牢獄の天使は愛を知らない

momo6

文字の大きさ
4 / 29
第一章

4.

しおりを挟む
明るくなってきた辺りを見渡し、手続きの場所に向かう。
無駄に広いので、迷うと大変だ。
今いる居住地の出入り口で手続きをする。朝ともあって、大勢の人で長い列がある。その列に加わり並んでいると嫌に体を押しつけてくる人がいて嫌になる。
奴隷同士での付き合いは、届出を出せば許可が出る。だが、買われた場合は有無を言わず引き離され身体を清められて記憶も消されると言うが。考えただけで恐ろしい。
もし、妊娠していても流産させられる。
女が苦労するだけ。
この馬鹿げたのを作ったノウボア一族は、奴隷の質を上げる為や新しい奴隷を増やす為とか・・・

本当に自分の利益の事しか考えないので吐きそうだ。

それにしても、相変わらず肩や背中を押されイラってしてきた。だが、ここで反応すれば相手の思うツボ。わざと体を触って関わりを持ち恋人にって考える馬鹿な男がいる。とゲラゲラ笑いながら教えてくれたおばさん。
まさにその体験をして気持ち悪い。
もう気持ち悪いので顔も見たくない。

うんざりしていると、いきなり腕を掴まれ列から出されてしまった。
「いい加減やめないか!わざと押すのはよくないだろ!!」
ん?と思い声のする方を見ると赤と黒が混ざり合った髪に白い肌で茶色い瞳のお兄さんが助けてくれた。
「あぁん?何を言ってんだ。俺の女になるんだから嬉しいだろ?邪魔すんじゃねーぞ?」

はっ、気持ち悪い。
中年ぐらいの見るに耐えない顔の男がベロリとしながら胸やお尻を見ている。
こいつは醜い豚か?と思いながらも関わらない様に列に戻ろうとしたら、またグイッと引っ張られた。何なんだ?

「あなたは、あの人と恋人になるんですか?」

へっ!?何?!急に真剣な顔で何言っちゃってんの?あんな豚と恋人になるわけないでしょ!
心の声が喉まででかかったのを抑え、ブンブンと首が取れそうになるぐらい拒絶すると「良かった、醜い豚とあなたでは不釣り合いですからね。」

爽やかに貶してるよ?あなたそう思ったのね。やっぱりそう見えるよね。笑ってはいけないけど、ほら?周りも笑いを堪えてるよ?やっぱりみんなそう思ってたんだ。
真っ赤になった男が何か言ってるけどーー!いきなり殴りかかってきた!奴隷同士の殴り合いは、闘技場以外禁止だよ!!
見つかったら鞭打ちですまないよ?!




あれ?
爽やかなお兄さんが、避けて豚に何か耳打ちしたら男の動きが止まった・・・ん?列から出たのは豚の方だ。何?何て言われたの??

首を傾げながら男を見ていたら、「やはり、恋人になりたかったんですか?」

「違います!」

はっ、つい話してしまった。
私は喋らない142番で通していたのに、てかお兄さん誰?急に来たけど…奴隷だよね?

「あっ、その目は疑ってますね?助けたじゃないですか。ほら、それより列に戻らないと順番が来ますよ?」

軽く流されてしまい、何も聞ける状態じゃなくなってしまった。何故か手を握られているからだ。
しかも、恋人繋ぎ。指と指を絡めて繋ぐ・・・お兄さんとは初対面ですよ?

「あの。手を離して下さい。」
「んー?なんでですか?」
「失礼です。初対面ですよね?」

離そうとしても、ガッチリ繋がり抜けなくなっている。嫌に丁寧に話すのが気になる。本当に誰だ?

そうこうしている内に順番が来てしまった。
さっきの男以外絡んで来なく助かったが、お兄さんのお陰だったのかな?

「次!番号と配属先を述べよ。」

「あっ、はい。142番闘技場です。」
「えーーーー!!!なんで!?」

びっくりした、ニコニコしてたお兄さんが急に大声を出したのだ。

「?」
「えっ?えっ?まって、142番は高燗だったよね?確認して。」
「はっ!あっ!!はっはい!すぐに!!!」
バタバタと奥に行く受付さん。
何でお兄さんが私の配属先を知ってるの?本当に誰?受付さんに命令出来るのはリーダーか偉い人・・・まさかあの男の子?こんな顔だっけ?覚えてないな、それよりも高燗なんて嫌ですけど。
確認に行かなくていいんですけど、ちっ余計な事を。

「あの、失礼ですが。私の配属先は自分で決めます。何なんですか?」

「喜ぶと思って高燗にしたんだけど。まさか、闘技場とは思いもよらなかったな~今からでも遅くないよ?高燗にすれば、綺麗な部屋を用意してあるんだ。ーーー僕だけの142番。忘れてるなんて酷いな~洗濯の女から助けたろ?」

ーーーやっぱり。あの時の男の子だ。ノウボア一族。ここ何年か姿を見ていなかったから分からなかった。容姿も違う。切れ長の目は…見た事があるような。
でも、正体が分かった、、私は絶対に高潤に行かない。
「イワンセス様と容姿が違うと記憶してますが、申し訳ありませんが人違いではないでしょうか?それに、配属先も私が決めた事です。」

「あぁ、あれは色々面倒だから変えてたんだ。今の姿が俺の本当の姿さ。ーーーそれに、高燗に入れば俺が可愛がってやる。誰の目にも見せない。俺だけの物だ。もう一度考えなおせ、142番」
耳元で囁く声は、低く先程の爽やかなお兄さんとは別人だった。
「お戯れをイワンセス様」
小さく言うとピクリと眉を動かした。

「お待たせしました。142番高燗で間違いないです。」
「では、高燗で手続きを進めよ」
「わかりました。」

イワンセス様の命令は絶対。
嫌だ、絶対に行きたくない。
好きでもない人に体を捧げるなんて死んでも嫌だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!

山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」 夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

有名俳優の妻

うちこ
恋愛
誰もが羨む結婚と遺伝子が欲しかった そこに愛はいらない

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

処理中です...