転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

文字の大きさ
164 / 500
第5章 入学編

第5章ー㉗

しおりを挟む
 翌日、今日から通常の授業が始まった。昨日は散々な目に遭ったが、気を取り直して授業を受けよう。

 この学園の授業は当然前世の高校の内容とは違ってくる。午前中は国語や数学、歴史や地理といった社会の項目がメインとなっており、ここに関しては高校の時と大体同じだが、午後には魔法の授業が待っていた。

 「さて、こっから本格的に魔法学の授業を始める訳だが、どうやら入学初日に面倒起こした馬鹿が居るそうだな?」

 「…」

 しかし、授業が始まる前に昨日の話が持ち出され、自分達は冷や汗を搔いていた。魔法学は日によって教師が変わるそうなのだが、今日の担当教諭は如何にも厳しそうな人だ。

 キリヤ・オーヴェン。自分と同じ真っ赤なショートヘアと鋭いギザっ歯、目つきの悪い三白眼が特徴的な女性教諭だ。

 魔法学は基本外での演習が多いようで、自分達は今、入学試験を受けた時のあの野原に集められているのだが、来るなり早々ベガ立ち状態で待ち構えていたオーヴェン先生に皆萎縮していた。

 「まさか初日にやらかす奴が居るとは思わなかったぜ。なあ?!」

 「…」

 明らかに自分達を睨んでいるように見えるが、絶対に目を合わせてはイケないと必死に目を逸らす。ヤバイ。昨日のアラガや先生とは比べ物にならないぐらい怖いんですけど。

 「けっ。アタシを相手にシカトこくとはいい度胸じゃねーか。よーし、決めた! 今日は全員走り込みだー!!」

 『えーーーーー!?』

 しかし、それが裏目となり、今日の魔法学の授業が壮大な野原をひたすら走るという内容に変更されてしまった。どうやら黙っていたのが舐められていると勘違いしてしまったようだ。なんかごめん、皆。





 「おらおら走れお前らー! 基礎体力の向上も魔法を扱うのに大事な要素だぞー! この程度でへばってたらこれからの魔法学の授業も付いていけねーぞ!?」

 「はあ…はあ…」

 かれこれ授業開始から三十分は経過しただろうか。自分達はただただ走り続けさせられていた。そこそこ体力に自信があった自分でも、流石に三十分以上走り続けるのはかなりしんどい。筋トレとか魔法の練習ばっかで持久力を疎かにしてたのが仇となっている。あと、制服のせいで暑い。防水やら耐熱やら色んな性能が備わっているとはいえ、これだけ走っていると暑苦しいし邪魔に感じて来る。時期的に冬仕様になっているのも原因の一つだとは思うが。他の生徒も同じ気持ちなのか、早々に制服を脱いでシャツ姿で走る生徒がチラホラと見えた。なんなら上裸の男子生徒さえ出て来ている模様。自分もそろそろ脱いだ方がいいだろうか。

 「おろ? サダメも脱ぐのでござるか?」

 と、考えていた時、隣からマヒロが声を掛けて来た。四人で並走している中で一番余裕そうだ。逆にギリスケとミオの方はヘロヘロで喋る元気もなさそうだ。

 「うん。っていうか、マヒロって、結構体力、あるんだな?」

 自分もギリギリではあるものの、マヒロと会話を続けていた。黙って走り続けるよりかはこっちの方が気が紛れて少しは楽になるかなと思ったのだ。

 「うむ。拙者は刀一本で戦う身故、体力づくりは欠かしておらん」

 「へー、凄いな」

 なるほど。言われてみればたしかに、接近戦を最も得意とする彼女に一番必要なのは体力だ。息が全然上がっていない所を見るに、かなり走り込んでいるようだ。自分の前世も学生時代は駅伝部に所属していた身だが、これだけ走って尚息が上がっていない人物は見た事がない。恐らく彼女の体力は底なしだな。

 「うーむ。拙者も折角なら脱ごうで…」

 「ん? ちょっと待てマヒロ?」

 「?」

 しかし、彼女も制服のままでは走りづらいと感じているのだが、彼女が制服を脱ごうとしていると、チラリと彼女の腹が見えてしまった。その瞬間、何か嫌な予感がして彼女に問いかけた。

 「お前、もしかしてインナー着てないのか?」

 「いんなー? はて? なんでござるかそれ?」

 「えっ?!」

 自分の読みは当たっていたのだが、斜め上の回答が返って来て驚愕させられた。そう。彼女はインナーの存在を知らなかったのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。 女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!? ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか! これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

処理中です...