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第19話 戦争当日
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サレシアル王国との戦争当日の朝、私は心地よく起床する。朝食をしっかり食べ、気力体力とも充実した状態だ。
敵地へ向かう時間の十五分前にエレノーラ様と落ち合い、簡単な打合せをする。
約束の時間に近衛師団長が私とエレノーラ様を迎えに来た。私達はグレーター・テレポートで敵国のグレル闘技場へと転移する。
敵国の軍団長が私達を出迎え、近衛師団長が相手側から出された書類にサインして提出する。
「これで手続きは完了です。タクト殿、あとはよろしくお願いします」
「ありがとうございます。わかりました」
私はうなずき、エレノーラ様とともに闘技場内部に向かう。戦争のため、関係者以外は来場していない。
敵側の兵士に先導され私達は控え室のような場所に通され、準備をするよう言われる。
「五分後に迎えに来ます。それまでにお願いします」
「わかりました」
兵士が去り、エレノーラ様と二人になる。彼女が念のためと隔絶領域をかけてくれる。
「タクト、準備は出来ていますか?」
「はい。打合せ通り準備してきています。体調も問題ありません」
「わかりました。前もって伝えておきますが今回、危険が及ぶため陛下や敵国の国王などの重要人物は来ておりません。関係者も屈強の戦士ばかりです」
「そうなんですか? これでも戦争なのでしょうか?」
「ええ。多くの血が流れぬよう各国で決めたことなのです。ただ、軍事力が衰退しないようダンジョン攻略や軍隊演武、闘技大会などの競技が存在しています」
なるほど。この世界の人間達が編みだした知恵なわけか。戦争は無いに越したことはないが、多くの死者や負傷者が出ない方がいいに決まっている。
「聖女の私が言うのも何ですが、戦争ですので相手を殺してしまっても構いません。当然相手も殺意を持って挑んできます。特に心配していませんが、その事だけは心に留めておいてくださいね」
「は、はい」
特に心配していないって、師匠……。ま、まあ信頼してるってことか。
「最悪殺してしまってもあとで復活させますよ」
「そうですね。その判断は国王に委ねられる権限ですので心象は悪くなるかもしれません。ですが人命の問題ですので、好きにして結構ですわ」
「わかりました」
直後エレノーラ様が少し険しい表情で続ける。
「タクト、戦争前に言うべきことではないかもしれませんが」
「はい、何ですか?」
「国王陛下にはくれぐれも気をつけてください」
「国王……ですか?」
確かに初めて謁見した時は冷淡な印象を受けた。ひりつく空気感も感じた。それは国王という最高権威者だからではないのか。
「心を許さず、節度をもって接してください。もてはやされても調子に乗らないように」
「はい」
「どんなにいい待遇を受けたとしても隙を見せてはいけません。いいですね」
エレノーラ様の目に曇りはない。
「それって、人として信用するなという事でしょうか」
「ええ。何故なのかはそのうちわかってきます」
聖女とは思えない助言だ。だが彼女はまぎれもない聖人。どちらを信じるか、いや、比べるまでもない。
「肝に銘じます、師匠」
ちょうどその時先ほどの兵士の足音がする。エレノーラ様が隔絶領域を解除する。
「タクト、私は観客席で見ております。よろしく頼みましたよ」
「はい、行ってきます」
エレノーラ様と別れ、私は兵士に先導されて闘技場の舞台へと向かう。外の光が少し眩しい。
舞台に出ると、すでに戦う相手が待機して立っている。国同士の運命を握る戦いが始まろうとしていた。
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敵地へ向かう時間の十五分前にエレノーラ様と落ち合い、簡単な打合せをする。
約束の時間に近衛師団長が私とエレノーラ様を迎えに来た。私達はグレーター・テレポートで敵国のグレル闘技場へと転移する。
敵国の軍団長が私達を出迎え、近衛師団長が相手側から出された書類にサインして提出する。
「これで手続きは完了です。タクト殿、あとはよろしくお願いします」
「ありがとうございます。わかりました」
私はうなずき、エレノーラ様とともに闘技場内部に向かう。戦争のため、関係者以外は来場していない。
敵側の兵士に先導され私達は控え室のような場所に通され、準備をするよう言われる。
「五分後に迎えに来ます。それまでにお願いします」
「わかりました」
兵士が去り、エレノーラ様と二人になる。彼女が念のためと隔絶領域をかけてくれる。
「タクト、準備は出来ていますか?」
「はい。打合せ通り準備してきています。体調も問題ありません」
「わかりました。前もって伝えておきますが今回、危険が及ぶため陛下や敵国の国王などの重要人物は来ておりません。関係者も屈強の戦士ばかりです」
「そうなんですか? これでも戦争なのでしょうか?」
「ええ。多くの血が流れぬよう各国で決めたことなのです。ただ、軍事力が衰退しないようダンジョン攻略や軍隊演武、闘技大会などの競技が存在しています」
なるほど。この世界の人間達が編みだした知恵なわけか。戦争は無いに越したことはないが、多くの死者や負傷者が出ない方がいいに決まっている。
「聖女の私が言うのも何ですが、戦争ですので相手を殺してしまっても構いません。当然相手も殺意を持って挑んできます。特に心配していませんが、その事だけは心に留めておいてくださいね」
「は、はい」
特に心配していないって、師匠……。ま、まあ信頼してるってことか。
「最悪殺してしまってもあとで復活させますよ」
「そうですね。その判断は国王に委ねられる権限ですので心象は悪くなるかもしれません。ですが人命の問題ですので、好きにして結構ですわ」
「わかりました」
直後エレノーラ様が少し険しい表情で続ける。
「タクト、戦争前に言うべきことではないかもしれませんが」
「はい、何ですか?」
「国王陛下にはくれぐれも気をつけてください」
「国王……ですか?」
確かに初めて謁見した時は冷淡な印象を受けた。ひりつく空気感も感じた。それは国王という最高権威者だからではないのか。
「心を許さず、節度をもって接してください。もてはやされても調子に乗らないように」
「はい」
「どんなにいい待遇を受けたとしても隙を見せてはいけません。いいですね」
エレノーラ様の目に曇りはない。
「それって、人として信用するなという事でしょうか」
「ええ。何故なのかはそのうちわかってきます」
聖女とは思えない助言だ。だが彼女はまぎれもない聖人。どちらを信じるか、いや、比べるまでもない。
「肝に銘じます、師匠」
ちょうどその時先ほどの兵士の足音がする。エレノーラ様が隔絶領域を解除する。
「タクト、私は観客席で見ております。よろしく頼みましたよ」
「はい、行ってきます」
エレノーラ様と別れ、私は兵士に先導されて闘技場の舞台へと向かう。外の光が少し眩しい。
舞台に出ると、すでに戦う相手が待機して立っている。国同士の運命を握る戦いが始まろうとしていた。
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