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第6話 使用人たちがなぜか私に優しい
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西の村への出発当日。
私は夜明けと共に目を覚ました。
今日はいよいよ、アレクセイ様の視察に同行して、私の力が役に立つかどうかを試す重要な日だ。
緊張と期待で胸が高鳴り、早めに身支度を整えようとベッドから起き上がった。
その瞬間だった。
ドンドンドン!
勢いよく扉がノックされ、返事をする間もなくガチャリと開いた。
「おはようございます、エミリア様!」
「朝一番の湯あみをご用意いたしました!」
「極上のホットミルクもお持ちしましたわ!」
なだれ込んできたのは、メイド長のマーサさんをはじめとする、総勢十名近いメイド隊だった。
彼女たちの手には、それぞれ湯気の立つ手桶や、ふわふわのタオル、何やら分厚そうな衣服の山が抱えられている。
「えっ、あ、おはようございます……? 皆さん、どうしてこんなに朝早くから……」
私が目を白黒させていると、マーサさんが仁王立ちになって宣言した。
「本日は寒冷地への遠征と伺っております! か弱きエミリア様を極寒の脅威からお守りするため、我ら使用人一同、万全の防寒対策を施しに参りました!」
「そ、そうですか。ありがとうございます。でも、自分で着替えられますし……」
「なりません!」
メイドたちが一斉に声を揃えた。
その瞳は、獲物を狙う狩人のようにギラギラと輝いている。
「エミリア様は、ただでさえ細くていらっしゃるのです。風が吹けば飛びそうな可憐な体を、冷気ごときに晒すわけにはまいりません!」
「旦那様からも厳命されております。『エミリアの肌を外気に一ミリたりとも晒すな』と!」
アレクセイ様、一体どんな指示を出したんですか。
そこからは、まるで着せ替え人形のような時間が始まった。
まずは温かいお湯で体を清められ、バラの香りのオイルを丹念に塗り込まれる。
肌がしっとりとしたところで、今度は下着だ。
絹の肌着の上に、保温性の高いウールの下着を重ね、さらにその上からカシミヤのシャツを着せられる。
「ちょっと、これ以上は動きにくいんじゃ……」
「まだです! ここからが本番ですわ!」
ふっくらとした綿入りのドレス、毛皮のベスト、厚手のタイツを二枚重ね。
足元は羊毛がたっぷり詰まったブーツで固められ、首にはマフラー、手には手袋、頭には耳当て付きの帽子。
仕上げに、全身を覆うような分厚い毛皮のロングコートを着せられた。
「……うう」
鏡の前に立った私は、自分の姿を見て絶句した。
そこには、巨大な毛玉が立っていた。
丸い。とにかく丸い。
手足の先がどこにあるのか分からないほど、モコモコに膨れ上がっている。
「か、完璧ですわ……!」
「なんて愛らしい雪だるま……いえ、雪の妖精さん!」
「これならブリザードの中でもお昼寝できます!」
メイドたちは頬を染めて、うっとりと私を眺めている。
どうやら彼女たちの美的感覚では、この重装備は「可愛い」の範疇に入るらしい。
確かに温かいけれど、これでは歩くのも一苦労だ。
「あの、皆さん。本当にありがとうございます。でも、あの……私、皆さんに何かお礼ができるようなことはしていないのですが……」
ふと気になっていたことを尋ねてみた。
ここに来てからというもの、使用人の皆さんは私に対して過剰なほどに親切だ。
王都の神殿では、私は「魔力ゼロの穀潰し」として扱われ、使用人たちからも冷たい目で見られていた。
洗濯物は後回しにされ、食事は冷え切り、挨拶をしても無視されるのが当たり前だった。
だから、こんな風に無償の優しさを向けられることに、まだ慣れていなかったのだ。
私の問いに、マーサさんはきょとんとした後、優しく微笑んだ。
「エミリア様は、ご存じないのですか?」
「え?」
「貴女様がいらしてから、この城がどれほど明るくなったかを」
マーサさんは私の帽子を整えながら続けた。
「旦那様は、素晴らしいお方ですが、ずっと孤独でいらっしゃいました。戦いに明け暮れ、氷のように心を閉ざし、私たち使用人も『公爵閣下』という完璧な主君として接することしかできませんでした。……でも」
彼女は窓の外、アレクセイ様の執務室がある塔の方角を見た。
