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第16話 武闘大会開幕。予選の対戦相手が、開始1秒で降参していく
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王都の中央に位置する巨大コロシアム。
普段は剣闘士の興行や式典に使われるその場所は、今日、異様な熱気と殺気に包まれていた。
収容人数五万人を誇る観客席は超満員。
立ち見客が通路に溢れ、場外には巨大な魔導スクリーンを見上げる群衆がひしめいている。
『聖戦祭(クルセイド・フェス)』。
教会主催による、次代の勇者を選定するための武闘大会。
優勝者には新たな聖剣と、勇者の称号、そして莫大な賞金が与えられるという触れ込みだ。
国中の腕自慢、名声を求める冒険者、そして一攫千金を夢見る傭兵たちが、我こそはと集結していた。
「さあ、紳士淑女の皆様! いよいよ開幕です! 神に選ばれし新たな英雄は誰だ!? この聖なる戦いの目撃者となるのは、貴方たちです!」
実況の魔法拡声が響き渡り、観客のボルテージが最高潮に達する。
貴賓席には、主催者である大聖女エリスが優雅に座り、慈愛に満ちた(ように見える)笑顔で手を振っている。
その隣には国王レギウス三世の姿もあるが、どこか顔色が悪い。教会の強引なやり方に不満があるのだろうが、民衆の手前、同席せざるを得ないといったところか。
一方、選手控え室。
「ふあぁ……。人間どもは騒がしいな」
部屋の隅で、セリスが欠伸をしながらストレッチをしている。
今日の彼女は、動きやすい格闘家風の衣装に身を包んでいる。肌の露出が若干多いため、他の男性参加者たちがチラチラと視線を送っているが、彼女から放たれる『捕食者のオーラ』を感じ取ってか、誰も声をかけようとはしない。
「仕方ないだろ。お祭りなんだから」
俺は腕組みをして壁に寄りかかっていた。
俺の格好はいつも通りのローブ姿だが、その背中には『死神』という二つ名が重くのしかかっている。
周囲の参加者たちが、俺を見るなりヒソヒソと囁き合い、露骨に距離を取っているのが分かった。
「おい、あれ……クロウだろ?」
「王城でSランク魔物を瞬殺したっていう……」
「やべぇよ、あいつと同じブロックかよ……」
「棄権した方がいいんじゃねぇか?」
恐怖と警戒の視線。
まあ、俺としては好都合だ。無駄な雑魚が寄ってこなければ、それだけ楽ができる。
「マスター。私の出番はないのでしょうか?」
執事服のメルキセデクが、不満そうに尋ねてくる。
彼は今回、参加登録をしていない。
元天使、それも『殲滅天使』の顔は教会関係者に知れ渡っているため、彼が出ると即座に身バレして大騒ぎになるからだ。
今回はセコンド兼荷物持ちとして待機させている。
「我慢しろ。お前が出たら、大会じゃなくて戦争になる」
「左様ですか。……では、皆様のタオルとドリンクの準備を完璧にしておきます」
メルキセデクは悲しげに一礼し、洗濯係としての任務に戻っていった。
最強の堕天使になんてことをさせているんだ、と自分でも思うが、彼自身が「マスターにお仕えできるなら何でも」と言っているので良しとしよう。
「クロウさん、いよいよですね」
アリシアが緊張した面持ちで杖を握りしめている。
彼女もまた、今回は『仮面の魔法使い』として正体を隠してエントリーしている。
元聖女が「死神の仲間」として堂々と出ると、教会の信者たちから石を投げられかねないからだ。
まあ、魔法を使えば一発でバレる気もするが、そこは俺の『認識阻害』スキルで誤魔化す予定だ。
「ああ。予選はサクッと終わらせるぞ。……主催者の度肝を抜いてやる」
俺は貴賓席のエリスを睨みつけた。
彼女もこちらを見ている気がした。
不敵な笑みを浮かべながら。
◇
予選第一回戦。
俺の出番が回ってきた。
ブロック予選は一対一の勝ち抜きトーナメント方式だ。
「西ブロック、第一試合! 今、話題沸騰の超新星! 『死神』クロウ選手の入場です!」
実況のアナウンスと共に、俺は闘技場の中央へと歩み出た。
わぁぁぁぁっ!
