6 / 10
第6話 森で行き倒れていたエルフの美女を拾う
しおりを挟む
「……ここは、天界でしょうか?」
それが、意識を取り戻した彼女の第一声だった。
僕は苦笑いしながら、湯気の立つマグカップを彼女の目の前に置いた。
場所は我が家(アレン・ハウス)のリビング。
彼女を座らせているのは、スライム素材と綿毛を錬成して作った最高級ソファだ。
座った瞬間に身体の形状に合わせて沈み込み、まるで母親の胎内にいるような安心感を与えるこのソファは、人をダメにする家具筆頭である。
「いいえ、ここは天界じゃなくて、僕の家です。辺境の森の中ですよ」
「家……? これが、人の住処だと言うのですか?」
彼女は信じられないといった様子で、周囲を見回した。
天井には自動調光機能付きの魔石シャンデリアが輝き、床には冷暖房完備の絨毯が敷かれている。
壁には先日ドラゴン(鳥)からドロップした巨大な魔石が、インテリアとして飾られていた。
「この魔石……まさか、伝説の『腐食竜(カース・ドラゴン)』の心臓石(ハート・オブ・コア)!? 国宝級どころか、これ一つで小国が買えるほどの代物……それを、ただの飾り石のように!?」
彼女が震える指で壁を指差す。
やはり、あの鳥はカラスにしては珍しいものを落としたようだ。
都会では高く売れるのかもしれないが、ここには買取屋もいないし、綺麗な石なので飾ってみただけだ。
「ああ、それは庭に落ちてたんです。綺麗でしょう? 夜になるとほんのり光るんですよ」
「お、落ちていた……?」
彼女は絶句し、それから何かを悟ったように深く頷いた。
「……理解しました。貴方様は、世俗に関わらないようにひっそりと暮らす、古代の『大賢者』様なのですね。あるいは、人の姿を借りた神そのものか……」
「いや、だから違いますって。僕はアレン。ただの元冒険者です」
「アレン様……。私は、エルフの国『アルフヘイム』の第三王女、リーリヤ・シルフィードと申します」
リーリヤと名乗った彼女は、ソファの上で居住まいを正し、深く頭を下げた。
王女様だったのか。
どうりで気品があるし、言葉遣いも丁寧だ。
しかし、そんな高貴な方がなぜ、こんな森の奥で倒れていたのだろう。
「それで、リーリヤさん。どうしてあんな怪我を?」
僕が尋ねると、彼女の表情が曇った。
碧色の瞳に、恐怖と悲しみの色が浮かぶ。
「……我が国は今、魔王軍の侵攻を受けているのです」
「魔王軍?」
「はい。魔王軍『四天王』の一角、獣王ガロン率いる軍勢により、アルフヘイムは壊滅状態です。私は父王の命により、王家に伝わる秘宝を持って逃げ延びたのですが……追手に捕捉され、ここまで……」
彼女の声が震える。
相当怖い思いをしたのだろう。
魔王軍か。
王都にいた頃、勇者ライオネルたちが倒したという話は聞いていたが、まだ残党が活発に動いているとは。
辺境は平和だと思っていたが、意外と物騒なのかもしれない。
「大変でしたね。でも、もう大丈夫ですよ。ここは結界もあるし、そう簡単には入ってこれませんから」
「結界……そうです、貴方様の結界の光が見えた時、私は救われたと思いました。あの結界は、『神聖不可侵領域(サンクチュアリ)』の上位術式ですね? 魔王軍の精鋭部隊でさえ、指一本触れられないほどの……」
「え? いや、ただの『害獣除け』ですけど」
「害獣……魔王軍を害獣扱い……! さすがです」
また過大評価されている気がするが、訂正するのも面倒なのでスルーしよう。
とりあえず、彼女には落ち着いてもらわないといけない。
「まあ、飲んでください。ただのハーブティーですけど、落ち着きますよ」
僕はマグカップを勧めた。
中身は、庭(数分でジャングル化した畑)で採れたミントっぽい葉っぱと、世界樹の枝(レプリカ)のチップを煮出したものだ。
香りが良く、スッキリとした味わいがお気に入りだ。
リーリヤは恐縮しながらカップを手に取り、一口啜った。
「……っ!?」
彼女の目が大きく見開かれた。
カチャン、とカップを持つ手が震える。
「こ、これは……『世界樹の雫(ユグドラシル・ドロップ)』!? エルフ族の始祖しか口にすることを許されない、神代の霊薬ではありませんか!」
「え? いや、庭の雑草……というか、ハーブですけど」
