世界最強です。問題ありますか?

桐ヶ谷明日奈

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1章

アスカリアに戻りました

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読んでくださってありがとうございます。
お気に入り入れて下さるような作品にしたいと思います。
よろしくお願いします。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆





アスカリア国。アンダカリア大陸の約半分を占める大国である。
隣国とは魔の森を挟んで存在しているせいか、とくに今まで大きな戦争などもなく、平和な国である。
そんな国のほぼ中央にある王都、ディスカリア。人口が多く、沢山の人の行き来がある街である。

そんな街の東にある大きな建物。冒険者ギルド、その名もデイズ。
冒険者なら一度は行ったことのあるギルドである。
ギルドでは主に、冒険者の登録の他にクエストの受付、報酬の受け取り、宿の紹介など、旅の人にとっては欠かせない情報の場にもなっている。





そんなギルドに私、エディシアは帰ってきた。




ザワザワと騒ぐギルドの人混みをすり抜けて、エディシアはギルドのカウンターにいるマスターに声をかけた。
「久しぶり、マスター。帰ってきたんだけど、カナリアはいる?」
銀の瞳に銀の髪。白いローブに白い肌。ビクトール人形のような容姿を持つ少女の背中には、大きな杖が3本あった。
装備をみると完全に魔術師だ。
ただこの少女、年齢に対して問題が一点だけあった。
そう、知っているものは決して口にはしない。
身長が低いというタブーの言葉を。


「やあ、エディシア。帰ってきていたのか。カナリアなら今鑑定中だ。しかし、今回は長かったな。2年近くいなかったんじゃないか?」
カウンターにいたギルドのマスターはエディシアに声をかけられると答えた。
「今回は隣の大陸にいってたからね。海を越えるのに時間はかかるし、砂漠ばかりで暑くて死にそうだったわ。噂の遺跡に行ったのに、目当てのものがなくて、オマケに出てくるモンスターはアンデットばっかり。あれじゃあ、攻略する人が少ないのはしょうがないわ」
カウンターの椅子に腰掛けたエディシアは、バックから一つ酒ビンを取り出すとマスターに渡した。マスターは何時ものように受け取ると、カウンターの後ろにある酒ビンが並んである棚にしまう。
「今回の酒は期待していいわよ。向こうでも評判のいい酒屋で買ってきたから」

マスターは無類の酒好き。これはギルドに所属するものだったら誰でも知っていることである。そして、遠出をするときはみな必ず酒を買ってくる。そしてその酒でこのギルドの酒場は成り立っているのだ。
「いつもすまないな。エディシアが買ってくる酒は珍しいものばかりだから、評判いいんだよ。今度のも美味しかったらまた頼むよ」
マスターはそう言いながら、エディシアの前にグノウのジュースの入ったグラスを置いた。
「俺からの奢りな。カナリアもうすぐくるだろうから、それでも飲んで待っててくれ」
グノウのジュース。この国の名産品の一つである。
日本でいう、マンゴーのような甘みと濃厚さ。それでいて後味の残らないすっきり感。グノウそのものはアボカドのような果実なのだが、ジュースにするとこの果実は大人から子供まで魅了する。
エディシア自身もこのジュースがお気に入りだった。

ちびりちびりと飲みながらまっていると、ギルドの奥から鑑定を終えたらしい客が出てきた。
恐らく良いものだったのか、手に持つ皮の財布袋の中はパンパンのようだった。
そのあとからでてきた、金色の髪の女性。
名前をカナリアという。
ギルドの職員の制服を華麗に着こなして、ヒールの高い靴をコツコツと響かせながら、此方へやってきた。
そうこのままの姿だったら誰もが羨む素晴らしい大人の女性だ。
そうこのままだったら・・・。





「キャー、シアちゃんおかえりなさいぃ!ずっと会いたかったのよぉ」
視界にエディシアを捉えるとともに、一目散にシアに抱き着いた。
ギルドの受付嬢、カナリア。
通称 可愛い物好きの金鳥。
仕事はしっかりやるけれども、可愛い物が大好きで見つけると大声で叫んだあと、抱き着いてなかなか離さない。
エディシアにとっては会うたびやられているため、年中行事となっている。
もはや振り払う努力すらすることを諦めたのだった。

「カナリア、ただいま。久しぶりに会ったのに申し訳ないんだけど、アイテム鑑定お願いしたいんだけど」
エディシアはカナリアの腕から顔を出すと、早速要件をいった。要件を言わなければ一生抱き着かれたままだっただろう。
「久しぶりよお、シアちゃん。もう、ちょっと感動の再会を楽しんだっていいじゃない。2年会わなくてもその可愛い姿は健在でよかったわぁ」
瞳をキラキラさせていいながら、顔に頬擦りをしてくる。

「カナリア、いい加減にしないとエディシアに嫌われるぞ!!!」
奥からマスターの声が聞こえてようやくエディシアを開放する。
「はぁい。ではようこそギルド、デイズへ。エディシア様」
そういってカナリアは奥の会議室へと案内する。



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