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第七章 忙しい夏休み
24 結婚式の夜打ち
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花嫁と花婿の馬車に古くなった鍋や、フライパンを紐で括ったり、花を飾ったりしていると、ベンがちょっと困った様子でキャシーに話しかける。
「姉ちゃん、ちょっと小耳に挟んだ。前にダンがつき合ってたナンシーの兄弟達が、酔っ払った町の友達と夜打ちをかけようと言ってたんだ」
キャシーは驚いて、滅茶苦茶怒る。
「ナンシー・パーカーですって! あの子とダンが付き合っていたのは、4年も前だしほんの1ヶ月じゃない。それにナンシーが農家の嫁になりたくないってダンを振ったのよ。さっさと隣町の商家に嫁いだじゃない」
ベンの胸ぐらを掴んで、どのメンバーがそんな馬鹿なことを言ってるのかキャシーは聞きだす。ユーリは陽気にダンスしているビリー、マック、ハリーをベンに馬車の所へ呼び出した。
「パーカーの馬鹿兄弟達が、夜打ちをかけうとしてるの。このままじゃ大変なことになるわ」
少し酔っ払っている三人は、ダンスの邪魔をされて不機嫌だ。
「そんなのよくある話じゃないか。ダンが付いてるから、大丈夫さ」
ハリーはヒースヒルでは結婚式の夜打ちはよく行われていると、酔っ払っているので笑い転げて相手にしない。
キャシーは酔っ払った青年団が新婚初夜を邪魔しようと、家の外で騒いだりドアをしつこく叩いたりする田舎の悪ふざけが大嫌いだったし許せない。バシン! と酔っ払いったハリーの頭を殴ると、痛いじゃないかとの抗議も無視する。
「ダンは1ヶ月だけしかナンシー・パーカーと付き合っていないのよ。でもパーカーの馬鹿兄弟は大袈裟に言って悪質な夜打ちをするかも。町の友達も誘っているみたいなの」
ビリーとマックも結婚式の夜打ちは見たことあるので、悪ふざけで迷惑な行為だけど真剣には考えてなかったが、町の友達と聞いて腹を立てる。
「なんだって! 家の姉ちゃんの結婚式に町の奴らが夜打ちをかけるんだって、ぶん殴ってやる」
披露宴に乱入しそうな喧嘩っ早いビリーとマックを、ハリーとベンが羽交い締めにして止める。
ユーリとフランツは結婚式の夜打ちが今一つ解らず傍観していたが、キャシーから説明を受けて驚き怒る。
「そんなの野蛮だわ。せっかくのロマンチックな夜が台無しよ。ベン、何人ぐらいが夜打ちに来るの?」
「パーカー兄弟3人と、町の友達2人かな? でも、酔っ払っているから増えるかも」
マックとビリーは羽交い締めを振りほどいて、それなら楽勝だぜと騒ぎ出す。
「こちらは、4人かぁ。ダンの兄弟も呼べばやっつけれるさ」
「披露宴に乱闘騒ぎはごめんよ。家の周りで待ち伏せしましょう。ああ、それでは新婚初夜が台無しね。外で兄弟達が大暴れしていては、ロマンチックどころじゃないわ」
キャシーの嘆きに、ユーリはふとアイデアを思いつく。
「フランツの部屋はどう? カーディモの管理者の離れなのよ。綺麗だし清潔だわ。それに、あそこなら夜打ちはかけられないわ。フランツ、部屋を貸してくれる?」
初夜初夜に無粋な夜打ちなどかけられては花嫁が可哀想だと、フランツは承知する。ユーリとキャシーは新婚初夜を迎える予定だった新居から、ナイトガウンや諸々を運び出しイリスでひとっ飛びする。
一足先に部屋に帰ったフランツが自分の荷物を片付けていると、両手にアレコレ持ったユーリとキャシーが到着した。フランツは二人に部屋を追い出されたが、中ではドタバタと大急ぎで、部屋の飾り付けが行われる。
「これなら大丈夫ね。花に、良い香りのロウソク、シーツも代えたし、シャンパンも冷やしてあるわ」
二人は部屋を見渡して、満足そうに微笑む。
「さぁ、急いで帰らなきゃ。そろそろ披露宴もお開きの時間だわ」