「嘘です! 一口飲んだだけで、枯渇していた魔力が完全に回復し、身体の芯から生命力が溢れてきます! これ一滴で、死者すら蘇ると言われる幻の秘薬……それを、惜しげもなくお茶として……!」
彼女は涙ぐみながら、震える手でカップを掲げた。
「ありがとうございます……! この御恩、生涯忘れません!」
「いや、お茶一杯で大袈裟だなあ」
エルフ族は感受性が豊かなのだろうか。
まあ、気に入ってくれたなら良かった。
「ワンッ!」
足元でシロが「俺にもくれ」と尻尾を振っている。
はいはい、シロには特製のミルク(ドラゴンミルク)をあげようね。
◆ ◆ ◆
その頃。
アレンの家の結界の外。
夜の闇に紛れ、数十の影が蠢いていた。
それは、魔王軍の特殊追跡部隊『黒牙隊』。
狼の頭を持つ亜人、ウェアウルフの精鋭たちであり、その戦闘力は一体で騎士団一個小隊に匹敵すると言われている。
「隊長、間違いない。エルフの王女の魔力反応が、この先で消えている」
「フン、結界か。人間風情が小賢しい真似を」
隊長と呼ばれる隻眼のウェアウルフが、巨大な曲刀を舐めながら鼻を鳴らした。
彼らの嗅覚は、数キロ先の獲物をも逃さない。
「見たところ、ただの小屋のようだが……妙な威圧感があるな」
「構わん。我ら黒牙隊の前に障害などない。王女を引きずり出し、秘宝を奪え! 邪魔する者は皆殺しだ!」
「オオオオオッ!!」
獣人たちが雄叫びを上げ、結界に向かって突撃を開始した。
彼らの爪には『結界破り』の呪法が施されており、並大抵の魔法障壁なら紙のように引き裂くことができるはずだった。
ガィィィィンッ!!
しかし、先頭を走っていた兵士が結界に触れた瞬間、金属同士が衝突したような激音が響いた。
「ギャッ!?」
爪が砕け散り、その衝撃で兵士の腕がねじ切れる。
さらに、結界の表面に走った電流のような青白い光が、触れた兵士を瞬時に炭化させた。
「な、なんだと!?」
隊長が急停止する。
他の部下たちも、あまりの威力に後ずさりした。
「ば、馬鹿な……! 『対魔断絶結界』だと!? 人間の魔術師風情が、なぜこれほどの高等結界を張れる!」
「隊長! 中から誰か出てきます!」
屋敷の扉が開き、一人の青年が姿を現した。
寝間着のようなラフな格好で、手にはランタンを提げている。
あくびを噛み殺しながら、まるで近所のコンビニに行くような気楽さだ。
「……おい、なんだお前らは」
青年――アレンが、眠そうに声をかけた。
隊長はその隙だらけの姿を見て、嗜虐的な笑みを浮かべた。
「貴様がこの家の主か。我々は魔王軍『黒牙隊』だ。そこにエルフの女がいるだろう? 大人しく差し出せば、命だけは助けてやろう」
隊長は最大限の殺気を込めて脅した。
普通の人間なら、この殺気だけで失禁し、泡を吹いて倒れるはずだ。
しかし、青年はキョトンとした顔で首を傾げた。
「コクガタイ? ……ああ、深夜の警備会社の人ですか? ウチ、セールスはお断りしてるんですけど」
「は?」
隊長は耳を疑った。
警備会社? セールス?
何を言っているんだこの人間は。
我々の恐ろしさが理解できていないのか?
「ふざけるな! 我々は殺戮のプロフェッショナルだぞ! 貴様の首など、瞬きする間に胴体とサヨナラさせてやれるんだぞ!」
「ああ、やっぱり押し売りか。最近の業者は物騒だなあ。そんな刃物を振り回して」
青年は溜息をついた。
恐怖の色は微塵もない。
むしろ、「夜遅くに騒がないでほしいんだけど」という迷惑そうな顔をしている。
「……殺せ」
隊長の中で、理性の糸が切れた。
このふざけた人間を八つ裂きにして、その内臓を引きずり出してやる。
プライドを傷つけられた獣たちの怒りは頂点に達していた。
「オオオオオッ!」
残りの隊員が一斉に飛びかかる。
結界の隙間を探すのではなく、一点集中攻撃で強引に突破する作戦だ。
魔力を込めた一撃必殺の爪撃が、四方八方から青年に迫る。
「うるさいなあ。シロが起きちゃうじゃないか」
青年は面倒くさそうに、軽く手を振った。
まるで、羽虫を追い払うかのように。
「『退去(ゴー・ホーム)』」
彼が口にしたのは、攻撃魔法ですらなかった。
生活魔法の一種、家に入ってきた虫や小動物を外に出すための、ささやかな空間操作魔法だ。
本来なら、対象を数メートル移動させる程度の効果しかない。
だが、アレンが使うと話は別だ。
膨大な魔力と、付与術師特有の『強制執行』の権限が上乗せされる。
ブォンッ!
