【改訂版】元保育士の異世界物語〜子どものためなら魔王もワンパン!?天職保育士!?創造魔法と神獣召喚で世界の子どもたちを救います〜

イル

文字の大きさ
13 / 96
第二章〜自称大工ですけど、冒険者始めました〜

第13話 〜自分が本当にすべきこととは何か〜

しおりを挟む
 次の休みの日、今度は森の家の長男である、アルトを連れて魔物の森に来ていた。

 アルトは、出会った頃から、他の子にはない優れた集中力があり、また森の家の長男として過ごしてきたこの3年間で培った忍耐力と視野の広さから、ヒイロに天職《狩人》を勧められ、狩人を目指すようになっていたのだった。

 お調子者で常に楽観的なアルトでもあったが、根は真面目で努力家であるため、ヒイロから特訓やアドバイスを受けるだけでなく、常に自ら自己鍛錬を行っている。

 今回アルトは弓の他に、ナイフも近接予備として準備していた。それはヒイロのアドバイスでもあり、ゴブリンの耳のように証明部位を剥ぎ取る時や、トドメを刺す時など何かと、あると便利なのだ。そしてまたヒイロも、アルトに合わせて自作の弓とナイフを準備していた。

 ヒイロやアルトが持つ、いわゆる普通の弓矢では、ゴブリンを倒すのには、かなりの技術がいる。魔物は通常の獣などと違い生命力が強く、特に弓矢でゴブリンに、一撃で致命傷を与えるには、脳天に直撃させないと確実ではないからだ。それに当たり前のことだが、自分に向かってくる相手や動きまわる相手は難しい。

 そのため、熟練者でもそうなのだが、基本弓矢で魔物と戦う場合、弓の射程ギリギリの距離から狙う、先手必勝の不意打ちが良しとされる。

 ゴブリンもそうだが、同じFランクのホーンラビットもまた、同様に難しい。身体に当てればある程度致命傷にはなるのだが、的になる身体が小さく、敏感で常に動いているためだ。

 本来、まだ見習いにもなっていないアルトが魔物相手に狩りをするには早すぎるのだが、今回はどうしてもアルトがついてきたいと言うため、クエスト達成の効率は考えずに、アルトの野外訓練と考えて、ヒイロは渋々連れてきていた。


 アルト自身も、普段は一人でも鳥や鹿などに対して狩りを行っていたため、自信があったようなのだ。まずはヒイロが弓で見本を見せる。

 ちょうど良い距離にいて、まだこちらに気づいていない単体のゴブリンを探して、ヒイロが弓矢を放つ。ヒイロの身体能力からすれば、あまり使い慣れない弓であっても、脳天への直撃が難しい距離ではなかったが、あえてゴブリンに致命傷を与えることの出来ない肩に矢を当てる。

「グギァーッガァ……グァギャ……ガゥ」

 肩に傷を負ったゴブリンは、奇声を上げながら周囲を見渡しヒイロ達に気付くと、持っていた木の棒を大きく振りかざしながら襲ってくる。アルトはその迫力に蹴落とされ、かなり同様していたが、ヒイロは冷静に次の矢を放ち、ゴブリンの脳天に直撃させる。

「どうだったアルト?普段、矢を外しても逃げてしまうだけの鳥や鹿とは比べものにならないくらい、魔物は違うだろ」

「うん……1度目の矢で、あれだけの傷を負ったのに、殺気なのかかなりの迫力で、迷わずこっちに向かってきた時は……正直、焦った」

「そうだな。魔物相手だとそういうことは良くある。弓の場合も距離が離れてるからと言って油断せず、常に冷静で、いつでも次の矢を放てるように準備をしておけよ」

 急に緊張感が増してきたアルトに対し、ヒイロは笑いながら自分がいるから大丈夫と安心させつつ、次の標的を探していく。

 魔物の森の入り口付近を、獲物を探しながらゆっくりと進んでいく。ヒイロはスキル《探索》を使い、単独でいる獲物を探す。するとちょうど良い獲物を見つけた。木の下で眠っているホーンラビットである。アルトに手のジェスチャーで静かに伝え、2人は正面に回り込む。

 次はアルトに狙わせていく。ホーンラビットは眠っているため、動きは止まっていた。アルトは一度深く息をすると、一気に集中力を高め、狙いを定めていく。

 だが、アルトが弓を引く瞬間、後方から急に動物の鳴き声が響き、咄嗟に弓を引いていた手を離してしまった。矢は少し狙いがずれ、ホーンラビットの背中をかすった。その直後ホーンラビットは飛び起きると、アルトを見つけ、怒りに身を任せて角を突き出し突進して来た。

 アルトは一瞬でパニックになり、後退りをしてしまった。隣にいたヒイロが、すかさず、弓を引き、仕留める。それからも同じように繰り返し、アルトが仕留めきれなかった獲物をヒイロがトドメをさす形で、順調に狩っていくことが出来た。

 前回の休みと同じく3時間行い、結果はゴブリン2匹とホーンラビット5匹のまずまずの収入になった。それよりも1人でも動物を仕留められるようになり、それなりに自信を持っていたアルトが、今回のことで過信を改め、魔物の怖さと実力不足を経験出来た方がかなりの収入だった。

 冒険者ギルドで換金した後、森の家にお土産を買って行くため、2人は街の露店通りを歩いていく。買い物をしている途中、アルトは昔の自分達と同じような子どもを偶然見つけた。8歳前後だろうか、その子どもは、路地裏で痩せ細り気力なく横たわっていた。アルトはすぐに駆け寄る。ヒイロも続き、空腹や栄養失調にはあまり効果が期待できないが、回復魔法を施し、アルトとともに森の家に連れ帰った。

 森の家で数時間看病をしてると、その子の意識が戻り、話しをすることが出来た。名前はオリーと言い、年齢は9歳だった。読み書きが出来て、賢いオリーは行商人の子どもだったらしい。

 両親はこのオオタルの街に商売をするために、ヒイロ達が昼間、狩りをしていた魔物の森の近くの公道を進んで来たらしい。ただ不運なことに、魔物の森の中でもあまり見ることのない、10数匹のゴブリンの大きな群れに襲われたのだ。護衛の冒険者も雇っていたが、オオタルの街という比較的安全な街のため、そこまで高ランクのほを雇っていなかったちめ、数の多さに太刀打ち出来ず、殺されてしまったそうだ。オリーの家族も出来るだけ逃げたのだが、オリーだけでもと、自分達を犠牲にして逃がしてくれたため、ゴブリンからはなんとか逃げられ、街の中まで来たのだが、住む家もない子ども一人では孤児にしかなれなかったという。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

処理中です...