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第5話 目覚めた異能「書き換え」
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それから数日後。
エリアスは王立魔導学園での新しい生活に少しずつ慣れ始めていた。
上位クラス「蒼星組」に配属されてからというもの、周囲の生徒たちの対応は明らかに変わっていた。
最初は敵意と好奇心が入り混じったものだった。
だが実際に授業に出てみると、その力の片鱗を目の当たりにした生徒たちは、次第に声を潜めるようになっていった。
「おい、あの新入り……」
「実技授業で術式を改変したって話、聞いたか?」
「改変? そんなもの、王国最高位の魔導士にしか扱えないだろ……」
エリアスはそんな噂を気にも留めなかった。
まだ自分の力を理解できていないのだ。
神剣ルミナの助けを借りずに魔法を使うたび、何かが「書き換わる」ような奇妙な感覚がある。
火球を放てば、熱が周囲の法則に反して増幅し、盾を構えれば、素材が瞬時に変質する。
あれは偶然ではなく、意図して発動できるものに違いない。
『少しずつ、あなたの魂が“原初の書”と同調しているの。世界を管理する根源の層に触れ始めたのよ。』
授業後の中庭。
ルミナの声が静かに響く。
木漏れ日の中、エリアスは木剣を膝に置いて目を閉じた。
「書き換え……それが、俺の力の正体なんだな。」
『そう。あなたの意志が“現実”という記述を修正していくの。魔法はその入り口にすぎないわ。』
「じゃあ、俺は……世界を好き勝手に変えられる、ってことか?」
『いいえ、それは“できる”けれど“許されない”こと。』
ルミナの声はいつもより硬い。
『世界は調和で成り立っている。あなたの力はそれを乱す諸刃の剣。ほんの少しの誤差で、空も大地も崩れるわ。そうならないよう、私があなたを導くの。』
エリアスは頷いた。
それでも胸の奥では、どうしても抑えきれない興奮が渦巻いていた。
追放され、無能と呼ばれた自分が、いまやこの世界の理を上書きできる存在なのだから。
「……分かったよ。でも、怖い力だな。」
『怖さを知っている限り、誤ちにはならないわ。あなたはそういう人だから。』
不思議と心が落ち着く。
ルミナの声はいつも、心の痛みに寄り添うように響いてくれる。
* * *
放課後。
蒼星組の教室に一人残って、エリアスは机にノートと魔法陣を広げていた。
彼の研究は、いつも自分自身の理解のためだ。
魔法の理論上、術式は「定義」「構文」「発動」の三段階に分かれる。
しかし、エリアスの力は定義の最下層――つまり「自然法則そのもの」を書き換えていた。
(火は燃える。水は流れる。風は吹く。それを逆にできる……?)
彼はペン先を走らせる。
ノートに展開された複雑な魔法式の最後に指先で触れると、空気が揺れた。
試みに火球を掌に作り出す。
小さな光が、静かに立ち上がる。
「“熱”を書き換える、っと……」
指先が震えた瞬間、火球の温度が一気に下がった。
それは炎ではなく、青く凍てつく光へと変わっていく。
炎なのに冷たい。まるで氷を掴んでいるような感覚。
『エリアス……今の、見事だわ。』
ルミナの声に思わず笑みがこぼれる。
自分の中に眠っていた何かを、確かに control できる感覚。
自由の言葉が、心の中で何度も鳴った。
だがそのとき、不意に教室の扉が開いた。
「……何をしている?」
低い声が室内を凍らせた。
立っていたのは一人の少年――鮮やかな青髪に、学院紋付きの黒マント。
その顔には見覚えがあった。上級貴族キール・ド・ヴァルメード。蒼星組の中でも有数の実力者だ。
「授業が終わってからも教室を占領とは、随分とマイペースだな。」
「研究をしてただけだ。迷惑なら出ていくよ。」
「迷惑というより……興味がある。貴様の力とやらにな。」
キールの目が細くなる。机上の魔法陣を一瞥し、鼻で笑った。
「火の反転式? 愚かしい。そんな理論、百年前に否定された。燃焼過程の熱反転は世界定義上、あり得ない。」
「そうか? 試してみると、結構いけるぞ。」
エリアスが手をかざすと、再び青白い炎が生まれた。
キールの眉が跳ね上がる。
「なっ……!? 位相逆転の炎……? ば、馬鹿な、それは理論上――」
「現実に起きてる。それだけの話だ。」
言葉の余裕に、キールは明らかに動揺した。
次の瞬間、彼は杖を振り上げ、魔力を解き放つ。
「ならば証明してみろ! 貴様の理がどこまで通じるのか!」