空間そのものがゴムのように弾けた。
襲いかかった獣人たちの身体が、物理法則を無視したベクトルで空の彼方へと射出された。
「ア……レ……?」
隊長は自分が空を飛んでいることに気づいた。
下を見れば、豆粒のような屋敷が見える。
いや、どんどん小さくなっていく。
雲を突き抜け、成層圏を突破し、なおも上昇を続ける。
(こ、これは……転移魔法ではない……純粋な運動エネルギーによる排除……!? あの男、ただ手を振っただけで……我々を星の外へ……!?)
「キラーンッ!」
夜空に一筋の流れ星が煌めいた。
それが、魔王軍精鋭部隊の最期だった。
◆ ◆ ◆
「ふぅ、やっと静かになった」
僕は夜空を見上げて満足げに頷いた。
しつこいセールスマンたちも、僕の『退去』魔法で森の外まで飛ばされて懲りただろう。
ちょっと強めに飛ばしすぎたかもしれないが、まあ獣人族は頑丈だし、怪我くらいで済んでいるはずだ。
「さて、お茶が冷めちゃうな」
僕は家の中に戻った。
リビングでは、リーリヤが窓の外を凝視して固まっていた。
「あ、アレン様……今の轟音は……?」
「ああ、ちょっと変な人たちが来てたんで、お引き取り願いました。最近は治安が悪いですね」
「お、お引き取り……? あの殺気立った黒牙隊を、一瞬で……?」
彼女はまた何かブツブツと言っていたが、僕は新しいお茶を淹れ直した。
「それで、リーリヤさん。行く当てがないなら、しばらくここに居てもいいですよ。部屋はたくさん余ってるし」
「えっ……!?」
彼女が顔を上げる。
「よ、よろしいのですか? 私は追われる身です。ここにいれば、魔王軍の軍勢が押し寄せてくるかもしれません。貴方様にご迷惑をおかけするわけには……」
「迷惑なんてことないですよ。それに、一人暮らしは寂しいですし。家事とか手伝ってくれると助かるなあ、なんて」
実は掃除はゴーレムがやってくれるのだが、話し相手が欲しかったのだ。
それに、こんなか弱い(と僕は思っている)女性を森に放り出すなんてできない。
リーリヤはしばし沈黙し、それから決意したように僕を見つめた。
そして、その場に膝をつき、臣下の礼をとった。
「……承知いたしました。アレン様、いえ、主(あるじ)様。この命、貴方様に捧げます。魔王軍の魔手から私を救い、安息の地を与えてくださった御恩、必ずや報いてみせます。これより私は、アルフヘイム王女としてではなく、貴方様の忠実なるメイドとしてお仕えいたします!」
「え、メイド? いや、そこまでは……」
「いいえ! やらせてください! エルフ族は一度受けた恩を忘れません。それに、これほどの『神域』に住まわせていただく対価としては、私の身一つでは足りないくらいです!」
彼女の瞳は本気だった。
まあ、家事分担をしてくれるならありがたいか。
エルフって綺麗好きそうだし。
「じゃあ、これからよろしくお願いします、リーリヤさん」
「はい! 精一杯努めます!」
こうして、僕の家に新しい同居人が増えた。
神獣フェンリルのシロと、亡国の王女(メイド見習い)リーリヤ。
賑やかになりそうだ。
◆ ◆ ◆
一方、王都から北へ向かう街道。
ガタゴトと揺れる安物の乗合馬車の中に、勇者ライオネルたちの姿があった。
「あー、ケツが痛ぇ……」
ライオネルが不機嫌そうに顔をしかめる。
座席のクッションは薄く、サスペンションのない車輪は地面の凹凸をダイレクトに伝えてくる。
以前、アレンが手配していた馬車は、王室御用達の特別仕様車で、『振動吸収』『静音化』『空調完備』の付与がされていたため、まるで雲の上に乗っているようだった。
今の彼らは、ただの荷物扱いだ。
「臭いわ……隣の商人がニンニク臭いのよ……」
フィオナがハンカチで鼻を押さえる。
満員の馬車内は、汗と埃と体臭が充満している。
『空気清浄』の魔法がないと、移動とはこれほど不快なものなのか。
「お腹空きました……。配給の乾パン、硬すぎて歯が折れそうです」
マリアが涙目で石のように硬いパンをかじっている。
水もぬるくて不味い。
「くそっ、あと何日かかるんだ!」
「御者の話だと、あと十日はかかるそうよ」
「十日だと!? そんなにかかったら身体が持たねえよ!」
ライオネルが叫んだその時、夜空を一筋の光が横切った。
キラキラと輝きながら、北の空から南の彼方へ飛んでいく。
「あら、流れ星……」
マリアが呟いた。
「お願い事しましょう。……『美味しいご飯が食べられますように』」
「『柔らかいベッドで寝られますように』」
「『金が空から降ってきますように』」
三者三様の願いをかける彼ら。
その流れ星が、アレンによって成層圏まで吹き飛ばされたウェアウルフたちであることなど、知る由もなかった。
