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第14話 地下迷宮の決戦。怪物と化した勇者に、俺は最後の言葉を贈る
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王都の地下には、広大な下水道網が張り巡らされている。
それは単なる汚水の通り道ではなく、かつてこの地にあった旧文明の遺跡を利用して作られた、複雑怪奇な迷宮でもあった。
湿った空気にはカビと汚泥の臭いが充満し、時折、正体不明の魔物の呻き声が反響する。
「……臭いな。天界の連中は、こんな場所が好みなのか?」
俺は鼻を覆いながら、暗い通路を進んでいた。
足元を汚水が流れ、ピチャピチャと不快な音を立てる。
「奴らにとって場所など関係ありません。重要なのは『人目につかず』かつ『魔力が溜まりやすい』場所であることだけですから」
後ろに控える執事姿の堕天使、メルキセデクが淡々と答える。
彼は泥水の上を歩いているはずなのに、その革靴には一点の汚れもついていない。浮遊魔法か。便利なことだ。
「それにしても、嫌な気配ですね……。空気がビリビリと震えています」
アリシアが杖を握りしめ、不安そうに周囲を見回す。
彼女の感知能力は『堕聖女』になってから鋭敏さを増している。
今、この地下迷宮に満ちているのは、神聖でありながら吐き気を催すような、歪んだ魔力だった。
「ふん、腐った光の臭いだ。……どうやら、随分と悪趣味な宴を開いているようだな」
セリスが赤い瞳を光らせ、通路の奥を睨みつけた。
そこには、重厚な鉄扉があり、その隙間から眩い、しかし冷たい光が漏れ出していた。
俺たちは顔を見合わせ、頷き合う。
そして、俺がその扉を蹴り開けた。
ドォォンッ!!
扉が吹き飛び、視界が開ける。
そこは、巨大なドーム状の空間だった。
かつては地下神殿として使われていたのだろう。崩れかけた柱や祭壇があり、壁には古びた宗教画が描かれている。
だが、今の主役はそれらではない。
空間の中央、祭壇の上に、一人の男が磔にされていた。
いや、それはもう『男』と呼べるかどうかも怪しかった。
「……カイル?」
俺は思わずその名を呟いた。
かつて勇者と呼ばれた青年。
だが今の彼は、全身に無数の『聖遺物』を突き刺されていた。
背中からは金属質の翼が生え、腕は肥大化して異形の爪となり、皮膚からは黄金色の棘が突き出している。
目は白目を剥き、口からは涎と共に、意味のない言葉が漏れ出していた。
「ア……アァ……ボク……ワ……ユウ……シャ……」
「素晴らしいでしょう?」
祭壇の前には、白い仮面をつけた男が立っていた。
以前、カイルに聖剣を渡したあの『使徒』だ。
「ようこそ、死神クロウ一行。……いや、今は堕天使を従える魔王軍と呼ぶべきかな?」
仮面の男は、俺たちを見ても動じることなく、芝居がかった仕草で手を広げた。
「貴様……カイルに何をした?」
俺が低い声で問うと、男はクックッと笑った。
「何をした、とは心外ですね。彼は望んだのですよ。『力が欲しい』と。『お前に勝つための絶対的な力が欲しい』とね。だから我々は与えたのです。天界に保管されていた『廃棄聖遺物』の数々をね」
「廃棄聖遺物だと?」
「ええ。一つ一つが強力な力を持つ聖なる武具。ですが、強すぎて人間には扱えない。……ならば、人間の方を『器』として作り変えればいい。簡単な理屈でしょう?」
男はカイル――いや、怪物を指差した。
「複数の聖遺物を強制融合させ、人間の肉体を触媒にして固定する。名付けて『人造天使計画(キメラ・エンジェル・プロジェクト)』。……彼はその栄えある実験体第一号ですよ」
「実験体……だと」
アリシアが口元を押さえて絶句する。
かつて共に旅をした仲間が、ただの実験材料として使い潰され、あんな無惨な姿にされている。
「おのれ……人間を愚弄するのも大概にせよ!」
セリスが激昂し、闇の魔力を放出する。
だが、仮面の男は余裕のままだ。
「おっと、怒らないでください。……さあ、実験体1号『カイル』。起動テストの時間だ。目の前の敵を殲滅しろ」
男が指を鳴らした瞬間。
「ガアアアアアアアアアアッ!!!」
磔にされていたカイルが咆哮した。
鎖が引き千切られ、その異形の体が宙に浮く。
