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第5章番外編「私の大事な人」

第5話「彼の活動記録」

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 ---「名前は、佐藤和彦、同じ1年生で5月29日のふたご座っと」

 翌日、私は彼のことについて調査したことをメモ帳に書き込んでいました。ちなみに彼のことは彼と小学校から一緒だった子にやんわり聞いてみました。

 どうやら彼、佐藤君は同級生みたいです。まだ他のクラスの人の名前を覚えていなかったので、ちょっと驚いてしまいました。

 「これは、ラッキーかもしれませんね」

 同級生ならなにかと関わるチャンスがあるので、それを活かせられるかもしれません。

 「となると、問題は…」

 ただそのチャンスを活かすにはある問題がありました。それは話すキッカケをどう作るかということでした。

 いきなり話しかけると困るでしょうし、何か佐藤君と話せるキッカケというか、共通の話題みたいなものがあればいいのですが。

 「うーん、それはもう少し彼のことを調べた方がいいかもしれませんねー」

 ---そう思った私はさらに彼のことを密かに調べることにしました。

 彼の趣味だけでなく、友人関係、学校内での活動や放課後の過ごし方など、しばらくの間、彼を観察する日々が続いていました。

 休み時間は廊下で隣の教室を盗み見し、放課後は彼の部活終わりの隙を見て後をつけたり、休日は彼の家で見張っていたりした時もありました。

 ---気がつけばそんな生活が1ヶ月ほど過ぎていました。

 しかしその甲斐があってか、彼のことがだんだんわかってきたような気がしていました。

 「なるほど、彼はオタク趣味があるんですね」

 彼はゲームやアニメが好きで、帰りはよくゲーセンに同じ趣味の男の子達とよく通っていました。休日もお友達とゲームショップやアニメショップで買い物をしているのを見たことがあります。もちろんそのあとをつけていましたが。

 「オタク趣味、ですか…」

 しかしこれは話すキッカケとしては充分だと思いました。アニメやゲームにはそこまで詳しくはありませんでしたが、今からでも始められる趣味ではあるので、私はすぐにゲームを買ってプレイしたり、今期のアニメも欠かさず見るようになりました。

 「あと問題があるとすれば…」

 すっかりオタクになり始めた私でしたが、問題はもうひとつあることに気がつきました。

 それは話すタイミングが見つからなかったことです。クラスが別々なのでなかなかそういうタイミングがなかったのです。

 「うーん、別々のクラスでも自然な感じで話すにはどうしたらいいでしょうか?」

 私はそのことを真剣に考えていました。別々のクラスの中でいながら自然な感じで話すにはどうすればいいのか?

 「…はっ、そうか、その手がありましたか!」

 そして私はしばらく考えていると、ふと突拍子もないことを思いついたのです。

 「誰とでも仲良くなれる、クラスの、いえ、学校の人気者になれば、佐藤君ともお近づきになれかもしれません!」
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