「……なんか、あの流れ星、こっちを見てたような気がするな」
ライオネルが寒気を感じて身震いする。
彼らが向かう先には、彼らが捨てたはずの男が、王族以上の暮らしをしている楽園がある。
その真実を知った時、彼らの精神は耐えられるのだろうか。
「北の巨大魔力反応……きっとすごい秘宝か、古代遺跡に違いない。それを手に入れれば、俺たちは再び頂点に返り咲くんだ!」
ライオネルはそう信じて、硬い乾パンを無理やり飲み込んだ。
喉に詰まってむせた。
◆ ◆ ◆
翌朝。
僕は目を覚ますと、いつもより早くキッチンに向かった。
同居人が増えたのだから、朝食も気合を入れないといけない。
「おはようございます、主様!」
キッチンには、既にエプロン姿のリーリヤが立っていた。
いつの間に用意したのか、フリルのついた本格的なメイド服だ。
金髪碧眼の美女がメイド服を着ている破壊力は凄まじい。
「おはよう、リーリヤ。早いね」
「はい! メイドたるもの、主様より早く起きるのは当然です。……ただ、この調理器具の使い方がわからなくて……」
彼女は困った顔で、僕の自作魔導コンロを見ていた。
まあ、ツマミ一つで核熱レベルの火力が出る代物だから、初見で使うのは難しいだろう。
「使い方は教えるよ。今日は僕が作るから、見てて」
「は、はい! 勉強させていただきます!」
彼女はメモ帳を取り出し、僕の一挙手一投足を記録し始めた。
その視線が真剣すぎて少しやりづらいが、僕は手早くパンケーキを焼き始めた。
『ふっくら加工』『甘味増強』『幸せホルモン分泌促進』の付与をかけながら。
「……魔法で調理を? しかも、無詠唱で『物質構造変換』レベルの術式を編み込んでいる……?」
リーリヤがブツブツと呟きながら、恐ろしいスピードでメモを取っている。
エルフって勉強熱心なんだな。
こうして、美女と野獣(シロ)に囲まれた、僕の新しい生活が本格的にスタートした。
今日は、リーリヤのためにポーションでも作ろうかと思う。
彼女、元気そうに見えても、まだ体内の魔力回路に古傷が残っているみたいだし。
次回、最強のポーション作り。
「え、これ神の霊薬(エリクサー)ですけど?」と驚かれる未来が見えるが、僕はただの栄養ドリンクだと言い張るつもりだ。
続く
それが、意識を取り戻した彼女の第一声だった。
僕は苦笑いしながら、湯気の立つマグカップを彼女の目の前に置いた。
場所は我が家(アレン・ハウス)のリビング。
彼女を座らせているのは、スライム素材と綿毛を錬成して作った最高級ソファだ。
座った瞬間に身体の形状に合わせて沈み込み、まるで母親の胎内にいるような安心感を与えるこのソファは、人をダメにする家具筆頭である。
「いいえ、ここは天界じゃなくて、僕の家です。辺境の森の中ですよ」
「家……? これが、人の住処だと言うのですか?」
彼女は信じられないといった様子で、周囲を見回した。
天井には自動調光機能付きの魔石シャンデリアが輝き、床には冷暖房完備の絨毯が敷かれている。
壁には先日ドラゴン(鳥)からドロップした巨大な魔石が、インテリアとして飾られていた。
「この魔石……まさか、伝説の『腐食竜(カース・ドラゴン)』の心臓石(ハート・オブ・コア)!? 国宝級どころか、これ一つで小国が買えるほどの代物……それを、ただの飾り石のように!?」
彼女が震える指で壁を指差す。
やはり、あの鳥はカラスにしては珍しいものを落としたようだ。
都会では高く売れるのかもしれないが、ここには買取屋もいないし、綺麗な石なので飾ってみただけだ。
「ああ、それは庭に落ちてたんです。綺麗でしょう? 夜になるとほんのり光るんですよ」
「お、落ちていた……?」
彼女は絶句し、それから何かを悟ったように深く頷いた。
「……理解しました。貴方様は、世俗に関わらないようにひっそりと暮らす、古代の『大賢者』様なのですね。あるいは、人の姿を借りた神そのものか……」
「いや、だから違いますって。僕はアレン。ただの元冒険者です」
「アレン様……。私は、エルフの国『アルフヘイム』の第三王女、リーリヤ・シルフィードと申します」
リーリヤと名乗った彼女は、ソファの上で居住まいを正し、深く頭を下げた。
王女様だったのか。
どうりで気品があるし、言葉遣いも丁寧だ。
しかし、そんな高貴な方がなぜ、こんな森の奥で倒れていたのだろう。
「それで、リーリヤさん。どうしてあんな怪我を?」
僕が尋ねると、彼女の表情が曇った。
碧色の瞳に、恐怖と悲しみの色が浮かぶ。
「……我が国は今、魔王軍の侵攻を受けているのです」
「魔王軍?」
「はい。魔王軍『四天王』の一角、獣王ガロン率いる軍勢により、アルフヘイムは壊滅状態です。私は父王の命により、王家に伝わる秘宝を持って逃げ延びたのですが……追手に捕捉され、ここまで……」