竜の苦手なキャシーも、今夜はそんな事を言っている場合ではない。
披露宴会場に帰ると、花嫁がブーケを投げるので、女の子達が前を争っている。
「ユーリは行かなくて良いの?」
かなり真剣な場所取り争いが起きているのを、ユーリは後ろで見ていたので、フランツは怪訝な気持ちで声をかけた。
「良いの、竜騎士になるまでは結婚しないもの。あと、何年かかるか、わからないのよ」
キャ~ッ! っという歓声が上がり、ハンナは後ろ向きにブーケを放り投げる。
力強いハンナの投げたブーケは、女の子達の後ろにいたユーリの手の中にストンと落ちた。
「やだぁ、ユーリだわ」
「私が欲しかったのに」
「ユーリが次に結婚するの?」
女の子達に囲まれて、ユーリはもみくちゃにされた。
その間にキャシーはベンに夜打ちの件を話し、カーディモの管理者の離れの鍵を渡す。
新婚の二人が飾り立てられた馬車に乗って新居へと向かうのを、バラの花びらや、米を撒いて、盛大に送り出す。
「さぁ、新居でパーカー兄弟を迎え撃つわよ」
キャシーは兄弟達を引き連れて、新居へと向かう。
「フランツ、大変な結婚式になったわね。部屋を譲ってくれてありがとう。この野蛮な習慣は止めて欲しいわね」
片付けは明日にしましょうと、残ったご馳走だけを食物庫にしまって、ベティ叔母さんとジョン叔父さんも寝室に向かう。
「第一陣は撃退したわ。朝まで、あの子達は新居で番をさせておくわ。空き家にするの不安だもの」
キャシーの言葉に、ユーリは不安になる。
「ビリーとマックが暴れて怪我をしないかしら? あの子達は昔から喧嘩っ早いから」
ユーリは竜舎で真面目に働いているのに、怪我でもしたら大変だと案じる。
「う~ん? それは考えて無かったわ。第一陣は町の男の子達だったから、弱っちいし水を掛けたら逃げていったの。あれで家の兄弟がいるとバレたから、第二陣は人数が増えるかも? 怪我とかしたら拙いわよね」
二人がアレコレ悩んでいるのを、フランツは見かねて口を出す。
「僕がやりすぎないように止めるよ。それに、ルースがいれば無茶はしないさ。ユーリもキャシーさんも、疲れているだろうから寝て下さい」
確かに巨大な竜がいたら、夜打ちどころではないだろう。
「私って馬鹿だわ、イリスに新居の番をさせれば良かったのよ。なんで思いつかなかったんだろう」
キャシーもフランツも、そうだよね! と叫んだが、今更新婚カップルの邪魔は出来ない。
「キャシーは明日はユングフラウに帰ったら、昼から働くのでしょ。先に寝てて、私はフランツに従うように、ビリーとマックとハリーに言い聞かせるわ」
キャシーはブライズメイドと慣れない竜に乗ったので疲れきっていたので、ユーリに悪いわねと言いつつもベッドに向かう。
ユーリとフランツは新居に着くと、披露宴会場からキャシーに気付かれないようにシャンパンを持ってきて酒盛りをしているビリー達に呆れてしまう。
「あなた達! ぐでんぐでんじゃない。何本シャンパンをあけたの」
「何本かな~? 一本、にぃ本、しゃん本、シャンパンしゃん本」
くだらない駄洒落にケタケタ笑うビリーとマックに、酔って寝ているハリーとベン。
「もう! これでは留守番にはならないわ」
怒っているユーリとフランツに、まぁまぁとシャンパンを勧めながら、ビリーとマックはクダを巻きだす。
「早くイリスに子竜を産ませてくれよ~」
「そう、そう、子竜が見たいぞ!」
子竜! 子竜! と連呼しながら、シャンパンを喇叭飲みしていた二人は、おとなしくなったと思った瞬間に寝ていた。
「もう図体ばかり大きくなっても、子どもの時と変わらないんだから」
ユーリは二人からシャンパンのボトルを取り上げると、頭をこづいて床に寝せる。
「幼いベンにまで、シャンパンを飲ませたのね。夏の夜だけど少し肌寒いわ、風邪をひかさないようにしないと」