「エミリア様が来てから、旦那様はよく笑われるようになりました。あんなに穏やかなお顔で食事をされる旦那様を見たのは、先代様が亡くなられて以来です。それに……」
「それに?」
「エミリア様ご自身が、とても素敵な方だからですよ」
若いメイドの一人が、遠慮がちに口を開いた。
「私、先日廊下で花瓶を割ってしまったんです。怒られると思って震えていたら、通りかかったエミリア様が一緒に破片を拾ってくださって……『怪我はない?』って、私の心配をしてくださったんです」
「私もです! 洗濯場の手伝いを申し出てくださった時、あかぎれだらけの私の手を見て、軟膏を塗ってくださいました」
「厨房にも顔を出して、『いつも美味しいご飯をありがとう』って言ってくださいますよね」
次々と挙がるエピソードに、私は顔が熱くなった。
どれも、私にとっては当たり前のことだったからだ。
神殿では自分でやるのが普通だったし、誰かが困っていれば手伝うのは当然だと思っていた。
「そんな、大したことじゃ……」
「いいえ、大したことですわ。貴族の方で、私たち平民の使用人に頭を下げてお礼を言ってくださる方なんて、なかなかいらっしゃいません」
マーサさんが私の手(手袋越しだが)を、ぎゅっと握りしめた。
「エミリア様は、私たちの太陽です。だから、全力でお守りしたいのです。……それに、旦那様のお幸せを守るためでもありますしね!」
最後は茶目っ気たっぷりにウインクされて、私は返す言葉を失った。
胸がいっぱいになる。
王都では「ゴミ」だと捨てられた私が、ここでは太陽だなんて。
誰かに必要とされることが、こんなにも力をくれるなんて知らなかった。
「……ありがとうございます。私、行ってきます。皆さんの気持ちも一緒に連れて」
私が精一杯の笑顔で言うと、メイドたちは「いってらっしゃいませ!」と元気な声で送り出してくれた。
よちよちとペンギンのように廊下を歩き、玄関ホールへ向かう。
そこには既に、出発の準備を整えたアレクセイ様が待っていた。
黒い軍服風のコートに身を包み、腰には剣を帯びている。
凛とした立ち姿は相変わらず美しいが、私を見つけた瞬間、その目が丸く見開かれた。
「……エミリア、か?」
「は、はい。着膨れしてしまって、申し訳ありません……」
恥ずかしさで身を縮めると(服が分厚すぎて縮まないが)、アレクセイ様は口元を手で覆い、肩を震わせ始めた。
「くっ……いや、すまない。あまりにも、その……可愛い生き物が転がってきたのかと思った」
「笑わないでください!」
「笑っていない。感心しているんだ。これなら絶対に風邪は引かないな。マーサたちの仕事は完璧だ」
彼は目尻を下げて私に近づくと、ひょいっと私を抱き上げた。
まるでぬいぐるみを運ぶような軽さだ。
「あ、歩けます!」
「転んだら起き上がれないだろう。馬車まで運ぶ」
そのまま城の外へ出ると、そこには驚くべき光景が広がっていた。
城の前庭に、数十人もの使用人たちが整列しているのだ。
執事、メイド、料理人、庭師、衛兵たち。
彼らは私たちが姿を現すと、一斉に歓声を上げた。
「旦那様ー! エミリア様ー! お気をつけて!」
「必ずご無事でお戻りください!」
「お土産話、期待してますよー!」
寒空の下、誰もが満面の笑みで手を振っている。
中には「エミリア様万歳」と書かれた手作りの横断幕を持っている人までいる。
いつの間に作ったんだろう。
「……賑やかだな」
アレクセイ様も苦笑しつつ、まんざらでもなさそうだ。
彼は私を抱いたまま、集まった皆に向かって短く言った。
「留守を頼む。エミリアは必ず無事に連れ帰る。……夕食は最高のものを用意して待っていろ」
「「「はーーい!!」」」
地鳴りのような返事が響き渡る。
私は馬車に乗り込む際、みんなに向かって大きく手を振り返した。
ここが、私の帰る場所。
そう思うと、どんな危険な場所へ行くとしても、勇気が湧いてくる気がした。
馬車が動き出す。
今回は前回よりもさらに頑丈で、車輪に特殊な加工が施された雪上仕様の特別車両だ。
中は広々としていて、座席には大量のクッションが敷き詰められている。
私が座ると、体が沈み込んでさらに動けなくなった。
「苦しくはないか?」
「はい、大丈夫です。ただ、ちょっと暑いくらいで……」
「そうか。なら温度調整をしよう」