歓声と、それ以上のブーイングが混じり合う。
「悪魔の手先!」「引っ込め!」という罵声も聞こえる。教会のサクラだろうか。
対する相手は、巨体のオーク……ではなく、オークのような体格をした傭兵の大男だった。
全身を分厚いプレートアーマーで固め、巨大なモーニングスターを持っている。
「対するは! 『粉砕の鉄槌』ガストン選手! その怪力で数々の魔物をミンチにしてきたベテランだぁ!」
ガストンが鼻息荒く入場し、俺の前に立った。
身長差は倍近くある。
「へっ、お前が噂の『死神』か? 見たところ、ただのヒョロガリじゃねぇか」
ガストンがモーニングスターをブンブンと振り回し、威嚇してくる。
「悪いことは言わねぇ。痛い目見たくなかったら、ママの元へ帰んな。俺様のこの鉄球は、貴族のお坊ちゃんには刺激が強すぎるぜぇ?」
観客席からドッと笑いが起きる。
俺はため息をついた。
こういう手合いは、どこにでもいるな。
「……忠告どうも。だが、俺も急いでるんだ」
俺はポケットに手を入れたまま、ガストンを見上げた。
「開始の合図が鳴ったら、すぐに終わらせる。……怪我をしたくなければ、そこで寝てろ」
「あぁん? 舐めてんのかテメェ!」
ガストンが顔を真っ赤にして怒鳴る。
「それでは、試合開始!」
審判が手を振り下ろした。
その瞬間、ガストンが地面を蹴り、モーニングスターを振り上げた。
「死ねェェェッ!」
俺は動かない。
ただ、右目のまぶたを少し上げただけだ。
スキル発動、『威圧(インティミデーション)』。
対象:ガストン。
出力:レベル1(一般人なら失神する程度)。
ギロリ。
俺の視線がガストンの目と合った瞬間。
「ひっ……!?」
ガストンの動きが空中でピタリと止まった。
振り上げられたモーニングスターが手から滑り落ち、ゴトリと音を立てて転がる。
そして、ガストン自身も白目を剥き、泡を吹いて後ろへ倒れた。
ズドォォォン!
巨体が倒れる音だけが響き渡った。
「…………え?」
実況が言葉を詰まらせる。
観客も何が起きたのか分からず、静まり返る。
俺は一歩も動いていない。魔法を放った様子もない。
ただ睨んだだけで、巨漢の戦士が気絶したのだ。
「し、勝者! クロウ選手!」
審判が慌ててコールする。
遅れて、どよめきが広がっていく。
「おい、何したんだ?」「睨んだだけで倒れたぞ?」「やっぱり死神だ……」
俺は倒れたガストンを一瞥もせず、控え室へと戻っていった。
これくらいの相手なら、指一本どころか、視線だけで十分だ。
◇
続く第二試合、第三試合。
俺の対戦相手たちは、さらに悲惨だった。
第二試合の相手、魔法使いの男。
俺と目が合った瞬間、「ひいいッ! ごめんなさいぃッ!」と叫んで場外へ全力疾走して逃亡。
不戦勝。
第三試合の相手、暗殺者風の男。
開始直後に姿を消して背後を取ろうとしたが、俺が「そこだろ?」と後ろを向いただけで、「感知された!? 無理だ!」と心を折られて降参。
勝利。
準決勝の相手、剣士の女。
俺の前に立っただけでガタガタと震えだし、剣を取り落として失禁。
「……す、すみません、着替えてきます……」と言い残して退場。
不戦勝。
「……おい、どうなってるんだ」
観客席から不満の声が上がり始めた。
「真面目にやれ!」「八百長か!?」「クロウと戦う奴、みんな逃げちまうぞ!」
そりゃそうだ。金払って見に来ているのに、試合が成立していないのだから。
だが、俺のせいではない。
俺の『死神』としてのプレッシャー(実際には常時発動している微弱な威圧スキル)に、並の戦士では耐えられないだけだ。
レベル差がありすぎる。
アリが象に挑もうとして、本能的恐怖で動けなくなるのと同じ現象だ。
「やれやれ、これじゃあ逆に見せ場がないな」
俺が控え室で嘆いていると、セリスが戻ってきた。
彼女の方は順調に(物理で)相手を吹っ飛ばして勝っているらしい。
「クロウよ、お主の試合、つまらんと評判だぞ」