他の三人は自業自得よ! と酔って寝たベンにだけ、勝手知ったる家から、毛布を出してきて掛けてやる。
ユーリは暖炉に小さな火をおこす。
「フランツ、寒くない? 疲れたでしょ」
自分を気遣ってくれているユーリに、反対の立場の筈なんだけどなと苦笑する。
「いや、それは大丈夫だよ、ユーリこそ疲れているだろ。それにしても、田舎の結婚式って大変だね」
二人は溜め息をつく。
「そろそろ帰って寝たら? 僕は毛布があれば、雑魚寝するよ」
そうしようかしらと、ユーリはフランツに毛布を渡す。
『ユーリ、フランツ! 何人かが近づいて来るぞ』
イリスの警告で、懲りもせず第二陣が来たのに気づく。
『イリス、ルース、何人いるの?』
『こちらからは6人! ルース? そちらからは?』
『こっちは3人かな? でも、1人は酔っ払ていて吐いてるよ』
ユーリとフランツはヒースヒルのお馬鹿な若者達に怪我はさせたくなかったが、朝までこのような夜打ちに付き合う気持ちもさらさらなかった。
「多分ルース側の3人は野次馬だな。イリスの方の6人を、チョコッと懲らしめれば良いさ」
「私もそう思うわ、酔って気分が大きくなってるだけだと思うの。朝になれば、パーカー兄弟達もお姉ちゃんがダンを振った事や、とっくに嫁いだ事を思い出して、夜打ちが理不尽だとわかると思うの」
二人は竜達に家畜の水飲み場の大きな丸太を切り抜いたのを持ち上げて、6人の上でひっくり返すように指示する。
『イリス、ルース、頭の上に丸太を落とさないでね。怪我はさせたくないの、それに丸太を壊したくないのよ』
アレコレ注文の多さに、イリスとルースはうんざりしたが、夜打ちが終わらないと、ゆっくり寝れないので指示に従う。
パーカー兄弟達と町の友達は、ウォルター兄弟達が新居に陣取っているのを知っているので、少し用心しながら進んでいた。果樹園を抜けた辺りで、いきなり頭の上から大量の水が落ちてきて、怒って見上げると、二頭の巨大な竜が頭上で羽ばたいている。
「竜だ!」
竜を夜中に、頭上で見たくはない。ましてや夜打ちの最中に。蜘蛛の子を散らすようにパーカー兄弟達は、転びつつ逃げていった。
ルース側の3人はお尻に火がついたように、酔っ払っている1人を両側から抱えて逃げ出す。
「これで懲りてくれれば良いけど」
ユーリは丸太を元の場所におろさせた。
『イリス、ルース、ありがとう』
ユーリの感謝に眠そうな返事があった。
「フランツ、困ったわ、イリスは寝てしまったみたい。仕方ないわ、起きるまでここに居とくわ。もう来ないとは思うけど、心配だしね」
フランツはルースも寝てしまったし、ハンナの弟たちも全滅なので、送ることもできないので、二人で暖炉の前に座ってイリスが起きるのを待つことにする。
まだ近くにパーカー兄弟が居るかも知れないのに、ユーリをウォルター家まで夜中に帰せなかった。ユーリは色々とヒースヒルの思い出を話しながら、うとうとしてきた。
「ちょっとユーリ、寝ないでよ、困ったなぁ」
フランツは元々夜に弱いユーリが夜中をとうに回ったのに気を張って起きていたので、限界なんだと気づいた。フランツも慣れない田舎の結婚式で疲労感を感じていたが、ユーリの付き添いとして、信頼しているとはいえ若者とユーリが同じ場所で寝ているのに、自分が寝る訳にはいかない。
自分に寄りかかって寝ているユーリを床にそっと寝かしつけると、出してきてくれていた毛布を掛ける。
「ユーリったら! こんなに無防備で良いのかな?」
血は繋がっているが自分も若い男だし、間違いが無いとは言えないのにと、フランツはあどけない寝顔を眺める。
「ユーリ、ビリー、マック、ハリー、ベン! 起きなさい!」
朝早く目覚めたキャシーは隣のベッドにユーリが居ないのに驚いて、新居に駆けつけた。フランツは眠たそうに、おはようと声をかけたが、酔って雑魚寝している兄弟達と、呑気に床に寝ているユーリに驚いて怒る。