彼女の声が震える。
相当怖い思いをしたのだろう。
魔王軍か。
王都にいた頃、勇者ライオネルたちが倒したという話は聞いていたが、まだ残党が活発に動いているとは。
辺境は平和だと思っていたが、意外と物騒なのかもしれない。
「大変でしたね。でも、もう大丈夫ですよ。ここは結界もあるし、そう簡単には入ってこれませんから」
「結界……そうです、貴方様の結界の光が見えた時、私は救われたと思いました。あの結界は、『神聖不可侵領域(サンクチュアリ)』の上位術式ですね? 魔王軍の精鋭部隊でさえ、指一本触れられないほどの……」
「え? いや、ただの『害獣除け』ですけど」
「害獣……魔王軍を害獣扱い……! さすがです」
また過大評価されている気がするが、訂正するのも面倒なのでスルーしよう。
とりあえず、彼女には落ち着いてもらわないといけない。
「まあ、飲んでください。ただのハーブティーですけど、落ち着きますよ」
僕はマグカップを勧めた。
中身は、庭(数分でジャングル化した畑)で採れたミントっぽい葉っぱと、世界樹の枝(レプリカ)のチップを煮出したものだ。
香りが良く、スッキリとした味わいがお気に入りだ。
リーリヤは恐縮しながらカップを手に取り、一口啜った。
「……っ!?」
彼女の目が大きく見開かれた。
カチャン、とカップを持つ手が震える。
「こ、これは……『世界樹の雫(ユグドラシル・ドロップ)』!? エルフ族の始祖しか口にすることを許されない、神代の霊薬ではありませんか!」
「え? いや、庭の雑草……というか、ハーブですけど」
「嘘です! 一口飲んだだけで、枯渇していた魔力が完全に回復し、身体の芯から生命力が溢れてきます! これ一滴で、死者すら蘇ると言われる幻の秘薬……それを、惜しげもなくお茶として……!」
彼女は涙ぐみながら、震える手でカップを掲げた。
「ありがとうございます……! この御恩、生涯忘れません!」
「いや、お茶一杯で大袈裟だなあ」
エルフ族は感受性が豊かなのだろうか。
まあ、気に入ってくれたなら良かった。
「ワンッ!」
足元でシロが「俺にもくれ」と尻尾を振っている。
はいはい、シロには特製のミルク(ドラゴンミルク)をあげようね。
◆ ◆ ◆
その頃。
アレンの家の結界の外。
夜の闇に紛れ、数十の影が蠢いていた。
それは、魔王軍の特殊追跡部隊『黒牙隊』。
狼の頭を持つ亜人、ウェアウルフの精鋭たちであり、その戦闘力は一体で騎士団一個小隊に匹敵すると言われている。
「隊長、間違いない。エルフの王女の魔力反応が、この先で消えている」
「フン、結界か。人間風情が小賢しい真似を」
隊長と呼ばれる隻眼のウェアウルフが、巨大な曲刀を舐めながら鼻を鳴らした。
彼らの嗅覚は、数キロ先の獲物をも逃さない。
「見たところ、ただの小屋のようだが……妙な威圧感があるな」
「構わん。我ら黒牙隊の前に障害などない。王女を引きずり出し、秘宝を奪え! 邪魔する者は皆殺しだ!」
「オオオオオッ!!」
獣人たちが雄叫びを上げ、結界に向かって突撃を開始した。
彼らの爪には『結界破り』の呪法が施されており、並大抵の魔法障壁なら紙のように引き裂くことができるはずだった。
ガィィィィンッ!!
しかし、先頭を走っていた兵士が結界に触れた瞬間、金属同士が衝突したような激音が響いた。
「ギャッ!?」
爪が砕け散り、その衝撃で兵士の腕がねじ切れる。
さらに、結界の表面に走った電流のような青白い光が、触れた兵士を瞬時に炭化させた。
「な、なんだと!?」
隊長が急停止する。
他の部下たちも、あまりの威力に後ずさりした。
「ば、馬鹿な……! 『対魔断絶結界』だと!? 人間の魔術師風情が、なぜこれほどの高等結界を張れる!」
「隊長! 中から誰か出てきます!」
屋敷の扉が開き、一人の青年が姿を現した。
寝間着のようなラフな格好で、手にはランタンを提げている。
あくびを噛み殺しながら、まるで近所のコンビニに行くような気楽さだ。
「……おい、なんだお前らは」
青年――アレンが、眠そうに声をかけた。
隊長はその隙だらけの姿を見て、嗜虐的な笑みを浮かべた。
「貴様がこの家の主か。我々は魔王軍『黒牙隊』だ。そこにエルフの女がいるだろう? 大人しく差し出せば、命だけは助けてやろう」
隊長は最大限の殺気を込めて脅した。
普通の人間なら、この殺気だけで失禁し、泡を吹いて倒れるはずだ。
しかし、青年はキョトンとした顔で首を傾げた。
「コクガタイ? ……ああ、深夜の警備会社の人ですか? ウチ、セールスはお断りしてるんですけど」
「は?」
隊長は耳を疑った。
警備会社? セールス?