アレクセイ様が壁の魔導具に触れると、涼やかな風が微かに流れ込んできた。
快適だ。至れり尽くせりすぎる。
「アレクセイ様」
「ん?」
「使用人の皆さんが、あんなに良くしてくださるなんて驚きました。私、何もできていないのに」
改めてお礼を言おうとすると、アレクセイ様は窓の外を見つめたまま、静かに言った。
「何もしていない、ということはないさ。君は彼らに『誇り』を与えたんだ」
「誇り、ですか?」
「ああ。ノースエンドは過酷な土地だ。王都からは野蛮だと見下され、魔物との戦いに明け暮れる日々。ここで働く者たちは皆、どこかで自分たちの境遇を卑下していた。……だが」
彼は視線を私に戻した。
その瞳は、深海のように静かで、優しい。
「君は、王都の聖女でありながら、彼らと同じ目線で話し、働き、感謝を伝えた。泥だらけの野菜を『立派だ』と褒め、掃除された廊下を『綺麗だ』と喜んだ。君のその言葉一つ一つが、彼らにとってどれほどの救いになったか」
アレクセイ様の手が伸びてきて、私の分厚い帽子の頭を撫でた。
「君は、自分が思っている以上に、周りを照らしているんだよ。……私を含めてな」
「アレクセイ様……」
彼の言葉が、胸の奥に染み渡る。
王都では否定され続けた私の言動が、ここでは受け入れられ、愛されている。
涙が出そうになるのをこらえて、私は微笑んだ。
「私、もっと頑張ります。皆さんが誇りに思ってくれるような、本物の聖女になれるように」
「焦る必要はない。君は君のままでいい。……それに、本物の聖女かどうかなど、私が一番よく知っている」
意味深な言葉に首を傾げようとした時、馬車がガタリと揺れて停止した。
「着いたか」
アレクセイ様の表情が引き締まる。
窓の外を見ると、そこには先ほどまでの和やかな雰囲気とは正反対の、荒涼とした光景が広がっていた。
西の村、ホワイトフィールド。
かつては小麦の生産で栄えたというその村は今、深い雪と静寂に包まれていた。
民家の煙突からは煙が上がっておらず、村人たちの姿も見当たらない。
畑があるはずの場所は、黒ずんだ土がむき出しになり、禍々しい紫色の靄が薄く漂っている。
「これが……」
「瘴気の影響だ。予想以上に進行が早い」
アレクセイ様が先に降り、私に手を差し出した。
私も防寒具の重みと戦いながら、なんとか地面に降り立つ。
空気が、重い。
息を吸うだけで喉がピリピリとするような、不快な感覚。
これがアレクセイ様の言っていた「魔境からの瘴気」なのだろう。
普通の人間なら、ここにいるだけで体調を崩してしまいそうだ。
でも、不思議と私には耐えられないほどではない。
むしろ、私の体の中にある力が、この淀んだ空気に反発して、熱く脈打っているのを感じる。
「閣下! お待ちしておりました!」
村の集会所から、数人の男たちが駆け寄ってきた。
村長の老人と、自警団の若者たちだ。
彼らの顔色は土気色で、頬はこけ、疲労困憊といった様子だ。
「遅くなってすまない。物資を持ってきた。すぐに配給を」
「ああ、ありがとうございます……! これでなんとか首が繋がります」
村長が涙ぐんで頭を下げる。
しかし、その表情は晴れない。
「ですが閣下、食料があっても……この土地が死んでいては、未来がありません。井戸の水は濁り、蒔いた種は一日で腐ってしまう。村を出るしかないのでしょうか……」
悲痛な訴え。
代々受け継いできた土地を捨てる無念さが伝わってくる。
アレクセイ様は痛ましげに眉を寄せた。
「……原因である魔物の巣は叩いたが、一度汚染された土地を浄化するには時間がかかる。王都から浄化の魔導具を取り寄せる手配はしているが……」
「間に合いません! それに、王都が我々のような辺境のために高価な魔導具を貸してくれるとは……」
絶望的な空気が流れる。
アレクセイ様でさえ、自然の摂理と政治の壁の前には手詰まりなのかもしれない。
だからこそ、私の出番だ。
私は一歩前に進み出た。
雪だるまのような格好だけれど、心は燃えている。
「あの、村長さん」
「……? そちらのお嬢さんは?」
村長が怪訝そうに私を見た。
無理もない。公爵様が連れてきた謎の毛玉にしか見えないだろう。
「私はエミリアと申します。……少し、畑を見せていただいてもよろしいでしょうか?」
「畑? 見ても何もありませんよ。ただの死んだ土です」
