奴隷身分ゆえ騎士団に殺された俺は、自分だけが発見した【炎氷魔法】で無双する 〜自分が受けた痛みは倍返しする〜

ファンタスティック小説家

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オオカミ少女 中編

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 ──しばらく後


 秒針が時を刻む音がやけにおおきい。
 静まりかえった屋敷の地下部屋で、俺はウィリアムにしかられていた。

 内容は″女子の服を剥いたから″だそうだ。
 
「わかる、わかるぞ、お前も9歳だ。男としての責務を感じたんだろう

 見当違いな共感をされながら、ウィリアムは肩に手を置いてくる。

 いや、こんなのズルいだろ。
 アルウが″女の子″だったなんて完全な罠だ。
 俺は被害者と言っても過言じゃない。

「でもな、ヘンリー。いきなり脱がすのはダメだ。俺はやっぱり不安になってきたぞ。お前を外に行かせてよかったのかってな」
「聞いてください、父さん。僕は無実です。なぜならこれは事故だから。親切心で体を拭いてあげようとしただけでして──」
「それはド変態の言い訳だぞ、ヘンリー。俺をあまり失望させるな」

 ハイライトの失われたウィリアムの目線と「失望」という強い否定の言葉に、俺はたじろぐ。

「男だと思ったんですって。そんな家出した途端に本性剥き出したか…みたいな顔しないでください!」
「無理な言い訳は聞きたくない。あんなに可愛らしい顔してるのに、どうして男の子だと思ったんだ」
「ぁ、ぅ、たしかに……」

 可愛い顔してるとは思ったけどさぁ……。
 
「ブワロ村を守る地方騎士として、俺には村のなかでの犯罪や揉め事を罰する権限があたえられてる。ヘンリー、お前も男なら腹をくくって反省しておけ」

 ウィリアムはそう言い残し部屋を出ていこうとする。

 俺はあたりを見渡し、この石の牢屋の床に怪しげな魔法陣が描かれていることをウィリアムにたずねる。

「こんな不気味な部屋に残さないでくださいよ……精神おかしくなりそうです!」
「それはお前が子供の頃、描いた模様だろうに。いいからそこで大人しくしておくんだ」

 ウィリアムはそう言って、扉を閉めて鍵をかけた。階段をのぼる音が、扉の向こうから聞こえてくる。

 本当に閉じ込められてしまった。
 
「ここ、怖いな…」

 床の魔法陣をながめる。

 なんなんだよ。
 ヘンドリック浮雲は悪魔召喚にでもご執心だったってのか。

 俺は自分の幼年期が不気味すぎてちょっと怖くなってしまった。

「クソ……魔術の練習でもするか」

 俺はふかふかのベッドに身を投げた。
 牢屋ではあるが調度品の質はよい。
 
 俺に与えられた罰は3日間の禁固。
 煩悩に負けない精神をつくるんだとか。

 別に負けた訳じゃないんだよ。
 信じてくれよ、父さん。

 俺は嘆きながら《ホット》の練習回数を稼いでおくことにした。

「へ、ヘンドリック」
「ん?」

 声が聞こえて練習を中断する。
 扉の隙間からアルウが入ってきていた。

「アルウ、どうやってここに?」

 疑問に思うと、アルウは手に鍵を持っているのを見せてきて「フクロウさんがくれたんです」と遠回しにラテナの株をあげていく。

 流石は我が幸福の女神にして相棒だ。

「ところで、どうしてここに? まだ、俺に謝らせ足りなかったのか?」

 俺はさっき、ウィリアムとカリーナの冷たい眼差しを受けながら謝罪させられたことを根に持っていた。
 だって、俺悪くないんだから。

「そ、その件で謝りたくて……″ボク″ほんとうに悪いことをしてしまったと思ってるんだ」
「本当に? その一人称だと悪気があるようにしか思えないんだけど」
「ひぃ、ごめん、本当にごめんって」
「ふーん。本当に反省してるのかなぁ」
「もちろんだよ……命を助けてもらったのに、恩を仇でかえすなんて……」

 恩義を感じてくれてる、とな。

 助けたかいがある。
 ちょっと嬉しいじゃないか。

「だからこうして助けに来たってわけだよ」
「ほほう、殊勝な心掛けだぞ、アルウ」

 言われのない罪で3日間も不気味な部屋に閉じ込められるのはしゃくだったので、ここはアルウの案に乗ることにした。

 
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