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28・特待生のクラス
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ベルーザ先生に特待生クラスに行くように言われた日の昼に入ってすぐ。食堂に行くついでにリュネーにその事を話したら、すごく悲しい目をされてしまった。
「じゃあ……午後の授業はティアちゃんとは別々になるんだね……」
「そういう事になるけど……何もそんな顔しなくても……」
「だって……友達と一緒に授業受けたかったから……」
いつも受けてるでしょう? って言いたかったけれど、雰囲気的に言えそうになかった。仕方がないから、とりあえず頭を撫でて落ち着かせることにする。私の方が背が低いから周りからみたらお姉さんを慰める年下の女の子みたいに見えるかもしれない。
リュネーはどこか『友達』を特別視っていうか……大切にしすぎてるような気がする。それはレイアにも言える事なんだけど……彼女はクリム先輩との一件でそういう風になった。だけどリュネーは前からそんな感じがする。
何かあるんだと思うけど……彼女が打ち明けない限り、私も必要以上に干渉しないようにしてる。なんでもかんでも話して共有し合うだけが友達ってわけじゃないしね。
「ほら、別に放課後も一緒に帰れない訳じゃないから……ね?」
「……うん」
まだ納得いってない様子だったリュネーだけど、あまり言いすぎて私の事を困らせたくなかったみたいで、一応頷いてはくれた。
「それより早くお昼済ませないと、チャイムが鳴ったらおなかすいたままで授業受ける事になるわよ?」
「……うん! 訓練も魔導の練習も、おなか減ってたら出来ないしね」
暗くなった雰囲気を打ち壊すように、リュネーは食堂の方に駆け出して行った。何はともあれ、少しでも彼女に元気が戻ってきて良かった。流石に暗いままだと……後々会い辛くなっちゃうから、ね。
――
お昼を済ませて午後の授業に向かった私は、何故か二年生の教室のある階の左端にある特待生クラスの教室の前に立っていた。ベルーザ先生の話だと、ここに待っていれば特待生クラスの先生がやってくるから、その先生と一緒に教室に入れば良いって話だったけれど……こういう風に立っていると、まるで悪い事をして立たされてるようにも見えるのは気のせいかな?
「貴女がエールティアさんですね」
しばらくして現れたのは、ドワーフ族の女の人(?)だった。私よりは少しだけ高いけれど、ちょっと幼い生徒って言われても違和感ないくらい。日焼けしたような肌に水色の髪っていうのがちょっと珍しいような気もする。
「どうしました? ……ああ、私の背の事ですね。大丈夫ですよ。これでも私、成人してますから」
「ああ、そうですか……申し訳ありません。つい失礼な事を……」
「いいえ、構いませんよ。それでは改めまして……私はアイリア・セエル。この特待生クラスの担任です。よろしくお願いしますね」
無表情……というか、感情に乏しいアイリア先生はそのまま教室の扉を開けると、私に入るように促してくれた。そのまま入ると、中にいた生徒のみんなが一斉にこっちを見てくる。
まるで見世物になった気分を味わいながら、私は教壇の近くまで行って、アイリア先生は私の後ろを通って教壇に立った。
私に注目してくる視線を感じながら、ザッと周囲を見回してみると……私がいる本来のクラスと違って随分少ない。一つのクラスが三十人程度だとすると、半分くらい。
興味深そうに見てたり、なんだか妖しい目で見られたり……そんな中で、一つだけやたら睨み付けてくる視線を感じた。
それを辿っていくと……一人の男の子に行き着いた。白銀に輝く髪と狐の耳がすごく綺麗で、切れ長の白い瞳は、眼鏡に飾られてより一層賢さを際立たせているように見える。
少なくとも、全く会った事のない顔で……なんでそんなに睨まれるのかわからなかった。
「はい。それでは新しいクラスメイト……と言っても午後にする魔導と戦闘の訓練にだけ参加する子なんですが、皆さん仲良くするように」
「……エールティア・リシュファスです。よろしくお願いします」
さっきの視線に困惑しながら、取り敢えず挨拶をして頭を下げた。最初の印象が(最悪みたいだけど)肝心なのだ。ここで躓いたら、全てが台無しになる。
「……せんせー、俺、その子の決闘見たことあるけどー……一年生じゃなかったっけー?」
間延びした声で、どこか気怠げにエルフ族特有の耳を持ってる緑の髪の男の子が話すと、何人かの生徒が示し合わせたかのように頷いてる。
「彼女の実力を考えた結果、ここに来てもらう事になりました。魔導にのみ関して言えば、既に二年生である皆さんと同等以上の力を持っていると思われます。彼女が一年生だからと言って、仲間外れにしないようにしてくださいね」
「……え?」
何か重要な事を聞いた気がする。いや、ここが二年生の教室近くにあるって時点で少しは察していたけれど、まさかそんなことはないだろうって思ってた。
