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19 妹大好きイスン
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「お兄ちゃん」
そう呼ぶ妹と再会して、気が緩んだのか。チズがやましい事をしようと男に絡まれていた事に気付いていなかった。
俺の失態だ。
チズの隣にいるこいつが居なければ危なかっただろう。
「ありがとう、もう大丈夫だ」そう言い、こいつの手からチズを離そうとしたら「一緒いる。馬車同じ。」とか言って手を離さない。なんなんだこいつ。片言で話しているが怪しいーーー
ん?よく見るとツノがある。
竜涎国のものか?竜涎国の人間は、龍人が多いと聞く。こいつも龍人か?
下手気に事を荒げるのはやめておこう。
イスンは、冷静に考え2人をリュカのいるテーブルへと案内する。千鶴に気付いたリュカが「ここだー!」と手を振っているが手を繋いでいるシャランに気付くと露骨に嫌そうな態度を取り
「なんだお前?気安く手を握るとか羨まっゲフンゲフン、手を握るのはやめて貰おうか。」
今。羨ましいって本音が聞こえたような。シャランは、「お父さん?分かった。」と手を離してくれた。
「!?誰がお父さんだ!!」
「ふふ、シャランは何か食べる?」
「大丈夫。さっき食べた。」
「ふん!なら、先に馬車に戻ればいいだろうが」
「リュカ!助けてくれたシャランになんて事言うの!」
「ん?」
状況が飲み込めないリュカにイスンが耳打ちしながら説明した。すると、鬼の形相になりその場を離れようとしてイスンに止められている。
その様子にさっきまでいたお姉さん達が居なくなったので、私としては良かった。
「リュカ、もう大丈夫だよ。それより、早く食べよ!時間になっちゃうよ?」
「そうだ。リュカ、食べてから懲らしめに行けばいいだろ?」
えっ?サラッと怖い事言ってますけど。お兄ちゃん?
「ん?当たり前だろ?可愛いチズに不埒な事をしようとした奴をそのままにするわけないだろ。食べ終わったら、リュカと馬車に戻りなさい。」
イスンの笑顔が怖い。目が笑ってないよ…
美味しい食事も喉が通らなかったのは言うまでもない。
私は何も見なかった。
食事の後に馬車に戻る私達とは別に、何処かに行くイスン。怖くて声をかけれません。
大人しく馬車に入ると一番乗りみたいで、他の乗客はまだ来ていなかった。そこで、鞄からクッションを取り出しお尻の下に置いて座ると程よい柔らかさで、残りの道のりも耐えれそう。
「そんな物まで入っていたのか?」
リュカには少しの量なら入る鞄って説明しといたんだ。
マジックアイテムの鞄はそこそこあるみたいだから、特に疑問に思われなかった。
シャランは、「マジックアイテム…?」とぼそりと呟いていた。
このクッションは、バーの所で妖精さんにお願いして綿毛を集めて貰って作った物。
森には魔獣がうろついて危ないから、自分で採取に行けなかったんだよね。
「これで、残りのガタガタ道も大丈夫そう。」
リュカとイスンの分も出そうとしたら、慣れてるからいらないって言われてしまった。私には無理だな。
程なくしてイスンが戻ってきた。その顔は爽やか過ぎて何があったのか、聞けない。怖い。
イスンに続き、残りの乗客2人も来たので馬車が出発した。
ガタンガタン
「うん。揺れにも大丈夫そう。」
1人クッションに満足しながら座っていると、お腹もいっぱいになり心地よくなった馬車に揺られ眠気が襲ってきた。
壁にもたれながら(少しだけ)そう思い眠りにつく。
竜涎国まで、まだかかりそうだ。
◇
「チズ、チズ、着いたぞ」
イスンに起こされて眼を覚ますと馬車は停止しており、他の乗客は居なくなっていた。少しの間がグッスリ眠っていたようだ。
「ごめんなさい!寝すぎたねっって、もう夜!?」
そうなんです。
眠りに着く前はまだ明るかったのが嘘の様に外は真っ暗。
ランタンの光に照らされ、馬車から降りると周りは沢山の馬車から荷物を降ろしたりと人集りで溢れていた。
リュカも荷物を降ろしている。
「ごめん!寝過ごしちゃった。手伝うね!」
「起きたか、大丈夫だ。これで荷物は最後だ。」
リュカはそう言いながらご機嫌で荷物を降ろしている。竜涎国に着いたのが嬉しいのかな?