「それでも、見てみたいんです。……植物たちの声を、聞きたいので」
私の真剣な眼差しに、村長はアレクセイ様を見た。
アレクセイ様は深く頷き、私の背中をそっと押してくれた。
「彼女を信じてくれ。彼女は、このノースエンドに奇跡をもたらすかもしれない」
その言葉に後押しされ、私は村はずれの畑へと案内された。
そこは、かつてないほど濃い瘴気が溜まっている場所だった。
地面はコールタールのように黒く変色し、異臭を放っている。
生き物の気配が全くしない、死の世界。
「……ひどい」
思わず口元を押さえる。
温室の時とは比べ物にならない。
これは、ただ枯れているだけじゃない。土そのものが病んで、苦しんでいる。
悲鳴が聞こえるようだ。
『痛い、苦しい、助けて』と。
「エミリア、無理をするな。気分が悪くなったらすぐに言うんだ」
アレクセイ様が心配そうに私の肩を抱く。
その温もりに勇気をもらい、私は首を横に振った。
「大丈夫です。……やってみます」
私は手袋を外し、素手になった。
そして、冷たく汚染された黒い土の上に、直接膝をついた。
「おい、汚れるぞ!」
「関係ありません」
私は両手を土に押し当てた。
冷たい。氷のように冷たく、そして粘りつくような不快感。
まるで私の生命力を吸い取ろうとするような悪意を感じる。
(負けない……!)
私は目を閉じ、深く意識を沈めた。
自分の中にある「核」のような部分に触れる。
温室で感じた、あの黄金色の熱。
それをイメージする。
私の中にある愛おしさ、感謝、そして「生きてほしい」という願いを、全て光に変えて。
(お願い、思い出して。あなたたちが育んできた命の記憶を。太陽の温かさを。水の恵みを!)
ドクンッ!!
心臓が大きく跳ねた。
今までで一番強い力が、奔流となって体中を駆け巡る。
アレクセイ様のくれた美味しい食事、使用人たちの笑顔、温かいベッド。
私がここに来て貰ったたくさんの「幸せ」が、魔力となって溢れ出す。
「――癒えて!!」
私が叫ぶと同時に、私の体から目もくらむような閃光が放たれた。
それは温かく、優しい金色の波となって、死んだ大地を走り抜けた。
「うわあああっ!?」
「な、なんだこれは!?」
村人たちの驚愕の声が遠くに聞こえる。
光が触れた場所から、黒い瘴気がジュワジュワと蒸発していく。
黒ずんだ土が、本来の豊かな褐色の色を取り戻していく。
そして――。
ポッ、ポッ、ポッ。
雪解け水が染み込んだ土から、小さな緑の芽が一斉に顔を出した。
それは見る間に茎を伸ばし、葉を広げ、季節外れの、けれど力強い緑の絨毯となって畑を覆い尽くした。
さらに、どこからともなく飛んできた光の粒子が結晶となり、空中にキラキラと舞う。
「……ふぅ」
全力を使い果たし、私はふらりと体が傾いた。
倒れる、と思った瞬間、強い腕に抱き留められた。
「よくやった、エミリア! 素晴らしい!」
アレクセイ様の興奮した声。
目を開けると、彼の瞳が潤んでいるように見えた。
そして周囲からは、村人たちのすすり泣く声が聞こえてきた。
「おお……おおお……!」
「畑が、生き返った……!」
「神様、仏様、聖女様……!」
彼らは地面にひれ伏し、緑の芽を愛おしそうに撫で、私に向かって拝んでいる。
その光景を見て、私は安堵と共に、心地よい疲労感に包まれた。
「アレクセイ様……私、役に立てましたか?」
「ああ。君は村を救った。いや、私の心も救ってくれた」
アレクセイ様は私を強く抱きしめ、おでこにコツンと自分のおでこを合わせた。
「ありがとう、私の聖女。……いや、私の愛しい人」
その甘い囁きを聞いた瞬間、私は限界を超えていた意識を手放した。
最後に見たのは、アレクセイ様のこれまでで一番優しい笑顔だった。
こうして、私は初めて「奇跡」を起こした。
それは、王都で見世物にされていた花火のような魔法ではなく、人々の命を繋ぐ、本物の聖女の奇跡だった。
しかし、この光は強すぎた。
ノースエンドの空を突き抜けた黄金の光は、遠く離れた王都の観測所にある水晶玉をも、激しく震わせることになったのである。
続く
私は夜明けと共に目を覚ました。
今日はいよいよ、アレクセイ様の視察に同行して、私の力が役に立つかどうかを試す重要な日だ。
緊張と期待で胸が高鳴り、早めに身支度を整えようとベッドから起き上がった。
その瞬間だった。
ドンドンドン!
