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第13話 魔王の娘が「父の仇!」と襲来。デコピンで埋めたら懐かれた
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辺境都市アルカディアでの即売会から一夜明けた、魔の森。
俺の家のリビングには、かつてないほどの緊張感……ではなく、札束の山が築かれていた。
「主様、計算が終わりました。昨日の売上、金貨換算で一万枚を超えています」
元王女のセラフィナが、震える手で家計簿(羊皮紙)を閉じた。
金貨一万枚。
平民が一生遊んで暮らせる金額の、さらに百倍くらいだろうか。
野菜をリヤカー一台分売っただけで、国家予算並みの利益が出てしまった。
「うーん……こんなにあっても使い道がないなぁ」
俺は腕組みをして唸った。
欲しいものといえば、新しい野菜の種か、農具の手入れ用オイルくらいだ。
服はドラゴンの皮で事足りているし、食料は自給自足で世界最高峰のものが食べられる。
「半分はみんなで山分けしてくれ。残りは家の修繕費と、今後の肥料代としてキープだ」
「や、山分けですか!? 一人あたり城が買えますわよ!?」
「いいって。みんな働いてくれたんだから」
俺がのんきに言っていると、窓際で日光浴をしていた大精霊ティターニアが、ふと空を見上げて眉をひそめた。
「あら……? 空模様が怪しいですわね」
「雨か?」
「いいえ。これは……瘴気ですわ」
彼女がそう言った直後だった。
ドオォォォォォンッ!!!
家の前の庭――大切に育てている『神々の薬草園』のすぐ近くに、黒い雷が落ちた。
爆風で窓ガラス(クリスタル製なので割れはしないが)がビリビリと震える。
「な、なんだ!?」
「敵襲です!」
女騎士アイリスが即座に剣を構え、庭へと飛び出す。
俺たちも慌てて後に続いた。
土煙が晴れると、庭の中央に深さ数メートルのクレーターができていた。
そして、その中心に一人の少女が立っていた。
見た目は十四、五歳くらいだろうか。
夜の闇を切り取ったような漆黒のゴスロリドレス。
背中にはコウモリのような小さな翼が生え、頭にはねじれた二本の角がある。
銀色の髪を風になびかせ、彼女は不敵な笑みを浮かべて俺たちを睨みつけた。
「フフフ……見つけたぞ、人間ども!」
少女は芝居がかった仕草でバッとマントを広げた。
「我が名はヴァニア! 魔族を統べる王、サタナキアの娘にして、次期魔王となる者なり!」
魔王の娘。
そんな大物が、なんでまたこんな辺境の農家に?
「き、貴様……! いきなり庭に穴を開けるとは何事だ!」
アイリスが怒号を飛ばす。
だが、俺が気になったのはそこではなかった。
「おい、そこ」
俺は静かに声をかけた。
ヴァニアと呼ばれた少女が、俺の方を向く。
「ん? なんだ貴様は。命乞いなら……」
「そこ、まだ球根が埋まってるんだ。踏むな」
俺が指差したのは、彼女の足元。
来年の春に向けて植えたばかりの『爆裂チューリップ(品種改良版)』の球根エリアだ。
「は……? 球根?」
「そうだよ。デリケートなんだから、そっと退いてくれ」
「き、貴様ぁぁぁッ! この我に向かって、球根の心配だと!?」
ヴァニアの顔が真っ赤になった。
彼女の体から、どす黒いオーラが噴き出す。
「舐めるなよ人間! 我は遊びに来たのではない! 父上の……魔王軍の仇を取りに来たのだ!」
「仇?」
俺は首を傾げた。
魔王軍なんて見たこともないぞ。
帝国軍(害虫)なら追い払ったけど。
「とぼけるな! 我が軍が誇る四天王、『暴食のベリオス』と『地竜将軍ガルド』の魔力反応が、この地で消滅したのを感知したのだ!」
ベリオス? ガルド?