「俺だって戦いたいさ。でも、相手が勝手に倒れるんだよ」
「ククッ、まあ最強の悩みというやつか。……だが、次はそうもいかぬようだぞ」
セリスがニヤリと笑い、通路の奥を指差した。
そこから、妙に殺気立った集団が歩いてくるのが見えた。
◇
予選決勝。
これに勝てば本戦出場が決まる。
俺が闘技場に出ると、対戦相手の入場口からぞろぞろと人が出てきた。
一人ではない。五人、いや六人か。
全員が統一された揃いの鎧を着て、それぞれ業物を手にしている。
「西ブロック決勝! クロウ選手の対戦相手は……なんと! Sランク冒険者パーティー連合『暁の獅子』だぁぁっ!」
実況が叫ぶと、会場が沸いた。
『暁の獅子』。
国内でも有数の実力派クランの一つだ。
リーダーの剣聖レオンを筆頭に、全員がAランク以上の実力者で構成されている。
「おいおい、予選は一対一じゃなかったのか?」
俺が審判に尋ねると、審判はバツが悪そうに目を逸らした。
「ええっと……運営委員会からの特別通達がありまして。『暁の獅子』はチームとしてエントリーしており、彼らの連携こそが個としての強さであるため、特例としてチームでの参加を認めると……」
「なるほど。運営の嫌がらせってわけか」
俺は貴賓席を見上げた。
エリスが扇子で口元を隠しながら、冷ややかな視線を送っている。
「死神一人なら、数で潰せばいい」という単純な発想だ。
「よう、死神」
リーダーのレオンが一歩前に出た。
金髪のイケメンで、爽やかな笑顔を浮かべているが、その目は俺を値踏みするように見下ろしている。
「悪いが、ここは通させてもらうぜ。俺たちは大聖女様から直々に『勇者候補』として期待されてるんでな」
「六対一でか? 勇者が聞いて呆れるな」
「ハッ、戦場じゃ数は力だ。卑怯とは言わせねぇよ。……それに、お前みたいな危険因子を排除するのは、正義の執行だ」
レオンが剣を抜くと、他の五人も武器を構えた。
魔法使い、重戦士、弓使い、盗賊、神官。
バランスの取れたフルパーティー構成だ。
まともに戦えば、単独の冒険者では勝ち目がない。
「さあ、始めようか! 死神狩りの時間だ!」
「試合開始!」
ゴングが鳴ると同時に、六人が散開した。
連携が取れている。
重戦士が正面から突っ込み、弓使いと魔法使いが後方から援護射撃、盗賊が死角へ回り込む。
「死ねッ!」
重戦士の巨大な斧が迫る。
同時に、頭上から火球と矢が降り注ぐ。
逃げ場はない。
観客たちが息を呑む。
「さすがにこれは無理だろ」「死んだな」という空気が流れる。
だが。
「……数で勝てると思ったか?」
俺は動かなかった。
避ける必要もない。
スキル発動、『範囲編集(エリア・エディット)』。
対象:自分を中心とした半径20メートル以内の敵対存在。
実行内容:【状態異常付与:強制睡眠(スリープ)】&【武装解除】
パチン。
俺が指を鳴らした、その瞬間だった。
「うおらぁぁぁ……むにゃ?」
突進していた重戦士が、突然赤ん坊のような声を上げ、斧を取り落とした。
そして、走っていた勢いのまま地面にスライディングし、いびきをかき始めた。
「え?」
後衛の魔法使いと弓使いも、詠唱や矢をつがえる動作の途中で白目を剥き、バタリと倒れる。
死角にいた盗賊も、神官も、リーダーのレオンも。
全員が糸が切れた人形のように崩れ落ちた。
シーン……。
闘技場が静まり返る。
わずか一瞬。
コンマ数秒の出来事だった。
六人のSランク冒険者が、武器を放り出して仲良く昼寝を始めている。
「……は?」
レオンが薄れゆく意識の中で、必死に顔を上げようとする。
「な、なにが……俺たちは……」
「お休み。いい夢見ろよ」
俺が彼を見下ろして告げると、レオンは「くそっ……」と呟いて完全に沈黙した。
「勝負あり」
俺が審判に告げると、審判は口をパクパクさせた後、震える声で宣言した。
「しょ、勝者! クロウ選手ぅぅぅッ! 瞬殺! まさかの六人抜きぃぃぃッ!」
うわあああああああっ!!
