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第2話 国王への謁見
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国王は数名の臣下と従者を従え入室してきた。頭に立派な黄金の冠をかぶり、赤の長マントに身を包んでいる。その出で立ちは威厳に満ちている。ゆったりとした足取りで壇上に用意された豪華な椅子に向かい腰掛ける。
「召喚の儀は成功したようだな」
国王は私達を見て低く野太い声で話した。
「はい。こちらの男性が召喚によって異世界からやってまいりました。名前はタクト=ヒビヤと申します」
エレノーラが国王に答える。国王は私を見て語りかけた。
「ようこそ異世界の者よ。儂はクラヴェール王国の国王、クラヴェール五世である」
壇上から見下ろす眼光。身体から漏れ出す独特のオーラ。これが国王という存在なのか。
「初めまして。タクト=ヒビヤと申します」
「うむ。遠路よりの来訪、大儀だったな」
言葉とは裏腹に視線が冷たい。緊張が張りつめる。
「それで、その者の資質について何かわかったのか?」
「はい。判明したことについてご報告申し上げます」
国王の質問にエレノーラは少し神妙な面持ちで話し始める。
「まず、彼は勇者ではありませんでした。ですが膨大な魔力を有しており、救世主であることに間違いありません」
エレノーラの報告内容に国王の表情が一気に曇る。
「勇者ではないだと! 由々しき事態だな。それは国外への追放も検討せねばなるまい」
一瞬場の空気が凍り付く。だがエレノーラだけは冷静だった。
「ご心配には及びません、陛下。 勇者はこの国にもすでに存在しております。彼には救世主となっていただくよう、私が責任をもって一人前に育て上げます」
「ほう、余程の自信があると見える。ではそなたに任せよう。一か月で成果を見せよ」
「かしこまりました、陛下」
わずかの時間のやり取りだったが、鬼気迫るものを感じた。私の危機は彼女によって回避された。
「来訪者タクト殿」
国王は私に再度問いかける。
「はい」
私は再び国王を見る。そのまなざしからは先ほどの冷淡さが少し和らいでいるように見える。
「先ほどは取り乱してしまいすまない。実は貴殿を呼び寄せたのには理由があってな」
国王は少し頭を上に向け、事情を話してくれた。
「我々人間は長きにわたり、魔界に棲む魔族との戦争に明け暮れていた。それが三十年前、突然魔族からの侵攻が途切れ、平和が訪れた」
「そうなのですか」
「ああ。だが儂は魔族達がそう簡単に人間の支配を諦めたと思えなくてな、ずっと魔族の根絶のため準備してきたのだ。そして先日神託が下った。儂はこれを魔族根絶の機と見ておるのだ」
国王は私達に向き直り、鋭い目で続ける。
「異世界から来たりし同胞よ。どうか魔族根絶のために力を貸してほしい。それが儂達人間の悲願なのだ」
「魔族……ですか」
「そうだ」
魔族の存在。国王の意思をひしひしと感じる。
「わかりました。力を尽くします」
私は国王に圧倒されつつも返答する。もちろん自信があるわけではないが。
「よい返事だ。頼んだぞ」
国王は席を立つと、臣下達を従え部屋を出て行った。張りつめた空気がかすかに残っている。
「ふぅ……」
私は国王達が部屋を出るのを確認するや、ガクッと床に崩れ落ちてしまう。
「お疲れ様でした。タクト様」
「みっともない姿で申し訳ないです」
「いいえ、立派に謁見を務めていただき感謝します」
エレノーラがねぎらってくれる。私達はどうにか謁見を乗り切ることができた。
「それとエレノーラさん、私のことはタクトでいいですよ」
「そうですか、わかりました。これからよろしくお願いしますね、タクト」
「こちらこそ、エレノーラさん」
私達は微笑みあい握手を交わす。こうして私の異世界での日々が始まったのである。
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「召喚の儀は成功したようだな」
国王は私達を見て低く野太い声で話した。
「はい。こちらの男性が召喚によって異世界からやってまいりました。名前はタクト=ヒビヤと申します」
エレノーラが国王に答える。国王は私を見て語りかけた。
「ようこそ異世界の者よ。儂はクラヴェール王国の国王、クラヴェール五世である」
壇上から見下ろす眼光。身体から漏れ出す独特のオーラ。これが国王という存在なのか。
「初めまして。タクト=ヒビヤと申します」
「うむ。遠路よりの来訪、大儀だったな」
言葉とは裏腹に視線が冷たい。緊張が張りつめる。
「それで、その者の資質について何かわかったのか?」
「はい。判明したことについてご報告申し上げます」
国王の質問にエレノーラは少し神妙な面持ちで話し始める。
「まず、彼は勇者ではありませんでした。ですが膨大な魔力を有しており、救世主であることに間違いありません」
エレノーラの報告内容に国王の表情が一気に曇る。
「勇者ではないだと! 由々しき事態だな。それは国外への追放も検討せねばなるまい」
一瞬場の空気が凍り付く。だがエレノーラだけは冷静だった。
「ご心配には及びません、陛下。 勇者はこの国にもすでに存在しております。彼には救世主となっていただくよう、私が責任をもって一人前に育て上げます」
「ほう、余程の自信があると見える。ではそなたに任せよう。一か月で成果を見せよ」
「かしこまりました、陛下」
わずかの時間のやり取りだったが、鬼気迫るものを感じた。私の危機は彼女によって回避された。
「来訪者タクト殿」
国王は私に再度問いかける。
「はい」
私は再び国王を見る。そのまなざしからは先ほどの冷淡さが少し和らいでいるように見える。
「先ほどは取り乱してしまいすまない。実は貴殿を呼び寄せたのには理由があってな」
国王は少し頭を上に向け、事情を話してくれた。
「我々人間は長きにわたり、魔界に棲む魔族との戦争に明け暮れていた。それが三十年前、突然魔族からの侵攻が途切れ、平和が訪れた」
「そうなのですか」
「ああ。だが儂は魔族達がそう簡単に人間の支配を諦めたと思えなくてな、ずっと魔族の根絶のため準備してきたのだ。そして先日神託が下った。儂はこれを魔族根絶の機と見ておるのだ」
国王は私達に向き直り、鋭い目で続ける。
「異世界から来たりし同胞よ。どうか魔族根絶のために力を貸してほしい。それが儂達人間の悲願なのだ」
「魔族……ですか」
「そうだ」
魔族の存在。国王の意思をひしひしと感じる。
「わかりました。力を尽くします」
私は国王に圧倒されつつも返答する。もちろん自信があるわけではないが。
「よい返事だ。頼んだぞ」
国王は席を立つと、臣下達を従え部屋を出て行った。張りつめた空気がかすかに残っている。
「ふぅ……」
私は国王達が部屋を出るのを確認するや、ガクッと床に崩れ落ちてしまう。
「お疲れ様でした。タクト様」
「みっともない姿で申し訳ないです」
「いいえ、立派に謁見を務めていただき感謝します」
エレノーラがねぎらってくれる。私達はどうにか謁見を乗り切ることができた。
「それとエレノーラさん、私のことはタクトでいいですよ」
「そうですか、わかりました。これからよろしくお願いしますね、タクト」
「こちらこそ、エレノーラさん」
私達は微笑みあい握手を交わす。こうして私の異世界での日々が始まったのである。
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