誰だそれは。
「知らんな。人違いじゃないか?」
「嘘をつくな! ベリオスは赤い毛皮を持つ巨躯の戦士! ガルドは大地を操る最強の竜だ!」
赤い毛皮の巨躯……。
大地を操る竜……。
俺の脳裏に、数日前の出来事が蘇った。
「ああ! あの『赤熊』と『土トカゲ』のことか!」
俺はポンと手を打った。
「熊? トカゲだと? 貴様、四天王を野獣扱いか!」
「いや、だって庭に入ってきたから……。熊は裏山に投げ捨てたし、トカゲは……美味しくいただいたけど」
「く、食ったァァァァッ!?」
ヴァニアが絶叫した。
後ろでレオンとアイリスが「ああ……やっぱり……」と顔を覆っている。
「許さん……! 父上の忠実な部下たちを、家畜同然に狩り、食料にするなど……! 貴様は魔族の敵だ! このヴァニアが、父に代わって粛清してくれる!」
少女が右手を掲げると、空が暗転し、無数の黒い火球が出現した。
「味わうがいい! 魔界の業火、『ヘル・インフェルノ』!」
ゴオォォォォォッ!
数百もの火球が、俺の家と畑を目掛けて降り注ぐ。
一つ一つが、城壁すら溶かすほどの熱量を持っているらしい。
セラフィナが「主様、防壁を!」と叫ぼうとしたが、俺にはその必要性を感じなかった。
俺の目には、それは「火球」ではなく、「真夏の日差し」や「熱波」のように見えたからだ。
農作物にとって、過度な暑さは大敵だ。
葉焼けしてしまうし、土が乾いてしまう。
「今日はちょっと日差しが強いなぁ。……日除けをしなきゃ」
俺は空に向かって手を振った。
イメージするのは『遮光ネット』。
強い日差しを和らげ、適切な光だけを届ける。
空中の「過剰な熱エネルギー」を「不要な雑草」として認識し、間引く。
スキル発動、『草むしり』――応用・『熱線カット』。
シュンッ。
俺が手を振った瞬間、空を埋め尽くしていた数百の黒い火球が、まるで蝋燭の火を吹き消すように一斉に消滅した。
後に残ったのは、心地よいそよ風と、適度な日光だけ。
「……は?」
ヴァニアが口をポカンと開けて固まった。
掲げた右手が行き場を失って震えている。
「な、何をした……? 我が最大奥義が……消えた? 魔法障壁を展開した気配もなかったぞ……?」
「暑かったから、ちょっと涼しくしたんだ。畑が乾いちゃうからな」
「す、涼しくしただと!? あれは地獄の業火だぞ!?」
ヴァニアは混乱しつつも、すぐに気を取り直した。
さすがは魔王の娘、根性がある。
「な、ならばこれならどうだ! 物理攻撃で粉砕してくれる!」
彼女は背中の翼を羽ばたかせ、音速を超えるスピードで俺に突っ込んできた。
小さな体だが、その拳には山をも砕く魔力が込められている。
「死ねぇぇぇッ!」
迫りくる拳。
だが、俺にはそれが、畑の中を高速で飛び回る「アブ」か「ハエ」に見えた。
ブンブンとうるさい羽音。
これでは昼寝の妨げになる。
「うるさいぞ。ちょっと静かにしてなさい」
俺は迫りくる彼女の額(デコ)に狙いを定めた。
イメージするのは『害虫の弾き飛ばし』。
殺しはしない。ただ、ちょっとお仕置きをするだけだ。
「デコピン」
パチンッ!
俺の中指が、ヴァニアの綺麗なおでこを捉えた。
「あぐっ!?」
ゴォォォォォンッ!!!
乾いた音がしたかと思うと、次の瞬間には衝撃波が発生していた。
ヴァニアの体は砲弾のように地面へと叩きつけられた。
だが、ただ弾き飛ばしたのではない。
俺は彼女を「土に還すべきもの」として認識し、地面に『植えた』のだ。
ズボォッ!