会場が爆発したような歓声に包まれる。
今度はブーイングではない。純粋な驚愕と興奮だ。
理不尽なまでの強さ。
多勢に無勢というハンデすら、あくびが出るほどの余裕で覆した俺の姿に、観客たちは「本物」を見たのだ。
「すげぇ! 魔法も剣も使わなかったぞ!」
「指パッチン一つで全滅させやがった!」
「死神! 死神! 死神!」
いつの間にか、『死神』コールが起きている。
俺は手を振ることもなく、淡々と退場口へ歩き出した。
貴賓席のエリスを見ると、彼女は扇子を握りしめすぎて、バキリとへし折っているのが見えた。
ざまぁみろ。
小細工なんて通用しないと分かっただろう。
◇
控え室に戻ると、セリスとアリシアが迎えてくれた。
「お見事です、クロウさん! あんな一瞬で……!」
アリシアが目を輝かせている。
「ふん、まあまあだな。……だが、あれでは観客へのサービス精神が足りんぞ。もっと派手に吹き飛ばしてやればよかったのに」
セリスは不満げだが、その表情は楽しそうだ。
「予選通過おめでとうございます、マスター」
メルキセデクが冷たいタオルを渡してくれる。
「ああ、これで本戦だ。……だが、ここからが本番だろうな」
俺はタオルで顔を拭きながら言った。
エリスの焦り様からして、本戦にはさらに強力な手駒を用意してくるはずだ。
カイルのような人造人間か、あるいはもっと厄介な『何か』か。
その時、控え室のモニターに、他のブロックの決勝戦の様子が映し出された。
「……ん?」
俺は画面に釘付けになった。
そこには、全身を漆黒の鎧に包んだ謎の剣士が映っていた。
対戦相手は、Aランクのドラゴン・スレイヤーと呼ばれる戦士だったが――。
ズバンッ!!
一撃。
黒い剣士が剣を振るうことすらなく、ただすれ違っただけで、相手の戦士は鎧ごと両断されていた。
鮮血が舞うこともなく、傷口が黒く炭化している。
「勝者! 『黒騎士』ゼファー選手!」
実況が叫ぶ。
その黒騎士は、勝利の余韻に浸ることもなく、ただ静かに退場していく。
その背中から漂う気配。
画面越しでも分かる、異質な魔力。
「……あれは、人間ではないな」
セリスが真剣な表情で呟く。
「ああ。……『魔族』の気配とも違う。もっと無機質で、空虚な……」
メルキセデクが補足する。
「マスター。あれは『空(うつ)ろの鎧』……天界が管理する、魂を持たない自律型兵器です。中に人間は入っていません。純粋な殺戮プログラムだけで動く、神の処刑人形です」
「処刑人形だと?」
なるほど。
エリスの切り札はこれか。
感情も恐怖もなく、ただ命令通りに敵を排除する最強のマシン。
カイルのような不安定な要素(人間の心)を排除した、完成形の兵器というわけか。
「面白くなってきたな」
俺はニヤリと笑った。
プログラムで動く人形なら、俺の『編集』スキルの格好の餌食だ。
バグらせて、踊り狂わせてやる。
「決勝で会おうぜ、黒騎士くん」
俺は画面の中の黒い鎧に向かって、宣戦布告をした。
◇
その夜。
本戦のトーナメント表が発表された。
俺の一回戦の相手は、東の国から来たというサムライ『剣豪ムサシ』。
そしてセリスの相手は、北の氷原の『氷の魔女』。
アリシアの相手は、南の『拳聖』。
順当に行けば、俺と黒騎士が当たるのは決勝戦だ。
エリスもそれを望んでいるのだろう。
最高の舞台で、俺を公開処刑にするために。
だが、俺には別の計画があった。
この大会を利用して、エリスの化けの皮を剥がし、彼女が隠している『人造天使計画』の全貌を暴く。
そのための準備は、裏ギルドと協力して進めている。
「明日は忙しくなるぞ」
俺は宿のベッドに横たわり、天井を見上げた。
隣ではセリスが既に寝息を立てており、反対側ではアリシアが俺の服の裾を掴んで眠っている。
……いつの間にか、俺のベッドが定員オーバーになっている件については、今は考えないことにしよう。