「ユーリったら、少しは年頃の女の子の嗜みを身に付けなきゃ。フランツ様がいらっしゃるからといって、無防備すぎるわ。そりゃ、家の弟たちがユーリに何かするとは思わないけど、そういう問題じゃないの」
朝からキャシーに怒られて、フランツに謝るユーリだ。
「御免ね、フランツは寝てないのよね。私はキャシーを昼までにユングフラウに送らないといけないけど、フランツは寝てから来る?」
出発まで3時間あるなら、寝て一緒に帰ると、フランツはユーリの使ってた毛布を被ると床で寝てしまう。寝たフランツを起こさないように、シャンパンの空き瓶をそっと拾い集めて、二日酔いの弟達に容赦なくこき使うキャシーだ。
「ユーリも寝ておく?」
山ほどの汚れた食器を近所の主婦達と洗っているベティ叔母さんをほっとけないと、ユーリはキャシーと共に手伝う。
白いシーツの上に洗ったコップを伏せておくと、粗方の片づけは終わった。テントやテーブルに椅子は、集会所の倉庫に返されたし、食器も借りていたのは返却済だ。
「キャシー、あんたはユングフラウに帰るんだろ。もう手伝いはいいよ、早く朝ご飯を食べなさい」
忙しい時期なのでゆっくり出来ないのが残念だけど、お針子修行に燃えているキャシーは、ユーリとさっさと朝食を詰め込む。
「フランツ起きたかな? 簡単な朝食なら食べれるよね」
二人は新居で寝ているフランツが呼んで起きないようなら、後で帰ってくれば良いとソッと声をかける。
「ああ……ユーリ、おはよう……」
3時間熟睡したフランツは、床で寝ていたので身体がギシギシすると、大きなのびをする。
「簡単な朝食だけど、食べてね」
フランツが朝食を食べている間に、ユーリとキャシーは使った毛布を仕舞ったり、床を掃いたり、暖炉の燃えかすを片付けて、料理オーブンに小さな火をおこすと保温にして鶏の丸焼きを入れた。
「パントリーにウェディングケーキと、野菜の煮込みと、焼きたてのパンも置いたわ。後、シャンパンも冷やしているし、これでハンナは今日は料理しなくても大丈夫ね」
フランツが食べた食器をバスケットに入れて外に出ると、イリスが馬車が帰って来たと教えてくれた。
「こんなに早く帰って来るなんて! 隠れましょう」
三人は果樹園に隠れて、花婿が花嫁を抱きかかえて新居に入るのを見届けた。
「ハンナは幸せそうね」
イリスにウォルター家までにそっと飛んでいかせて、ユーリはキャシーとフランツと歩いて向かう。
「ユーリはブーケ貰ったでしょ、だから次の花嫁はユーリよ」
「夜打ち騒動で忘れていたわ。でも、あと少なくとも5年は結婚出来そうにないわ。先ずは竜騎士にならなくちゃ」
フランツはその前に相手を見つけるというか、もっとロマンチックな感性を身に付ける必要があるのではと、心の中で呟く。
せっかく2頭もいるんだからと、フランツが管理者にお礼を言っている間にユーリは容赦なくイリスと、ルースに氷を満載する。
「昼までにユングフラウに着くには、休憩はあまり取れないわよ」
キャシーが良いわと頷くと、懐かしいヒースヒルを後にした。
ユーリはキャシーをマダム・ルシアンの店の近くでおろすと、ルースの分もイリスに載せて氷を氷室に運んだ。
フランツは、ローズとマリーを寮に送り届けると、ストレーゼンの別荘に帰り爆睡する。
ユーリはパーラーの開店準備が順調なのに安心して、後はローズ達に任せてフォン・アリストの屋敷に着くなりベッドで爆睡した。
マウリッツ公爵家の人達は、フランツにヒースヒルでの結婚式の様子を聞きたかったが、起こしても起きないので夜中まで騒いでいたのだろうと心配する。
夕食に降りてきたフランツは、ユーリに口止めされていたので、夜打ちの騒動は言わなかったが、夜遅くまで飲んで騒いだと報告した。
公爵とユージーンは、他にも何かあったと気づいたが、ユーリがブーケを貰った話で、公爵夫人が盛り上がったので追及はしなかった。