勢いよく扉がノックされ、返事をする間もなくガチャリと開いた。
「おはようございます、エミリア様!」
「朝一番の湯あみをご用意いたしました!」
「極上のホットミルクもお持ちしましたわ!」
なだれ込んできたのは、メイド長のマーサさんをはじめとする、総勢十名近いメイド隊だった。
彼女たちの手には、それぞれ湯気の立つ手桶や、ふわふわのタオル、何やら分厚そうな衣服の山が抱えられている。
「えっ、あ、おはようございます……? 皆さん、どうしてこんなに朝早くから……」
私が目を白黒させていると、マーサさんが仁王立ちになって宣言した。
「本日は寒冷地への遠征と伺っております! か弱きエミリア様を極寒の脅威からお守りするため、我ら使用人一同、万全の防寒対策を施しに参りました!」
「そ、そうですか。ありがとうございます。でも、自分で着替えられますし……」
「なりません!」
メイドたちが一斉に声を揃えた。
その瞳は、獲物を狙う狩人のようにギラギラと輝いている。
「エミリア様は、ただでさえ細くていらっしゃるのです。風が吹けば飛びそうな可憐な体を、冷気ごときに晒すわけにはまいりません!」
「旦那様からも厳命されております。『エミリアの肌を外気に一ミリたりとも晒すな』と!」
アレクセイ様、一体どんな指示を出したんですか。
そこからは、まるで着せ替え人形のような時間が始まった。
まずは温かいお湯で体を清められ、バラの香りのオイルを丹念に塗り込まれる。
肌がしっとりとしたところで、今度は下着だ。
絹の肌着の上に、保温性の高いウールの下着を重ね、さらにその上からカシミヤのシャツを着せられる。
「ちょっと、これ以上は動きにくいんじゃ……」
「まだです! ここからが本番ですわ!」
ふっくらとした綿入りのドレス、毛皮のベスト、厚手のタイツを二枚重ね。
足元は羊毛がたっぷり詰まったブーツで固められ、首にはマフラー、手には手袋、頭には耳当て付きの帽子。
仕上げに、全身を覆うような分厚い毛皮のロングコートを着せられた。
「……うう」
鏡の前に立った私は、自分の姿を見て絶句した。
そこには、巨大な毛玉が立っていた。
丸い。とにかく丸い。
手足の先がどこにあるのか分からないほど、モコモコに膨れ上がっている。
「か、完璧ですわ……!」
「なんて愛らしい雪だるま……いえ、雪の妖精さん!」
「これならブリザードの中でもお昼寝できます!」
メイドたちは頬を染めて、うっとりと私を眺めている。
どうやら彼女たちの美的感覚では、この重装備は「可愛い」の範疇に入るらしい。
確かに温かいけれど、これでは歩くのも一苦労だ。
「あの、皆さん。本当にありがとうございます。でも、あの……私、皆さんに何かお礼ができるようなことはしていないのですが……」
ふと気になっていたことを尋ねてみた。
ここに来てからというもの、使用人の皆さんは私に対して過剰なほどに親切だ。
王都の神殿では、私は「魔力ゼロの穀潰し」として扱われ、使用人たちからも冷たい目で見られていた。
洗濯物は後回しにされ、食事は冷え切り、挨拶をしても無視されるのが当たり前だった。
だから、こんな風に無償の優しさを向けられることに、まだ慣れていなかったのだ。
私の問いに、マーサさんはきょとんとした後、優しく微笑んだ。
「エミリア様は、ご存じないのですか?」
「え?」
「貴女様がいらしてから、この城がどれほど明るくなったかを」
マーサさんは私の帽子を整えながら続けた。
「旦那様は、素晴らしいお方ですが、ずっと孤独でいらっしゃいました。戦いに明け暮れ、氷のように心を閉ざし、私たち使用人も『公爵閣下』という完璧な主君として接することしかできませんでした。……でも」
彼女は窓の外、アレクセイ様の執務室がある塔の方角を見た。
「エミリア様が来てから、旦那様はよく笑われるようになりました。あんなに穏やかなお顔で食事をされる旦那様を見たのは、先代様が亡くなられて以来です。それに……」
「それに?」
「エミリア様ご自身が、とても素敵な方だからですよ」
若いメイドの一人が、遠慮がちに口を開いた。
