牢獄の天使は愛を知らない

momo6

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第一章

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無事に食事が終わり、食器を片付けていたら「ティぃぃあぁあーーー!!」と、物凄い形相のアマンサが襲いかかってきた。
壁ドンされ、強烈な顔で頭の先から爪先までじっとりと見られた。
「アマンサ?」
「っっっんもう!聞いたわよ!私が食堂に来たら絡まれたらしいじゃない?!ビクトリアが話してたわよ?あの、いかれ野郎に何を言われた?触られた?」
「朝?あぁ、だい…じょうぶ。」
今はそれよりも、アマンサが怖いなんて言えずどもってしまった。

「キーーー!いかれ野郎はビクトリア達がボコっといたから安心して!…Aランクのアシュリー様がティアの事を探ってるみたいよ。」
コソッと耳元で教えてくれたが、側から見たら迫ってる図にしか見えない。
ザワザワしていると、ランガが「アマンサ。もう離してやったらどうなんだ?」コホン。と咳払いしながら教える。

「あら~やだ~私ったらつい~ティア大丈夫かしら?」
「大丈夫だよ。それよりあしっっ」
「しっ。後で話しましょ」
口に手を当てられ、ランガに聞こえないようにパチンとウインクする。
聞かれたら不味いのかな?と静かにコクンと頷いた。

「今日は、試合があるから一緒にいれないが大丈夫か?」
「試合が?怪我しないでくださいね。」
「うむ。心配するな、行ってくる。」
「気をつけてください」
コクンと頷き、ランガはアマンサに目でアイコンタクトをすると足早に食堂から出て行く。

知ってる人の戦いって聞いてもやはり心配。
自分もいつかは出るんだ、気を引き締めなくては。

「んもう2人だけの世界なんだから。ティアったら幸せそうな顔しちゃって、自分では気付いていないのよね、まったく。」
アマンサはランガを見送るティアを見ながら、やれやれと言った表情をする。
「さぁ、私たちも行くわよ?訓練訓練!」
明るい声で訓練所へ向かう。





「はぁ~やり切ったわ~」
滝の様な汗をかきながら、タオルで顔を拭いている。毎回凄い汗だなと思いながら時計を見るともうすぐお昼になる。
「ふー。あっアマンサに聞きたいんだけど。」
「ん?な~にかしら?」
「ランガさんの・・・試合って見られるのかな?」
「え!?興味あるの??やだ~早く言いなさいよ~勿論見れるわよ~見るのも経験だから、客席の下からだけど。」
「みたい!」
「んふ。そんなに心配なの?可愛いわね~。午後からの訓練は実戦見学にしましょうか。監督官に話しましょ。」
「うん!」

意外にもすんなり、許可がおり早めの食事をしてからシャワーを浴びてランガの戦っている闘技場に向かう。

「シャワーが空いてて良かったわね~」
「うん。いつもありがとう。」
「いーのよ~。あらその服も可愛いわね~やっぱりあのお店で正解ね~」
「変じゃ無いかな?」
白のチューブトップにフリルが付いたミニワンピ姿。黒いスパッツを履いている。
髪はポニーテールにアマンサが縛ってくれた。
「可愛すぎるぐらい。んもう、私がいなかったら襲われてるわよ?」
「褒め過ぎだよ」

アマンサと他愛無い話をしていると、闘技場の地下についた。何箇所かある場所の一つ。ランガは人気だから、1番大きい場所だった。
上は石段になっており、お客様が大勢いる。人気のランガを見る為上の方は満員だ。
丁度客席の下がぐるっと空いており、立見になるが奴隷達が応援したり、動きを勉強したり、用は奴隷でも観れるようになっている。
ただ、場所は早い者勝ちだ。

アマンサに手を引かれて空いている場所に行くと場内は試合前だと言うのに熱気に包まれていた。
「凄い・・・人だね、」
「そうよ。奴隷にとって、この場所で戦えるのは誇りなのよ。唯一自由を手に入れられる場所。」
「自由を…そうだね。」

アマンサの言葉がかき消され地響きの様な歓声が響き渡る。
ランガだ。

「あら!ランガ様よ!キャーー格好良いわ!!好きーー!!」
急に乙女になったアマンサに若干引きながらもティアは、ランガを見た。

全身黒い鎧を着て、腰まである長い長剣を構えていた。
相手の選手も鎧を着ているが、明らかに品質は劣る。だが、ランガよりも巨漢で太い剣を持っていた。

「あんなに大きい人が相手なんだーー大丈夫かな?」
「大丈夫よ~ランガ様よ?よ~く見てれば分かるわよ~キャー!ランガ様~~!!!」

心配そうにランガを見ていると、ふいに目があった。
ティアに気付くと驚きながらもふっとほくそ笑む。
(気付いた?まさかね)

