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第6話 新たなる旅立ち
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王立魔導学園の生活にも慣れ、エリアスの日々は静かに過ぎていった。
とはいえ、「静か」といっても、彼の周囲だけは常に小さな波が立っていた。
神剣ルミナとの契約、学院広場での異例の光景、そして“書き換え”という未知の力。
そのすべてが、誰もが恐れと興味を抱く理由だった。
授業が終わるたびに、誰かの噂話が耳に入る。
「エリアスって知ってるか? 雷を止めたらしいぞ。」
「いや、むしろ雷を“姿ごと書き換えた”って聞いた。」
「そんな馬鹿な……人間の領域を超えてるだろ。」
エリアスはそれらの話を聞いても、特に反応しなかった。
自分が何者なのか、まだ完全には理解していなかったからだ。
ただ、力を持った以上、それをどう使うかは慎重に考えなければならない。
この頃になると、学園の教師陣も彼の実験を正式に容認するようになっていた。
そして今日の課題は、実地演習。
蒼星組の生徒たちが小隊を組み、王都の外へ出て初級魔獣の討伐に挑む。
「おいエリアス、今回は俺たちの班に入ってくれ!」
リオが嬉しそうに声をかけてきた。
彼の率直さは、いつも場の空気をあたためる。
他の仲間はやや緊張気味だ。やがて一人の少女が静かに手を挙げた。
「構わないわ。むしろ安全ね。」
声の主はミリア・グレイス。氷属性魔法の天才で、貴族の娘。
長い銀髪を揺らしながら、静かな視線をエリアスに向けた。
彼女はエリアスの力を疑っていなかった。むしろ、興味を隠しているようだった。
「それじゃ、四人で組もう。俺とミリア、それにレオナとエリアスだ。」
リオが元気よくまとめると、レオナ――赤髪の少女がふん、と鼻を鳴らした。
「足手まといにはならないでよ。蒼星組だからって調子に乗らないで。」
「努力はするさ。」
「努力、ね。あなたみたいに特別な力があれば、努力なんていらないでしょう?」
言葉の刺に、周囲が一瞬静まる。
エリアスは笑って肩をすくめた。
「特別でも、不器用でも、やることは一緒さ。生き残るために動く。それだけだ。」
その答えに、レオナは返す言葉を失った。
リオが笑って空気を和ませる。
「お前ら、余計な力試しは後にしてくれ。行こうぜ、もう出発だ!」
* * *
実習場は王都の北にある広大な森林地帯――グランヴィルの森。
木々の間を抜ける風が涼しく、鳥の鳴き声が響く。
しかし、奥へ進むごとに空気の密度が変わり、かすかに腐臭が混じり始めた。
「魔物が近いな。」
ミリアの言葉に全員が構える。
リオが前衛、ミリアとレオナが中距離支援、エリアスは後方に立つ。
やがて、森の暗がりから牙をむいた影が飛び出した。
狼のようで、しかし背中に黒い棘を持つ異形――シャドウハウンド。
「三体! 来るぞ!」
リオが叫ぶのと同時に、風が唸りを上げる。
ミリアが詠唱を開始し、氷弾を撃ち出した。
冷気が走り、一体の動きを封じるが、残る二体が素早く方向を変えて飛びかかる。
「左は任せて!」
レオナが火球を放った。轟音とともに炎が獣を包む。
しかし、黒い棘が爆ぜて炎をかき消した。
「な、耐えた!?」
「マナ汚染体の可能性がある!」
ミリアの声が鋭い。
その瞬間、エリアスは前に出た。剣を抜きながら、ルミナの声が胸の中で響く。
『エリアス、落ち着いて。周囲の“記述”を観察して。』
「見える……法則の歪みが。」
彼の視界に、獣の体にまとわりつく黒い糸のようなものが映る。
それは法則のエラー、つまり存在が許容限界を超えている証。
「“汚染を修正”――コード・ライト、起動。」
低く呟いた瞬間、剣先から光が走った。
衝撃ではない。音も振動もないただの“上書き”。
