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第11章「異世界編、始まる」

第39話「みのりのパートナー」

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 ---「よし、これで全部ね」

 戦闘が始まってから2、3分ほどでウルフ5体を討伐した有紗。そのおかげで全員レベルがまた1つ上がった。

 「いちおう念のために周辺に他のウルフがいないか調べておきましょう。出てきて、ウーちゃん!」

 みのりはそう言うと、モ◯スターボ◯ルぐらいの手のひらサイズのボールを取り出し、そのボールを軽く前に投げた。

 「おおっ!?」

 すると、ボールは白く光り、一瞬で形を大きく変形させた。その光景を見て思わず俺は声を上げてしまった。魔獣を召喚するときってこんな感じなんだ。

 そして、変形が終わると、白い光りが消え姿を現した。

 「ウオォォォォォン!!」

 「この子が私のパートナーのウルフのウーちゃんです!」

 ボールから形成されたのはウルフだった。

 しかし、よく見てみると、さっきのウルフ達とは雰囲気というか、なんか色々違っている。

 さっきのウルフ達に比べて身体が小さいし、鋭い目ではなくビー玉のように丸っこくってウルッとしていて、耳に赤いリボンまで付けてあまり怖くはないというかむしろちょっとかわいく見える。

 「わあぁ、この子かわいいですね♡」

 「ふふっ♡ ウーちゃんは人懐っこいですからね」

 梓がウーちゃんの頭を撫でると、ウーちゃんはうれしそうに舌を出しながら尻尾を振った。もはや狼というより飼い犬に見えてきた。

 「ウーちゃん、周囲に他のモンスターがいないか確認してください」

 「クウゥン」

 みのりはウーちゃんに指示を出すと、ウーちゃんはこくんとうなずき鼻を地面に近づけクンクンと匂いを嗅ぎ始めた。

 「なるほど。匂いでモンスターを探るわけだ」

 「その通りです!」

 どうやらみのりはウーちゃんの鼻を使ってモンスターがいないか確認させているようだ。

 「ッ!?」

 「ウーちゃん、どうかしましたか?」

 「グルルルルル!!」

 すると、ウーちゃんがなにかに気づいたようで呻き声を上げた。そして、さっきまでのかわいらしい表情から一変して険しい表情になった。

 「!? 向こうからなにか来るわよ!?」

 その様子を見て有紗もなにかに気づいたらしく、ウーちゃんが向いている方に向かって戦闘態勢に入った。

 俺達もそこに視線を向けると、向こう側から激しく草むらが揺れていた。

 「来るっ!」

 そして、その草むらからバッとなにかが姿を現した。

 「ウオォォォォォン!!」

 「っ!? なんだ…こいつ…」

 その姿を見て俺の顔は青ざめた。有紗達も同じように青ざめていた。

 俺達の前に現れたのは、全長5メートルほどの人型のウルフだったのだ。
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