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俺はまぶたを閉じて師匠のあたたかな言葉をかみしめる。
彼女の声は脳内再生余裕だ。
「ありがとうございます、師匠」
俺は手紙を綺麗におりたたみ、封筒にしまって、同封されていた推薦書を手にとる。
厳かな印の封蝋がされていた。
これは師匠の身分を保証するものだろう。
俺は彼女の手紙と、魔術大学の推薦書を引き出しの奥深くに大事にしまった。
窓を開いて、口笛をふく。
遠くまでよく響く音は練習の成果だ。
とおくの空からラテナが帰ってきた。
俺の口笛で彼女には、すぐ戻ってくるようにしてもらっているのだ。
「どうしましたか、ヘンドリック」
ラテナは俺の腕にとまって、耳をつんつん甘噛みしてくる。最近の彼女は俺の耳がお気に入りらしい。
「アルカマジ王立魔術大学ってどこにあるか知っているか?」
「魔術王国の名門魔術学校ですか。そこならアルカマジの片田舎にあるといいますよ」
「田舎なのか。てっきり王都にあると思ったけど」
「王都と比較しても遜色ないくらい大きな学園都市が築かれているらしいですね。アルカマジには学校の数だけ都市があるんです」
どうすれば入学できるのか聞くと、金出せば入れるとだけ答えが返ったきた。
「面接みたいなのはあるようですが」
「年齢制限はある? 俺は今からでも入れるか?」
「ヘンリーはすこし若すぎますかね。一番下が12歳くらいだった気がします」
あと3年は入学できないか。
師匠も推薦書を大事にしまっておけとか言ってたし、時間かかるとは思ったけど。
「オーケー、だいたいわかった」
「お役に立てて光栄です、ふくふく」
俺はラテナを空へかえして部屋に戻る。
将来は決まった。
師匠の母校に入学して魔術世界で名をあげる。
それで、いつか師匠に再会するんだ。
1日1万のホットじゃ生温い。
今日から1日2万回感謝のホット開始だ。
─────────────
───────────
──転生から2年が経過した
師匠と別れて半年以上がたった。
俺は9歳になり身体も大きくなっていた。
それにともないウィリアムの1日における剣術指南の時間がどんどん増えてきている。
今ではパリィ、受け流し、防御、カウンターに重きを置いた銀狼流剣術も結構身についてきた。
まだ一段だが、それでも以前の俺とは比べ物にならないくらいにも強くなれている。
──ある日の稽古
「流石はヘンリーだ、ほんとうに飲み込みがはやいぞ。12歳までに二段まで獲得できれば、ソーディア騎士学校でも大注目間違いなしだ」
「ええ、そうですね。ソーディア騎士学校……学校……? ぇ、父さん今なんて?」
俺は汗をぬぐいながら聞きかえすと、ウィリアムは目をまるくした。
「話してなかったか? 騎士になるためには騎士学校に行かないといけない。騎士の跡取りでもそれは変わらなくてな。俺がどんなに国にお願いしても、ここはどうにもならないんだ」
「あー……えっと……」
話を聞くとウィリアムは、あたかも俺が騎士になることが当然のように言ってきた。
12歳になってからソーディア領最大の街にあるソーディア騎士学校にて、知識と経験をつみ卒業して晴れて一介の騎士になると。
「浮雲家は父さんで一代目だからな、ここから歴史を積みあげていくんだぞ。はは、いっしょに頑張ろうな、ヘンリー」
歴史を重ねる魔術師の家系があるように、武勲を積みあげる騎士の家系もある。
俺はつまり″こっち側″なわけだ。
だが、俺は騎士になりたくない。
騎士学校ではなく、魔術学校にいきたい。
師匠がそう期待してくれたように。
「……そろそろ頃合いもいいだろ」
師匠が旅立ちはやいもので半年。
俺は打倒団長のために、ずっと上級騎士というひとつの実力ラインを観察してきた。
そろそろ、踏み込んだデータを恐れずに取りにいくべきだ。
「ん? どうしたんだ、ヘンリー」
俺はギラついた目で、顔の汗をぬぐったタオルを、芝生のうえに叩きつけた。
ウィリアムは目を見開き、ポカンと口をあけた。
タオルを叩きつける行為は騎士王国において決闘の申し込みを意味する。
古来では左手の手袋をたたきつけるのが、慣習だったが、今ではタオルでも同じ意味をもつ。
「……」
ウィリアムは訳がわからず困惑しているようだった。
それもそのはず。
タオルの叩きつけ方次第では「手合わせお願いします」から「どちらかが死ぬまでやろう」と、決闘の本気度を幅広くとれるのだ。
ちなみに俺はめっちゃ強く叩きつけた。
「…………拾え」
「拾いません」
父親の冷たい声に俺は断固としてかえす。
