冴えない社畜、異世界で最凶聖女に地獄指導されて魔王軍に挑む

ワスレナ

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第3話 この世界について

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 国王への謁見えっけんが終わり、私達は一息ついている。

「ここでの儀式は終わりました。一旦私の部屋へ戻りますね」

「はい、わかりました」

 エレノーラが目を閉じると、私達の足元に魔法陣が浮かび上がる。

「えっ!?」

「テレポート!」

 エレノーラが呪文を唱えると、私達の身体を魔法陣が包み込み、次の瞬間見知らぬ部屋へと転移する。

 部屋は石造りで窓はなく、質素な家具調度品が並んでいる。明らかに先ほどいた空間とは別物だ。

「お疲れ様でした。ひどく緊張させてしまいましたね」

 エレノーラが涼しげな顔で私にびる。だが私の関心はそこではなかった。

「いいえ。それより一体何が起こったんですか!? ここはどこなんですか?」

「私の部屋ですよ。 テレポートで転移したのです」

「テレポート? まさか魔法!?」

「ええ、その通りですわ」

 エレノーラは魔法テレポートを発動し、クラヴェール城内から十数キロ離れたカルシミール大聖堂へと転移したのだ。この世界には魔法が存在するのか。

「おそらく貴方の場合、この程度の魔法ならすぐに使えるようになるでしょう」

「えっ!」

 思わず声を上げてしまう。私の驚く様子に彼女は少しあきれ気味で答える。

「言ったでしょう。私が貴方に教えると」

「というか、私は魔法なんて使えないよ。今までそんな人に出会った事もなかったし」

 私の答えにエレノーラが反応する。

「貴方に魔法を操る能力も資質も備わっていることは先ほどわかっております。ですから私が教えると言っているのです」

 私は信じられない気持ちでいっぱいだったが、彼女が嘘を言っているとも思えない。

「わかりました。ぜひ教えてください」

「と、その前に」

 エレノーラは私に対して前置きする。

「タクトにこの世界についてお話いたします。まだ来たばかりで何もご存じないでしょうから」

「あ、確かに。お願いします、エレノーラさん」

 ずっと気が動転していたから、世界のことまで考える余裕がなかった。

「承知しました。まず、この世界は……」

 エレノーラの説明は二十分以上に及んだ。要約するとこの世界は一つの大きな大陸に八つの国家が存在するそうだ。

 この国クラヴェール王国もその一つ。大陸の北東部に位置し、冬はとても寒く夏は涼しいそうだ。

 北西にアルーナ王国、東部にサレシアル王国、中央にグラコスタ帝国、西部にルシフォール公国、南西にバシルーン共和国、南部にミリカネラ王国とマーナテル帝国が存在する。

 特筆すべきは、この世界には魔法と錬金術が存在する。

 種族に関しては人間だけでなく、エルフ族やドワーフ族、巨人族や妖精族なども存在する。そして魔物の存在も確認されているという。

 ということはここは剣と魔法のファンタジー世界ではないのか。

 ここで私は一つの可能性に行き着く。私が前の世界でプレイしていたMMORPG「ブレイドアンドマジック」だ。

 もしそうであれば、プレイしていたデータが使えるかもしれない。

 いや待て。「ブレイドアンドマジック」にはエレノーラから教えてもらった国は確か登場していない。そしてエレノーラや国王の事も私は知らなかった。

「どうかしましたか?」

 思案している私を見てエレノーラが声をかけてきた。

「いや、何でもありません」

「色々あってお疲れのことでしょう。今日はもうお休みになってください」

「ありがとうございます」

 私はエレノーラの厚意に甘えることにした。色々な事が一気に押し寄せて疲れている。

「クララ、入ってきてください」

 少しすると一人の女性が入室してきた。

「使用人の一人、クララです。彼女に案内させます」

「クララと申します。以後、よろしくお願いいたします」

 彼女は深く一礼し私を見る。りんとした中にもどこか幼さを残している。

「タクトと申します。よろしくお願いします」

 私も一礼し挨拶を返す。その後クララは私を空いている部屋へ案内してくれた。

 部屋には質素な家具とベッドが備わっている。私は一通り確認すると、ベッドに倒れ込みそのまま深い眠りについた。
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