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23 マミに関して極秘会談が開かれる

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***
 
 
 「…元は労働者の立場のマミさんが、神界の勇者として、
ガッディスブレインでマクガイヤーコンツェルンの在り様を観ていく事に
なるんだったら、もっともっと、労働者の方達と良い関係を
創っていける様に、真剣に取り組まないと…」と、マリンが、
何だか思い詰めている様な表情で。
 
 フレナが、ふと、微笑む。「…マリンちゃんは、自分が企業経営者側だって
事に逆にコンプレックス感じてるみたいなのよね。気が付かない内に自分が
労働者の人達をいじめる立場になってやしないかって、すごく心配してる。」
マリンが、少しむきになって、「…わたし、経営者側だけど、格闘家でも
あるんだから!!。一流の格闘家は絶対に弱い者いじめなんか
しちゃいけないの!!、って、これはパパの受け売りなんだけど……、」と、
ふと少し恥ずかしそうに、そしてさらに、「…というか、それ以前に
格闘家だからとか関係無しにいじめ自体しちゃだめだし!!!」と、
語調を強めて。
傍らでは、ヴィクトルがわずかに苦笑気味に、穏やかに微笑んでいる。
 
 フレナが、なんだか可笑しそうに、「…マクガイヤーグループ関連企業は
ネットアンケートで働きやすさや福利厚生面全部含めて
労働者人気トップを維持し続けてるんだし、
地方の中小企業の弱点をフォローして長所を生かして、ビジネス提携で
中小企業を救済して、独立性を保って充分以上に利益を得てもらいながら
マクガイヤー側もちゃっかり儲けるってスタイルをお家芸にし続けてるし、
むしろ弱い者の味方で世界中の評判になってるんだから、
そこまで気にしなくてもいい様な気もするんだけど。」と。
マリンが、「…それでも、全部行き届いてるとまでは言えないし…」と。
 
 マミが、マリンへと、微笑む。「…おれのガッディスブレインに
流れ込んでくる情報は、フレナの言ってる事が正しいって、裏付けて
くれてる…。マリン、おれは何も、完璧を君やヴィクトルさんに
求めるつもりは無いよ。ただ、労働者と良い関係を創っていきたいっていう
今の気持ちを、この先もずっと持ち続けてくれてたら、
それだけでうれしい。」
マリンが、思わず、少し頬を染める。
 
 マミが、思わずしみじみと。「…この星って、エルクヴェリアって、
地球の事を思えばブラック企業みたいなの本当に凄く少なくて、
…いい星だなって、思う……」
世界連合大統領が、少し遠く、深い眼差しで、「…賃金格差、
不当な収入格差、不当解雇、失業、労働者虐待、格差社会…、
そういったものから、虐げられた者達の不満が生じ、
不満は社会不安の温床となります。
虐げられる立場から虐げる立場になろうとする者達の心が集えば、
民族差別意識、種族差別意識なども生まれてきます。
言葉の暴力が生まれ、実際の暴力が生まれ、テロが生まれ、
紛争が生まれ、戦争が生まれる…、その果てこそが、
エルクヴェリア五千年の修羅地獄の時代ですからな。
…二度とあの時代に戻る様な事が有ってはならんのです。」と。
 
 
 「…さて、これからどうするかな…?」と、マミが、
少し考え込む様に。「…今回の黒幕を突き止めたいけど、
取っ掛かりが無いし……」
大統領が穏やかに微笑む。「…我々も警戒網は張っておきますし、
マミ様には待機しておいて頂ければ宜しいのでは?。何か動きが有れば
次元転移で駆け付けて頂ければ助かります。…しばらくは、
のんびり骨休めでもしておいて頂いて構わないと思いますが…。
…敵も、カオスドラゴンまで繰り出して撃破されたとなれば、次の手の
打ち様もそうそう無いでしょうし、これで当分は大人しくしているのでは…」
 
 「…そうだといいんですけど……」と、マミが、微妙に不安を残した様に
微笑み、不意に、「…って、そういえばおれ、無一文で
住むとこ無いし!!!、これから生活どうすりゃいいんだ!!!!?」と、
思いっ切り心配そうな表情に。
 
 竜族の皇帝が大真面目な表情で、「…マミ様に生活の心配をさせるなんて
とんでもない!!!、竜族の領域内にマミ様個人の城と領地を無償提供させて
頂きます!!!。衣食住何の御心配もお掛け致しません!!!」と。
フレナがすかさず、少しにらむ様に、「陛下の魂胆は一目瞭然です!!!、
手近な所にマミちゃん囲って何かと言えば暇を作ってマミちゃんの所に
押しかけてマミちゃんの全身なでなでしまくるおつもりでしょう!!!?」
皇帝が、「フレナ、その発言は国家機密漏洩罪ですよ!!!」
フレナが、「あほな事国家機密に指定しないで頂けますか!!!?」
ミーユが「…ああ…、頭痛い……」と、思いっ切り頭が痛そうに。
マミが、「お城は勘弁して―!!、そんな御大層な所落ち着いて
寝られないから―!!!!」と、なんだか悲鳴気味に。
一同、苦笑したり眉をひそめたり頭が痛そうだったり。
 
 その後、竜族皇帝と、竜族執政官と、竜族公王グラスト家息女と、
人間族世界連合大統領と、マクガイヤーコンツェルン総帥と、
マクガイヤー家令嬢と、ヴァルテ神聖騎士の名門ストリンガル家令嬢に、
「闇の死告天使」の異名を持つ世界の闇のVIPと、
妖精族トップクラスの魔術界の新星を交えて、
和平会談よりも遥かに長い時間を費やした極秘会談が行われた結果、
 
 各々の種族の領域の境界に位置する永世中立交易都市、
アルステリアの片隅に在る、割と大きめの比較的地味な二階建ての屋敷が、
マミ達のお家(おうち)として選ばれたのであった。
 
 「…で、何でフレナ達ばっかりマミ様と同居する事に
なってるんですか…?」と、まだ拗ねてぶつぶつ言っている竜族皇帝に、
フレナが、「…ガッディスジュエルを頂いた者達はいざという時に
マミちゃんを応援する役目が有るからそばにいた方がいいし、
丁度構成メンバーが各種族各勢力に散ってるから、いざという時に
各種族各勢力相互協力体制を取る時の窓口役にも都合がいいし、
こうするのがベストでしょう?、陛下。」と、かなりしれっと応え、
「…なんかずるいー…」と、皇帝が、少女の様にまだ拗ねていたり。
 
 
実際の所竜族皇帝も神界の勇者を竜族領域内でまるで独占状態の様に
してしまう事が安易に認められるなどとは思っていない。
神界の勇者ともなればあらゆる勢力にとって重要な存在であるから
特定の勢力に偏る事の無い最大限中立を保ち得る地点に
居住してもらわなければ様々な問題が生じる事は重々承知している。
それでも取り敢えず言ってみたい事は
無論ごり押しするつもりなど毛頭無いけれど駄目は承知で言ってみたい。
竜族皇帝にはそんな一面もある。
 
 
 竜族は、相手の波動を感じる事で相手を見極める。
竜族にとって愛する事の出来る相手を見定める何よりの鍵となるのは
相手の波動なのである。
 
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