転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

文字の大きさ
68 / 500
第3章 逆襲編

第3章ー⑳

しおりを挟む
 「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 ダークボルトの様子が先程までとは打って変わり、飢えた獣のような雰囲気を感じる。紅天画撃を両手で強く握りしめ、姿勢を極限まで低くしている。まるで四足歩行の獣。腹を空かせたかのように口元から密かに涎を垂らしていた。本人は気づいているのかどうかはわからんがそれほどまでに集中している様子だった。その様子を見ただけでわかる。奴の本気はこれからなのだと。

 「【神武流《かぶる》】」

 「ぬっ!?」

 ダークボルトが魔法を唱えると同時に上半身を前に傾けた瞬間、ダークボルトが勇者の目の前まで接近。速さは相変わらずの俊足といったところだが、勇者は剣で防御しようとしている様子を見るに反応は間に合っている。これならさっきと同じ結果にしかなっらない。あれだけ威勢よく構えていたのに、また対応され…

 「くうっ!?」

 「えっ?!」

 るかと思いきや、ダークボルトの攻撃を受け止めたはずの勇者の体勢が大きく崩された。一体なにが起きたんだ?

 「貰ったぁぁぁっ!!」

 「ちっ!?」

 体勢を崩され、勇者の正面ががら空きに。そこにすかさずダークボルトの攻撃がもう一度襲い掛かってくる。

 「んんっ!!」

 しかし、体勢の崩れた状態で勇者は紅天画撃に向かって剣を思いっきり振り下ろした。おかげで紅天画撃は地面に叩きつけられ難を逃れた。今のはマジで危なかった。

 「ちっ、やり損ねた!」

 勝ちを確信していたであろうダークボルトから舌打ちが聞こえた。あれで殺しきれなかったのが悔しかったのだろうが、こっちはヒヤヒヤさせられたよ。

 「なるほど、今のは強化系の魔法か」

 「はっ、流石に気づいたか。そうだよ、神武流は肉体強化の魔法。俺の黒雷《こくらい》魔法による速度の強化と併せれば近接戦最強よぉ」

 ダークボルト曰く、さっきの魔法は強化系の魔法とのこと。脱兎跳躍《ラジャスト》や部分魔力強化《パージング》の部類に入る魔法だ。しかし、ダークボルトの使用した魔法は恐らく脱兎跳躍や部分魔力強化の上位互換といったところか。

 尋常じゃないスピードに加え、パワーまで加わってしまった。これはかなりマズイ状況ではないだろうか。

 「たしかに、近接戦においてスピードとパワーは重要視される力だ。だが…」

 しかし、勇者はまだ余裕の表情を見せていた。近接戦最強の相手を前にしても臆することはなかった。あの余裕っぷり、勇者にはまだ打開の余地があるというのか。

 「まだこっちは魔法を使ってねえぞ。勝負はここからだ」

 そう発言した勇者の剣から、荒々しく燃える紅蓮の炎が噴き出していた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。 女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!? ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか! これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

処理中です...