轟音とともに青い雷撃が走った。
室内が閃光に包まれる。
反射的に剣を抜き、ルミナの声が響く。
『防壁を展開して! 照応式で受けて!』
エリアスの周囲に光の膜が瞬時に現れ、雷撃を受け止めた。
音が消える。煙が晴れたとき、エリアスの防壁は一片も壊れていなかった。
「……そんな馬鹿な……! 俺の中級魔法が止められるはずが……!」
「すまないな。実験台にする気はなかった。」
エリアスが剣を振るう。
瞬間、キールの足元に光の文様が走り、周囲の空気が重く沈む。
空間の重力を「書き換えた」のだ。
キールが押し潰されるように膝をつく。
「ぐっ……! 動か、ねぇ……っ!」
「少しの間、動けないだけだ。すぐ元に戻る。」
ルミナが小さく囁く。
『制御が完璧ね。エリアス、あなたの能力は本格的に開花している。』
エリアスは静かに深呼吸し、光陣を解いた。
キールが地面に崩れ落ち、荒い息を吐く。
「お……お前、何なんだ……?」
「さあな。俺もまだよくわかってない。ただ――」
言葉を区切り、エリアスは手のひらを見つめる。
「俺は、世界を書き換えるらしい。」
それを聞いたキールは、怯えたように言葉を失った。
* * *
その夜。
寮の窓辺で、エリアスは星空を見上げていた。
静けさの中にルミナの声が舞う。
『迷いは消えない。でも、それが人の強さ。』
「俺の力、これから暴走することはないのか?」
『あなた次第よ。心が穏やかである限り、この力は傷つけない。逆に、怒りや憎悪を抱けば、世界の理そのものを壊してしまう。』
「なるほど……じゃあ、俺が“人”でいられる間は、大丈夫ってことか。」
『そう。そしてあなたを人たらしめるのは、あなたを想う者たち。決して孤独にならないで。』
ルミナの声が穏やかに消えていく。
その言葉が胸に沁みて、エリアスは優しく笑った。
窓の外で風が吹く。
星が瞬くたびに、胸の印がわずかに光った。
それは、世界の文字が静かに動く証。
“書き換えの力”が、確かにエリアスの中で息づき始めた瞬間だった。
エリアスは王立魔導学園での新しい生活に少しずつ慣れ始めていた。
上位クラス「蒼星組」に配属されてからというもの、周囲の生徒たちの対応は明らかに変わっていた。
最初は敵意と好奇心が入り混じったものだった。
だが実際に授業に出てみると、その力の片鱗を目の当たりにした生徒たちは、次第に声を潜めるようになっていった。
「おい、あの新入り……」
「実技授業で術式を改変したって話、聞いたか?」
「改変? そんなもの、王国最高位の魔導士にしか扱えないだろ……」
エリアスはそんな噂を気にも留めなかった。
まだ自分の力を理解できていないのだ。
神剣ルミナの助けを借りずに魔法を使うたび、何かが「書き換わる」ような奇妙な感覚がある。
火球を放てば、熱が周囲の法則に反して増幅し、盾を構えれば、素材が瞬時に変質する。
あれは偶然ではなく、意図して発動できるものに違いない。
『少しずつ、あなたの魂が“原初の書”と同調しているの。世界を管理する根源の層に触れ始めたのよ。』
授業後の中庭。
ルミナの声が静かに響く。
木漏れ日の中、エリアスは木剣を膝に置いて目を閉じた。
「書き換え……それが、俺の力の正体なんだな。」
『そう。あなたの意志が“現実”という記述を修正していくの。魔法はその入り口にすぎないわ。』
「じゃあ、俺は……世界を好き勝手に変えられる、ってことか?」
『いいえ、それは“できる”けれど“許されない”こと。』
ルミナの声はいつもより硬い。
『世界は調和で成り立っている。あなたの力はそれを乱す諸刃の剣。ほんの少しの誤差で、空も大地も崩れるわ。そうならないよう、私があなたを導くの。』
エリアスは頷いた。
それでも胸の奥では、どうしても抑えきれない興奮が渦巻いていた。
追放され、無能と呼ばれた自分が、いまやこの世界の理を上書きできる存在なのだから。
「……分かったよ。でも、怖い力だな。」
『怖さを知っている限り、誤ちにはならないわ。あなたはそういう人だから。』
不思議と心が落ち着く。
ルミナの声はいつも、心の痛みに寄り添うように響いてくれる。
* * *
放課後。
蒼星組の教室に一人残って、エリアスは机にノートと魔法陣を広げていた。
彼の研究は、いつも自分自身の理解のためだ。
魔法の理論上、術式は「定義」「構文」「発動」の三段階に分かれる。
しかし、エリアスの力は定義の最下層――つまり「自然法則そのもの」を書き換えていた。
(火は燃える。水は流れる。風は吹く。それを逆にできる……?)