彼女の声は脳内再生余裕だ。
「ありがとうございます、師匠」
俺は手紙を綺麗におりたたみ、封筒にしまって、同封されていた推薦書を手にとる。
厳かな印の封蝋がされていた。
これは師匠の身分を保証するものだろう。
俺は彼女の手紙と、魔術大学の推薦書を引き出しの奥深くに大事にしまった。
窓を開いて、口笛をふく。
遠くまでよく響く音は練習の成果だ。
とおくの空からラテナが帰ってきた。
俺の口笛で彼女には、すぐ戻ってくるようにしてもらっているのだ。
「どうしましたか、ヘンドリック」
ラテナは俺の腕にとまって、耳をつんつん甘噛みしてくる。最近の彼女は俺の耳がお気に入りらしい。
「アルカマジ王立魔術大学ってどこにあるか知っているか?」
「魔術王国の名門魔術学校ですか。そこならアルカマジの片田舎にあるといいますよ」
「田舎なのか。てっきり王都にあると思ったけど」
「王都と比較しても遜色ないくらい大きな学園都市が築かれているらしいですね。アルカマジには学校の数だけ都市があるんです」
どうすれば入学できるのか聞くと、金出せば入れるとだけ答えが返ったきた。
「面接みたいなのはあるようですが」
「年齢制限はある? 俺は今からでも入れるか?」
「ヘンリーはすこし若すぎますかね。一番下が12歳くらいだった気がします」
あと3年は入学できないか。
師匠も推薦書を大事にしまっておけとか言ってたし、時間かかるとは思ったけど。
「オーケー、だいたいわかった」
「お役に立てて光栄です、ふくふく」
俺はラテナを空へかえして部屋に戻る。
将来は決まった。
師匠の母校に入学して魔術世界で名をあげる。
それで、いつか師匠に再会するんだ。
1日1万のホットじゃ生温い。
今日から1日2万回感謝のホット開始だ。
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──転生から2年が経過した
師匠と別れて半年以上がたった。
俺は9歳になり身体も大きくなっていた。
それにともないウィリアムの1日における剣術指南の時間がどんどん増えてきている。
今ではパリィ、受け流し、防御、カウンターに重きを置いた銀狼流剣術も結構身についてきた。
まだ一段だが、それでも以前の俺とは比べ物にならないくらいにも強くなれている。
──ある日の稽古
「流石はヘンリーだ、ほんとうに飲み込みがはやいぞ。12歳までに二段まで獲得できれば、ソーディア騎士学校でも大注目間違いなしだ」
「ええ、そうですね。ソーディア騎士学校……学校……? ぇ、父さん今なんて?」
俺は汗をぬぐいながら聞きかえすと、ウィリアムは目をまるくした。
「話してなかったか? 騎士になるためには騎士学校に行かないといけない。騎士の跡取りでもそれは変わらなくてな。俺がどんなに国にお願いしても、ここはどうにもならないんだ」
「あー……えっと……」
話を聞くとウィリアムは、あたかも俺が騎士になることが当然のように言ってきた。
12歳になってからソーディア領最大の街にあるソーディア騎士学校にて、知識と経験をつみ卒業して晴れて一介の騎士になると。
「浮雲家は父さんで一代目だからな、ここから歴史を積みあげていくんだぞ。はは、いっしょに頑張ろうな、ヘンリー」
歴史を重ねる魔術師の家系があるように、武勲を積みあげる騎士の家系もある。
俺はつまり″こっち側″なわけだ。
だが、俺は騎士になりたくない。
騎士学校ではなく、魔術学校にいきたい。
師匠がそう期待してくれたように。
「……そろそろ頃合いもいいだろ」
師匠が旅立ちはやいもので半年。
俺は打倒団長のために、ずっと上級騎士というひとつの実力ラインを観察してきた。
そろそろ、踏み込んだデータを恐れずに取りにいくべきだ。
「ん? どうしたんだ、ヘンリー」
俺はギラついた目で、顔の汗をぬぐったタオルを、芝生のうえに叩きつけた。
ウィリアムは目を見開き、ポカンと口をあけた。
タオルを叩きつける行為は騎士王国において決闘の申し込みを意味する。
古来では左手の手袋をたたきつけるのが、慣習だったが、今ではタオルでも同じ意味をもつ。
「……」
ウィリアムは訳がわからず困惑しているようだった。
それもそのはず。
タオルの叩きつけ方次第では「手合わせお願いします」から「どちらかが死ぬまでやろう」と、決闘の本気度を幅広くとれるのだ。
ちなみに俺はめっちゃ強く叩きつけた。
「…………拾え」
「拾いません」
父親の冷たい声に俺は断固としてかえす。
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