「私、先日廊下で花瓶を割ってしまったんです。怒られると思って震えていたら、通りかかったエミリア様が一緒に破片を拾ってくださって……『怪我はない?』って、私の心配をしてくださったんです」
「私もです! 洗濯場の手伝いを申し出てくださった時、あかぎれだらけの私の手を見て、軟膏を塗ってくださいました」
「厨房にも顔を出して、『いつも美味しいご飯をありがとう』って言ってくださいますよね」
次々と挙がるエピソードに、私は顔が熱くなった。
どれも、私にとっては当たり前のことだったからだ。
神殿では自分でやるのが普通だったし、誰かが困っていれば手伝うのは当然だと思っていた。
「そんな、大したことじゃ……」
「いいえ、大したことですわ。貴族の方で、私たち平民の使用人に頭を下げてお礼を言ってくださる方なんて、なかなかいらっしゃいません」
マーサさんが私の手(手袋越しだが)を、ぎゅっと握りしめた。
「エミリア様は、私たちの太陽です。だから、全力でお守りしたいのです。……それに、旦那様のお幸せを守るためでもありますしね!」
最後は茶目っ気たっぷりにウインクされて、私は返す言葉を失った。
胸がいっぱいになる。
王都では「ゴミ」だと捨てられた私が、ここでは太陽だなんて。
誰かに必要とされることが、こんなにも力をくれるなんて知らなかった。
「……ありがとうございます。私、行ってきます。皆さんの気持ちも一緒に連れて」
私が精一杯の笑顔で言うと、メイドたちは「いってらっしゃいませ!」と元気な声で送り出してくれた。
よちよちとペンギンのように廊下を歩き、玄関ホールへ向かう。
そこには既に、出発の準備を整えたアレクセイ様が待っていた。
黒い軍服風のコートに身を包み、腰には剣を帯びている。
凛とした立ち姿は相変わらず美しいが、私を見つけた瞬間、その目が丸く見開かれた。
「……エミリア、か?」
「は、はい。着膨れしてしまって、申し訳ありません……」
恥ずかしさで身を縮めると(服が分厚すぎて縮まないが)、アレクセイ様は口元を手で覆い、肩を震わせ始めた。
「くっ……いや、すまない。あまりにも、その……可愛い生き物が転がってきたのかと思った」
「笑わないでください!」
「笑っていない。感心しているんだ。これなら絶対に風邪は引かないな。マーサたちの仕事は完璧だ」
彼は目尻を下げて私に近づくと、ひょいっと私を抱き上げた。
まるでぬいぐるみを運ぶような軽さだ。
「あ、歩けます!」
「転んだら起き上がれないだろう。馬車まで運ぶ」
そのまま城の外へ出ると、そこには驚くべき光景が広がっていた。
城の前庭に、数十人もの使用人たちが整列しているのだ。
執事、メイド、料理人、庭師、衛兵たち。
彼らは私たちが姿を現すと、一斉に歓声を上げた。
「旦那様ー! エミリア様ー! お気をつけて!」
「必ずご無事でお戻りください!」
「お土産話、期待してますよー!」
寒空の下、誰もが満面の笑みで手を振っている。
中には「エミリア様万歳」と書かれた手作りの横断幕を持っている人までいる。
いつの間に作ったんだろう。
「……賑やかだな」
アレクセイ様も苦笑しつつ、まんざらでもなさそうだ。
彼は私を抱いたまま、集まった皆に向かって短く言った。
「留守を頼む。エミリアは必ず無事に連れ帰る。……夕食は最高のものを用意して待っていろ」
「「「はーーい!!」」」
地鳴りのような返事が響き渡る。
私は馬車に乗り込む際、みんなに向かって大きく手を振り返した。
ここが、私の帰る場所。
そう思うと、どんな危険な場所へ行くとしても、勇気が湧いてくる気がした。
馬車が動き出す。
今回は前回よりもさらに頑丈で、車輪に特殊な加工が施された雪上仕様の特別車両だ。
中は広々としていて、座席には大量のクッションが敷き詰められている。
私が座ると、体が沈み込んでさらに動けなくなった。
「苦しくはないか?」
「はい、大丈夫です。ただ、ちょっと暑いくらいで……」
「そうか。なら温度調整をしよう」
アレクセイ様が壁の魔導具に触れると、涼やかな風が微かに流れ込んできた。
快適だ。至れり尽くせりすぎる。
「アレクセイ様」
「ん?」
「使用人の皆さんが、あんなに良くしてくださるなんて驚きました。私、何もできていないのに」