その刹那、シャドウハウンドの棘が崩れ落ち、全身が霧のように溶けた。
「……消滅した!?」
「魔法じゃない、もっと……違う何か。」
他の二体も振り向くより早く、エリアスはもう一歩踏み込んでいた。
火を纏わせず、氷でもない。ただ、剣が空を薙いだ瞬間、世界が光りを失う。
黒い靄が一気に剥がれ落ち、三体の魔獣すべてが形を失って崩れた。
静寂。
風が戻り、森の音が息を吹き返す。
「終わった……のか?」
「ええ、完全消滅ね。」ミリアが冷静に分析する。「マナ痕跡ゼロ。あなた、今のどうやったの?」
エリアスは少しだけ逡巡した。
説明しても理解されないだろう。いや、されてはいけない。
「少し変わった術式で、弱点を突いただけだよ。」
そう答えると、リオが笑って背中を叩く。
「お前、どんどん頼もしくなるな! これで俺ら、上位班に勝てるかもな。」
レオナは沈黙していたが、やがてぼそりと呟いた。
「……あなたの力、私には理解できない。でも、悪くないわ。」
それは皮肉ではなかった。ほんの少しだけ、認める響きを持っていた。
* * *
その夜、学園の天文塔から王都を見下ろしながら、エリアスは静かにルミナと対話していた。
『あなたの力は拡張を始めている。“改変”――それは記述の置き換えから、存在そのものの再構成へと進化している。』
「改変、か……」
『でも気をつけて。力の源はあなた自身。心が乱れれば、世界が壊れる。』
「分かってる。けど――俺、やっと見つけた気がするんだ。」
『何を?』
「“生かされてる理由”をさ。」
風が髪を揺らす。
追放された日、すべてを失った少年が、いま自分の手で未来を掴もうとしている。
遠く、塔の下から聞こえる賑やかな声。
新しい日常が確かにそこにあった。
エリアスは深く息を吸い込み、空を見上げた。
「この力を、誰かを守るために使いたい。」
『その言葉、忘れないで。あなたがそう願う限り、私はあなたと共に剣となる。』
彼は微笑んだ。
星々の光を背に、神剣ルミナが淡く輝いた。
エリアスの物語は、まだ序章にすぎない。
だがその瞳には、かつての“追放された少年”の影はもうなかった。
ただ、世界を変える覚悟を宿した光だけがあった。
とはいえ、「静か」といっても、彼の周囲だけは常に小さな波が立っていた。
神剣ルミナとの契約、学院広場での異例の光景、そして“書き換え”という未知の力。
そのすべてが、誰もが恐れと興味を抱く理由だった。
授業が終わるたびに、誰かの噂話が耳に入る。
「エリアスって知ってるか? 雷を止めたらしいぞ。」
「いや、むしろ雷を“姿ごと書き換えた”って聞いた。」
「そんな馬鹿な……人間の領域を超えてるだろ。」
エリアスはそれらの話を聞いても、特に反応しなかった。
自分が何者なのか、まだ完全には理解していなかったからだ。
ただ、力を持った以上、それをどう使うかは慎重に考えなければならない。
この頃になると、学園の教師陣も彼の実験を正式に容認するようになっていた。
そして今日の課題は、実地演習。
蒼星組の生徒たちが小隊を組み、王都の外へ出て初級魔獣の討伐に挑む。
「おいエリアス、今回は俺たちの班に入ってくれ!」
リオが嬉しそうに声をかけてきた。
彼の率直さは、いつも場の空気をあたためる。
他の仲間はやや緊張気味だ。やがて一人の少女が静かに手を挙げた。
「構わないわ。むしろ安全ね。」
声の主はミリア・グレイス。氷属性魔法の天才で、貴族の娘。
長い銀髪を揺らしながら、静かな視線をエリアスに向けた。
彼女はエリアスの力を疑っていなかった。むしろ、興味を隠しているようだった。
「それじゃ、四人で組もう。俺とミリア、それにレオナとエリアスだ。」
リオが元気よくまとめると、レオナ――赤髪の少女がふん、と鼻を鳴らした。
「足手まといにはならないでよ。蒼星組だからって調子に乗らないで。」
「努力はするさ。」
「努力、ね。あなたみたいに特別な力があれば、努力なんていらないでしょう?」