土煙が舞い上がる。
晴れた後、そこにはシュールな光景が広がっていた。
首から下が見事に地面に埋まり、顔だけを出している魔王の娘の姿があった。
「あ……が……?」
ヴァニアは白目をむいてピクピクしている。
額には真っ赤なタンコブができていた。
「主様……また新しい作物を植えたのですか?」
ティターニアが呆れたように近づいてくる。
「いや、ちょっと暴れるから、頭を冷やしてもらおうと思ってな。俺の畑の土は鎮静作用があるから」
そう。
俺の畑――『神の菜園』の土は、俺が毎日『草むしり』で不純物を取り除き、浄化し続けた結果、触れるだけで精神を安定させ、魔力の暴走を抑える効果を持つようになっていた。
いわば、究極の「癒やしの泥パック」だ。
「う……うう……」
埋まったままのヴァニアが呻き声を上げた。
意識を取り戻したようだ。
「き、貴様……何を……。我は……負けたのか……? たった一撃で……」
彼女の目から涙が溢れ出した。
悔しさと、恐怖と、そして敗北感。
「殺せ……! 父上の仇も討てず、人間に辱められるくらいなら、いっそ殺せ!」
彼女は叫んだ。
だが、その声には次第に異変が混じり始めた。
「殺せ……殺……あ、あれ? なんか……気持ちいい?」
ヴァニアの表情が、苦悶からとろけるような恍惚へと変わっていく。
「な、なんなのだこの土は……! 温かい……。荒れ狂っていた魔力が、優しく包み込まれていく……。父上の膝の上よりも安心する……」
「お、効いてきたな」
俺はしゃがみこみ、彼女の顔を覗き込んだ。
「どうだ? 少しは落ち着いたか?」
「お、落ち着くものか! 我は魔王の……魔王の……むにゃ……」
ヴァニアの瞳がトロンとしてくる。
俺の畑の土が持つ、強制リラックス効果(Sランク状態異常『安らぎ』)が発動している。
さらに、土に含まれる『黄金トマト』や『月光草』の成分が皮膚から浸透し、彼女の魔力を純化・増幅させていた。
「ああ……魔力が……澄んでいく……。泥パック……最高……」
完全に堕ちた。
魔王の娘としての威厳はどこへやら、今はただの土に埋まった幸せそうな少女だ。
「主様、どうしますか? このまま埋めておきますか?」
「まあ、本人が気に入ってるみたいだし、しばらくそのままにしておこう」
俺たちは彼女を放置して、昼食の準備に戻ることにした。
庭には、首だけ出した美少女が生えているという、世にも奇妙なオブジェが完成していた。
◇
数時間後。
夕方になり、俺はヴァニアを掘り起こしてやった。
スポンッ!
「はふぅ……」
土から出てきたヴァニアは、全身泥だらけだったが、その肌は以前よりも白く輝き、髪もツヤツヤになっていた。
そして何より、憑き物が落ちたような穏やかな顔をしていた。
「……礼を言う」
彼女はボソリと言った。
「え?」
「あの土の中で、我は悟ったのだ。力とは、ただ破壊するためにあるのではないと。生命を育む土の温かさ……それこそが真の強さなのだと」
なんか深いことを言っている。
ただ埋まっていただけなのに。
「それに、貴様……いや、貴方様の力は、父上をも凌駕している。四天王が敗れるのも無理はない」
ヴァニアは俺の前に跪いた。
その背中の翼を畳み、恭順の意を示す。
「ノエル様。我を……この庭の『番犬』ならぬ『番魔』として置いてはくれないだろうか」
「は? いや、番犬ならもうウルフがいるけど」
「ワンッ!」
「ならば『庭石』でも『案山子(かかし)』でもいい! あの土の素晴らしさが忘れられんのだ! 毎日あの土に触れていたい!」
彼女は必死だった。
どうやら、俺の畑の土の中毒になってしまったらしい。