決戦の時は近い。
(続く)
普段は剣闘士の興行や式典に使われるその場所は、今日、異様な熱気と殺気に包まれていた。
収容人数五万人を誇る観客席は超満員。
立ち見客が通路に溢れ、場外には巨大な魔導スクリーンを見上げる群衆がひしめいている。
『聖戦祭(クルセイド・フェス)』。
教会主催による、次代の勇者を選定するための武闘大会。
優勝者には新たな聖剣と、勇者の称号、そして莫大な賞金が与えられるという触れ込みだ。
国中の腕自慢、名声を求める冒険者、そして一攫千金を夢見る傭兵たちが、我こそはと集結していた。
「さあ、紳士淑女の皆様! いよいよ開幕です! 神に選ばれし新たな英雄は誰だ!? この聖なる戦いの目撃者となるのは、貴方たちです!」
実況の魔法拡声が響き渡り、観客のボルテージが最高潮に達する。
貴賓席には、主催者である大聖女エリスが優雅に座り、慈愛に満ちた(ように見える)笑顔で手を振っている。
その隣には国王レギウス三世の姿もあるが、どこか顔色が悪い。教会の強引なやり方に不満があるのだろうが、民衆の手前、同席せざるを得ないといったところか。
一方、選手控え室。
「ふあぁ……。人間どもは騒がしいな」
部屋の隅で、セリスが欠伸をしながらストレッチをしている。
今日の彼女は、動きやすい格闘家風の衣装に身を包んでいる。肌の露出が若干多いため、他の男性参加者たちがチラチラと視線を送っているが、彼女から放たれる『捕食者のオーラ』を感じ取ってか、誰も声をかけようとはしない。
「仕方ないだろ。お祭りなんだから」
俺は腕組みをして壁に寄りかかっていた。
俺の格好はいつも通りのローブ姿だが、その背中には『死神』という二つ名が重くのしかかっている。
周囲の参加者たちが、俺を見るなりヒソヒソと囁き合い、露骨に距離を取っているのが分かった。
「おい、あれ……クロウだろ?」
「王城でSランク魔物を瞬殺したっていう……」
「やべぇよ、あいつと同じブロックかよ……」
「棄権した方がいいんじゃねぇか?」
恐怖と警戒の視線。
まあ、俺としては好都合だ。無駄な雑魚が寄ってこなければ、それだけ楽ができる。
「マスター。私の出番はないのでしょうか?」
執事服のメルキセデクが、不満そうに尋ねてくる。
彼は今回、参加登録をしていない。
元天使、それも『殲滅天使』の顔は教会関係者に知れ渡っているため、彼が出ると即座に身バレして大騒ぎになるからだ。
今回はセコンド兼荷物持ちとして待機させている。
「我慢しろ。お前が出たら、大会じゃなくて戦争になる」
「左様ですか。……では、皆様のタオルとドリンクの準備を完璧にしておきます」
メルキセデクは悲しげに一礼し、洗濯係としての任務に戻っていった。
最強の堕天使になんてことをさせているんだ、と自分でも思うが、彼自身が「マスターにお仕えできるなら何でも」と言っているので良しとしよう。
「クロウさん、いよいよですね」
アリシアが緊張した面持ちで杖を握りしめている。
彼女もまた、今回は『仮面の魔法使い』として正体を隠してエントリーしている。
元聖女が「死神の仲間」として堂々と出ると、教会の信者たちから石を投げられかねないからだ。
まあ、魔法を使えば一発でバレる気もするが、そこは俺の『認識阻害』スキルで誤魔化す予定だ。
「ああ。予選はサクッと終わらせるぞ。……主催者の度肝を抜いてやる」
俺は貴賓席のエリスを睨みつけた。
彼女もこちらを見ている気がした。
不敵な笑みを浮かべながら。
◇
予選第一回戦。
俺の出番が回ってきた。
ブロック予選は一対一の勝ち抜きトーナメント方式だ。
「西ブロック、第一試合! 今、話題沸騰の超新星! 『死神』クロウ選手の入場です!」
実況のアナウンスと共に、俺は闘技場の中央へと歩み出た。
わぁぁぁぁっ!