彼はペン先を走らせる。
ノートに展開された複雑な魔法式の最後に指先で触れると、空気が揺れた。
試みに火球を掌に作り出す。
小さな光が、静かに立ち上がる。
「“熱”を書き換える、っと……」
指先が震えた瞬間、火球の温度が一気に下がった。
それは炎ではなく、青く凍てつく光へと変わっていく。
炎なのに冷たい。まるで氷を掴んでいるような感覚。
『エリアス……今の、見事だわ。』
ルミナの声に思わず笑みがこぼれる。
自分の中に眠っていた何かを、確かに control できる感覚。
自由の言葉が、心の中で何度も鳴った。
だがそのとき、不意に教室の扉が開いた。
「……何をしている?」
低い声が室内を凍らせた。
立っていたのは一人の少年――鮮やかな青髪に、学院紋付きの黒マント。
その顔には見覚えがあった。上級貴族キール・ド・ヴァルメード。蒼星組の中でも有数の実力者だ。
「授業が終わってからも教室を占領とは、随分とマイペースだな。」
「研究をしてただけだ。迷惑なら出ていくよ。」
「迷惑というより……興味がある。貴様の力とやらにな。」
キールの目が細くなる。机上の魔法陣を一瞥し、鼻で笑った。
「火の反転式? 愚かしい。そんな理論、百年前に否定された。燃焼過程の熱反転は世界定義上、あり得ない。」
「そうか? 試してみると、結構いけるぞ。」
エリアスが手をかざすと、再び青白い炎が生まれた。
キールの眉が跳ね上がる。
「なっ……!? 位相逆転の炎……? ば、馬鹿な、それは理論上――」
「現実に起きてる。それだけの話だ。」
言葉の余裕に、キールは明らかに動揺した。
次の瞬間、彼は杖を振り上げ、魔力を解き放つ。
「ならば証明してみろ! 貴様の理がどこまで通じるのか!」
轟音とともに青い雷撃が走った。
室内が閃光に包まれる。
反射的に剣を抜き、ルミナの声が響く。
『防壁を展開して! 照応式で受けて!』
エリアスの周囲に光の膜が瞬時に現れ、雷撃を受け止めた。
音が消える。煙が晴れたとき、エリアスの防壁は一片も壊れていなかった。
「……そんな馬鹿な……! 俺の中級魔法が止められるはずが……!」
「すまないな。実験台にする気はなかった。」
エリアスが剣を振るう。
瞬間、キールの足元に光の文様が走り、周囲の空気が重く沈む。
空間の重力を「書き換えた」のだ。
キールが押し潰されるように膝をつく。
「ぐっ……! 動か、ねぇ……っ!」
「少しの間、動けないだけだ。すぐ元に戻る。」
ルミナが小さく囁く。
『制御が完璧ね。エリアス、あなたの能力は本格的に開花している。』
エリアスは静かに深呼吸し、光陣を解いた。
キールが地面に崩れ落ち、荒い息を吐く。
「お……お前、何なんだ……?」
「さあな。俺もまだよくわかってない。ただ――」
言葉を区切り、エリアスは手のひらを見つめる。
「俺は、世界を書き換えるらしい。」
それを聞いたキールは、怯えたように言葉を失った。
* * *
その夜。
寮の窓辺で、エリアスは星空を見上げていた。
静けさの中にルミナの声が舞う。
『迷いは消えない。でも、それが人の強さ。』
「俺の力、これから暴走することはないのか?」
『あなた次第よ。心が穏やかである限り、この力は傷つけない。逆に、怒りや憎悪を抱けば、世界の理そのものを壊してしまう。』
「なるほど……じゃあ、俺が“人”でいられる間は、大丈夫ってことか。」
『そう。そしてあなたを人たらしめるのは、あなたを想う者たち。決して孤独にならないで。』
ルミナの声が穏やかに消えていく。
その言葉が胸に沁みて、エリアスは優しく笑った。
窓の外で風が吹く。
星が瞬くたびに、胸の印がわずかに光った。
それは、世界の文字が静かに動く証。
“書き換えの力”が、確かにエリアスの中で息づき始めた瞬間だった。
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