でも、今アイリア先生と生徒の男の子のやりとりではっきりとわかった。ここにいる一年生は私だけで……後はみんな二年生だってことに。
「じゃあ……午後の授業はティアちゃんとは別々になるんだね……」
「そういう事になるけど……何もそんな顔しなくても……」
「だって……友達と一緒に授業受けたかったから……」
いつも受けてるでしょう? って言いたかったけれど、雰囲気的に言えそうになかった。仕方がないから、とりあえず頭を撫でて落ち着かせることにする。私の方が背が低いから周りからみたらお姉さんを慰める年下の女の子みたいに見えるかもしれない。
リュネーはどこか『友達』を特別視っていうか……大切にしすぎてるような気がする。それはレイアにも言える事なんだけど……彼女はクリム先輩との一件でそういう風になった。だけどリュネーは前からそんな感じがする。
何かあるんだと思うけど……彼女が打ち明けない限り、私も必要以上に干渉しないようにしてる。なんでもかんでも話して共有し合うだけが友達ってわけじゃないしね。
「ほら、別に放課後も一緒に帰れない訳じゃないから……ね?」
「……うん」
まだ納得いってない様子だったリュネーだけど、あまり言いすぎて私の事を困らせたくなかったみたいで、一応頷いてはくれた。
「それより早くお昼済ませないと、チャイムが鳴ったらおなかすいたままで授業受ける事になるわよ?」
「……うん! 訓練も魔導の練習も、おなか減ってたら出来ないしね」
暗くなった雰囲気を打ち壊すように、リュネーは食堂の方に駆け出して行った。何はともあれ、少しでも彼女に元気が戻ってきて良かった。流石に暗いままだと……後々会い辛くなっちゃうから、ね。
――
お昼を済ませて午後の授業に向かった私は、何故か二年生の教室のある階の左端にある特待生クラスの教室の前に立っていた。ベルーザ先生の話だと、ここに待っていれば特待生クラスの先生がやってくるから、その先生と一緒に教室に入れば良いって話だったけれど……こういう風に立っていると、まるで悪い事をして立たされてるようにも見えるのは気のせいかな?
「貴女がエールティアさんですね」
しばらくして現れたのは、ドワーフ族の女の人(?)だった。私よりは少しだけ高いけれど、ちょっと幼い生徒って言われても違和感ないくらい。日焼けしたような肌に水色の髪っていうのがちょっと珍しいような気もする。
「どうしました? ……ああ、私の背の事ですね。大丈夫ですよ。これでも私、成人してますから」
「ああ、そうですか……申し訳ありません。つい失礼な事を……」
「いいえ、構いませんよ。それでは改めまして……私はアイリア・セエル。この特待生クラスの担任です。よろしくお願いしますね」
無表情……というか、感情に乏しいアイリア先生はそのまま教室の扉を開けると、私に入るように促してくれた。そのまま入ると、中にいた生徒のみんなが一斉にこっちを見てくる。
まるで見世物になった気分を味わいながら、私は教壇の近くまで行って、アイリア先生は私の後ろを通って教壇に立った。
私に注目してくる視線を感じながら、ザッと周囲を見回してみると……私がいる本来のクラスと違って随分少ない。一つのクラスが三十人程度だとすると、半分くらい。
興味深そうに見てたり、なんだか妖しい目で見られたり……そんな中で、一つだけやたら睨み付けてくる視線を感じた。
それを辿っていくと……一人の男の子に行き着いた。白銀に輝く髪と狐の耳がすごく綺麗で、切れ長の白い瞳は、眼鏡に飾られてより一層賢さを際立たせているように見える。
少なくとも、全く会った事のない顔で……なんでそんなに睨まれるのかわからなかった。
「はい。それでは新しいクラスメイト……と言っても午後にする魔導と戦闘の訓練にだけ参加する子なんですが、皆さん仲良くするように」
「……エールティア・リシュファスです。よろしくお願いします」
さっきの視線に困惑しながら、取り敢えず挨拶をして頭を下げた。最初の印象が(最悪みたいだけど)肝心なのだ。ここで躓いたら、全てが台無しになる。
「……せんせー、俺、その子の決闘見たことあるけどー……一年生じゃなかったっけー?」
間延びした声で、どこか気怠げにエルフ族特有の耳を持ってる緑の髪の男の子が話すと、何人かの生徒が示し合わせたかのように頷いてる。
「彼女の実力を考えた結果、ここに来てもらう事になりました。魔導にのみ関して言えば、既に二年生である皆さんと同等以上の力を持っていると思われます。彼女が一年生だからと言って、仲間外れにしないようにしてくださいね」
「……え?」
何か重要な事を聞いた気がする。いや、ここが二年生の教室近くにあるって時点で少しは察していたけれど、まさかそんなことはないだろうって思ってた。
でも、今アイリア先生と生徒の男の子のやりとりではっきりとわかった。ここにいる一年生は私だけで……後はみんな二年生だってことに。
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