背中の金属翼が展開し、そこから無数の光弾が放たれた。
「散れッ!」
俺の指示で全員が左右に跳ぶ。
光弾が地面に着弾し、石畳を爆散させる。
ただの魔力弾じゃない。物理的な破壊力を伴った高密度のエネルギーだ。
「殺ス……コロス……クロウ……コロス……!!」
カイルが俺を認識し、突っ込んでくる。
速い。
以前の魔剣や聖剣によるドーピングとは次元が違う。
生物としての限界を超えた、ロケットのような加速。
「シールド!」
俺は障壁を展開するが、カイルの肥大化した爪がそれを紙のように引き裂いた。
「チッ、また対魔法無効化(アンチ・マジック)か!」
俺はバックステップで回避するが、衝撃波だけで吹き飛ばされる。
壁に激突し、粉塵が舞う。
「マスター!」
「クロウ!」
メルキセデクとセリスが加勢に入ろうとする。
だが、仮面の男がそれを阻んだ。
「おっと、君たちの相手は私だ。……実験の邪魔はさせないよ」
仮面の男が手を振ると、空間から数体の白いゴーレムが現れ、二人を足止めする。
アリシアも援護射撃をしようとするが、カイルが放つ無差別な光弾の雨に防戦一方だ。
「アハハハハ! 死ネ! 死ネェェェッ!」
カイルが狂ったように笑いながら、俺に迫る。
その瞳には、もう理性の光はない。
あるのは、植え付けられた殺意と、終わらない苦痛への悲鳴だけだ。
俺は瓦礫の中から立ち上がり、服の埃を払った。
「……カイル。お前、泣いてるのか?」
俺の目には見えていた。
怪物の顔の奥で、かつての人間のカイルが、血の涙を流して助けを求めているのが。
『痛い』『熱い』『助けて』『殺して』。
聖遺物に魂を食い荒らされながら、彼の自我は消滅寸前で悲鳴を上げていた。
「ウルサイ……! 俺ハ……勇者ダ……! 最強ナンダ……!」
カイルが右腕を振り上げる。
そこには、巨大な光の剣が形成されていた。
出力だけで言えば、先日のメルキセデクすら凌駕しているかもしれない。
暴走したエネルギーの塊だ。
「喰ラエェェェッ! 『ジャッジメント・ブレイク』!!」
極大の光の剣が振り下ろされる。
地下神殿ごと俺を両断するつもりだ。
俺は一歩も引かなかった。
避けることもしない。
ただ、静かに右手を掲げた。
「……編集(エディット)」
対象:カイル・フォン・アルス。
および、融合している全聖遺物。
カッッッ!!!!
光の剣が俺の頭上で止まった。
いや、俺の掌が、その膨大なエネルギーを受け止めていた。
「な……ン……ダト……?」
カイルの動きが止まる。
仮面の男も、ゴーレムの陰から目を見開いた。
「馬鹿な……!? あのエネルギー量は、戦術級魔法に匹敵するんだぞ!? それを素手で……!?」
「エネルギーだろうが物質だろうが、俺にとっては『情報』でしかない」
俺は光の剣を握り潰した。
パリンッ、と音を立てて光が砕け散る。
「カイル。お前は強くなりたかったんだよな。誰よりも強く、誰よりも認められたかった」
俺は一歩ずつ、カイルに歩み寄る。
カイルは後ずさろうとするが、背中の翼が勝手に動き、俺を攻撃しようとする。
聖遺物が暴走し、宿主の意思を無視して迎撃行動を取っているのだ。
「離セ……! 近寄ルナ……!」
「だが、お前は楽な道を選んだ。努力を放棄し、他人の力を借り、最後には人間であることすら捨てた」
俺は飛来する光弾を、指先だけで弾き飛ばしながら進む。
一歩、また一歩。
「その結果がこれだ。……満足か? これが、お前のなりたかった『最強』か?」
「違ウ……! 俺ハ……俺ハ……!」
カイルが頭を抱えて絶叫する。
融合した聖遺物が彼の肉体を侵食し、黄金の棘がさらに深く突き刺さる。
「ギャアアアアアッ! 痛イ! 痛イィィィッ!!」
「もういい」
俺はカイルの懐に入り込んだ。
異形の腕が俺を引き裂こうとするが、俺はそれをすり抜け、彼の胸に手を当てた。
かつて、心臓があった場所。
今は、赤黒く脈打つ『核』と化した聖遺物の塊がある場所へ。
「楽にしてやる」
俺は魔力を注ぎ込んだ。
破壊のためではない。
救済のための編集だ。
スキル発動、『存在編集(エディット)』。
対象:カイルの魂と肉体。
変更内容:【聖遺物とのリンク切断】および【痛覚遮断】。
そして――【最期の輝き(ラスト・グロウ)】。
「……あ……?」
カイルの絶叫が止まった。