何を言っているんだこの人間は。
我々の恐ろしさが理解できていないのか?
「ふざけるな! 我々は殺戮のプロフェッショナルだぞ! 貴様の首など、瞬きする間に胴体とサヨナラさせてやれるんだぞ!」
「ああ、やっぱり押し売りか。最近の業者は物騒だなあ。そんな刃物を振り回して」
青年は溜息をついた。
恐怖の色は微塵もない。
むしろ、「夜遅くに騒がないでほしいんだけど」という迷惑そうな顔をしている。
「……殺せ」
隊長の中で、理性の糸が切れた。
このふざけた人間を八つ裂きにして、その内臓を引きずり出してやる。
プライドを傷つけられた獣たちの怒りは頂点に達していた。
「オオオオオッ!」
残りの隊員が一斉に飛びかかる。
結界の隙間を探すのではなく、一点集中攻撃で強引に突破する作戦だ。
魔力を込めた一撃必殺の爪撃が、四方八方から青年に迫る。
「うるさいなあ。シロが起きちゃうじゃないか」
青年は面倒くさそうに、軽く手を振った。
まるで、羽虫を追い払うかのように。
「『退去(ゴー・ホーム)』」
彼が口にしたのは、攻撃魔法ですらなかった。
生活魔法の一種、家に入ってきた虫や小動物を外に出すための、ささやかな空間操作魔法だ。
本来なら、対象を数メートル移動させる程度の効果しかない。
だが、アレンが使うと話は別だ。
膨大な魔力と、付与術師特有の『強制執行』の権限が上乗せされる。
ブォンッ!
空間そのものがゴムのように弾けた。
襲いかかった獣人たちの身体が、物理法則を無視したベクトルで空の彼方へと射出された。
「ア……レ……?」
隊長は自分が空を飛んでいることに気づいた。
下を見れば、豆粒のような屋敷が見える。
いや、どんどん小さくなっていく。
雲を突き抜け、成層圏を突破し、なおも上昇を続ける。
(こ、これは……転移魔法ではない……純粋な運動エネルギーによる排除……!? あの男、ただ手を振っただけで……我々を星の外へ……!?)
「キラーンッ!」
夜空に一筋の流れ星が煌めいた。
それが、魔王軍精鋭部隊の最期だった。
◆ ◆ ◆
「ふぅ、やっと静かになった」
僕は夜空を見上げて満足げに頷いた。
しつこいセールスマンたちも、僕の『退去』魔法で森の外まで飛ばされて懲りただろう。
ちょっと強めに飛ばしすぎたかもしれないが、まあ獣人族は頑丈だし、怪我くらいで済んでいるはずだ。
「さて、お茶が冷めちゃうな」
僕は家の中に戻った。
リビングでは、リーリヤが窓の外を凝視して固まっていた。
「あ、アレン様……今の轟音は……?」
「ああ、ちょっと変な人たちが来てたんで、お引き取り願いました。最近は治安が悪いですね」
「お、お引き取り……? あの殺気立った黒牙隊を、一瞬で……?」
彼女はまた何かブツブツと言っていたが、僕は新しいお茶を淹れ直した。
「それで、リーリヤさん。行く当てがないなら、しばらくここに居てもいいですよ。部屋はたくさん余ってるし」
「えっ……!?」
彼女が顔を上げる。
「よ、よろしいのですか? 私は追われる身です。ここにいれば、魔王軍の軍勢が押し寄せてくるかもしれません。貴方様にご迷惑をおかけするわけには……」
「迷惑なんてことないですよ。それに、一人暮らしは寂しいですし。家事とか手伝ってくれると助かるなあ、なんて」
実は掃除はゴーレムがやってくれるのだが、話し相手が欲しかったのだ。
それに、こんなか弱い(と僕は思っている)女性を森に放り出すなんてできない。
リーリヤはしばし沈黙し、それから決意したように僕を見つめた。
そして、その場に膝をつき、臣下の礼をとった。
「……承知いたしました。アレン様、いえ、主(あるじ)様。この命、貴方様に捧げます。魔王軍の魔手から私を救い、安息の地を与えてくださった御恩、必ずや報いてみせます。これより私は、アルフヘイム王女としてではなく、貴方様の忠実なるメイドとしてお仕えいたします!」
「え、メイド? いや、そこまでは……」
「いいえ! やらせてください! エルフ族は一度受けた恩を忘れません。それに、これほどの『神域』に住まわせていただく対価としては、私の身一つでは足りないくらいです!」
彼女の瞳は本気だった。
まあ、家事分担をしてくれるならありがたいか。
エルフって綺麗好きそうだし。
「じゃあ、これからよろしくお願いします、リーリヤさん」
「はい! 精一杯努めます!」
こうして、僕の家に新しい同居人が増えた。
神獣フェンリルのシロと、亡国の王女(メイド見習い)リーリヤ。
賑やかになりそうだ。
◆ ◆ ◆
一方、王都から北へ向かう街道。
ガタゴトと揺れる安物の乗合馬車の中に、勇者ライオネルたちの姿があった。
「あー、ケツが痛ぇ……」
ライオネルが不機嫌そうに顔をしかめる。
座席のクッションは薄く、サスペンションのない車輪は地面の凹凸をダイレクトに伝えてくる。