「まぁ、ではユーリが次の花嫁さんだわ。ウェディングドレスはどんなデザインにしようかしら?」
夢見る公爵夫人に相手を探すのが先ですとは、お互いに立場が違うので口にはしない。
「姉ちゃん、ちょっと小耳に挟んだ。前にダンがつき合ってたナンシーの兄弟達が、酔っ払った町の友達と夜打ちをかけようと言ってたんだ」
キャシーは驚いて、滅茶苦茶怒る。
「ナンシー・パーカーですって! あの子とダンが付き合っていたのは、4年も前だしほんの1ヶ月じゃない。それにナンシーが農家の嫁になりたくないってダンを振ったのよ。さっさと隣町の商家に嫁いだじゃない」
ベンの胸ぐらを掴んで、どのメンバーがそんな馬鹿なことを言ってるのかキャシーは聞きだす。ユーリは陽気にダンスしているビリー、マック、ハリーをベンに馬車の所へ呼び出した。
「パーカーの馬鹿兄弟達が、夜打ちをかけうとしてるの。このままじゃ大変なことになるわ」
少し酔っ払っている三人は、ダンスの邪魔をされて不機嫌だ。
「そんなのよくある話じゃないか。ダンが付いてるから、大丈夫さ」
ハリーはヒースヒルでは結婚式の夜打ちはよく行われていると、酔っ払っているので笑い転げて相手にしない。
キャシーは酔っ払った青年団が新婚初夜を邪魔しようと、家の外で騒いだりドアをしつこく叩いたりする田舎の悪ふざけが大嫌いだったし許せない。バシン! と酔っ払いったハリーの頭を殴ると、痛いじゃないかとの抗議も無視する。
「ダンは1ヶ月だけしかナンシー・パーカーと付き合っていないのよ。でもパーカーの馬鹿兄弟は大袈裟に言って悪質な夜打ちをするかも。町の友達も誘っているみたいなの」
ビリーとマックも結婚式の夜打ちは見たことあるので、悪ふざけで迷惑な行為だけど真剣には考えてなかったが、町の友達と聞いて腹を立てる。
「なんだって! 家の姉ちゃんの結婚式に町の奴らが夜打ちをかけるんだって、ぶん殴ってやる」
披露宴に乱入しそうな喧嘩っ早いビリーとマックを、ハリーとベンが羽交い締めにして止める。
ユーリとフランツは結婚式の夜打ちが今一つ解らず傍観していたが、キャシーから説明を受けて驚き怒る。
「そんなの野蛮だわ。せっかくのロマンチックな夜が台無しよ。ベン、何人ぐらいが夜打ちに来るの?」
「パーカー兄弟3人と、町の友達2人かな? でも、酔っ払っているから増えるかも」
マックとビリーは羽交い締めを振りほどいて、それなら楽勝だぜと騒ぎ出す。
「こちらは、4人かぁ。ダンの兄弟も呼べばやっつけれるさ」
「披露宴に乱闘騒ぎはごめんよ。家の周りで待ち伏せしましょう。ああ、それでは新婚初夜が台無しね。外で兄弟達が大暴れしていては、ロマンチックどころじゃないわ」
キャシーの嘆きに、ユーリはふとアイデアを思いつく。
「フランツの部屋はどう? カーディモの管理者の離れなのよ。綺麗だし清潔だわ。それに、あそこなら夜打ちはかけられないわ。フランツ、部屋を貸してくれる?」
初夜初夜に無粋な夜打ちなどかけられては花嫁が可哀想だと、フランツは承知する。ユーリとキャシーは新婚初夜を迎える予定だった新居から、ナイトガウンや諸々を運び出しイリスでひとっ飛びする。
一足先に部屋に帰ったフランツが自分の荷物を片付けていると、両手にアレコレ持ったユーリとキャシーが到着した。フランツは二人に部屋を追い出されたが、中ではドタバタと大急ぎで、部屋の飾り付けが行われる。
「これなら大丈夫ね。花に、良い香りのロウソク、シーツも代えたし、シャンパンも冷やしてあるわ」
二人は部屋を見渡して、満足そうに微笑む。
「さぁ、急いで帰らなきゃ。そろそろ披露宴もお開きの時間だわ」
竜の苦手なキャシーも、今夜はそんな事を言っている場合ではない。
披露宴会場に帰ると、花嫁がブーケを投げるので、女の子達が前を争っている。
「ユーリは行かなくて良いの?」
かなり真剣な場所取り争いが起きているのを、ユーリは後ろで見ていたので、フランツは怪訝な気持ちで声をかけた。