彼の体から、禍々しい黄金の棘が抜け落ち、金属の翼が砂のように崩れていく。
肥大化した肉体が、元の青年の姿へと戻っていく。
同時に、彼の体は淡い光に包まれ始めた。
それは崩壊の光だ。
無理やり改造された肉体は、聖遺物という支えを失えば、もう形を保てない。
俺の力をもってしても、彼を「生かす」ことはできなかった。
魂が、既に磨耗しきっているからだ。
だから、俺は選んだ。
彼を怪物として死なせるのではなく、人間として終わらせることを。
カイルが膝から崩れ落ちる。
俺はそれを支えた。
「……クロウ……?」
カイルの瞳から、狂気が消えていた。
あるのは、憑き物が落ちたような、静かで穏やかな光だけ。
「よお。久しぶりだな、カイル。……お前、随分と小さくなったな」
「はは……そうだな……。お前が……でかく見えるよ……」
カイルは力なく笑った。
自分の体が指先から光の粒子になって消え始めていることに、彼は気づいているはずだ。
だが、恐怖はないようだった。
「ごめんな……クロウ……」
「……何がだ」
「全部だ……。お前を追放したことも……悪口言ったことも……殺そうとしたことも……」
カイルの声が震える。
「俺……怖かったんだ……。お前が凄すぎて……自分が偽物だってバレるのが怖くて……だから……」
「知ってたよ。お前が小心者なのは、昔からだ」
俺は短く答えた。
荷物持ちとして後ろを歩いていた頃、カイルが戦闘前に震えているのを何度も見ていた。
彼は虚勢を張っていただけだ。勇者という重圧に押し潰されそうになりながら。
「馬鹿な奴だ。素直に『助けてくれ』って言えば、俺はずっと荷物持ちをやっててやったのに」
「……ははっ、そうか……。そうだよな……」
カイルの目から涙が溢れる。
その涙もまた、光の粒子となって空へ舞い上がっていく。
「アリシア……リナ……ガンツ……。みんな……ごめん……」
「アリシアなら、あそこで見てるぞ」
俺が視線を向けると、アリシアが涙を堪えて立っていた。
カイルは彼女を見て、申し訳なさそうに、でも少しだけ安堵したように微笑んだ。
「よかった……元気そうで……」
そして、彼は俺を見た。
「クロウ……ありがとな……。最後にお前に……止められて……よかった……」
「……ああ」
「じゃあな……最強の……荷物持ち……」
カイルの体が、完全に光となって砕け散った。
地下神殿の天井へ向かって、無数の蛍火のように昇っていく。
後に残されたのは、彼が着ていたボロボロの服と、俺の腕に残る僅かな温もりだけだった。
静寂が戻る。
「……チッ、失敗作か」
空気を読まない声が響いた。
仮面の男だ。
彼はカイルの消滅を見ても、眉一つ動かさず、ただ実験データをメモするように呟いた。
「感情の抑制が不十分だったか。あるいは、人間の素体が脆すぎたか。……まあいい、データは取れた。次はもっと頑丈な器を用意しよう」
ブチッ。
俺の中で、何かが切れる音がした。
「……おい」
俺はゆっくりと立ち上がり、仮面の男の方を向いた。
「ん? 何か言い残すことでも?」
「お前、今なんて言った?」
俺の声は、自分でも驚くほど低く、冷え切っていた。
周囲の空間が、俺の怒りに呼応して黒く歪む。
「失敗作? データ? ……ふざけるなよ」
カイルは確かに馬鹿で、クズで、救いようのない奴だった。
だが、あいつは人間だ。
俺と一緒に旅をして、笑って、喧嘩した、かつての友人だ。
それを、ただの部品扱いしやがった。
「お前らが神を気取るのは勝手だがな……。俺の目の前で、俺の知ってる奴をゴミ扱いするのは許さねぇ」
俺は右手を突き出した。
「セリス! メルキセデク! アリシア! 手出し無用だ!」
「……承知した。思う存分やるがいい」
セリスがニヤリと笑って下がる。
「あの仮面……引き剥がして、その下のツラを拝んでやる」
俺の魔力が爆発した。
地下神殿全体が揺れる。
それは『編集』という理知的なスキルではない。
純粋な、暴力的なまでの魔力の奔流だ。
「ほぅ、やる気ですか。……ですが、私には勝てませんよ。私は天界の使徒の中でも上位の……」
「知るか」
俺は一歩踏み込んだ。
空間転移(テレポート)。
一瞬で仮面の男の目の前に現れる。
「なっ……!?」
「顔面編集(フェイス・エディット)。……まずはその仮面、邪魔だ」
バキィィィンッ!!