「ちずる!」
名前を呼ばれて振り向くと、シャランが荷物を背負いながら手招きしていた。
「あっ、シャラン!もう行くの?」
「うん。これ、何かあれば連絡。じゃ」
紙切れを渡してシャランは足早に行ってしまった。
渡された紙切れには住所らしき事が書いてあった。
無くさないように鞄に入れながら異空間に仕舞う。
「ちずる~行くぞー~」
リュカに言われ、「またね」すでに姿は見えないシャランに挨拶する。
時間も遅いので、宿に泊まってから明日国王の所に行く事にした。
宿はいっぱいで、やっと泊まれた所は部屋が1つだと言う。3人一緒でもしょうがないね。
妙に嬉しそうなリュカが気持ち悪いので、部屋の中にミニテントを出すことにした。ベットが2つしかなくて、体の大きい2人が1つのベットでぴったりだったからだ。
イスンが「床でいい」って言われたけど。馬車で硬い椅子に揺られたんだから、ゆっくり休んで欲しく「私はテントがあるので大丈夫です」と断ったのだ。
このテント。バーの力作で、見かけは小さく場所を取らない三角形をしているが中は四畳ぐらいある。そこに、クッション同様にお手製の布団も作ったんだよね。ベッドも良いけど、布団で寝たいと思って作ったんだ。
床は硬いし、畳がいいんだけどこの世界には無いみたいで。
い草に似た匂いの草を乾燥させて、魔法を使いながら細かく編んでいったんだ。魔法が無かったら畳なんて無理、魔法最高!
一畳分のなんちゃって畳が作れたからその上に布団をしいていく。
うん。魔法ってやっぱり素敵。
「おやすみなさい」
2人に声をかけてテントに入る。もちろん入り口には鍵なんてかけれないから、「閉じる」そういうと、外からは中に入れないようになるってバーが教えてくれた。安心だね。
外から中は見えないから、パジャマに着替えながら清浄魔法を使い綺麗にしてから布団に入る。
「快適~」
ふわふわの布団にくるまりながら眠りについた。
そう呼ぶ妹と再会して、気が緩んだのか。チズがやましい事をしようと男に絡まれていた事に気付いていなかった。
俺の失態だ。
チズの隣にいるこいつが居なければ危なかっただろう。
「ありがとう、もう大丈夫だ」そう言い、こいつの手からチズを離そうとしたら「一緒いる。馬車同じ。」とか言って手を離さない。なんなんだこいつ。片言で話しているが怪しいーーー
ん?よく見るとツノがある。
竜涎国のものか?竜涎国の人間は、龍人が多いと聞く。こいつも龍人か?
下手気に事を荒げるのはやめておこう。
イスンは、冷静に考え2人をリュカのいるテーブルへと案内する。千鶴に気付いたリュカが「ここだー!」と手を振っているが手を繋いでいるシャランに気付くと露骨に嫌そうな態度を取り
「なんだお前?気安く手を握るとか羨まっゲフンゲフン、手を握るのはやめて貰おうか。」
今。羨ましいって本音が聞こえたような。シャランは、「お父さん?分かった。」と手を離してくれた。
「!?誰がお父さんだ!!」
「ふふ、シャランは何か食べる?」
「大丈夫。さっき食べた。」
「ふん!なら、先に馬車に戻ればいいだろうが」
「リュカ!助けてくれたシャランになんて事言うの!」
「ん?」
状況が飲み込めないリュカにイスンが耳打ちしながら説明した。すると、鬼の形相になりその場を離れようとしてイスンに止められている。
その様子にさっきまでいたお姉さん達が居なくなったので、私としては良かった。
「リュカ、もう大丈夫だよ。それより、早く食べよ!時間になっちゃうよ?」
「そうだ。リュカ、食べてから懲らしめに行けばいいだろ?」
えっ?サラッと怖い事言ってますけど。お兄ちゃん?
