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第一章
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「もう逃げられないよ?142番」
しっかりと手を握られ、足枷を嵌められた様に足取りが重い。・・・どうすればーーー
周りの景色も今までいた場所より急に煌びやかになった。・・・匂いも香水や食べ物の匂いが充満し別の意味で吐き気がする。音楽も聴こえてくる。
すれ違う人は、お客なのかカラフルな色合いの服や見たことない服を着ている・・・人では無い者もいる。本当にここは異世界なんだーーー
生まれた場所には人族しかいなかったから、目の前に広がる景色に圧倒される。
立ちくらみを覚えふらっと体がよろけた。
「おっと、大丈夫か?」
通りすがりの獣人が支えてくれたのかフワリと柔らかい毛が腕に触れた。
「申し訳ございませんーーーっ」
明らかにお客だ。魔法封じの赤い腕輪をしていた。サリーお姉さんが話してくれた腕輪だと思う。初めて見たけど、禍々しい赤はゾッとする。
私は奴隷だ。
お客様に何かあれば悪い事になる。絶対。
穏便にしなければ。
「本当か?顔色が悪いようだが、どこの店だ?俺が連れていってやる。」
「いえいえ、お手を煩わせてはいけません。大丈夫ですのでお気になさらずに失礼しっ」
「綺麗な目をしている。名前は?」
ぐいっと顔を上げられ、腰に手を当てられ獣人さんの方に引き寄せられた。
なんなんだ?この人。
「?」
「まだ、無垢なんだな。娼婦か?俺が最初の客になってやるよ。」
ふわりと優しい顔で物凄い事を言ってますが、怖いです。
獣人は、人より夜伽が激しく長いと聞いた。しかも番を大切にする種族で、番がいない時は異性にあまり興味が無いと聞いたけどーーー
サリーお母さん。私は今ピンチかもしれません。
獣人さんが熱い視線を送ってきます。
灰色の毛皮がどことなく私と似ている狼さんです。
優しい目をしているけど、獲物を逃がさないといった圧を感じます。
奴隷の立場上、下手に刺激出来ないので困った状況です。
「申し訳ございません、お客様。彼女はまだ売り物ではございませんので他のお店でご紹介致します。よろしいでしょうか?」
ニコニコと私の腕を引き、獣人から引き離す。隠すように前に立ち、笑っていない目で冷やかに話すイワンセス様。
「ほーぅ?まだ、ね。ならいつからだ?」
ギラリと眼光を光らせイワンセス様を睨みながら一歩も引かない獣人さん。
「まだまだ未熟な者でして、お客様にお教えする事ではございません。申し訳ございません。」
丁寧に話しているのに、背中からひしひしと怒っているのが伝わってくる。
ーーーこのまま、闘技場に走って行こうか。
ソロリと後退りするがイワンセス様にギュッと手を掴まれてしまった。
「これほどの美人はこの辺の娼婦にはいないだろ?それに、俺の鼻が逃さないと言っている。名前だけでも教えろ。必ず探し出す。」
なかなか食い下がらない獣人さんにイワンセス様がそろそろ切れそうだ。どうすれば、ソワソワしていた所に近くの娼館の支配人が走ってきた。助かった。
「っはぁ、はぁ、これはこれはアリビィ様!ようこそいらっしゃいました!ささっ!こちらへどうぞ、女達がアリビィ様をお待ちです!」
息を切らしながら走ってきた支配人にふっと優しい眼差しをしながら「待たせていたら、悪いな。お前!顔を覚えたからな。女、次にあった時は俺のものだ。」
鋭い眼光をイワンセス様に向けながら、私に向けた言葉が頭に響く。
アリビィと呼ばれた獣人は、支配人と娼館に入って行った。
姿が見えなくなると、ニコニコしていたイワンセス様が急に「クソ犬が、おい。あいつを高燗に近づけさせるな。皆に伝えとけ」怒鳴りながら耳元に手を当て話している。通信かな?