俺の拳が、仮面ごと男の顔面を捉えた。
仮面が粉砕され、男が吹き飛ぶ。
「ぐベラァッ!?」
男は地面を何度もバウンドし、壁に激突して止まった。
露わになった素顔は、整ってはいるが、今は鼻が折れ、血まみれになった情けない男の顔だった。
「い、痛い……! 貴様、私の美しい顔を……!」
「安心しろ。これからもっと酷くなる」
俺は再び転移し、彼の胸倉を掴み上げた。
「カイルが感じた痛み、お前にも味わわせてやる」
スキル発動、『痛覚共有』。
ソース:消滅直前のカイルの記憶データ。
「ぎゃああああああああああああッ!? 熱いッ! 痛いッ! 体が引き裂かれるぅぅぅッ!!」
男が絶叫する。
聖遺物に侵食される苦しみ。それをダイレクトに流し込まれたのだ。
「どうだ? これが『実験データ』の味だ」
俺は男を地面に叩きつけた。
「ひぃッ……許して……私は命令されただけで……」
「誰に?」
俺は男の頭を踏みつけた。
「い、言えない……言えば消される……!」
「言わなきゃ俺が消す。どっちがいい?」
俺が靴底に力を込めると、男は泣き叫びながら答えた。
「『聖女』だ! 『大聖女エリス』様だ! 彼女が全てを計画している!」
「大聖女……?」
俺とアリシアが顔を見合わせる。
大聖女エリス。
教会、いやこの世界における信仰の頂点に立つ存在。
慈愛の象徴とされる彼女が、黒幕?
「そ、そうだ! 彼女は世界を作り変えようとしている! 勇者システムも、人造天使も、全ては『新世界』のための礎……!」
「なるほどな。……よく喋った」
俺は足をどけた。
「だが、逃がすとは言ってないぞ」
俺は指をパチンと鳴らした。
スキル『追放編集』。
対象:使徒。
転送先:【次元の狭間(亜空間)】
「え……?」
男の足元に黒い穴が開いた。
「永遠に落ち続けろ。誰にも見つからない場所でな」
「や、やめろぉぉぉッ! 助けてくれぇぇぇッ!!」
男は悲鳴を残し、黒い穴へと吸い込まれていった。
穴が閉じると、そこには静寂だけが残った。
俺は大きく息を吐き、天井を見上げた。
カイルの光は、もう見えなかった。
「……さよなら、カイル」
俺は小さく呟いた。
これで、俺の過去との因縁は完全に断ち切られた。
だが、新たな、そして最大の敵の姿が浮き彫りになった。
「大聖女……か」
アリシアが不安そうに俺を見る。
セリスが俺の肩に手を置いた。
「行くぞ、クロウ。喧嘩を売られたのだ。買いに行かねば失礼だろう?」
「ああ、そうだな」
俺は拳を握りしめた。
この世界の頂点に立つ聖女様が、俺たちを排除しようというなら。
その頂点から引きずり下ろし、地面に這いつくばらせてやる。
俺たちの『成り上がり』は、ついに神殺しの領域へと足を踏み入れる。
「帰ろう。……今日は疲れた」
俺たちは地下迷宮を後にした。
その足取りは重いが、迷いはなかった。
(続く)
それは単なる汚水の通り道ではなく、かつてこの地にあった旧文明の遺跡を利用して作られた、複雑怪奇な迷宮でもあった。
湿った空気にはカビと汚泥の臭いが充満し、時折、正体不明の魔物の呻き声が反響する。
「……臭いな。天界の連中は、こんな場所が好みなのか?」
俺は鼻を覆いながら、暗い通路を進んでいた。
足元を汚水が流れ、ピチャピチャと不快な音を立てる。
「奴らにとって場所など関係ありません。重要なのは『人目につかず』かつ『魔力が溜まりやすい』場所であることだけですから」
後ろに控える執事姿の堕天使、メルキセデクが淡々と答える。
彼は泥水の上を歩いているはずなのに、その革靴には一点の汚れもついていない。浮遊魔法か。便利なことだ。
「それにしても、嫌な気配ですね……。空気がビリビリと震えています」
アリシアが杖を握りしめ、不安そうに周囲を見回す。
彼女の感知能力は『堕聖女』になってから鋭敏さを増している。
