テディベア

倉地秋穂

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私ではない誰かに、世界の中心が移る。100%注がれていたはずの愛情が分散される。

身ごもった母に、お腹の中の存在に。

その事実がひどく恐ろしかっ た。

私のものなのに。一番のはずなのに。


「ちょっと待ってね」


その言葉が嫌いになった。



幼い頃からどうすれば愛されるか、世界の中心でいられるか考えていた。

顔色や空気を読んで、賢く可愛く振る舞っていた。もっと愛してもらえるように。私が世界の中心の存在あることは揺るがないように。

それなのに。

母のお腹の中の存在がわかってからは上手くいかなくなった。

分散された愛情は元に戻らなかった。

何も努力していなかったわけではなかったのに。
愛されて、優先されて、父と母の一番である心地よい世界を守りたかったのに。

どうしていいかわからなくて、とにかく聞き分けのよい子で居るようにした。

世界の中心を渡したくなくて。

でも、状況は良くなるどころか悪化していった。

母のお腹が大きくなっていくと同時に、私の中の嫉妬心も大きくなっていった。
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