「魔界の泥温泉より効能がいい」とかブツブツ言っている。
「……はぁ。わかったよ。働いてくれるなら構わない」
「本当か! 感謝する!」
「その代わり、イタズラはなしだぞ。あと、畑を燃やそうとするなよ」
「心得た! このヴァニア、これからは畑を守護する『魔神』として、害虫どもを地獄の業火で焼き払おう!」
「焼くなと言ったばかりだろうが」
こうして、魔王の娘が新しい従業員として加わった。
彼女の役割は、空からの侵入者の警戒と、持ち前の飛行能力を活かした『高枝切り』や『収穫』のサポートだ。
◇
夜。
賑やかになった食卓で、ヴァニアは初めて俺の料理を食べた。
今日のメニューは、『黄金トマトとドラゴンの煮込みハンバーグ(リベンジ)』だ。
「な、なんだこれはァァァッ!?」
一口食べた瞬間、ヴァニアが椅子から転げ落ちた。
「美味い! 美味すぎる! 魔界の宮廷料理人が作るフルコースが、残飯に思えるほどの衝撃! 口の中で肉汁のビッグバンが起きている!」
「おー、いいリアクションだ」
「ノエル様! 父上にも……いつか父上にもこれを食べさせてやりたい!」
彼女は泣きながらハンバーグを平らげた。
どうやら「父の仇」という誤解は、美味しいご飯とフカフカの土によって完全に解消されたようだ。
むしろ、「父上をここに招待して、ノエル様の部下にしてもらおう」とか恐ろしいことを画策し始めている。
◇
一方、その頃。
ヴァニアが去った後の魔王城では、大騒ぎになっていた。
「報告します! ヴァニア様が……ヴァニア様の魔力反応が、北の『魔の森』で消失しました!」
「なんだと!?」
玉座に座る巨大な影――魔王サタナキアが立ち上がった。
「馬鹿な……。娘は次期魔王としての才覚を持つ逸材だぞ。それが消えただと?」
「はッ! 直前に強大な魔力との衝突が観測されました。おそらく……人間に討たれたものかと」
魔王城が悲しみに包まれる。
最愛の娘を失った魔王の怒りは、天を衝くほどだった。
「おのれ人間ども……! 四天王のみならず、我が娘まで奪うか!」
魔王の体から、どす黒い殺気が溢れ出す。
「許さん。もはや手加減は無用。魔王軍全軍をもって、北の森を焼き尽くし、人間どもを根絶やしにしてくれるわ!」
「ウォーッ!!」
魔物たちの大合唱が響く。
世界を恐怖に陥れる魔王軍の本格侵攻。
その矛先が、俺の「農場」に向けられようとしていた。
だが、彼らは知らない。
「討たれた」と思われていた娘が、今は農家のこたつ(自作)で丸くなり、みかんを食べてくつろいでいることを。
そして、彼らが攻め込もうとしている場所が、魔界よりも恐ろしい『神域』であることを。
◇
さらにその頃。
魔王軍とは別の場所でも、俺への殺意を燃やす存在が動き出していた。
闇の教団のアジト跡地。
崩れ落ちた瓦礫の中から、漆黒の鎧を纏った戦士が現れた。
魔勇者ジーク。
魔石の力で理性を失い、殺戮マシーンと化したかつての勇者だ。
「ウゥ……アァ……」
彼の喉から漏れるのは、言葉にならない呻き声。
だが、その赤い瞳は、北の方角をしっかりと見据えていた。
「ノ……エル……」
彼の本能が告げている。
あの方角に、自分の全てを奪った(と勝手に思い込んでいる)元凶がいると。
「コロ……ス……」
魔勇者は地面を蹴った。
その跳躍力は凄まじく、一飛びで数百メートルを移動する。
彼は一直線に、俺の家を目指していた。
魔王軍と、魔勇者。
二つの巨大な厄災が、同時に俺の平穏なスローライフに迫りつつあった。