今、この地下迷宮に満ちているのは、神聖でありながら吐き気を催すような、歪んだ魔力だった。
「ふん、腐った光の臭いだ。……どうやら、随分と悪趣味な宴を開いているようだな」
セリスが赤い瞳を光らせ、通路の奥を睨みつけた。
そこには、重厚な鉄扉があり、その隙間から眩い、しかし冷たい光が漏れ出していた。
俺たちは顔を見合わせ、頷き合う。
そして、俺がその扉を蹴り開けた。
ドォォンッ!!
扉が吹き飛び、視界が開ける。
そこは、巨大なドーム状の空間だった。
かつては地下神殿として使われていたのだろう。崩れかけた柱や祭壇があり、壁には古びた宗教画が描かれている。
だが、今の主役はそれらではない。
空間の中央、祭壇の上に、一人の男が磔にされていた。
いや、それはもう『男』と呼べるかどうかも怪しかった。
「……カイル?」
俺は思わずその名を呟いた。
かつて勇者と呼ばれた青年。
だが今の彼は、全身に無数の『聖遺物』を突き刺されていた。
背中からは金属質の翼が生え、腕は肥大化して異形の爪となり、皮膚からは黄金色の棘が突き出している。
目は白目を剥き、口からは涎と共に、意味のない言葉が漏れ出していた。
「ア……アァ……ボク……ワ……ユウ……シャ……」
「素晴らしいでしょう?」
祭壇の前には、白い仮面をつけた男が立っていた。
以前、カイルに聖剣を渡したあの『使徒』だ。
「ようこそ、死神クロウ一行。……いや、今は堕天使を従える魔王軍と呼ぶべきかな?」
仮面の男は、俺たちを見ても動じることなく、芝居がかった仕草で手を広げた。
「貴様……カイルに何をした?」
俺が低い声で問うと、男はクックッと笑った。
「何をした、とは心外ですね。彼は望んだのですよ。『力が欲しい』と。『お前に勝つための絶対的な力が欲しい』とね。だから我々は与えたのです。天界に保管されていた『廃棄聖遺物』の数々をね」
「廃棄聖遺物だと?」
「ええ。一つ一つが強力な力を持つ聖なる武具。ですが、強すぎて人間には扱えない。……ならば、人間の方を『器』として作り変えればいい。簡単な理屈でしょう?」
男はカイル――いや、怪物を指差した。
「複数の聖遺物を強制融合させ、人間の肉体を触媒にして固定する。名付けて『人造天使計画(キメラ・エンジェル・プロジェクト)』。……彼はその栄えある実験体第一号ですよ」
「実験体……だと」
アリシアが口元を押さえて絶句する。
かつて共に旅をした仲間が、ただの実験材料として使い潰され、あんな無惨な姿にされている。
「おのれ……人間を愚弄するのも大概にせよ!」
セリスが激昂し、闇の魔力を放出する。
だが、仮面の男は余裕のままだ。
「おっと、怒らないでください。……さあ、実験体1号『カイル』。起動テストの時間だ。目の前の敵を殲滅しろ」
男が指を鳴らした瞬間。
「ガアアアアアアアアアアッ!!!」
磔にされていたカイルが咆哮した。
鎖が引き千切られ、その異形の体が宙に浮く。
背中の金属翼が展開し、そこから無数の光弾が放たれた。
「散れッ!」
俺の指示で全員が左右に跳ぶ。
光弾が地面に着弾し、石畳を爆散させる。
ただの魔力弾じゃない。物理的な破壊力を伴った高密度のエネルギーだ。
「殺ス……コロス……クロウ……コロス……!!」
カイルが俺を認識し、突っ込んでくる。
速い。
以前の魔剣や聖剣によるドーピングとは次元が違う。
生物としての限界を超えた、ロケットのような加速。
「シールド!」
俺は障壁を展開するが、カイルの肥大化した爪がそれを紙のように引き裂いた。
「チッ、また対魔法無効化(アンチ・マジック)か!」
俺はバックステップで回避するが、衝撃波だけで吹き飛ばされる。
壁に激突し、粉塵が舞う。
「マスター!」
「クロウ!」
メルキセデクとセリスが加勢に入ろうとする。
だが、仮面の男がそれを阻んだ。
「おっと、君たちの相手は私だ。……実験の邪魔はさせないよ」
