愛し子は鈍感で、愛に気付きません。

momo6

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4 狙う者

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「なんだと!!?逃しただと!?」
ガシャーンッ。グラスを叩きつけ、長い髭を生やした男は怒りを露わに報告しにきた兵士に罵声を上げながら震える拳を強く握りしめながら鼻息を荒くし睨みつける。

「何故、小娘1人捕まえられないのだ!!これでは、儂の栄光がパァではないか!!ええい!今すぐ捕まえに行け!!役立たずめ!」
「はっ!しかし、ジョバイル閣下。光一族が森に火を放ちまして、中に進めず。今しばらくお待ちください。」
「なんだと!?奴らの最後の悪あがきか、クックック。面白い。早く火を消せ!モタモタすんじゃないぞ!!」
荒々しく支持を出すジョバイルは、ニヤリと不敵に笑いながら一枚の肖像画を見ている。

「もうすぐだ。もう少しで、光一族が持つ力が儂の物になる。その力さえあれば、儂がこの世界の支配者だ。クックック」
不気味に笑うジョバイルの後ろで控えていた者達は、誰も逆らえずガタガタ震えながらその場に立ち尽くしていた。


この時、ジョバイルは知らなかったのだ。
光一族の森に火が放たれた事により、守りの結界が解けて。存在が他国に知れ渡り、今こそ力を得ようと多くの国の猛者達が森に向かう準備を進めている。

結界が解けた森が火に包まれている。この事実が世界を揺るがす事になるとは、誰も気付いてはいなかった。








川岸で気を失った千鶴は、美味しい匂いに目を覚ました。
「ん?美来?」
寝ぼけながら、美来が朝食を作ってくれたのかと思い、体を起こすと。見知らぬ部屋にいた。
「あれ?ここはーー」
「目が覚めたかぇ?」
ドアップの老婆の顔に驚き「ひぃっ!」と悲鳴をあげてしまう。

「なんだい、失礼な子じゃ。助けてやったのに礼の一つも言えんのかぇ?」
「あっ、えっとーありがとうございます?」
「まだ状況が分からないんか?名前は?それぐらい言えるじゃろ?」

ズバズバ話す老婆に千鶴は、周りを見渡し昨夜の事を思い出した。崖から飛び降りたのを思い出すと一気に血の気が引く。
「失礼しました。助けていただきありがとうございます。私は千鶴と言います。あの、あなたは?」
「ふん!まともに話せるじゃないかぇ。バファイじゃ。バーって呼ぶとええ。チズルは、何故あそこにいたんじゃ?」

バーと名乗る老婆は、鋭い眼光で千鶴を見た。
びくりと、肩が震えるが助けてもらい嘘は言えないと正直に話す事にした。
静かに聞いていたバーは、「風の精霊。教えておくれ。」そういうと、青い髪をして羽が付いた生き物がバーの側をフヨフヨしている。
(嘘!本物!?精霊なの!?)
初めて見る精霊にドキドキしながら、静かに見ているとバーがため息をしながら頭を抱えた。

「チズルは、とんでもない事に巻き込まれたのぉ。今、世界中でチズルを探しに人々がここに向かってきておる。」
「はぁ?!なんで??何も悪い事してないよ!!」

犯罪者の様な言い回しに心臓が飛び上がりそうになる。
「まぁまぁ、落ち着きなされ。チズルは、異世界人。そうかぇ?」
コクリと頷く。
「光一族何て知らない。そうかぇ?」
コクリと頷くと、はぁーっとため息をする。
「光一族は、この世界を支配出来る力を持っているんじゃーーーと昔から言い伝えられていたんじゃが、結界に守られていてのぉ。その存在は伝説とされていたんじゃが、昨夜森に火が放たれた事で結界が消え、存在が知れ渡ってしまったんじゃな。ほれ、そこの精霊がその証拠じゃ。」
「精霊が?なんで?」
「精霊は、森の異変に気付いてしまったんじゃーーーそれを力のある人間が悟ってしまったんじゃな。そして、居場所ものぅ。」
えっ、でも。私の顔なんて知らないから探せないんじゃないの?」