だが、今の俺の悩みは「ヴァニアが夜更かししてゲーム(異世界にはないが、似たような魔道具を作った)ばかりしている」ことくらいだった。
「明日は早起きして、小麦の収穫だぞ」
「わかっている! あとワンステージだけ!」
平和な夜は、嵐の前の静けさだった。
続く
俺の家のリビングには、かつてないほどの緊張感……ではなく、札束の山が築かれていた。
「主様、計算が終わりました。昨日の売上、金貨換算で一万枚を超えています」
元王女のセラフィナが、震える手で家計簿(羊皮紙)を閉じた。
金貨一万枚。
平民が一生遊んで暮らせる金額の、さらに百倍くらいだろうか。
野菜をリヤカー一台分売っただけで、国家予算並みの利益が出てしまった。
「うーん……こんなにあっても使い道がないなぁ」
俺は腕組みをして唸った。
欲しいものといえば、新しい野菜の種か、農具の手入れ用オイルくらいだ。
服はドラゴンの皮で事足りているし、食料は自給自足で世界最高峰のものが食べられる。
「半分はみんなで山分けしてくれ。残りは家の修繕費と、今後の肥料代としてキープだ」
「や、山分けですか!? 一人あたり城が買えますわよ!?」
「いいって。みんな働いてくれたんだから」
俺がのんきに言っていると、窓際で日光浴をしていた大精霊ティターニアが、ふと空を見上げて眉をひそめた。
「あら……? 空模様が怪しいですわね」
「雨か?」
「いいえ。これは……瘴気ですわ」
彼女がそう言った直後だった。
ドオォォォォォンッ!!!
家の前の庭――大切に育てている『神々の薬草園』のすぐ近くに、黒い雷が落ちた。
爆風で窓ガラス(クリスタル製なので割れはしないが)がビリビリと震える。
「な、なんだ!?」
「敵襲です!」
女騎士アイリスが即座に剣を構え、庭へと飛び出す。
俺たちも慌てて後に続いた。
土煙が晴れると、庭の中央に深さ数メートルのクレーターができていた。
そして、その中心に一人の少女が立っていた。
見た目は十四、五歳くらいだろうか。
夜の闇を切り取ったような漆黒のゴスロリドレス。
背中にはコウモリのような小さな翼が生え、頭にはねじれた二本の角がある。
銀色の髪を風になびかせ、彼女は不敵な笑みを浮かべて俺たちを睨みつけた。
「フフフ……見つけたぞ、人間ども!」
少女は芝居がかった仕草でバッとマントを広げた。
「我が名はヴァニア! 魔族を統べる王、サタナキアの娘にして、次期魔王となる者なり!」
魔王の娘。
そんな大物が、なんでまたこんな辺境の農家に?
「き、貴様……! いきなり庭に穴を開けるとは何事だ!」
アイリスが怒号を飛ばす。
だが、俺が気になったのはそこではなかった。
「おい、そこ」
俺は静かに声をかけた。
ヴァニアと呼ばれた少女が、俺の方を向く。
「ん? なんだ貴様は。命乞いなら……」
「そこ、まだ球根が埋まってるんだ。踏むな」
俺が指差したのは、彼女の足元。
来年の春に向けて植えたばかりの『爆裂チューリップ(品種改良版)』の球根エリアだ。
「は……? 球根?」
「そうだよ。デリケートなんだから、そっと退いてくれ」
「き、貴様ぁぁぁッ! この我に向かって、球根の心配だと!?」
ヴァニアの顔が真っ赤になった。
彼女の体から、どす黒いオーラが噴き出す。
「舐めるなよ人間! 我は遊びに来たのではない! 父上の……魔王軍の仇を取りに来たのだ!」
「仇?」
俺は首を傾げた。
魔王軍なんて見たこともないぞ。
帝国軍(害虫)なら追い払ったけど。
「とぼけるな! 我が軍が誇る四天王、『暴食のベリオス』と『地竜将軍ガルド』の魔力反応が、この地で消滅したのを感知したのだ!」
ベリオス? ガルド?
