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異世界から少女を召喚させてサラとユリウスの関係を進展させようとしただけなのに 5

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 サラの元に蝶が一匹やってきた。迷っていたのか羽が傷ついて蝶が何かを訴えている。

「異世界からの人間がやってきて、神によって中途半端な姿にさせられた。木の姿をしているから人間の姿にするために助けてほしい?ユリウス様に言ったら大事になりそうだから一緒に行きましょう」
「サラ、もう出かける準備は出来ている」

 盗み聞きしていた執事によってすぐに準備されていた。

 急いで現場に向かうと大商人の家の前で殴り合いが始まっていた。

「兄さんのせいでチェリーが出て行った!チェリーが薪になっていたら、兄さんも薪にしてやる!」

 大商人ランティスは頭を抱えて泣き出してしまった。沢山の人々が集まる中、ユリウスはランティスに近づいた。

「神から神託が来て、神の過ちで間違って木の姿でこの世界に落ちてきてしまったらしい。元は普通の人間だったんだ。元の姿に戻したいのだが何処にいるんだ」
「やっぱり、チェリーは美しい人間だったんだ。兄さんが私の事を頭がおかしい人間だと言ったせいでチェリーは家を出て行ってしまった。可哀想なチェリー、今頃泣いて苦しんでいるだろう」

 泣いているランティスに蝶が近づいて導いていく。
 無意識にランティスは歩いてついていく。

 王都から離れて森の中に入って行く。後からユリウスとサラがついていく。

「歩くのが早い木なのね。それにしてもどうして私たち会わなかったのかしら」
「サラが最近激しく強請るからずっと寝ていたじゃないか」

 花の神ラフターも計画通りに事が進めなかった。サラとユリウスに会って用事がすんだら人間に戻れるのに3人は会っていなかった。

 ラフターも不味いと思ったので神託を神殿に聞かせて何とかしてもらおうとした。

 道中歩いていて焚火があるところに蝶が近づこうとしたら気が狂いそうな感情になり。川に木が流れていると追いかけてしまう。

 ランティスはチェリーに対してこれほどまでに恋しくて仕方がないのだ。

 ランティスの動きが止まる。


 泣き声が聞こえる。

 

 何もない場所でひとりぼっちの木が泣いていた。



 チェリーを抱きしめるとランティスは喜びの涙が頬に伝う。

「チェリーがいなくなったら生きていけない。私の元を離れないでくれ」
「ダメです!そばにいたら迷惑になるからダメです。この姿だと噂もされて頭もおかしいと言われるのは知っています。」
「頭なんてチェリーに出会った時からおかしくなってる。チェリーだけが私の心を燃え上がらせて、心をくすぐり惑わせる。

 私も木になって一緒に歩きたい。雄しべと雌しべをくっつけて実を作りたい」

 森の中でチェリーに話されるランティスの発言を聞いていたのはサラとユリウスと兄ガーランドだった。

「こんなに可愛い初心な女の子がいたら男は手を出すに決まってる。チェリーの部屋で初めて過ごした時、激しくしてベットを壊してしまった」

 サラもユリウスもお互いの顔を見ていた。

 何処の穴に入れるの?下の方に未知なる穴があるの?
 弟の発言でガーランドが固まっている。

「子供が欲しいですか?」
「勿論だ。チェリーの子供なら何人でも欲しい」

 チェリーはモジモジし始めて花を指さした。

「さっき一人でいる時に神様がやってきました」

 チェリーはランティスに抱きしめられながら話を続ける。

「私は異世界で死んで天界にいました。花の神様が私に何か頼みごとがあったのです。呪文をかけている時に邪魔をされてここに来ました。
 このお花をユリウス様?とサラ様?にキスさせたら子供が出来ると花の神様に言われたのです」

 それとと話を続ける

「誰でも赤ちゃんが出来るようになると言われました。たくさんあった花は最初に来た時に鳥に毟られました。お花はここに1つあります。最後の一つです。」
「私たちのために残った花だ。ユリウス?は知らない。キスしよう、キスして赤ちゃん作ろう」

「ダメに決まっているだろ!花をこっちに渡してくれ!」

 ランティスとユリウスは花の取り合いが始まった。
 大の男の乱闘は砂埃にまみれて泥臭くなっている。

「私はサラと赤ちゃんが作りたい。ずっと子作りしてても出来ないんだ!」
「ユリウス!友人として譲れないものがある!貴様は女神の寵愛を貰っておきながら子供も欲しがるなんて貰いすぎだ!」

 胸ぐらを掴んで服が布切れになっていく。
 
 男の意地。

 2人とも嫁も子供も欲しくて仕方がない。

「あら、花が枯れて散ってなくなったわ」

 頭についていた花が灰のようになり消えていく。

「欲望が絡むと消えるのでいけないと言われてました。大丈夫ですよ、3年後にまたたくさん花が出来ると言われましたから」

 花が消えてなくなるとチェリーに光が集まっていく。ランティスを正面から抱きしめて木の姿から人間に戻っていく。

「ランティスさま……」

 目の前に現れたのがこの世界にいない黒髪黒目の美少女だった。膝まで伸びた髪の毛が身体を隠している。

「私の事をずっと愛してくれてありがとうございます。その折れない心を見た神様が人間に戻してくれました」

 何もない森の中でランティスとチェリーは抱きしめ合っていた。
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