とくしゃみをしている。自分が噂されているとも知らず、温泉の周りを警護しているのだ。

この温泉は元々沸いていたが、熱くて何にも使われていなかったのを散歩していた椿が見つけユナ達と一緒に温泉を作ったのだ。
初めての作業で、5人ぐらい入る大きさしか作れず順番で入るようにしていたがーーー
噂が広まり今では、ほとんどの人達が順番に入るようになってしまった。
椿とユナが入っていると脱衣所から話し声が聞こえてきた。
次の人達の順番が来たのだ。
椿はムゥっとしながらもギリギリまで湯船に浸かっていた。
ーーー決して、毎日入る時間が決まっていてゆっくり浸かれなくなかったからとかではない。長風呂好きな私が、時間を気にしながら入るのが苦とかそんな事を思ってはいない!

自分に言い聞かせながら、ブクブクと顔まで浸かっていた。
「つばき様、次の方が見えた様なのでそろそろ交換ですね。!?つばき様!!!」

ユナが叫び声を上げながら、のぼせて沈みかけている椿を急いで引き上げる。
その声に、次に入ってきた女性達も何かあったのかと中に入ってきてグッタリしている椿を見つけると、ユナの手助けをしながら椿を湯船から引き上げで脱衣所にある長椅子に寝かせると、ユナがタオルを椿にかける。

「つばき様!?つばき様!聞こえますか?!」
湯船でのぼせた人を見るのは皆始めてで、何が起きたのか分からずパニックになっていた。

〔失礼します!つばき様!何かありましたか!?〕
異常に気付いたウルが脱衣所に入ってきた。「わっ!」「きゃっ」と驚く女達を無視し、ウルは椿の側に駆け寄る。

〔何があったんですか!?〕
「それが、わからないんですーー話をしていたら急につばき様の意識が無く‥」

ユナは冷静に話しているが、カタカタと指先が震えていた。
〔つばき様?つばき様?ーー反応が無い、何が原因なのか…〕
ウルは、ピクリとも動かないつばきの中に、思念を送り意識を取り戻そうと試みる。

(つばき様。今、助けます)
ウルは椿に寄り添いながら、何が起きるか分からない為、自分の魔力を椿に注ぎながら意識を椿に集中すら。


ウルと椿の様子をユナ達見守っていた。

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