牢獄の天使は愛を知らない

momo6

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第一章

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(何だろ…身体が軽い、こんなに動いても昨日より疲れないーー気のせいかな?)

いつも通りの訓練。
ランガと別れた後、アマンサが鬼の形相で詰めかけそのまま訓練に来たのだが。
一心不乱に棒を振り下ろし怖い。
昨日の事を話したら、無言で訓練をしている。
とても話しかけられる雰囲気では無いので、終わるまで待つ事にした。

アマンサに負けじと棒を振り落とす。
目を瞑り、昨日のランガを思い出す。
滑らかな動き…そして、鋭い突きーーー「ティア!!!ティア!!ちょっ!ちょっと!!」

パチっと目を開けると、棒をアマンサの頭に当てながら地面に押し倒していた。
「何やってるの?」
「いやいやいやいや!こっちのセリフよ!!いきなり何なのよ!私が何したのよ!!早くどきなさいよね!!!!」

「・・・私が?」

棒を下ろすと、パンパンと埃を払いながらアマンサが立ち上がる。
怒っているというよりも驚いた顔でティアを抱きしめる。
「んもう!びっくりしたわよ!殺されると思ったけど、ティアったら実は才能があったのね~うふ」

キャッキャと褒めるがティアは自分の手を見つめる。
(おかしい。自分の身体じゃないみたい。こんなに軽いなんてーーー)

グッパグッパと手を動かしてみる。感覚はあるが何とも言えない気持ちになり、喜んでいるアマンサに棒を向けて構える。

「アマンサ。試しに組み手をやってみない?自分の力が分からないんだ。」


「あら~やる気~?いいわよ!初めての組み手ね~私も手加減しないわよ~?」
「うん。お手柔らかにね、じゃあ私からっっ!!」

一気に踏み込み腰を狙い棒を突く。
「っっふ!」
さすがアマンサ。滝の様に流した汗の分動きが素早い。
「甘いわね~んふふ~」
ギラリと獲物を狙うかの如く「せいぃぃや!」棒をティア目掛けて振り落とすが、ふわりと体を捻りながら避ける。
構わず「はっ!ふっ!せぃぃーー!」突きの連打をするもヒラリフワリと避けていた。
二人の組み手にいつの間にか人集りが出来ていた。アマンサの止まらぬ突きにティアは擦りもせず、それを見ていた一人がこう言った。

「踊っているみたいだーー」


軽い身のこなしで避けるティアは、踊っている様だった。とても綺麗で美しい。

見物人達はほぅっと息をのむ。


「ここよぉぉーー!」
連続の突きから一気に振りかざした。
だが、ティアは高く飛び上がり体を捻りながらアマンサの後ろを取った。
棒をアマンサの首に当てて勝負は着いた。

「あぁーあ、私の負けよ~」
「ふふ、アマンサの攻撃が止まらないから慌てたよ。」
「全部避けたくせに何言ってんのよ~もぅ!」
「最後の大技は危なかったよ?」
「ティアったら、身のこなしが軽いのね~高く飛ぶからおったまげたわ~はぁ~良い組み手だったわ~またやりましょうね~」
「うん。ありがとう!」

息を切らしながら二人が話していると周りからは歓声が上がった。
思いがけない組み手に盛り上がり盛大な拍手が二人を包み込んだ。
照れ臭さそうに二人は顔を見合わせて「ふふ」と手を取り合った。




そんな一部始終見ていた監督官は「これは、報告しなくては。」と慌ててどこかへ向かうのだった。

鳴り止まぬ歓声の中、二人はその場を離れると汗を流すのにシャワーへと向かった。
先程の興奮が冷めないのか、アマンサがティアの手を繋ぎながら褒め始めたので何だか照れる。

「ティアったら踊ってるみたいだったわよ~踊りでもやってたのかしら?」
「え?そう見えたの?避けるので精一杯だったから分からないや。踊りは…見た事はあるけど。」
「そうなの?綺麗だったわよ~」
「ありがとう。自分では、分からないや。」

そんな話をしていると、すぐにシャワー室に到着した。
アマンサが先に入り、ティアがカーテンの側で待っているといつもの様に絡まれた。
相手にせず。今日の夕飯はなんだろ、と考えていたら「おい!シカトしてんじゃねーぞ!?」と肩をドンと押されて反動で倒れそうになる。
(危な!!)とカーテンを掴んだまま奥に倒れてしまった。

ザーーー
シャワーの音がする。

目の前にはアマンサが体に泡を付けている姿が目に入る。
泡からは逞しい筋肉が顔を見せていた。
「あらん!ティアったら大胆ね♡」
恥じらうアマンサにこちらが恥ずかしくなる。
「あっとえっと、」
「や~ね~冗談よ!じょうだん!立てるかしら?洗い流したら終わりだから慌てないで待っててねん」
「ーーーぅん」