歓声と、それ以上のブーイングが混じり合う。
「悪魔の手先!」「引っ込め!」という罵声も聞こえる。教会のサクラだろうか。
対する相手は、巨体のオーク……ではなく、オークのような体格をした傭兵の大男だった。
全身を分厚いプレートアーマーで固め、巨大なモーニングスターを持っている。
「対するは! 『粉砕の鉄槌』ガストン選手! その怪力で数々の魔物をミンチにしてきたベテランだぁ!」
ガストンが鼻息荒く入場し、俺の前に立った。
身長差は倍近くある。
「へっ、お前が噂の『死神』か? 見たところ、ただのヒョロガリじゃねぇか」
ガストンがモーニングスターをブンブンと振り回し、威嚇してくる。
「悪いことは言わねぇ。痛い目見たくなかったら、ママの元へ帰んな。俺様のこの鉄球は、貴族のお坊ちゃんには刺激が強すぎるぜぇ?」
観客席からドッと笑いが起きる。
俺はため息をついた。
こういう手合いは、どこにでもいるな。
「……忠告どうも。だが、俺も急いでるんだ」
俺はポケットに手を入れたまま、ガストンを見上げた。
「開始の合図が鳴ったら、すぐに終わらせる。……怪我をしたくなければ、そこで寝てろ」
「あぁん? 舐めてんのかテメェ!」
ガストンが顔を真っ赤にして怒鳴る。
「それでは、試合開始!」
審判が手を振り下ろした。
その瞬間、ガストンが地面を蹴り、モーニングスターを振り上げた。
「死ねェェェッ!」
俺は動かない。
ただ、右目のまぶたを少し上げただけだ。
スキル発動、『威圧(インティミデーション)』。
対象:ガストン。
出力:レベル1(一般人なら失神する程度)。
ギロリ。
俺の視線がガストンの目と合った瞬間。
「ひっ……!?」
ガストンの動きが空中でピタリと止まった。
振り上げられたモーニングスターが手から滑り落ち、ゴトリと音を立てて転がる。
そして、ガストン自身も白目を剥き、泡を吹いて後ろへ倒れた。
ズドォォォン!
巨体が倒れる音だけが響き渡った。
「…………え?」
実況が言葉を詰まらせる。
観客も何が起きたのか分からず、静まり返る。
俺は一歩も動いていない。魔法を放った様子もない。
ただ睨んだだけで、巨漢の戦士が気絶したのだ。
「し、勝者! クロウ選手!」
審判が慌ててコールする。
遅れて、どよめきが広がっていく。
「おい、何したんだ?」「睨んだだけで倒れたぞ?」「やっぱり死神だ……」
俺は倒れたガストンを一瞥もせず、控え室へと戻っていった。
これくらいの相手なら、指一本どころか、視線だけで十分だ。
◇
続く第二試合、第三試合。
俺の対戦相手たちは、さらに悲惨だった。
第二試合の相手、魔法使いの男。
俺と目が合った瞬間、「ひいいッ! ごめんなさいぃッ!」と叫んで場外へ全力疾走して逃亡。
不戦勝。
第三試合の相手、暗殺者風の男。
開始直後に姿を消して背後を取ろうとしたが、俺が「そこだろ?」と後ろを向いただけで、「感知された!? 無理だ!」と心を折られて降参。
勝利。
準決勝の相手、剣士の女。
俺の前に立っただけでガタガタと震えだし、剣を取り落として失禁。
「……す、すみません、着替えてきます……」と言い残して退場。
不戦勝。
「……おい、どうなってるんだ」
観客席から不満の声が上がり始めた。
「真面目にやれ!」「八百長か!?」「クロウと戦う奴、みんな逃げちまうぞ!」
そりゃそうだ。金払って見に来ているのに、試合が成立していないのだから。
だが、俺のせいではない。
俺の『死神』としてのプレッシャー(実際には常時発動している微弱な威圧スキル)に、並の戦士では耐えられないだけだ。
レベル差がありすぎる。
アリが象に挑もうとして、本能的恐怖で動けなくなるのと同じ現象だ。
「やれやれ、これじゃあ逆に見せ場がないな」
俺が控え室で嘆いていると、セリスが戻ってきた。
彼女の方は順調に(物理で)相手を吹っ飛ばして勝っているらしい。
「クロウよ、お主の試合、つまらんと評判だぞ」