仮面の男が手を振ると、空間から数体の白いゴーレムが現れ、二人を足止めする。
アリシアも援護射撃をしようとするが、カイルが放つ無差別な光弾の雨に防戦一方だ。
「アハハハハ! 死ネ! 死ネェェェッ!」
カイルが狂ったように笑いながら、俺に迫る。
その瞳には、もう理性の光はない。
あるのは、植え付けられた殺意と、終わらない苦痛への悲鳴だけだ。
俺は瓦礫の中から立ち上がり、服の埃を払った。
「……カイル。お前、泣いてるのか?」
俺の目には見えていた。
怪物の顔の奥で、かつての人間のカイルが、血の涙を流して助けを求めているのが。
『痛い』『熱い』『助けて』『殺して』。
聖遺物に魂を食い荒らされながら、彼の自我は消滅寸前で悲鳴を上げていた。
「ウルサイ……! 俺ハ……勇者ダ……! 最強ナンダ……!」
カイルが右腕を振り上げる。
そこには、巨大な光の剣が形成されていた。
出力だけで言えば、先日のメルキセデクすら凌駕しているかもしれない。
暴走したエネルギーの塊だ。
「喰ラエェェェッ! 『ジャッジメント・ブレイク』!!」
極大の光の剣が振り下ろされる。
地下神殿ごと俺を両断するつもりだ。
俺は一歩も引かなかった。
避けることもしない。
ただ、静かに右手を掲げた。
「……編集(エディット)」
対象:カイル・フォン・アルス。
および、融合している全聖遺物。
カッッッ!!!!
光の剣が俺の頭上で止まった。
いや、俺の掌が、その膨大なエネルギーを受け止めていた。
「な……ン……ダト……?」
カイルの動きが止まる。
仮面の男も、ゴーレムの陰から目を見開いた。
「馬鹿な……!? あのエネルギー量は、戦術級魔法に匹敵するんだぞ!? それを素手で……!?」
「エネルギーだろうが物質だろうが、俺にとっては『情報』でしかない」
俺は光の剣を握り潰した。
パリンッ、と音を立てて光が砕け散る。
「カイル。お前は強くなりたかったんだよな。誰よりも強く、誰よりも認められたかった」
俺は一歩ずつ、カイルに歩み寄る。
カイルは後ずさろうとするが、背中の翼が勝手に動き、俺を攻撃しようとする。
聖遺物が暴走し、宿主の意思を無視して迎撃行動を取っているのだ。
「離セ……! 近寄ルナ……!」
「だが、お前は楽な道を選んだ。努力を放棄し、他人の力を借り、最後には人間であることすら捨てた」
俺は飛来する光弾を、指先だけで弾き飛ばしながら進む。
一歩、また一歩。
「その結果がこれだ。……満足か? これが、お前のなりたかった『最強』か?」
「違ウ……! 俺ハ……俺ハ……!」
カイルが頭を抱えて絶叫する。
融合した聖遺物が彼の肉体を侵食し、黄金の棘がさらに深く突き刺さる。
「ギャアアアアアッ! 痛イ! 痛イィィィッ!!」
「もういい」
俺はカイルの懐に入り込んだ。
異形の腕が俺を引き裂こうとするが、俺はそれをすり抜け、彼の胸に手を当てた。
かつて、心臓があった場所。
今は、赤黒く脈打つ『核』と化した聖遺物の塊がある場所へ。
「楽にしてやる」
俺は魔力を注ぎ込んだ。
破壊のためではない。
救済のための編集だ。
スキル発動、『存在編集(エディット)』。
対象:カイルの魂と肉体。
変更内容:【聖遺物とのリンク切断】および【痛覚遮断】。
そして――【最期の輝き(ラスト・グロウ)】。
「……あ……?」
カイルの絶叫が止まった。
彼の体から、禍々しい黄金の棘が抜け落ち、金属の翼が砂のように崩れていく。
肥大化した肉体が、元の青年の姿へと戻っていく。
同時に、彼の体は淡い光に包まれ始めた。
それは崩壊の光だ。
無理やり改造された肉体は、聖遺物という支えを失えば、もう形を保てない。
俺の力をもってしても、彼を「生かす」ことはできなかった。
魂が、既に磨耗しきっているからだ。
だから、俺は選んだ。
