奴隷身分ゆえ騎士団に殺された俺は、自分だけが発見した【炎氷魔法】で無双する 〜自分が受けた痛みは倍返しする〜

ファンタスティック小説家

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氷結魔術 後編

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 ──次の日

 俺は午前中を浮雲屋敷でのセレーナとの剣術練習に費やして一汗をかいた。

 遠くの空から帰ってくるラテナを、廃屋で出迎える。
 
「お疲れ様、おかえり、ラテナ!
「ただいまなのです!」
「大変そうだな、持とうか?」
「お願いしますっ、ふくふく…!」

 俺はラテナが空中から落下させてきた一冊の紙束を受けとる。

 実はラテナにはソーディア領最大の都市ソーディアまでいって、王都の情報を入手してもらっているのだ。
 大きい都市には、ブワロ村よりもよっぽど多くの新鮮で価値のある情報が眠っている。
 もちろん、一番興味があるのは不死鳥騎士団のニュースだ。

「これがソーディアの兵舎にあって月刊騎士団です」

 受け取った紙束は月に一度、別々の兵舎同士で団内の状況を共有するための月刊紙だ。
 騎士団の人間はほとんどが貴族なので、彼らは文字を読めるのである。
 
「王都兵舎、見習い騎士ミラー、クベイル、ガレットが正式に騎士になった、か」
「団長は今は各地を転々としてるみたいですね。おおきな″イベント″に備えているようです」
「アレか。うーん、やっばり襲撃はアレに合わせることになるかな。もっと足取りが終えれば密かに殺しに行きたいんだけど」
「情報が月に一度しか入ってこないですからね……。ごめんなさい、私がもっと機動力高かければよかったのですが」
「ラテナのせいじゃないよ。いつも長い距離飛んでくれてありがとな」

 俺はもふもふした羽毛を撫でてあげる。
 
「ふくふく♡ むむ、ところでヘンリー、それは?」

 俺は途中まで読んだ月刊紙をちかくの壊れた木机にほうって、バケツをもちあげる。

 中の水は凍っている。

「もしかして完成したのですか、氷魔術」
「見ての通り」
「それで、結局、凍る原理はわかったんですか?」
「まあな。ほら、これを見てくれ」

 俺は右手で《ファイアボルト》をつくってそれを、近くの捨てられた納屋に投げつける。
 爆発音とともに、納屋の壁に大きな穴があいて、燃え広がるように炎上しはじめた。

「《ライジングサン》の時に答えは見えてたんだよ
「第四式魔術のですか?」
「そう。あの魔術を独自の手法におこなう時、俺は雲から熱素を移動させて、下方の空気を温めることで雲の温度をさげて水に変えた」

 熱素を手元に集める《ファイアボルト》を行った時、集められた熱素がもとあった場所は、必然的に温度がさがる。

 氷の発生はそんな熱素の収束によって、本来ありえないエレメント──仮称:冷素とでも呼ぼうか──を、意図的につくりだせる事で実現している。

「つまりどういうことですか……?」

 ラテナは首を180度かしげる。
 流石はフクロウ。首の角度で全然理解してない事をあらわしている。

「つまりは、俺が熱素を移動させたあとは冷素が発生。そして、それは本質的に熱素──温度をもった極小謎物質──と同じだから、俺はどうように冷素もコントロール出来るんだ。結論を言うとだな──」

 俺は今度は左手を握って、そのなかに青白い光のつぶてを生成する。

「炎魔術の後には、氷魔術を放てるってことだ」

 投擲する青白い氷。
 それは、納屋にあけた大穴にたどり着くと、四方八方に広がって、炎を呑みこんで、壁の穴を塞いでしまった。

「おお! 熱を奪った分だけ、氷を使えるんですね!」
「″熱″を移動させた分だけ、″冷″を移動させるって言ったほうが正しいけどな」

 俺はラテナを顔を見合わせて、おでこを擦り付けあった。

 氷の魔術も実戦レベルで使えるようになってきた。
 炎と氷と剣。
 それと″秘策″も準備できそうだ。

 これであの男たちの罪を暴き、すべての恨みを晴らすことができるはずだ。
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