誰だそれは。
「知らんな。人違いじゃないか?」
「嘘をつくな! ベリオスは赤い毛皮を持つ巨躯の戦士! ガルドは大地を操る最強の竜だ!」
赤い毛皮の巨躯……。
大地を操る竜……。
俺の脳裏に、数日前の出来事が蘇った。
「ああ! あの『赤熊』と『土トカゲ』のことか!」
俺はポンと手を打った。
「熊? トカゲだと? 貴様、四天王を野獣扱いか!」
「いや、だって庭に入ってきたから……。熊は裏山に投げ捨てたし、トカゲは……美味しくいただいたけど」
「く、食ったァァァァッ!?」
ヴァニアが絶叫した。
後ろでレオンとアイリスが「ああ……やっぱり……」と顔を覆っている。
「許さん……! 父上の忠実な部下たちを、家畜同然に狩り、食料にするなど……! 貴様は魔族の敵だ! このヴァニアが、父に代わって粛清してくれる!」
少女が右手を掲げると、空が暗転し、無数の黒い火球が出現した。
「味わうがいい! 魔界の業火、『ヘル・インフェルノ』!」
ゴオォォォォォッ!
数百もの火球が、俺の家と畑を目掛けて降り注ぐ。
一つ一つが、城壁すら溶かすほどの熱量を持っているらしい。
セラフィナが「主様、防壁を!」と叫ぼうとしたが、俺にはその必要性を感じなかった。
俺の目には、それは「火球」ではなく、「真夏の日差し」や「熱波」のように見えたからだ。
農作物にとって、過度な暑さは大敵だ。
葉焼けしてしまうし、土が乾いてしまう。
「今日はちょっと日差しが強いなぁ。……日除けをしなきゃ」
俺は空に向かって手を振った。
イメージするのは『遮光ネット』。
強い日差しを和らげ、適切な光だけを届ける。
空中の「過剰な熱エネルギー」を「不要な雑草」として認識し、間引く。
スキル発動、『草むしり』――応用・『熱線カット』。
シュンッ。
俺が手を振った瞬間、空を埋め尽くしていた数百の黒い火球が、まるで蝋燭の火を吹き消すように一斉に消滅した。
後に残ったのは、心地よいそよ風と、適度な日光だけ。
「……は?」
ヴァニアが口をポカンと開けて固まった。
掲げた右手が行き場を失って震えている。
「な、何をした……? 我が最大奥義が……消えた? 魔法障壁を展開した気配もなかったぞ……?」
「暑かったから、ちょっと涼しくしたんだ。畑が乾いちゃうからな」
「す、涼しくしただと!? あれは地獄の業火だぞ!?」
ヴァニアは混乱しつつも、すぐに気を取り直した。
さすがは魔王の娘、根性がある。
「な、ならばこれならどうだ! 物理攻撃で粉砕してくれる!」
彼女は背中の翼を羽ばたかせ、音速を超えるスピードで俺に突っ込んできた。
小さな体だが、その拳には山をも砕く魔力が込められている。
「死ねぇぇぇッ!」
迫りくる拳。
だが、俺にはそれが、畑の中を高速で飛び回る「アブ」か「ハエ」に見えた。
ブンブンとうるさい羽音。
これでは昼寝の妨げになる。
「うるさいぞ。ちょっと静かにしてなさい」
俺は迫りくる彼女の額(デコ)に狙いを定めた。
イメージするのは『害虫の弾き飛ばし』。
殺しはしない。ただ、ちょっとお仕置きをするだけだ。
「デコピン」
パチンッ!
俺の中指が、ヴァニアの綺麗なおでこを捉えた。
「あぐっ!?」
ゴォォォォォンッ!!!
乾いた音がしたかと思うと、次の瞬間には衝撃波が発生していた。
ヴァニアの体は砲弾のように地面へと叩きつけられた。
だが、ただ弾き飛ばしたのではない。
俺は彼女を「土に還すべきもの」として認識し、地面に『植えた』のだ。
ズボォッ!