言葉の刺に、周囲が一瞬静まる。
エリアスは笑って肩をすくめた。
「特別でも、不器用でも、やることは一緒さ。生き残るために動く。それだけだ。」
その答えに、レオナは返す言葉を失った。
リオが笑って空気を和ませる。
「お前ら、余計な力試しは後にしてくれ。行こうぜ、もう出発だ!」
* * *
実習場は王都の北にある広大な森林地帯――グランヴィルの森。
木々の間を抜ける風が涼しく、鳥の鳴き声が響く。
しかし、奥へ進むごとに空気の密度が変わり、かすかに腐臭が混じり始めた。
「魔物が近いな。」
ミリアの言葉に全員が構える。
リオが前衛、ミリアとレオナが中距離支援、エリアスは後方に立つ。
やがて、森の暗がりから牙をむいた影が飛び出した。
狼のようで、しかし背中に黒い棘を持つ異形――シャドウハウンド。
「三体! 来るぞ!」
リオが叫ぶのと同時に、風が唸りを上げる。
ミリアが詠唱を開始し、氷弾を撃ち出した。
冷気が走り、一体の動きを封じるが、残る二体が素早く方向を変えて飛びかかる。
「左は任せて!」
レオナが火球を放った。轟音とともに炎が獣を包む。
しかし、黒い棘が爆ぜて炎をかき消した。
「な、耐えた!?」
「マナ汚染体の可能性がある!」
ミリアの声が鋭い。
その瞬間、エリアスは前に出た。剣を抜きながら、ルミナの声が胸の中で響く。
『エリアス、落ち着いて。周囲の“記述”を観察して。』
「見える……法則の歪みが。」
彼の視界に、獣の体にまとわりつく黒い糸のようなものが映る。
それは法則のエラー、つまり存在が許容限界を超えている証。
「“汚染を修正”――コード・ライト、起動。」
低く呟いた瞬間、剣先から光が走った。
衝撃ではない。音も振動もないただの“上書き”。
その刹那、シャドウハウンドの棘が崩れ落ち、全身が霧のように溶けた。
「……消滅した!?」
「魔法じゃない、もっと……違う何か。」
他の二体も振り向くより早く、エリアスはもう一歩踏み込んでいた。
火を纏わせず、氷でもない。ただ、剣が空を薙いだ瞬間、世界が光りを失う。
黒い靄が一気に剥がれ落ち、三体の魔獣すべてが形を失って崩れた。
静寂。
風が戻り、森の音が息を吹き返す。
「終わった……のか?」
「ええ、完全消滅ね。」ミリアが冷静に分析する。「マナ痕跡ゼロ。あなた、今のどうやったの?」
エリアスは少しだけ逡巡した。
説明しても理解されないだろう。いや、されてはいけない。
「少し変わった術式で、弱点を突いただけだよ。」
そう答えると、リオが笑って背中を叩く。
「お前、どんどん頼もしくなるな! これで俺ら、上位班に勝てるかもな。」
レオナは沈黙していたが、やがてぼそりと呟いた。
「……あなたの力、私には理解できない。でも、悪くないわ。」
それは皮肉ではなかった。ほんの少しだけ、認める響きを持っていた。
* * *
その夜、学園の天文塔から王都を見下ろしながら、エリアスは静かにルミナと対話していた。
『あなたの力は拡張を始めている。“改変”――それは記述の置き換えから、存在そのものの再構成へと進化している。』
「改変、か……」
『でも気をつけて。力の源はあなた自身。心が乱れれば、世界が壊れる。』
「分かってる。けど――俺、やっと見つけた気がするんだ。」
『何を?』
「“生かされてる理由”をさ。」
風が髪を揺らす。
追放された日、すべてを失った少年が、いま自分の手で未来を掴もうとしている。
遠く、塔の下から聞こえる賑やかな声。
新しい日常が確かにそこにあった。
エリアスは深く息を吸い込み、空を見上げた。
「この力を、誰かを守るために使いたい。」
『その言葉、忘れないで。あなたがそう願う限り、私はあなたと共に剣となる。』
彼は微笑んだ。
星々の光を背に、神剣ルミナが淡く輝いた。
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