彼を怪物として死なせるのではなく、人間として終わらせることを。
カイルが膝から崩れ落ちる。
俺はそれを支えた。
「……クロウ……?」
カイルの瞳から、狂気が消えていた。
あるのは、憑き物が落ちたような、静かで穏やかな光だけ。
「よお。久しぶりだな、カイル。……お前、随分と小さくなったな」
「はは……そうだな……。お前が……でかく見えるよ……」
カイルは力なく笑った。
自分の体が指先から光の粒子になって消え始めていることに、彼は気づいているはずだ。
だが、恐怖はないようだった。
「ごめんな……クロウ……」
「……何がだ」
「全部だ……。お前を追放したことも……悪口言ったことも……殺そうとしたことも……」
カイルの声が震える。
「俺……怖かったんだ……。お前が凄すぎて……自分が偽物だってバレるのが怖くて……だから……」
「知ってたよ。お前が小心者なのは、昔からだ」
俺は短く答えた。
荷物持ちとして後ろを歩いていた頃、カイルが戦闘前に震えているのを何度も見ていた。
彼は虚勢を張っていただけだ。勇者という重圧に押し潰されそうになりながら。
「馬鹿な奴だ。素直に『助けてくれ』って言えば、俺はずっと荷物持ちをやっててやったのに」
「……ははっ、そうか……。そうだよな……」
カイルの目から涙が溢れる。
その涙もまた、光の粒子となって空へ舞い上がっていく。
「アリシア……リナ……ガンツ……。みんな……ごめん……」
「アリシアなら、あそこで見てるぞ」
俺が視線を向けると、アリシアが涙を堪えて立っていた。
カイルは彼女を見て、申し訳なさそうに、でも少しだけ安堵したように微笑んだ。
「よかった……元気そうで……」
そして、彼は俺を見た。
「クロウ……ありがとな……。最後にお前に……止められて……よかった……」
「……ああ」
「じゃあな……最強の……荷物持ち……」
カイルの体が、完全に光となって砕け散った。
地下神殿の天井へ向かって、無数の蛍火のように昇っていく。
後に残されたのは、彼が着ていたボロボロの服と、俺の腕に残る僅かな温もりだけだった。
静寂が戻る。
「……チッ、失敗作か」
空気を読まない声が響いた。
仮面の男だ。
彼はカイルの消滅を見ても、眉一つ動かさず、ただ実験データをメモするように呟いた。
「感情の抑制が不十分だったか。あるいは、人間の素体が脆すぎたか。……まあいい、データは取れた。次はもっと頑丈な器を用意しよう」
ブチッ。
俺の中で、何かが切れる音がした。
「……おい」
俺はゆっくりと立ち上がり、仮面の男の方を向いた。
「ん? 何か言い残すことでも?」
「お前、今なんて言った?」
俺の声は、自分でも驚くほど低く、冷え切っていた。
周囲の空間が、俺の怒りに呼応して黒く歪む。
「失敗作? データ? ……ふざけるなよ」
カイルは確かに馬鹿で、クズで、救いようのない奴だった。
だが、あいつは人間だ。
俺と一緒に旅をして、笑って、喧嘩した、かつての友人だ。
それを、ただの部品扱いしやがった。
「お前らが神を気取るのは勝手だがな……。俺の目の前で、俺の知ってる奴をゴミ扱いするのは許さねぇ」
俺は右手を突き出した。
「セリス! メルキセデク! アリシア! 手出し無用だ!」
「……承知した。思う存分やるがいい」
セリスがニヤリと笑って下がる。
「あの仮面……引き剥がして、その下のツラを拝んでやる」
俺の魔力が爆発した。
地下神殿全体が揺れる。
それは『編集』という理知的なスキルではない。
純粋な、暴力的なまでの魔力の奔流だ。
「ほぅ、やる気ですか。……ですが、私には勝てませんよ。私は天界の使徒の中でも上位の……」
「知るか」
俺は一歩踏み込んだ。
空間転移(テレポート)。
一瞬で仮面の男の目の前に現れる。
「なっ……!?」
「顔面編集(フェイス・エディット)。……まずはその仮面、邪魔だ」
バキィィィンッ!!