「良いの、竜騎士になるまでは結婚しないもの。あと、何年かかるか、わからないのよ」
キャ~ッ! っという歓声が上がり、ハンナは後ろ向きにブーケを放り投げる。
力強いハンナの投げたブーケは、女の子達の後ろにいたユーリの手の中にストンと落ちた。
「やだぁ、ユーリだわ」
「私が欲しかったのに」
「ユーリが次に結婚するの?」
女の子達に囲まれて、ユーリはもみくちゃにされた。
その間にキャシーはベンに夜打ちの件を話し、カーディモの管理者の離れの鍵を渡す。
新婚の二人が飾り立てられた馬車に乗って新居へと向かうのを、バラの花びらや、米を撒いて、盛大に送り出す。
「さぁ、新居でパーカー兄弟を迎え撃つわよ」
キャシーは兄弟達を引き連れて、新居へと向かう。
「フランツ、大変な結婚式になったわね。部屋を譲ってくれてありがとう。この野蛮な習慣は止めて欲しいわね」
片付けは明日にしましょうと、残ったご馳走だけを食物庫にしまって、ベティ叔母さんとジョン叔父さんも寝室に向かう。
「第一陣は撃退したわ。朝まで、あの子達は新居で番をさせておくわ。空き家にするの不安だもの」
キャシーの言葉に、ユーリは不安になる。
「ビリーとマックが暴れて怪我をしないかしら? あの子達は昔から喧嘩っ早いから」
ユーリは竜舎で真面目に働いているのに、怪我でもしたら大変だと案じる。
「う~ん? それは考えて無かったわ。第一陣は町の男の子達だったから、弱っちいし水を掛けたら逃げていったの。あれで家の兄弟がいるとバレたから、第二陣は人数が増えるかも? 怪我とかしたら拙いわよね」
二人がアレコレ悩んでいるのを、フランツは見かねて口を出す。
「僕がやりすぎないように止めるよ。それに、ルースがいれば無茶はしないさ。ユーリもキャシーさんも、疲れているだろうから寝て下さい」
確かに巨大な竜がいたら、夜打ちどころではないだろう。
「私って馬鹿だわ、イリスに新居の番をさせれば良かったのよ。なんで思いつかなかったんだろう」
キャシーもフランツも、そうだよね! と叫んだが、今更新婚カップルの邪魔は出来ない。
「キャシーは明日はユングフラウに帰ったら、昼から働くのでしょ。先に寝てて、私はフランツに従うように、ビリーとマックとハリーに言い聞かせるわ」
キャシーはブライズメイドと慣れない竜に乗ったので疲れきっていたので、ユーリに悪いわねと言いつつもベッドに向かう。
ユーリとフランツは新居に着くと、披露宴会場からキャシーに気付かれないようにシャンパンを持ってきて酒盛りをしているビリー達に呆れてしまう。
「あなた達! ぐでんぐでんじゃない。何本シャンパンをあけたの」
「何本かな~? 一本、にぃ本、しゃん本、シャンパンしゃん本」
くだらない駄洒落にケタケタ笑うビリーとマックに、酔って寝ているハリーとベン。
「もう! これでは留守番にはならないわ」
怒っているユーリとフランツに、まぁまぁとシャンパンを勧めながら、ビリーとマックはクダを巻きだす。
「早くイリスに子竜を産ませてくれよ~」
「そう、そう、子竜が見たいぞ!」
子竜! 子竜! と連呼しながら、シャンパンを喇叭飲みしていた二人は、おとなしくなったと思った瞬間に寝ていた。
「もう図体ばかり大きくなっても、子どもの時と変わらないんだから」
ユーリは二人からシャンパンのボトルを取り上げると、頭をこづいて床に寝せる。
「幼いベンにまで、シャンパンを飲ませたのね。夏の夜だけど少し肌寒いわ、風邪をひかさないようにしないと」
他の三人は自業自得よ! と酔って寝たベンにだけ、勝手知ったる家から、毛布を出してきて掛けてやる。
ユーリは暖炉に小さな火をおこす。
「フランツ、寒くない? 疲れたでしょ」
自分を気遣ってくれているユーリに、反対の立場の筈なんだけどなと苦笑する。
