奴隷身分ゆえ騎士団に殺された俺は、自分だけが発見した【炎氷魔法】で無双する 〜自分が受けた痛みは倍返しする〜

ファンタスティック小説家

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お前が決めろ

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「お前も騎士貴族なら、その布の意味はわかっているんだろう。ヘンリー、助長したか。すこし褒めたから調子に乗ったのか?」
「乗ってないです」
「いいや、明らかに調子づいてるだろ。身内だからいい。こんなこと他の騎士貴族や領地貴族の前でやってみろ? 冗談じゃ済まされないぞ」
「冗談のつもりはありません。父さん、僕は騎士になりたくないんです。善悪の問題じゃない、僕はこう生きようって決めたんです」

 ウィリアムはますますわからない顔をするが、ふと何か思い至ったような顔になる。

「フォッコ先生か。……そうか。魔術を扱える騎士は芸達者な浮雲の家系にふさわしいと思ったのにな。まさか、こうなるとは」

 目頭を押さえて「失敗したか……」とウィリアムは疲れた声をもらした。

 俺の今回の決闘は打算的な目的もふくまれている。
 
 ひとつ目の目的は、もちろんウィリアム浮雲という上級騎士の実力を知ること。
 今の俺がどれくらい通用するかを見て、団長を討てるのかどうかを判断する。

 ふたつ目の目的は、ソーディア騎士学校などに行って、浮雲家を継ぐつもりはないことを、しっかりとウィリアムに伝えること。
 これが通らないのならば、俺の二度目の人生はそうそうに無意味なモノになる。

 今度こそ俺は俺のためだけに生きる。
 
 これらの目的を果たすための、建前上の決闘理由が王立魔術大学であり、本音もまた王立魔術大学だ。

「僕はアルカマジの王立魔術大学に行きたいんです」
「噂に名高い学園都市だな。ふむ、それだから浮雲家を継げないと?」

 ウィリアムの声がすこし柔らかくなる。

「そうだな、うんうん。フォッコ先生は魅力的だったもんな」
「ん……? あれ怒ってないんですか?」

 おかしい、ウィリアムからピリピリした覇気がどんどん無くなっていく。
 
「怒ってないさ。本音を言うとな、お前が魔術に夢中になってたのは気がついてたんだ。俺の剣術稽古より、フォッコ先生との魔術授業のほうが100倍くらい楽しそうにしてたからな」
「あ、それは……すみません……」

 俺のことが大好きなウィリアムとしては、さぞ辛かっただろうに。

「俺も本家クラウディア家で家督を継ぐのが嫌で、分家として浮雲家を起こしたクチだからな、お前の気持ちはわかる」

 クラウディアはウィリアムの旧姓だ。
 つまり、彼の実家である。
 
 11代続くアライアンスでも有数の騎士貴族の家系であり、ウィリアムはそこの次期当主だったが、逃げてきて別の家を作った経緯がある。

 波乱の人生を歩んだウィリアムは、俺の一斉蜂起にも理解を示してしまったのだ。

「いいぞ、行きたいなら行ってこいよ、大好きな女は隣国まで追いかけるもんだ」

 昔を懐かしむようにウィリアムは、屋敷のほうへチラッと視線をうつす。
 カリーナとの馴れ初めでも思い出しているのかもしれない。

 って違うって。
 いや、だめだろ。
 そこは「継がないなど許さん!」って言って、俺と本気の戦いをするところだろう。

「ふふ、だがな、ヘンドリック浮雲」

 ウィリアムの口調が改まったものに変わり、オレンジ色の瞳がギラリと輝く。

「自分の好きなようにやりたいなら、まずはチカラを示さなくちゃならない」

 ウィリアムは木剣を放り捨てて、武器ラックから鋼の直剣を2本とった。
 彼の体のまわりにオーラがうねり、とめどなく溢れる気迫が目に見えるようだった。

 俺は一歩後退してしまう。
 冷や汗がダラダラと流れてきた。

「弱いのに『ああしたい』『こうしたい』なんてほざいたってそんなの世間じゃ通らない。俺だってクラウディアを抜ける為に、親父の左腕を落として来たんだ」
「……ッ」
「ヘンリー、浮雲を継ぎたくないなら、俺にチカラを示してみろ。出来なきゃ口だけ達者な小便小僧ごときに、広い世界なんて歩けやしないぞ」

 ウィリアムに真剣を投げ渡される。
 俺は木剣をすてて、それを受け取った。
 鋼の刃はとても重かった。

「お前が決めろ」

 俺は長く息を吐きつくす。
 そして、無言で刃を構えた。
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