来たばかりの私の顔なんて、知るわけない。と思っていたーー自分の姿を見るまでは。
「ほれ」
バーから渡された鏡をみると、そこにはエレンがいた。
「エレン!生きてたの!?」
しかし、エレンの最後をみた千鶴は、鏡をもう一度みた。

「この髪、瞳・・・うそ、変わってるーー」
そう、黒髪に黒い瞳は跡形もなく。銀髪に青い眼のエレンに瓜二つとなっていた。
「これ!なにかの間違いです!わたし、本当の髪や目の色は黒いんです!」
「わかってる、よーくわかっとる。力を受け継いだ時に容姿も引き継いてしまったんじゃな。その容姿は、光一族の印。すぐにバレるのぅ。」
銀髪は光一族しかいないと言う。

「どっどっどうすれば!?」
慌ててバーに縋り付くと、やれやれ。といってバーが座る様に話した。
「髪を染めるしかないじゃろう。眼は、これを飲むんじゃな。」
(染める?この世界にもあるんだ、)
「まぁ、染めるなんて異端するのはわしぐらいなもんじゃな。カッカッカ」

豪快に笑いながら、バーは戸棚を漁り瓶を2本取り出した。
「ほれ、まずは瞳の色かのぅ。飲みほすんじゃ」
「バーを信じる!!ッウェ、まっずーい」
「信じるって、人を何だと思っているんだょ。失礼な子だよ、まったく。」
ぶつぶつ文句を言うバーをよそに、千鶴は恐る恐る鏡をみる。そこには、見慣れた黒い目が写っていた。

「この瞳、そう、これが本当の私の色だよ!」
バーの手を持ち喜びを伝えたら「次は髪だよ。」と素っ気なくされてしまった。
取り乱した自分を恥じながら、椅子に座ると。
「ほれ、目をつぶるんじゃ。」
「えっ?うわっ!!冷た!!」
瓶の液体をドバドバと頭からかけられ、雑なやり方に驚いた。
「ちょっちょっと!バーいきなりかけるなんて、びっくりするじゃないーー」
「かの者の髪色を変えよ」
真剣なバーを見て、千鶴は黙る。
バーが唱えると液体が髪の毛を包み込み、銀色から黒色に変わっていく。
「ほれ、これで大丈夫じゃな。」
「ふわぁ~!凄い!バーって魔法使いなの??」

「カッカッカ!魔法使いって、面白い事をきくねぇ?魔法は、妖精の力を借りるんじゃよ。その為の材料は作るけどねぇ。これは簡単なやり方じゃから魔力にたけた者には気付かれる・・・が、まぁ大丈夫じゃろう。それよりも自分で魔法を使う者などいないんじゃよ。カッカッカ」
「そうなの!?映画だと呪文を唱えると使えてたけど。なんだ、残念。」

魔法を使えたら、良かったのに。と残念がっていると、バーが「試しにやってみてごらんよ?無理じゃろうてカッカッカ」
バカにしたように言うので千鶴は、ムーっとする。

「ばかにして、バーに水をかけてやる。水鉄砲だ!」
試しに、指を鉄砲に見立てて“バン”と打つ真似をした。
すると…バーを指差した先からバシュンっと水が飛び出て、バーの顔に当たる。
大口を開いて笑っていたバーの動きが止まった。

「・・・もう一度やってごらん。」
水浸しの顔でバーが怖い顔をした。

「えっと、今のは悪ふざけで。本当に出るとは思わなかったんっっ」
「いいから!!もう一度!!」
迫力あるバーの声にびくりとしながら「水鉄砲!!」と、バー目掛けて打つ。
避けもせず、顔面に当たったバーは瞬きせず。じっと見ていた。
「・・・これが、光一族の力。」
ボソリと呟くバーに聞き取れなかった千鶴は、「えっと、何か拭くのをもってきます」と席を立つ。
考え込むバーは、動かずその場にいた。

「2回も当てたから、怒ったのかな?タオルはどこかな、あった!」
あまり、物色しては悪いと思いながらもタオルを探す。
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