「いや、それは大丈夫だよ、ユーリこそ疲れているだろ。それにしても、田舎の結婚式って大変だね」
二人は溜め息をつく。
「そろそろ帰って寝たら? 僕は毛布があれば、雑魚寝するよ」
そうしようかしらと、ユーリはフランツに毛布を渡す。
『ユーリ、フランツ! 何人かが近づいて来るぞ』
イリスの警告で、懲りもせず第二陣が来たのに気づく。
『イリス、ルース、何人いるの?』
『こちらからは6人! ルース? そちらからは?』
『こっちは3人かな? でも、1人は酔っ払ていて吐いてるよ』
ユーリとフランツはヒースヒルのお馬鹿な若者達に怪我はさせたくなかったが、朝までこのような夜打ちに付き合う気持ちもさらさらなかった。
「多分ルース側の3人は野次馬だな。イリスの方の6人を、チョコッと懲らしめれば良いさ」
「私もそう思うわ、酔って気分が大きくなってるだけだと思うの。朝になれば、パーカー兄弟達もお姉ちゃんがダンを振った事や、とっくに嫁いだ事を思い出して、夜打ちが理不尽だとわかると思うの」
二人は竜達に家畜の水飲み場の大きな丸太を切り抜いたのを持ち上げて、6人の上でひっくり返すように指示する。
『イリス、ルース、頭の上に丸太を落とさないでね。怪我はさせたくないの、それに丸太を壊したくないのよ』
アレコレ注文の多さに、イリスとルースはうんざりしたが、夜打ちが終わらないと、ゆっくり寝れないので指示に従う。
パーカー兄弟達と町の友達は、ウォルター兄弟達が新居に陣取っているのを知っているので、少し用心しながら進んでいた。果樹園を抜けた辺りで、いきなり頭の上から大量の水が落ちてきて、怒って見上げると、二頭の巨大な竜が頭上で羽ばたいている。
「竜だ!」
竜を夜中に、頭上で見たくはない。ましてや夜打ちの最中に。蜘蛛の子を散らすようにパーカー兄弟達は、転びつつ逃げていった。
ルース側の3人はお尻に火がついたように、酔っ払っている1人を両側から抱えて逃げ出す。
「これで懲りてくれれば良いけど」
ユーリは丸太を元の場所におろさせた。
『イリス、ルース、ありがとう』
ユーリの感謝に眠そうな返事があった。
「フランツ、困ったわ、イリスは寝てしまったみたい。仕方ないわ、起きるまでここに居とくわ。もう来ないとは思うけど、心配だしね」
フランツはルースも寝てしまったし、ハンナの弟たちも全滅なので、送ることもできないので、二人で暖炉の前に座ってイリスが起きるのを待つことにする。
まだ近くにパーカー兄弟が居るかも知れないのに、ユーリをウォルター家まで夜中に帰せなかった。ユーリは色々とヒースヒルの思い出を話しながら、うとうとしてきた。
「ちょっとユーリ、寝ないでよ、困ったなぁ」
フランツは元々夜に弱いユーリが夜中をとうに回ったのに気を張って起きていたので、限界なんだと気づいた。フランツも慣れない田舎の結婚式で疲労感を感じていたが、ユーリの付き添いとして、信頼しているとはいえ若者とユーリが同じ場所で寝ているのに、自分が寝る訳にはいかない。
自分に寄りかかって寝ているユーリを床にそっと寝かしつけると、出してきてくれていた毛布を掛ける。
「ユーリったら! こんなに無防備で良いのかな?」
血は繋がっているが自分も若い男だし、間違いが無いとは言えないのにと、フランツはあどけない寝顔を眺める。
「ユーリ、ビリー、マック、ハリー、ベン! 起きなさい!」
朝早く目覚めたキャシーは隣のベッドにユーリが居ないのに驚いて、新居に駆けつけた。フランツは眠たそうに、おはようと声をかけたが、酔って雑魚寝している兄弟達と、呑気に床に寝ているユーリに驚いて怒る。
「ユーリったら、少しは年頃の女の子の嗜みを身に付けなきゃ。フランツ様がいらっしゃるからといって、無防備すぎるわ。そりゃ、家の弟たちがユーリに何かするとは思わないけど、そういう問題じゃないの」
朝からキャシーに怒られて、フランツに謝るユーリだ。