以前、アレンが手配していた馬車は、王室御用達の特別仕様車で、『振動吸収』『静音化』『空調完備』の付与がされていたため、まるで雲の上に乗っているようだった。
今の彼らは、ただの荷物扱いだ。
「臭いわ……隣の商人がニンニク臭いのよ……」
フィオナがハンカチで鼻を押さえる。
満員の馬車内は、汗と埃と体臭が充満している。
『空気清浄』の魔法がないと、移動とはこれほど不快なものなのか。
「お腹空きました……。配給の乾パン、硬すぎて歯が折れそうです」
マリアが涙目で石のように硬いパンをかじっている。
水もぬるくて不味い。
「くそっ、あと何日かかるんだ!」
「御者の話だと、あと十日はかかるそうよ」
「十日だと!? そんなにかかったら身体が持たねえよ!」
ライオネルが叫んだその時、夜空を一筋の光が横切った。
キラキラと輝きながら、北の空から南の彼方へ飛んでいく。
「あら、流れ星……」
マリアが呟いた。
「お願い事しましょう。……『美味しいご飯が食べられますように』」
「『柔らかいベッドで寝られますように』」
「『金が空から降ってきますように』」
三者三様の願いをかける彼ら。
その流れ星が、アレンによって成層圏まで吹き飛ばされたウェアウルフたちであることなど、知る由もなかった。
「……なんか、あの流れ星、こっちを見てたような気がするな」
ライオネルが寒気を感じて身震いする。
彼らが向かう先には、彼らが捨てたはずの男が、王族以上の暮らしをしている楽園がある。
その真実を知った時、彼らの精神は耐えられるのだろうか。
「北の巨大魔力反応……きっとすごい秘宝か、古代遺跡に違いない。それを手に入れれば、俺たちは再び頂点に返り咲くんだ!」
ライオネルはそう信じて、硬い乾パンを無理やり飲み込んだ。
喉に詰まってむせた。
◆ ◆ ◆
翌朝。
僕は目を覚ますと、いつもより早くキッチンに向かった。
同居人が増えたのだから、朝食も気合を入れないといけない。
「おはようございます、主様!」
キッチンには、既にエプロン姿のリーリヤが立っていた。
いつの間に用意したのか、フリルのついた本格的なメイド服だ。
金髪碧眼の美女がメイド服を着ている破壊力は凄まじい。
「おはよう、リーリヤ。早いね」
「はい! メイドたるもの、主様より早く起きるのは当然です。……ただ、この調理器具の使い方がわからなくて……」
彼女は困った顔で、僕の自作魔導コンロを見ていた。
まあ、ツマミ一つで核熱レベルの火力が出る代物だから、初見で使うのは難しいだろう。
「使い方は教えるよ。今日は僕が作るから、見てて」
「は、はい! 勉強させていただきます!」
彼女はメモ帳を取り出し、僕の一挙手一投足を記録し始めた。
その視線が真剣すぎて少しやりづらいが、僕は手早くパンケーキを焼き始めた。
『ふっくら加工』『甘味増強』『幸せホルモン分泌促進』の付与をかけながら。
「……魔法で調理を? しかも、無詠唱で『物質構造変換』レベルの術式を編み込んでいる……?」
リーリヤがブツブツと呟きながら、恐ろしいスピードでメモを取っている。
エルフって勉強熱心なんだな。
こうして、美女と野獣(シロ)に囲まれた、僕の新しい生活が本格的にスタートした。
今日は、リーリヤのためにポーションでも作ろうかと思う。
彼女、元気そうに見えても、まだ体内の魔力回路に古傷が残っているみたいだし。
次回、最強のポーション作り。
「え、これ神の霊薬(エリクサー)ですけど?」と驚かれる未来が見えるが、僕はただの栄養ドリンクだと言い張るつもりだ。
続く
0
あなたにおすすめの小説
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
前世は厳しい家族とお茶を極めたから、今世は優しい家族とお茶魔法極めます
初昔 茶ノ介
ファンタジー
代々続くお茶の名家、香坂家。そこに生まれ、小さな時から名家にふさわしくなるように厳しく指導を受けてきた香坂千景。
常にお茶のことを優先し、名家に恥じぬ実力を身につけた彼女は齢六十で人間国宝とまで言われる茶人となった。
しかし、身体は病魔に侵され、家族もおらず、また家の定める人にしか茶を入れてはならない生活に嫌気がさしていた。
そして、ある要人を持て成す席で、病状が悪化し命を落としてしまう。
そのまま消えるのかと思った千景は、目が覚めた時、自分の小さくなった手や見たことのない部屋、見たことのない人たちに囲まれて驚きを隠せなかった。
そこで周りの人達から公爵家の次女リーリフィアと呼ばれて……。
これは、前世で名家として厳しく指導を受けお茶を極めた千景が、異世界で公爵家次女リーリフィアとしてお茶魔法を極め優しい家族と幸せになるお話……。
ーーーーーーーー
のんびりと書いていきます。