「俺だって戦いたいさ。でも、相手が勝手に倒れるんだよ」
「ククッ、まあ最強の悩みというやつか。……だが、次はそうもいかぬようだぞ」
セリスがニヤリと笑い、通路の奥を指差した。
そこから、妙に殺気立った集団が歩いてくるのが見えた。
◇
予選決勝。
これに勝てば本戦出場が決まる。
俺が闘技場に出ると、対戦相手の入場口からぞろぞろと人が出てきた。
一人ではない。五人、いや六人か。
全員が統一された揃いの鎧を着て、それぞれ業物を手にしている。
「西ブロック決勝! クロウ選手の対戦相手は……なんと! Sランク冒険者パーティー連合『暁の獅子』だぁぁっ!」
実況が叫ぶと、会場が沸いた。
『暁の獅子』。
国内でも有数の実力派クランの一つだ。
リーダーの剣聖レオンを筆頭に、全員がAランク以上の実力者で構成されている。
「おいおい、予選は一対一じゃなかったのか?」
俺が審判に尋ねると、審判はバツが悪そうに目を逸らした。
「ええっと……運営委員会からの特別通達がありまして。『暁の獅子』はチームとしてエントリーしており、彼らの連携こそが個としての強さであるため、特例としてチームでの参加を認めると……」
「なるほど。運営の嫌がらせってわけか」
俺は貴賓席を見上げた。
エリスが扇子で口元を隠しながら、冷ややかな視線を送っている。
「死神一人なら、数で潰せばいい」という単純な発想だ。
「よう、死神」
リーダーのレオンが一歩前に出た。
金髪のイケメンで、爽やかな笑顔を浮かべているが、その目は俺を値踏みするように見下ろしている。
「悪いが、ここは通させてもらうぜ。俺たちは大聖女様から直々に『勇者候補』として期待されてるんでな」
「六対一でか? 勇者が聞いて呆れるな」
「ハッ、戦場じゃ数は力だ。卑怯とは言わせねぇよ。……それに、お前みたいな危険因子を排除するのは、正義の執行だ」
レオンが剣を抜くと、他の五人も武器を構えた。
魔法使い、重戦士、弓使い、盗賊、神官。
バランスの取れたフルパーティー構成だ。
まともに戦えば、単独の冒険者では勝ち目がない。
「さあ、始めようか! 死神狩りの時間だ!」
「試合開始!」
ゴングが鳴ると同時に、六人が散開した。
連携が取れている。
重戦士が正面から突っ込み、弓使いと魔法使いが後方から援護射撃、盗賊が死角へ回り込む。
「死ねッ!」
重戦士の巨大な斧が迫る。
同時に、頭上から火球と矢が降り注ぐ。
逃げ場はない。
観客たちが息を呑む。
「さすがにこれは無理だろ」「死んだな」という空気が流れる。
だが。
「……数で勝てると思ったか?」
俺は動かなかった。
避ける必要もない。
スキル発動、『範囲編集(エリア・エディット)』。
対象:自分を中心とした半径20メートル以内の敵対存在。
実行内容:【状態異常付与:強制睡眠(スリープ)】&【武装解除】
パチン。
俺が指を鳴らした、その瞬間だった。
「うおらぁぁぁ……むにゃ?」
突進していた重戦士が、突然赤ん坊のような声を上げ、斧を取り落とした。
そして、走っていた勢いのまま地面にスライディングし、いびきをかき始めた。
「え?」
後衛の魔法使いと弓使いも、詠唱や矢をつがえる動作の途中で白目を剥き、バタリと倒れる。
死角にいた盗賊も、神官も、リーダーのレオンも。
全員が糸が切れた人形のように崩れ落ちた。
シーン……。
闘技場が静まり返る。
わずか一瞬。
コンマ数秒の出来事だった。
六人のSランク冒険者が、武器を放り出して仲良く昼寝を始めている。
「……は?」
レオンが薄れゆく意識の中で、必死に顔を上げようとする。
「な、なにが……俺たちは……」
「お休み。いい夢見ろよ」
俺が彼を見下ろして告げると、レオンは「くそっ……」と呟いて完全に沈黙した。
「勝負あり」
俺が審判に告げると、審判は口をパクパクさせた後、震える声で宣言した。
「しょ、勝者! クロウ選手ぅぅぅッ! 瞬殺! まさかの六人抜きぃぃぃッ!」
うわあああああああっ!!
