転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

文字の大きさ
18 / 499
第1章 転生編

第1章ー⑰

しおりを挟む
 「?! なん…だと?」

 魔物の聞き捨てならない発言に怒りが込み上げてくる。痴人だと? 自分達を守る為に命を掛けた父を侮辱されるのはこの上なく不快だ。

 「『私には3つの武器があります』」

 「ッ?!」

 「『一つはこの『陰魔法』。これで相手を直接殺す事が出来る』」

 しかし、魔物の方は上機嫌なのか、突然自分の話をし始めたり、自分の魔法をひけらかし出した。奴の話を聞く限り、陰魔法以外にも使える武器があるだと? 他にも使える魔法があったということなのか?

 「『二つ目は『頭脳』。相手を殺す為の策を練るのに必要な武器』」

 「…」

 と思っていたが、奴は自分の頭を指差してそう語る。そういうことか。奴がいう武器というのは魔法だけではないようだ。だとすると、あと一つは…

 「『そしてもう一つは、『言葉』だ』」

「ッ?!」

 考えるまもなく、魔物は最後に自分の顔を指差してそう答える。

 「『魔物と人類は敵対関係にあるのは言うまでもなく、なぜ私達が敵対関係にある人の言葉をわざわざ発すると思いますか?』」

 「…」

 「『答えは単純、人を欺く為。人とは愚かで単純な生き物だ。同じ言葉を話すだけで我々の事を知った気になり、無意識のうちに緊張の糸を少しずつ緩めてしまう』」

 「で、デタラメなこと…いうな」

 しかし、ここで自分は魔物に反論する。父のショックがまだ残っていて呼吸は多少乱れていたが、あの状況で父がそんなことする訳がないと言わずにはいられなかった。

 「『…そうですね。後半の部分は適当に考えました』」

 「…は?」

 どう返すのか緊張の面持ちで魔物の様子を見守っていると、まさかの返しに思わず口から疑問符が出てしまった。何を言ってるんだ、こいつ。

 「『さっき言いましたよね? 人を欺く為に我々は人語を語っていると』」

 「…なにが言いたいんだよ、おまえ」

 なんだかおちょくられてるような気がして腹が立ってきた。一体こいつはなにがしたいんだよ。

 「『君は私の話を半信半疑で聞いていましたが、彼はどうだったでしょうか?』」

 「?」

 「『彼は私の言葉を鵜呑みにしていましたよ。彼の敗因はそこですね』」

 「はあ? お父さんがそんなヘマするわけ…」

 「『なら、私がどうやって君の父を殺せたのか教えて差し上げましょう』」

 「っ?!」

 ますます言ってる事がわからなくなってきた。どうやってって、あの強力な魔法をぶつけて押し勝った訳じゃないのか? いや待てよ。奴は自らの手で父の心臓を貫いていた。魔法の撃ち合いは互角で、あの煙に紛れて自分の手で直接殺したという事か?

 「『逃げたんですよ』」

 「…は??」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する

鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。 突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。 しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。 魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。 英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。

処理中です...