俺の拳が、仮面ごと男の顔面を捉えた。
仮面が粉砕され、男が吹き飛ぶ。
「ぐベラァッ!?」
男は地面を何度もバウンドし、壁に激突して止まった。
露わになった素顔は、整ってはいるが、今は鼻が折れ、血まみれになった情けない男の顔だった。
「い、痛い……! 貴様、私の美しい顔を……!」
「安心しろ。これからもっと酷くなる」
俺は再び転移し、彼の胸倉を掴み上げた。
「カイルが感じた痛み、お前にも味わわせてやる」
スキル発動、『痛覚共有』。
ソース:消滅直前のカイルの記憶データ。
「ぎゃああああああああああああッ!? 熱いッ! 痛いッ! 体が引き裂かれるぅぅぅッ!!」
男が絶叫する。
聖遺物に侵食される苦しみ。それをダイレクトに流し込まれたのだ。
「どうだ? これが『実験データ』の味だ」
俺は男を地面に叩きつけた。
「ひぃッ……許して……私は命令されただけで……」
「誰に?」
俺は男の頭を踏みつけた。
「い、言えない……言えば消される……!」
「言わなきゃ俺が消す。どっちがいい?」
俺が靴底に力を込めると、男は泣き叫びながら答えた。
「『聖女』だ! 『大聖女エリス』様だ! 彼女が全てを計画している!」
「大聖女……?」
俺とアリシアが顔を見合わせる。
大聖女エリス。
教会、いやこの世界における信仰の頂点に立つ存在。
慈愛の象徴とされる彼女が、黒幕?
「そ、そうだ! 彼女は世界を作り変えようとしている! 勇者システムも、人造天使も、全ては『新世界』のための礎……!」
「なるほどな。……よく喋った」
俺は足をどけた。
「だが、逃がすとは言ってないぞ」
俺は指をパチンと鳴らした。
スキル『追放編集』。
対象:使徒。
転送先:【次元の狭間(亜空間)】
「え……?」
男の足元に黒い穴が開いた。
「永遠に落ち続けろ。誰にも見つからない場所でな」
「や、やめろぉぉぉッ! 助けてくれぇぇぇッ!!」
男は悲鳴を残し、黒い穴へと吸い込まれていった。
穴が閉じると、そこには静寂だけが残った。
俺は大きく息を吐き、天井を見上げた。
カイルの光は、もう見えなかった。
「……さよなら、カイル」
俺は小さく呟いた。
これで、俺の過去との因縁は完全に断ち切られた。
だが、新たな、そして最大の敵の姿が浮き彫りになった。
「大聖女……か」
アリシアが不安そうに俺を見る。
セリスが俺の肩に手を置いた。
「行くぞ、クロウ。喧嘩を売られたのだ。買いに行かねば失礼だろう?」
「ああ、そうだな」
俺は拳を握りしめた。
この世界の頂点に立つ聖女様が、俺たちを排除しようというなら。
その頂点から引きずり下ろし、地面に這いつくばらせてやる。
俺たちの『成り上がり』は、ついに神殺しの領域へと足を踏み入れる。
「帰ろう。……今日は疲れた」
俺たちは地下迷宮を後にした。
その足取りは重いが、迷いはなかった。
(続く)
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