転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第4章 入学試験編

第4章ー⑫

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 「サダメ…」

 自分が出来る事は土下座で精一杯覚悟を見せる事ぐらいだった。こんなにちゃんとした土下座は、多分前世でもやった事はない気がする。

 「…」

 エリカさんの悲しげな顔と神父の真剣に悩んでいる表情は、顔を上げずとも想像出来た。ここまで誠意を込めたお願いを、二人ははいはいとあっさり断るような人達ではない。それを知っていたから自分は土下座でお願いすることにしたのだ。ちょっと卑怯な手かもしれないが、それだけやらないと多分、二人に自分の本気は伝わらなかっただろう。

 尊敬する人に近づく為には、学園の入学は必須。学園で得られる知識と経験は独学で研究するよりもレベルが違う。そんなことを勇者からも聞いてたし。

 「…神父様…」

 「ふむ…」

 思い空気が暫く続いていた。二人の顔を見れず、ずっと床の板目を凝視していた。ここまで長いと不安になってくる。

 「サダメ、顔を上げなさい」

 「ッ!? …はい」

 そんななか、ようやく神父が自分に話しかけて来た。神父に言われ、ゆっくりと顔を上げる。

 「勇者になりたいと言ったね?」

 「…はい」

 「勇者様は、国王から命を受け魔物の脅威を退け、魔王倒すという大義を背負っておられる」

 「はい」

 「しかし十年前、この村を訪れた以降、行方が分からなくなってしまわれた」

 「…」

 「千年に一人の逸材と言われたあのお方が、誰にも見られず姿をくらました。これがどういう事か分かるか?」

 「…」

 「勇者様でさえも手に負えぬ魔物が未だに存在するかもしれない。私が言いたいのは、勇者というのはそういう輩をも相手にせねばならぬ宿命を背負わされているのだ」

 「…」

 神父の話を聞いて、段々嫌な予感がしてきた。これは恐らく、子供に現実を見せる為に現実を突きつけようとしているのだ。夢を諦めさせる為に。そりゃあそうだ。もう自分も十六だ。高校生にもなって特撮ヒーローのようなヒーローに本気でなれると思い込んでたら、周りに笑われてもおかしくはない。元アラサーのおっさんなら尚更だ。

 夢と現実は違う。その分別をそろそろ付けないといけない年頃だ。だから神父はこの話をしているのだろう。

 「お前は、それでも勇者になりたいのかい?」

 「…」

 真剣な眼差しで神父は問いかける。圧を掛けているつもりはないのだろうが、神父の目を見ると萎縮して顔に冷や汗が出て来た。それだけ真剣に聞いているということなのだろうが。

 「はい! 学園でしっかり学んで、沢山鍛えて、魔物から皆を守れるような、立派な勇者になってみせます!」

 しかし、皆の前で自分は、立派な勇者になることを誓った。
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