改めてお礼を言おうとすると、アレクセイ様は窓の外を見つめたまま、静かに言った。
「何もしていない、ということはないさ。君は彼らに『誇り』を与えたんだ」
「誇り、ですか?」
「ああ。ノースエンドは過酷な土地だ。王都からは野蛮だと見下され、魔物との戦いに明け暮れる日々。ここで働く者たちは皆、どこかで自分たちの境遇を卑下していた。……だが」
彼は視線を私に戻した。
その瞳は、深海のように静かで、優しい。
「君は、王都の聖女でありながら、彼らと同じ目線で話し、働き、感謝を伝えた。泥だらけの野菜を『立派だ』と褒め、掃除された廊下を『綺麗だ』と喜んだ。君のその言葉一つ一つが、彼らにとってどれほどの救いになったか」
アレクセイ様の手が伸びてきて、私の分厚い帽子の頭を撫でた。
「君は、自分が思っている以上に、周りを照らしているんだよ。……私を含めてな」
「アレクセイ様……」
彼の言葉が、胸の奥に染み渡る。
王都では否定され続けた私の言動が、ここでは受け入れられ、愛されている。
涙が出そうになるのをこらえて、私は微笑んだ。
「私、もっと頑張ります。皆さんが誇りに思ってくれるような、本物の聖女になれるように」
「焦る必要はない。君は君のままでいい。……それに、本物の聖女かどうかなど、私が一番よく知っている」
意味深な言葉に首を傾げようとした時、馬車がガタリと揺れて停止した。
「着いたか」
アレクセイ様の表情が引き締まる。
窓の外を見ると、そこには先ほどまでの和やかな雰囲気とは正反対の、荒涼とした光景が広がっていた。
西の村、ホワイトフィールド。
かつては小麦の生産で栄えたというその村は今、深い雪と静寂に包まれていた。
民家の煙突からは煙が上がっておらず、村人たちの姿も見当たらない。
畑があるはずの場所は、黒ずんだ土がむき出しになり、禍々しい紫色の靄が薄く漂っている。
「これが……」
「瘴気の影響だ。予想以上に進行が早い」
アレクセイ様が先に降り、私に手を差し出した。
私も防寒具の重みと戦いながら、なんとか地面に降り立つ。
空気が、重い。
息を吸うだけで喉がピリピリとするような、不快な感覚。
これがアレクセイ様の言っていた「魔境からの瘴気」なのだろう。
普通の人間なら、ここにいるだけで体調を崩してしまいそうだ。
でも、不思議と私には耐えられないほどではない。
むしろ、私の体の中にある力が、この淀んだ空気に反発して、熱く脈打っているのを感じる。
「閣下! お待ちしておりました!」
村の集会所から、数人の男たちが駆け寄ってきた。
村長の老人と、自警団の若者たちだ。
彼らの顔色は土気色で、頬はこけ、疲労困憊といった様子だ。
「遅くなってすまない。物資を持ってきた。すぐに配給を」
「ああ、ありがとうございます……! これでなんとか首が繋がります」
村長が涙ぐんで頭を下げる。
しかし、その表情は晴れない。
「ですが閣下、食料があっても……この土地が死んでいては、未来がありません。井戸の水は濁り、蒔いた種は一日で腐ってしまう。村を出るしかないのでしょうか……」
悲痛な訴え。
代々受け継いできた土地を捨てる無念さが伝わってくる。
アレクセイ様は痛ましげに眉を寄せた。
「……原因である魔物の巣は叩いたが、一度汚染された土地を浄化するには時間がかかる。王都から浄化の魔導具を取り寄せる手配はしているが……」
「間に合いません! それに、王都が我々のような辺境のために高価な魔導具を貸してくれるとは……」
絶望的な空気が流れる。
アレクセイ様でさえ、自然の摂理と政治の壁の前には手詰まりなのかもしれない。
だからこそ、私の出番だ。
私は一歩前に進み出た。
雪だるまのような格好だけれど、心は燃えている。
「あの、村長さん」
「……? そちらのお嬢さんは?」
村長が怪訝そうに私を見た。
無理もない。公爵様が連れてきた謎の毛玉にしか見えないだろう。
「私はエミリアと申します。……少し、畑を見せていただいてもよろしいでしょうか?」
「畑? 見ても何もありませんよ。ただの死んだ土です」
「それでも、見てみたいんです。……植物たちの声を、聞きたいので」