土煙が舞い上がる。
晴れた後、そこにはシュールな光景が広がっていた。
首から下が見事に地面に埋まり、顔だけを出している魔王の娘の姿があった。
「あ……が……?」
ヴァニアは白目をむいてピクピクしている。
額には真っ赤なタンコブができていた。
「主様……また新しい作物を植えたのですか?」
ティターニアが呆れたように近づいてくる。
「いや、ちょっと暴れるから、頭を冷やしてもらおうと思ってな。俺の畑の土は鎮静作用があるから」
そう。
俺の畑――『神の菜園』の土は、俺が毎日『草むしり』で不純物を取り除き、浄化し続けた結果、触れるだけで精神を安定させ、魔力の暴走を抑える効果を持つようになっていた。
いわば、究極の「癒やしの泥パック」だ。
「う……うう……」
埋まったままのヴァニアが呻き声を上げた。
意識を取り戻したようだ。
「き、貴様……何を……。我は……負けたのか……? たった一撃で……」
彼女の目から涙が溢れ出した。
悔しさと、恐怖と、そして敗北感。
「殺せ……! 父上の仇も討てず、人間に辱められるくらいなら、いっそ殺せ!」
彼女は叫んだ。
だが、その声には次第に異変が混じり始めた。
「殺せ……殺……あ、あれ? なんか……気持ちいい?」
ヴァニアの表情が、苦悶からとろけるような恍惚へと変わっていく。
「な、なんなのだこの土は……! 温かい……。荒れ狂っていた魔力が、優しく包み込まれていく……。父上の膝の上よりも安心する……」
「お、効いてきたな」
俺はしゃがみこみ、彼女の顔を覗き込んだ。
「どうだ? 少しは落ち着いたか?」
「お、落ち着くものか! 我は魔王の……魔王の……むにゃ……」
ヴァニアの瞳がトロンとしてくる。
俺の畑の土が持つ、強制リラックス効果(Sランク状態異常『安らぎ』)が発動している。
さらに、土に含まれる『黄金トマト』や『月光草』の成分が皮膚から浸透し、彼女の魔力を純化・増幅させていた。
「ああ……魔力が……澄んでいく……。泥パック……最高……」
完全に堕ちた。
魔王の娘としての威厳はどこへやら、今はただの土に埋まった幸せそうな少女だ。
「主様、どうしますか? このまま埋めておきますか?」
「まあ、本人が気に入ってるみたいだし、しばらくそのままにしておこう」
俺たちは彼女を放置して、昼食の準備に戻ることにした。
庭には、首だけ出した美少女が生えているという、世にも奇妙なオブジェが完成していた。
◇
数時間後。
夕方になり、俺はヴァニアを掘り起こしてやった。
スポンッ!
「はふぅ……」
土から出てきたヴァニアは、全身泥だらけだったが、その肌は以前よりも白く輝き、髪もツヤツヤになっていた。
そして何より、憑き物が落ちたような穏やかな顔をしていた。
「……礼を言う」
彼女はボソリと言った。
「え?」
「あの土の中で、我は悟ったのだ。力とは、ただ破壊するためにあるのではないと。生命を育む土の温かさ……それこそが真の強さなのだと」
なんか深いことを言っている。
ただ埋まっていただけなのに。
「それに、貴様……いや、貴方様の力は、父上をも凌駕している。四天王が敗れるのも無理はない」
ヴァニアは俺の前に跪いた。
その背中の翼を畳み、恭順の意を示す。
「ノエル様。我を……この庭の『番犬』ならぬ『番魔』として置いてはくれないだろうか」
「は? いや、番犬ならもうウルフがいるけど」
「ワンッ!」
「ならば『庭石』でも『案山子(かかし)』でもいい! あの土の素晴らしさが忘れられんのだ! 毎日あの土に触れていたい!」
彼女は必死だった。
どうやら、俺の畑の土の中毒になってしまったらしい。
「魔界の泥温泉より効能がいい」とかブツブツ言っている。
「……はぁ。わかったよ。働いてくれるなら構わない」
「本当か! 感謝する!」
