奴隷身分ゆえ騎士団に殺された俺は、自分だけが発見した【炎氷魔法】で無双する 〜自分が受けた痛みは倍返しする〜

ファンタスティック小説家

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オオカミ少年 前編

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 浮雲屋敷をあとにした俺は、ブワロ村を迷いない足取りで横断していた。

 ただいま、ウィリアムが用意してくれた俺を住まわせてくれるという心優しい人の家へむかっている途中だ。

 そこを仮拠点として、俺は王都出発にむけて準備を始めようと思っている。

「今日も平和だな、この村は」
「ふくふく」

 のどかなブワロ村の畑をぶらぶら歩きながら、道行く村民たちに挨拶をする。

「ヘンドリック様、すこしよろしいですか」
「どうしましたか」

 すれ違いざまに不安そうな顔をした村民の話を聞くと、なにやら子どもたちの間でいざこざがあるらしいと教えてもらった。

 認知してるならお前がとめてやれよ、とも思わなくもなかったが……まあ、仕方ない。

 もう貴族ではないが、それは村民たちの預かり知らぬところ。
 
「ヘンリー、これは私たちの使命の予感がしますね」
「そうだな、今の俺はさながら家を失い、アテもなくさまよう流浪人だ。新しい家に行く前に、人助けのひとつでもしてこうか」

 トランク片手に俺は畑道を駆けだした。


 ──しばらく後


 森の近くの廃屋へやってきた。
 今は使われていない納屋が何軒かある。

 ここら辺で村の子どもが遊んでいると聞いたが、あっているだろうか。

「こっちくるな、バケモノ!」

 聞き逃せない罵声が聞こえてきた。
 俺は駆け足で現場へむかう事とする。

「ケモノ耳! 森へかえれー!」
「けむくじゃらのモンスターめ、この俺さまが退治してやるぞっ!」
「ひぃ、やめ、やめてよ……っ」

 少年数人がかりがひとりをイジめていた。
 歳の頃は9歳ほど。木の枝を勇者の剣のようにもち、それを容赦なくふりおろした。

「痛いッ、痛いよ、やめて…!」
「なんだよ、ただの木の枝だろ! モンスターならこんなんじゃ痛がらないぞ!」

 もう一度、大将らしいガキが木の枝をふりおろす。させるか。俺は両者のあいだに駆けこみ、少年を守るべく立ちふさがった。
 
 突然現れた帯剣する俺の姿に、いじめ少年たちは見るからに動揺していた。

「な、なんだよ、おまえ!」
「ヘンドリック……ヘンドリック浮雲だ。浮雲家当主ウィリアム浮雲が第一の息子である」

 丁寧に名乗ってやっても少年たちの頭のうえにはクエスチョンマークが浮かんでいる。

 さっそく嘘をついてしまった。
 この方が事態を解決しやすいと思ったが……大丈夫だったか? 
 うーん、まあ、今日くらいは貴族の権威をかりても問題ないよな。

 ひとり納得して自分を正当化する。

「浮雲? だからなんだよ!」

 大将はへっと出所不明の自信を顔にはりつけて言った。

 言わんとわからんのか。

「俺は貴族だ」
「っ、お貴族様……? でも、まだ子どもじゃん……」

 ようやく伝わったらしい。

 地方騎士としてブワロ村の治安を守っているウィリアムは、有事の際以外は、基本的に″散歩してる人″くらいにしか認識されてない。
 遊ぶことが仕事の子どもたちともなれば、騎士貴族のこと知らなくても仕方ないか。

「イジメは悪いことだ。今すぐこの子に謝れ、お前たち」
「いやだね、そいつが悪いんだ」
「俺の目にはそうは見えなかったが」
「だって、そいつ、俺さまの髪に勝手に触ったんだ!」

 それでキレるのもよくわからんな。

 イジめられていた少年に視線をむける。
 その容姿を見て、俺はハッと息を呑んだ。
 少年は獣人であったのだ。



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