会場が爆発したような歓声に包まれる。
今度はブーイングではない。純粋な驚愕と興奮だ。
理不尽なまでの強さ。
多勢に無勢というハンデすら、あくびが出るほどの余裕で覆した俺の姿に、観客たちは「本物」を見たのだ。
「すげぇ! 魔法も剣も使わなかったぞ!」
「指パッチン一つで全滅させやがった!」
「死神! 死神! 死神!」
いつの間にか、『死神』コールが起きている。
俺は手を振ることもなく、淡々と退場口へ歩き出した。
貴賓席のエリスを見ると、彼女は扇子を握りしめすぎて、バキリとへし折っているのが見えた。
ざまぁみろ。
小細工なんて通用しないと分かっただろう。
◇
控え室に戻ると、セリスとアリシアが迎えてくれた。
「お見事です、クロウさん! あんな一瞬で……!」
アリシアが目を輝かせている。
「ふん、まあまあだな。……だが、あれでは観客へのサービス精神が足りんぞ。もっと派手に吹き飛ばしてやればよかったのに」
セリスは不満げだが、その表情は楽しそうだ。
「予選通過おめでとうございます、マスター」
メルキセデクが冷たいタオルを渡してくれる。
「ああ、これで本戦だ。……だが、ここからが本番だろうな」
俺はタオルで顔を拭きながら言った。
エリスの焦り様からして、本戦にはさらに強力な手駒を用意してくるはずだ。
カイルのような人造人間か、あるいはもっと厄介な『何か』か。
その時、控え室のモニターに、他のブロックの決勝戦の様子が映し出された。
「……ん?」
俺は画面に釘付けになった。
そこには、全身を漆黒の鎧に包んだ謎の剣士が映っていた。
対戦相手は、Aランクのドラゴン・スレイヤーと呼ばれる戦士だったが――。
ズバンッ!!
一撃。
黒い剣士が剣を振るうことすらなく、ただすれ違っただけで、相手の戦士は鎧ごと両断されていた。
鮮血が舞うこともなく、傷口が黒く炭化している。
「勝者! 『黒騎士』ゼファー選手!」
実況が叫ぶ。
その黒騎士は、勝利の余韻に浸ることもなく、ただ静かに退場していく。
その背中から漂う気配。
画面越しでも分かる、異質な魔力。
「……あれは、人間ではないな」
セリスが真剣な表情で呟く。
「ああ。……『魔族』の気配とも違う。もっと無機質で、空虚な……」
メルキセデクが補足する。
「マスター。あれは『空(うつ)ろの鎧』……天界が管理する、魂を持たない自律型兵器です。中に人間は入っていません。純粋な殺戮プログラムだけで動く、神の処刑人形です」
「処刑人形だと?」
なるほど。
エリスの切り札はこれか。
感情も恐怖もなく、ただ命令通りに敵を排除する最強のマシン。
カイルのような不安定な要素(人間の心)を排除した、完成形の兵器というわけか。
「面白くなってきたな」
俺はニヤリと笑った。
プログラムで動く人形なら、俺の『編集』スキルの格好の餌食だ。
バグらせて、踊り狂わせてやる。
「決勝で会おうぜ、黒騎士くん」
俺は画面の中の黒い鎧に向かって、宣戦布告をした。
◇
その夜。
本戦のトーナメント表が発表された。
俺の一回戦の相手は、東の国から来たというサムライ『剣豪ムサシ』。
そしてセリスの相手は、北の氷原の『氷の魔女』。
アリシアの相手は、南の『拳聖』。
順当に行けば、俺と黒騎士が当たるのは決勝戦だ。
エリスもそれを望んでいるのだろう。
最高の舞台で、俺を公開処刑にするために。
だが、俺には別の計画があった。
この大会を利用して、エリスの化けの皮を剥がし、彼女が隠している『人造天使計画』の全貌を暴く。
そのための準備は、裏ギルドと協力して進めている。
「明日は忙しくなるぞ」
俺は宿のベッドに横たわり、天井を見上げた。
隣ではセリスが既に寝息を立てており、反対側ではアリシアが俺の服の裾を掴んで眠っている。
……いつの間にか、俺のベッドが定員オーバーになっている件については、今は考えないことにしよう。
決戦の時は近い。
(続く)
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