「その代わり、イタズラはなしだぞ。あと、畑を燃やそうとするなよ」
「心得た! このヴァニア、これからは畑を守護する『魔神』として、害虫どもを地獄の業火で焼き払おう!」
「焼くなと言ったばかりだろうが」
こうして、魔王の娘が新しい従業員として加わった。
彼女の役割は、空からの侵入者の警戒と、持ち前の飛行能力を活かした『高枝切り』や『収穫』のサポートだ。
◇
夜。
賑やかになった食卓で、ヴァニアは初めて俺の料理を食べた。
今日のメニューは、『黄金トマトとドラゴンの煮込みハンバーグ(リベンジ)』だ。
「な、なんだこれはァァァッ!?」
一口食べた瞬間、ヴァニアが椅子から転げ落ちた。
「美味い! 美味すぎる! 魔界の宮廷料理人が作るフルコースが、残飯に思えるほどの衝撃! 口の中で肉汁のビッグバンが起きている!」
「おー、いいリアクションだ」
「ノエル様! 父上にも……いつか父上にもこれを食べさせてやりたい!」
彼女は泣きながらハンバーグを平らげた。
どうやら「父の仇」という誤解は、美味しいご飯とフカフカの土によって完全に解消されたようだ。
むしろ、「父上をここに招待して、ノエル様の部下にしてもらおう」とか恐ろしいことを画策し始めている。
◇
一方、その頃。
ヴァニアが去った後の魔王城では、大騒ぎになっていた。
「報告します! ヴァニア様が……ヴァニア様の魔力反応が、北の『魔の森』で消失しました!」
「なんだと!?」
玉座に座る巨大な影――魔王サタナキアが立ち上がった。
「馬鹿な……。娘は次期魔王としての才覚を持つ逸材だぞ。それが消えただと?」
「はッ! 直前に強大な魔力との衝突が観測されました。おそらく……人間に討たれたものかと」
魔王城が悲しみに包まれる。
最愛の娘を失った魔王の怒りは、天を衝くほどだった。
「おのれ人間ども……! 四天王のみならず、我が娘まで奪うか!」
魔王の体から、どす黒い殺気が溢れ出す。
「許さん。もはや手加減は無用。魔王軍全軍をもって、北の森を焼き尽くし、人間どもを根絶やしにしてくれるわ!」
「ウォーッ!!」
魔物たちの大合唱が響く。
世界を恐怖に陥れる魔王軍の本格侵攻。
その矛先が、俺の「農場」に向けられようとしていた。
だが、彼らは知らない。
「討たれた」と思われていた娘が、今は農家のこたつ(自作)で丸くなり、みかんを食べてくつろいでいることを。
そして、彼らが攻め込もうとしている場所が、魔界よりも恐ろしい『神域』であることを。
◇
さらにその頃。
魔王軍とは別の場所でも、俺への殺意を燃やす存在が動き出していた。
闇の教団のアジト跡地。
崩れ落ちた瓦礫の中から、漆黒の鎧を纏った戦士が現れた。
魔勇者ジーク。
魔石の力で理性を失い、殺戮マシーンと化したかつての勇者だ。
「ウゥ……アァ……」
彼の喉から漏れるのは、言葉にならない呻き声。
だが、その赤い瞳は、北の方角をしっかりと見据えていた。
「ノ……エル……」
彼の本能が告げている。
あの方角に、自分の全てを奪った(と勝手に思い込んでいる)元凶がいると。
「コロ……ス……」
魔勇者は地面を蹴った。
その跳躍力は凄まじく、一飛びで数百メートルを移動する。
彼は一直線に、俺の家を目指していた。
魔王軍と、魔勇者。
二つの巨大な厄災が、同時に俺の平穏なスローライフに迫りつつあった。
だが、今の俺の悩みは「ヴァニアが夜更かししてゲーム(異世界にはないが、似たような魔道具を作った)ばかりしている」ことくらいだった。
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続く
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