よかったら楽しんでいただけると嬉しいです。
転生モブ一家は乙女ゲームの開幕フラグを叩き折る
月野槐樹
ファンタジー
辺境の片田舎の弱小貴族の一家の屋敷に、ある日高位貴族達のちょっとした気まぐれで高位貴族とその子息子女、更に第二王子殿下までもが滞在することになってしまった。
田舎貴族の次男クリスはその頃から、奇妙な白昼夢を見るようになる。それは屋敷に滞在している王子や令嬢、令息達の未来のように思えた。
不幸になりそうな未来なら何とか手助けしたい!でも、本当に起きることのかな?
半信半疑のまま、手助けできそうなことを、やりたいようにやっていく。
ただし、普段は魔道具を作ったり、魔獣を倒したり、美味しいご飯を食べたり、緩くマイペースに辺境ライフを楽しんでいます!
魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした
茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。
貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。
母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。
バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。
しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。
王妃ですが都からの追放を言い渡されたので、田舎暮らしを楽しみます!
藤野ひま
ファンタジー
わたくし王妃の身でありながら、夫から婚姻破棄と王都から出て行く事を言い渡されました。
初めての田舎暮らしは……楽しいのですが?!
夫や、かの女性は王城でお元気かしら?
わたくしは元気にしておりますので、ご心配御無用です!
〔『仮面の王と風吹く国の姫君』の続編となります。できるだけこちらだけでわかるようにしています。が、気になったら前作にも立ち寄っていただけると嬉しいです〕〔ただ、ネタバレ的要素がありますのでご了承ください〕
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
妹が聖女に選ばれました。姉が闇魔法使いだと周囲に知られない方が良いと思って家を出たのに、何故か王子様が追いかけて来ます。
向原 行人
ファンタジー
私、アルマには二つ下の可愛い妹がいます。
幼い頃から要領の良い妹は聖女に選ばれ、王子様と婚約したので……私は遠く離れた地で、大好きな魔法の研究に専念したいと思います。
最近は異空間へ自由に物を出し入れしたり、部分的に時間を戻したり出来るようになったんです!
勿論、この魔法の効果は街の皆さんにも活用を……いえ、無限に収納出来るので、安い時に小麦を買っていただけで、先見の明とかはありませんし、怪我をされた箇所の時間を戻しただけなので、治癒魔法とは違います。
だから私は聖女ではなくて、妹が……って、どうして王子様がこの地に来ているんですかっ!?
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
「役立たず」と追放されたが、俺のスキルは【経験値委託】だ。解除した瞬間、勇者パーティーはレベル1に戻り、俺だけレベル9999になった
たまごころ
ファンタジー
「悪いがクビだ、アレン。お前のような戦闘スキルのない寄生虫は、魔王討伐の旅には連れていけない」
幼馴染の勇者と、恋人だった聖女からそう告げられ、俺は極寒の雪山に捨てられた。
だが、彼らは勘違いしている。
俺のスキルは、単なる【魔力譲渡】じゃない。
パーティメンバーが得た経験値を管理・分配し、底上げする【経験値委託(キックバック)】という神スキルだったのだ。
俺をパーティから外すということは、契約解除を意味する。
つまり――今まで彼らが俺のおかげで得ていた「かさ増しステータス」が消え、俺が預けていた膨大な「累積経験値」が全て俺に返還されるということだ。
「スキル解除。……さて、長年の利子も含めて、たっぷり返してもらおうか」
その瞬間、俺のレベルは15から9999へ。
一方、勇者たちはレベル70から初期レベルの1へと転落した。
これは、最強の力を取り戻した俺が、雪山の守り神である銀狼(美少女)や、封印されし魔神(美少女)を従えて無双し、新たな国を作る物語。
そして、レベル1に戻ってゴブリンにも勝てなくなった元勇者たちが、絶望のどん底へ落ちていく「ざまぁ」の記録である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる