牢獄の天使は愛を知らない

momo6

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第一章

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奴隷の購入は大きく3つに分かれている。
1つ目は一度に沢山買う。2つ目は数回に分けて少人数を買う。3つ目は、一度だけ数名買う。

購入にもお金がかかるから、購入者は大富豪や商人がほとんどだ。
一人一人金額が違う為、余裕が無いと買えないのが大きな要因になっている。
だから、お金が無い者はこの場所でひとときの時間を買う。その方が安く、何度も来れるから。
特に闘技場は金額が他よりも高い設定になっている。入場料が取られるが、種目別に料金が違う。ランクが上がると有料の指定席があるぐらい人気となっている。
購入額も跳ね上がり、大富豪でも購入出来ない金額だという噂だ。
実際、金額は奴隷達には知らされない。
何故なら奴隷同士でいざこざが起きるからだ。
それに指名された時に個別で金額が貰えるが、購入金額を知っていると同様の金額を請求する可能性がある為知らされない。

まぁ、拒否出来るのは闘技場の特徴ではあるが、金銭に余裕がない奴隷達は快く個別でお客様と会い、お小遣いを稼いでると聞く。

拒否出来る事がここの売りである。他ではあり得ない事。

人気が出ると、どうにか振り向いて欲しく何度も通うお客様がいて、個別の取り合いがあるという。
ランガも例外ではないが。一度も対応した事が無く女性のお客様がほとんどだったが、全て断ったので女に興味が無いと思われていたそうだ。

大半の奴隷達はランクが低いとお客様の相手をしようと頑張り、最低数回は個別に会うと言う。
ランガは珍しいタイプだ。

バロフ様が管理する前は、無法地帯で死人も出るほど酷かったらしい。
お客様も質が悪く、個別であっても暴力を振るわれ中には亡くなる奴隷もいたと言う。

バロフ様が優勝して、闘技場の権利を勝ち取ると色々内情を良くして今の闘技場が出来たのだ。


そんな中、天龍人は別格でどんなに高い金額でも奴隷達をごそっと購入していく。
ただ。Aランクだけは購入しないと言う。闘技場の質が下がるからか、理由は分からない。
だが、奴隷を売る権利はバロフ様にあるのでもしかしたらバロフ様が考慮しているのかも知れない。

「天龍人は、毎年になるとこの大会で何十人と購入して行くんだが・・・大会以外でも購入するんだ。」
「それも色んな奴隷をな。」

2人は険しい顔をしながら話している。
「購入されたら幸せってーー誰がそう思ったの?

先程、「選ばれたら幸せ」そう話していた。
普通、購入されたら奴隷だから幸せなはずがない。こき使われるのが目に見える。

「それがな、購入が決まって送り出すんだが。普通だと前日は身の回りを整頓し荷物をまとめるだろ?不安でたまらないんだよ。それが次の日になると、不安だった奴が嘘の様にニコニコと幸せそうな顔で出ていくんだ。おかしくないか?」
「あれは、おかしいと言うより不気味だ。あんなにニコニコと笑顔で行く奴がいないだろ。それも初対面でだぞ?怪しさ満点だな。」
ジャービスとランガは、その光景を見たことがあるのか渋い顔をしながら話していた。

「まぁ、分からない事をごちゃごちゃ言っても仕方がないじゃろ~明日は気をつけるんだな。どれ、わしはもう行くかな、まだ話さんといかん奴らがいるからな。幼子よ、またあいまちょうね~」
ティアの頭をよしよししながら、ジャービスは帰っていく。
見送るランガにボソリと警告する。

「幼子を狙う輩がいるぞい。明日は目の届く所に置くのじゃ。」

「!!わかりました。ありがとうございます。」
お礼を言うとひらひら手を振りながら廊下を歩いていく。
前夜祭を楽しんだ者達がまばらに歩いている。

「この中にティアを狙う奴がいるのか、、、渡すものか。ティアは俺の大切な人だ。」

AランクとBランクのフロアを見つめ、振り返りバンッと勢いよくドアを閉める。


険しい顔のランガは、ベットで足をプラプラしているティアを見て顔が緩んでいく。

「アマンサ遅い。部屋に戻るよ。」
「もう来る頃だろ?それより、明日は踊りだけか?戦ったりするのか?」

(もし、何も無いなら俺と一緒にいれば安心なんだがな。)

「明日は、踊った後トーナメントに参加する。力試しだけ、まだ試合は怖いから。・・・アマンサと一緒です。」

「そうか、もし終われば俺の所に来るか?控え室が用意されているから。試合を観戦した後、一緒にいられるから。どうだ?」

ランガの誘いにパァッと明るくなるが、何やら考えこむティア。
「食事も大会だから豪華だぞ?」
「!!それは大事な事だからアマンサに聞いていく。」

食事に釣られたティアが可愛すぎる。
「ははっ、なら甘いお菓子も用意しておくよ。」
「!!お菓子、、アマンサに言わないと。」
うんうん、と空想にふけ始めた。

そんなティアを見ていると、細い小さな指が目についた。
「あっ!そうだ、ティアに渡すのがあったんだ。手をいいかい?」

引き出しから小さな箱を取り出すと、ティアの前に座りパカっと開けて見せた。

「これーー大丈夫って言ったのに。」
箱にはピンクの石がついた指輪が入っていた。
大事そうに取り出すと、ティアの人差し指に付ける。

「これは、俺からのプレゼントだ。中に食べ物や飲み物を入れてあるんだが、まだ登録してなくて。今からティアの登録をするがいいよな?」

ジッと見つめるランガにダメだと言えない。
コクンと頷くとランガはピンクの石にティアの指を添えて、上からグッと押し込んだ。
一瞬光ると指輪がグググと指のサイズに縮み光が収まり普通の石に戻った。

「今のが登録?」
「そうだ。一度指に嵌めたら、登録されるから外してしまっても戻ってくるから安心だが・・・外さないよな?」

「外さないよ?なんで外すの?」
意味がわからないと首を傾げるティアに複雑な思いになる。

「綺麗ーーありがとうランガ。大切にする。」

じっくり眺めるティアに、まぁいいか。と気持ちを切り替える。

「石に触ると中に何が入っているか見える様になってるんだ。見てみるか?」
「うん。見てみる。」

そっと石に触ると石の上に文字が現れた。
個数も書いてあり、種類の多さに驚いた。
「こんなに沢山ーありがとう!」
嬉しさのあまり、ぎゅっとランガを抱きしめてしまった。
いつも、アマンサが抱きしめてくれるからついやってしまった。

「あ、ごめん。つい嬉しくて」
「いや、いいんだ。」
そう言いながらも、離れようとするティアをギュウゥっと抱きしめ返した。
小さくて柔らかい体にほんのり石鹸とパンの香りがするティアが愛しい。

チュッと頭にキスを落とし、抱きしめた手を離した。

(今、抱きしめられてた?)
キスをされた事より、抱きしめられた事に驚き目の前のランガを見つめる。

キリッとした瞳に爽やかな髪。逞しい胸板・・・あの胸板に顔を埋めてた。

そっと頬に触れると、先程まで触れていたランガの温もりに顔が赤くなる。

「ティア、大丈夫か?」
「え、、あ、大丈夫です。」

恋をしてはいけない。でも、この気持ちはーーー隠しきれるかな。

「明日は、踊りを観にいくよ。俺の出番は昼前だからな。」


ーーーー観にくる?
その言葉にヒュンと現実に戻された。
忘れてた。あの服・・・
「いや、あの、そんなたいそれた服では無いので。観なくてもいいかと。」
「ん?急にどうしたんだ?」

しどろもどろなティアを不思議に思っていると、ドンドンと戸を叩く音が聞こえた。
「アマンサか?」
ランガがドアを開けると、蛍光ピンクが乱れたアマンサが立っていた。
所々破けている。髪も乱れていた。

「ーーとりあえず中に。」
「ティアーーー!!!!」
中に入るなり、ティアにダイブする。
うっと、唸るティア。

「んもう!心配したわよ~もう大丈夫なの?あら?服は着替えちゃったの??可愛かったのに~」
「あはは、ごめん。アマンサは?服が乱れてる。何かあった?」

「そーー!!聞いてよ!アシュリーったら、この服が気に入らないって言ってきたのよ!?」


「「アシュリー??」」

意外な人物の名前に驚いた。
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