私の真剣な眼差しに、村長はアレクセイ様を見た。
アレクセイ様は深く頷き、私の背中をそっと押してくれた。
「彼女を信じてくれ。彼女は、このノースエンドに奇跡をもたらすかもしれない」
その言葉に後押しされ、私は村はずれの畑へと案内された。
そこは、かつてないほど濃い瘴気が溜まっている場所だった。
地面はコールタールのように黒く変色し、異臭を放っている。
生き物の気配が全くしない、死の世界。
「……ひどい」
思わず口元を押さえる。
温室の時とは比べ物にならない。
これは、ただ枯れているだけじゃない。土そのものが病んで、苦しんでいる。
悲鳴が聞こえるようだ。
『痛い、苦しい、助けて』と。
「エミリア、無理をするな。気分が悪くなったらすぐに言うんだ」
アレクセイ様が心配そうに私の肩を抱く。
その温もりに勇気をもらい、私は首を横に振った。
「大丈夫です。……やってみます」
私は手袋を外し、素手になった。
そして、冷たく汚染された黒い土の上に、直接膝をついた。
「おい、汚れるぞ!」
「関係ありません」
私は両手を土に押し当てた。
冷たい。氷のように冷たく、そして粘りつくような不快感。
まるで私の生命力を吸い取ろうとするような悪意を感じる。
(負けない……!)
私は目を閉じ、深く意識を沈めた。
自分の中にある「核」のような部分に触れる。
温室で感じた、あの黄金色の熱。
それをイメージする。
私の中にある愛おしさ、感謝、そして「生きてほしい」という願いを、全て光に変えて。
(お願い、思い出して。あなたたちが育んできた命の記憶を。太陽の温かさを。水の恵みを!)
ドクンッ!!
心臓が大きく跳ねた。
今までで一番強い力が、奔流となって体中を駆け巡る。
アレクセイ様のくれた美味しい食事、使用人たちの笑顔、温かいベッド。
私がここに来て貰ったたくさんの「幸せ」が、魔力となって溢れ出す。
「――癒えて!!」
私が叫ぶと同時に、私の体から目もくらむような閃光が放たれた。
それは温かく、優しい金色の波となって、死んだ大地を走り抜けた。
「うわあああっ!?」
「な、なんだこれは!?」
村人たちの驚愕の声が遠くに聞こえる。
光が触れた場所から、黒い瘴気がジュワジュワと蒸発していく。
黒ずんだ土が、本来の豊かな褐色の色を取り戻していく。
そして――。
ポッ、ポッ、ポッ。
雪解け水が染み込んだ土から、小さな緑の芽が一斉に顔を出した。
それは見る間に茎を伸ばし、葉を広げ、季節外れの、けれど力強い緑の絨毯となって畑を覆い尽くした。
さらに、どこからともなく飛んできた光の粒子が結晶となり、空中にキラキラと舞う。
「……ふぅ」
全力を使い果たし、私はふらりと体が傾いた。
倒れる、と思った瞬間、強い腕に抱き留められた。
「よくやった、エミリア! 素晴らしい!」
アレクセイ様の興奮した声。
目を開けると、彼の瞳が潤んでいるように見えた。
そして周囲からは、村人たちのすすり泣く声が聞こえてきた。
「おお……おおお……!」
「畑が、生き返った……!」
「神様、仏様、聖女様……!」
彼らは地面にひれ伏し、緑の芽を愛おしそうに撫で、私に向かって拝んでいる。
その光景を見て、私は安堵と共に、心地よい疲労感に包まれた。
「アレクセイ様……私、役に立てましたか?」
「ああ。君は村を救った。いや、私の心も救ってくれた」
アレクセイ様は私を強く抱きしめ、おでこにコツンと自分のおでこを合わせた。
「ありがとう、私の聖女。……いや、私の愛しい人」
その甘い囁きを聞いた瞬間、私は限界を超えていた意識を手放した。
最後に見たのは、アレクセイ様のこれまでで一番優しい笑顔だった。
こうして、私は初めて「奇跡」を起こした。
それは、王都で見世物にされていた花火のような魔法ではなく、人々の命を繋ぐ、本物の聖女の奇跡だった。
しかし、この光は強すぎた。
ノースエンドの空を突き抜けた黄金の光は、遠く離れた王都の観測所にある水晶玉をも、激しく震わせることになったのである。
続く
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