「御免ね、フランツは寝てないのよね。私はキャシーを昼までにユングフラウに送らないといけないけど、フランツは寝てから来る?」
出発まで3時間あるなら、寝て一緒に帰ると、フランツはユーリの使ってた毛布を被ると床で寝てしまう。寝たフランツを起こさないように、シャンパンの空き瓶をそっと拾い集めて、二日酔いの弟達に容赦なくこき使うキャシーだ。
「ユーリも寝ておく?」
山ほどの汚れた食器を近所の主婦達と洗っているベティ叔母さんをほっとけないと、ユーリはキャシーと共に手伝う。
白いシーツの上に洗ったコップを伏せておくと、粗方の片づけは終わった。テントやテーブルに椅子は、集会所の倉庫に返されたし、食器も借りていたのは返却済だ。
「キャシー、あんたはユングフラウに帰るんだろ。もう手伝いはいいよ、早く朝ご飯を食べなさい」
忙しい時期なのでゆっくり出来ないのが残念だけど、お針子修行に燃えているキャシーは、ユーリとさっさと朝食を詰め込む。
「フランツ起きたかな? 簡単な朝食なら食べれるよね」
二人は新居で寝ているフランツが呼んで起きないようなら、後で帰ってくれば良いとソッと声をかける。
「ああ……ユーリ、おはよう……」
3時間熟睡したフランツは、床で寝ていたので身体がギシギシすると、大きなのびをする。
「簡単な朝食だけど、食べてね」
フランツが朝食を食べている間に、ユーリとキャシーは使った毛布を仕舞ったり、床を掃いたり、暖炉の燃えかすを片付けて、料理オーブンに小さな火をおこすと保温にして鶏の丸焼きを入れた。
「パントリーにウェディングケーキと、野菜の煮込みと、焼きたてのパンも置いたわ。後、シャンパンも冷やしているし、これでハンナは今日は料理しなくても大丈夫ね」
フランツが食べた食器をバスケットに入れて外に出ると、イリスが馬車が帰って来たと教えてくれた。
「こんなに早く帰って来るなんて! 隠れましょう」
三人は果樹園に隠れて、花婿が花嫁を抱きかかえて新居に入るのを見届けた。
「ハンナは幸せそうね」
イリスにウォルター家までにそっと飛んでいかせて、ユーリはキャシーとフランツと歩いて向かう。
「ユーリはブーケ貰ったでしょ、だから次の花嫁はユーリよ」
「夜打ち騒動で忘れていたわ。でも、あと少なくとも5年は結婚出来そうにないわ。先ずは竜騎士にならなくちゃ」
フランツはその前に相手を見つけるというか、もっとロマンチックな感性を身に付ける必要があるのではと、心の中で呟く。
せっかく2頭もいるんだからと、フランツが管理者にお礼を言っている間にユーリは容赦なくイリスと、ルースに氷を満載する。
「昼までにユングフラウに着くには、休憩はあまり取れないわよ」
キャシーが良いわと頷くと、懐かしいヒースヒルを後にした。
ユーリはキャシーをマダム・ルシアンの店の近くでおろすと、ルースの分もイリスに載せて氷を氷室に運んだ。
フランツは、ローズとマリーを寮に送り届けると、ストレーゼンの別荘に帰り爆睡する。
ユーリはパーラーの開店準備が順調なのに安心して、後はローズ達に任せてフォン・アリストの屋敷に着くなりベッドで爆睡した。
マウリッツ公爵家の人達は、フランツにヒースヒルでの結婚式の様子を聞きたかったが、起こしても起きないので夜中まで騒いでいたのだろうと心配する。
夕食に降りてきたフランツは、ユーリに口止めされていたので、夜打ちの騒動は言わなかったが、夜遅くまで飲んで騒いだと報告した。
公爵とユージーンは、他にも何かあったと気づいたが、ユーリがブーケを貰った話で、公爵夫人が盛り上がったので追及はしなかった。
「まぁ、ではユーリが次の花嫁さんだわ。ウェディングドレスはどんなデザインにしようかしら?」
夢見る公爵夫人に相手を探すのが先ですとは、お互いに立場が違うので口にはしない。
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