「ん?当たり前だろ?可愛いチズに不埒な事をしようとした奴をそのままにするわけないだろ。食べ終わったら、リュカと馬車に戻りなさい。」
イスンの笑顔が怖い。目が笑ってないよ…
美味しい食事も喉が通らなかったのは言うまでもない。
私は何も見なかった。
食事の後に馬車に戻る私達とは別に、何処かに行くイスン。怖くて声をかけれません。
大人しく馬車に入ると一番乗りみたいで、他の乗客はまだ来ていなかった。そこで、鞄からクッションを取り出しお尻の下に置いて座ると程よい柔らかさで、残りの道のりも耐えれそう。
「そんな物まで入っていたのか?」
リュカには少しの量なら入る鞄って説明しといたんだ。
マジックアイテムの鞄はそこそこあるみたいだから、特に疑問に思われなかった。
シャランは、「マジックアイテム…?」とぼそりと呟いていた。
このクッションは、バーの所で妖精さんにお願いして綿毛を集めて貰って作った物。
森には魔獣がうろついて危ないから、自分で採取に行けなかったんだよね。
「これで、残りのガタガタ道も大丈夫そう。」
リュカとイスンの分も出そうとしたら、慣れてるからいらないって言われてしまった。私には無理だな。
程なくしてイスンが戻ってきた。その顔は爽やか過ぎて何があったのか、聞けない。怖い。
イスンに続き、残りの乗客2人も来たので馬車が出発した。
ガタンガタン
「うん。揺れにも大丈夫そう。」
1人クッションに満足しながら座っていると、お腹もいっぱいになり心地よくなった馬車に揺られ眠気が襲ってきた。
壁にもたれながら(少しだけ)そう思い眠りにつく。
竜涎国まで、まだかかりそうだ。
◇
「チズ、チズ、着いたぞ」
イスンに起こされて眼を覚ますと馬車は停止しており、他の乗客は居なくなっていた。少しの間がグッスリ眠っていたようだ。
「ごめんなさい!寝すぎたねっって、もう夜!?」
そうなんです。
眠りに着く前はまだ明るかったのが嘘の様に外は真っ暗。
ランタンの光に照らされ、馬車から降りると周りは沢山の馬車から荷物を降ろしたりと人集りで溢れていた。
リュカも荷物を降ろしている。
「ごめん!寝過ごしちゃった。手伝うね!」
「起きたか、大丈夫だ。これで荷物は最後だ。」
リュカはそう言いながらご機嫌で荷物を降ろしている。竜涎国に着いたのが嬉しいのかな?
「ちずる!」
名前を呼ばれて振り向くと、シャランが荷物を背負いながら手招きしていた。
「あっ、シャラン!もう行くの?」
「うん。これ、何かあれば連絡。じゃ」
紙切れを渡してシャランは足早に行ってしまった。
渡された紙切れには住所らしき事が書いてあった。
無くさないように鞄に入れながら異空間に仕舞う。
「ちずる~行くぞー~」
リュカに言われ、「またね」すでに姿は見えないシャランに挨拶する。
時間も遅いので、宿に泊まってから明日国王の所に行く事にした。
宿はいっぱいで、やっと泊まれた所は部屋が1つだと言う。3人一緒でもしょうがないね。
妙に嬉しそうなリュカが気持ち悪いので、部屋の中にミニテントを出すことにした。ベットが2つしかなくて、体の大きい2人が1つのベットでぴったりだったからだ。
イスンが「床でいい」って言われたけど。馬車で硬い椅子に揺られたんだから、ゆっくり休んで欲しく「私はテントがあるので大丈夫です」と断ったのだ。
このテント。バーの力作で、見かけは小さく場所を取らない三角形をしているが中は四畳ぐらいある。そこに、クッション同様にお手製の布団も作ったんだよね。ベッドも良いけど、布団で寝たいと思って作ったんだ。
床は硬いし、畳がいいんだけどこの世界には無いみたいで。
い草に似た匂いの草を乾燥させて、魔法を使いながら細かく編んでいったんだ。魔法が無かったら畳なんて無理、魔法最高!
一畳分のなんちゃって畳が作れたからその上に布団をしいていく。
うん。魔法ってやっぱり素敵。
「おやすみなさい」
2人に声をかけてテントに入る。もちろん入り口には鍵なんてかけれないから、「閉じる」そういうと、外からは中に入れないようになるってバーが教えてくれた。安心だね。
外から中は見えないから、パジャマに着替えながら清浄魔法を使い綺麗にしてから布団に入る。
「快適~」
ふわふわの布団にくるまりながら眠りについた。
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