「キャーー!こっち見た?見たわよね!私に微笑んだわーー!!やだ~幸せ~」

ランガの見せた表情に場内は一気に黄色い歓声が響き渡った。
アマンサも例外ではない。

「くっそ、気分悪いな。いくら人気者だからって調子に乗るなよ!」
「…すぐ、終わらせよう。」
「!!!ふざけんなーー!!!」

ゴーーン
鐘の合図で、試合が始まった。
先に仕掛けたのは巨漢の男。
「うぅぅるあぁぁぁぁ」

ドスンと長い剣をランガ目掛けて突き刺してきた。が、スッと避けている。
巨漢に似合わず素早い突きを見せるが全て避けられる。
「ひゃっはぁぁー避けるので精一杯だろぅ!オラオラオラオラ」

避けるだけで、抵抗しないランガに罵声を浴びせるがランガは静かに見つめていた。
チラっとティアの方を見ると、ティアは両手を握りしめ心配そうに見つめていた。
それが嬉しく、ランガは口元が緩んでしまう。

「?!何笑ってやがる!!」
「いい加減つまらん。終わりにしよう。」
「は?これからが楽しっっーーー」

シュッと首に峰打ちすると、グルンと白目になりその場に倒れてしまった。
一瞬の出来事だった。

「っっっランガの勝利ーーーー!!」

拡声器で審判が判断すると、一気に歓声で会場が揺れた。
「凄いーーー」 

Aランクになるとこんなにも違うのかと、息を呑む。私なんか足元にも及ばないーー強くならなくては。

「ティア!!ティア!ちょっと!」
考え込むティアをアマンサがゆさゆさと激しく揺さぶる。「え?え?」とビックリしていたら、興奮したアマンサが手をブンブンと振っていた。
「ちょっと!!前!まえ!!」
「前?」
アマンサに言われ、前を向くとランガがこちらに歩いて来た。
えっ。まさか?まさかね。

ティアが目をパチクリしている間に兜を取りながら歩いているランガに会場がどよめきだした。
闘いが終わった後は、退場するだけなのだがいつもと違う方向に歩くランガを客席・奴隷達が驚いたのだ。
「見に来たのか?」
案の定、ヒョイっと場上から降りてティアに話しかけた。
「はい。格好よかったです。」
「ふ、惚れたか?」
「まさか!怪我が無くて良かったです。」
「ふは、残念。俺はもう終わりだが、ティアはどうするんだ?」
「えっと、まだ他の人の闘いが見たいかな?」

ティアは、折角なら他の人の闘いも見て勉強したいと思ったのだが、ランガは不機嫌になり。自分の兜をティアに被せた。
「俺以外見たらダメだ。」
そう言うとティアを抱き抱え歩き出した。
「ちょっとランガさん!」
「ダメだ。他の奴に姿を見せるのも勿体ない。」
「え?何の事です?」
「いや、何でもない。とにかくそれは被ってろ」

ランガの行動に会場はどよめきだし、下の方が見えないお客様は「ちょっと!ランガはどこに行ったのよ!!」など主に女性達のブーイングが凄く、審判が急いで次の対戦へと促していた。

一部始終見ていた奴隷達は、噂は本当だったのかとザワザワ話し出したが、置いてかれたアマンサは「私も連れて行ってよ~」と追いかけたが、奴隷達が邪魔で進めないでいた。
「ティア、後でじっくり話を聞くからね~覚悟しなさいよ~!!」
虚しく響き渡るが2人には聞こえるはずがない。






その頃、ティアを連れたランガは周りの目も気にせずズカズカと歩いていた。
黒い鎧姿のランガが自分の兜を付け、白い服をきた女性を抱き抱え歩いている。何事?と通りすがりの人達が不思議そうに見ている。

バタン。

「もう、兜脱いでも良いですか?」
床に下ろされ、プハァーっと兜を取るとランガが優しく見つめていた。
「?どうかしたんですか?」

はい。と兜を渡すと嬉しそうにしながら受け取った。

「いや、わざわざ見に来てくれたのが嬉しくてな。」
「怪我しないか気になっただけです。でも!凄いですね!一瞬で倒してしまって、どうやったのか見えませんでした!」

キラキラと尊敬の眼差しで見られ照れ臭くなり、「何か飲むか?」と話を逸らしてしまった。

「何があるんですかーーー?ここは?」
ティアは、ふと辺りを見ると整頓された部屋に気付いた。ベットに机、見慣れない部屋。
もしかして・・・



「俺の部屋だ」
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