どんな顔をしているのか想像出来る。
「さっ!142番。クソ犬がいなくなったから僕たちの部屋に行こうか。」
満面の笑みで私の手を引きながら歩いていく。僕たちの部屋ーーー嫌だ、絶対に嫌。
頭の中で、どうすればいいのか考えがまとまらない。思い切って走って直接闘技場に行こうか?場所は娼館地区の隣だ。
闘技場で興奮した男たちが癒されに来やすい様に隣になっている。
チラリと周りを見るがギラギラと建ち並ぶ娼館に目が眩む。
何処に行けばいいのか分からない・・・
「本当に体調が悪いのかい?あのクソ犬め、懲らしめてやれば良かったか、まだあそこにいるよな?よし、」
先程の獣人が入った娼館に行くのかと驚き、ギュッと裾を掴んでしまった。
やばい。
「どうかしたのかい?」
急に裾を掴まれて嬉しかったのか、イワンセス様が優しい顔で呼びかけてきた。
うっ、イケメンの甘い顔は反則です。
「何でもありません。」
顔に出ないようにサッと視線を逸らしたがニコニコと先程よりもご機嫌になったのがよく分かる。
「そうか?ほら、着いたよ。 高燗だ。」
いつの間にか着いてしまった 高燗。
雅な紅色と黒で引き締まった縁の建物には、 ”高燗”と書かれていた。
もう、逃げられないのかーーー
しっかりと手を握られ、足枷を嵌められた様に足取りが重い。・・・どうすればーーー
周りの景色も今までいた場所より急に煌びやかになった。・・・匂いも香水や食べ物の匂いが充満し別の意味で吐き気がする。音楽も聴こえてくる。
すれ違う人は、お客なのかカラフルな色合いの服や見たことない服を着ている・・・人では無い者もいる。本当にここは異世界なんだーーー
生まれた場所には人族しかいなかったから、目の前に広がる景色に圧倒される。
立ちくらみを覚えふらっと体がよろけた。
「おっと、大丈夫か?」
通りすがりの獣人が支えてくれたのかフワリと柔らかい毛が腕に触れた。
「申し訳ございませんーーーっ」
明らかにお客だ。魔法封じの赤い腕輪をしていた。サリーお姉さんが話してくれた腕輪だと思う。初めて見たけど、禍々しい赤はゾッとする。
私は奴隷だ。
お客様に何かあれば悪い事になる。絶対。
穏便にしなければ。
「本当か?顔色が悪いようだが、どこの店だ?俺が連れていってやる。」
「いえいえ、お手を煩わせてはいけません。大丈夫ですのでお気になさらずに失礼しっ」
「綺麗な目をしている。名前は?」
ぐいっと顔を上げられ、腰に手を当てられ獣人さんの方に引き寄せられた。
なんなんだ?この人。
「?」
「まだ、無垢なんだな。娼婦か?俺が最初の客になってやるよ。」
ふわりと優しい顔で物凄い事を言ってますが、怖いです。
獣人は、人より夜伽が激しく長いと聞いた。しかも番を大切にする種族で、番がいない時は異性にあまり興味が無いと聞いたけどーーー
サリーお母さん。私は今ピンチかもしれません。
獣人さんが熱い視線を送ってきます。
灰色の毛皮がどことなく私と似ている狼さんです。
優しい目をしているけど、獲物を逃がさないといった圧を感じます。
奴隷の立場上、下手に刺激出来ないので困った状況です。
「申し訳ございません、お客様。彼女はまだ売り物ではございませんので他のお店でご紹介致します。よろしいでしょうか?」
ニコニコと私の腕を引き、獣人から引き離す。隠すように前に立ち、笑っていない目で冷やかに話すイワンセス様。
「ほーぅ?まだ、ね。ならいつからだ?」
ギラリと眼光を光らせイワンセス様を睨みながら一歩も引かない獣人さん。
「まだまだ未熟な者でして、お客様にお教えする事ではございません。申し訳ございません。」
丁寧に話しているのに、背中からひしひしと怒っているのが伝わってくる。
ーーーこのまま、闘技場に走って行こうか。
ソロリと後退りするがイワンセス様にギュッと手を掴まれてしまった。
「これほどの美人はこの辺の娼婦にはいないだろ?それに、俺の鼻が逃さないと言っている。名前だけでも教えろ。必ず探し出す。」
なかなか食い下がらない獣人さんにイワンセス様がそろそろ切れそうだ。どうすれば、ソワソワしていた所に近くの娼館の支配人が走ってきた。助かった。
「っはぁ、はぁ、これはこれはアリビィ様!ようこそいらっしゃいました!ささっ!こちらへどうぞ、女達がアリビィ様をお待ちです!」
息を切らしながら走ってきた支配人にふっと優しい眼差しをしながら「待たせていたら、悪いな。お前!顔を覚えたからな。女、次にあった時は俺のものだ。」
鋭い眼光をイワンセス様に向けながら、私に向けた言葉が頭に響く。
アリビィと呼ばれた獣人は、支配人と娼館に入って行った。
姿が見えなくなると、ニコニコしていたイワンセス様が急に「クソ犬が、おい。あいつを高燗に近づけさせるな。皆に伝えとけ」怒鳴りながら耳元に手を当て話している。通信かな?
どんな顔をしているのか想像出来る。
「さっ!142番。クソ犬がいなくなったから僕たちの部屋に行こうか。」
満面の笑みで私の手を引きながら歩いていく。僕たちの部屋ーーー嫌だ、絶対に嫌。
頭の中で、どうすればいいのか考えがまとまらない。思い切って走って直接闘技場に行こうか?場所は娼館地区の隣だ。
闘技場で興奮した男たちが癒されに来やすい様に隣になっている。
チラリと周りを見るがギラギラと建ち並ぶ娼館に目が眩む。
何処に行けばいいのか分からない・・・
「本当に体調が悪いのかい?あのクソ犬め、懲らしめてやれば良かったか、まだあそこにいるよな?よし、」
先程の獣人が入った娼館に行くのかと驚き、ギュッと裾を掴んでしまった。
やばい。
「どうかしたのかい?」
急に裾を掴まれて嬉しかったのか、イワンセス様が優しい顔で呼びかけてきた。
うっ、イケメンの甘い顔は反則です。
「何でもありません。」
顔に出ないようにサッと視線を逸らしたがニコニコと先程よりもご機嫌になったのがよく分かる。
「そうか?ほら、着いたよ。 高燗だ。」
いつの間にか着いてしまった 高燗。
雅な紅色と黒で引き締まった縁の建物には、 ”高燗”と書かれていた。
もう、逃げられないのかーーー
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