「おいこら?イチャついてんじゃね~ぞ?この、おい!聞いてんのかぁ?」
先程、掴みかかって来た男がカーテンを開けながら入ろうとしてきて、アマンサが切れた。

「はああん?てめぇこのやろ!誰が入っていいっつったぁ?!表に出ろや!」
ドスの効いた声にビクッとティアが驚く。
「あらやだ。つい、地声がーーんふ。あたしとヤリたいのかしらん?いぃわよ~カモーン♡」
ガバリと両手を広げて迫ると「カマ野郎に興味なんかねぇよ!さっさと女を出せ!ひひっ俺が絶頂までイカせてやるよ」

ブチっと何かが切れる音がした。

「お”ぃこの野郎、今なんつったぁ?小せぇ金○ぶら下げて握りつぶしてやろうか?言葉には気をつけろ。」
アマンサの後ろ姿からは怒りのオーラが見える。
「っっっ覚えていやがれ!!」
捨て台詞を吐きながら逃げていく。
周りの野次馬もいつの間にかいなくなっていた。
「いやーね~さっ、ティアも今のうちに入っちゃいなさい~」

いつものアマンサに戻りにこやかに話す。
怒らせない様にしよう。そう心に誓うティアだった。


ティアが入っている間にカーテンの外で、体を拭きながら着替えていると「あれー?今日はやけに空いてんじゃん。」赤い髪の男が入って来た。

「ん?あんた、何でそこで着替えてんの?」
上半身裸でズボンを履いている所を見られ、恥ずかしくなったアマンサは急に乙女になる。
「やだ~もぉ~来るなら言って下さいよ~下を穿いちゃったわ~はっ!今なら誰もいないわ!」
履いたズボンをいそいそと脱ぎながらキランと目を光らせるアマンサに身の危険を感じた男はたじろぐ。

「へっ?いや、何脱いでんの?はっ?マジで?ちょっ、怖いんですけど。」

「んっふぅ~マジ尊すぎなんですけど~ルイ様~好きーーー!!!」
ギラリと獲物を狙う目で突進するアマンサ。
ルイは恐ろしい物を見たとシャワー室から後退る。

「ルーゥゥーぃい様ーーー!」

もう少しで飛びつく。ヤバいと思ったルイは逃げ腰になった。

「出たよ~あれ?アマンサ?どこ行ったの?」
ティアがカーテンを開けてキョロキョロすると、アマンサが赤い髪の男に襲いかかっている場面が目に飛び込んできた。
「あ…ごめん、邪魔しちゃったね。あの、えっと。先に食堂行ってるね?」

そそくさと邪魔にならないよう、二人を避けながらシャワー室を出ようとする。
ガシッと腕を掴まれ、ルイが悲願する顔でブンブンと首を横に振っている。

「ーーーあれ?」
どこかで、見た顔だと思ったら初めてシャワー室に来た時にいた人?ランガの知り合いとか?一度会った顔だった。
ペコリと会釈すると、ルイは「可愛い子ちゃん!って、ランガの女じゃん!」と気付いたようだ。
アマンサから逃れ、ティアの前に飛び出した。
「あらん!もう、シャイなんだから。」
名残惜しそうに見つめている。

「怖え~マジ危なかったわ。ナイスタイミング~助かった~」
ティアの肩に手を置き、さりげなくシャワー室から出るルイにアマンサが詰め寄る。

「ルイ様。私はいつでもウェルカムよ♡」
ゾワゾワと鳥肌が立ち、ティアの後ろに隠れるとアマンサがチッと舌打ちしながらもスススとルイの隣に並ぶ。

「…銀のタグ。」
ジーっとルイの首からぶら下げられた銀タグを見つめる。ランガと同じAランクの証だ。
Aは銀
Bは青
Cは赤
Dは黄色
Eは黒
そして、Sは金色のタグをしている。

この人も強いのかな?と見ていると
「本当可愛いな、ランガなんてやめて俺にしろよ。楽しませるぜ?」
「ランガをやめる?何を?」
「はぁ?意味が分かってないのか?見かけによらずお子ちゃまかよ。」

鼻で笑われ気分が悪い。
「ふふふ。ランガ様が夢中なのよね~?」
「?よく分からない。」

アマンサがニマニマしながら、話すとルイがグイッと身を寄せて来た。
「なぁ、それなら俺は?お前タイプだし。俺と付き合えよ!」

いきなりの告白にアマンサは「あらあら」と顔がニヤける。

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