【改訂版】元保育士の異世界物語〜子どものためなら魔王もワンパン!?天職保育士!?創造魔法と神獣召喚で世界の子どもたちを救います〜

イル

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第四章〜六大魔王復活〜

第59話 〜ヒイロの夢〜

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 魔王アガリアレプトとの戦いから数ヶ月が経ち、ヒイロは次のことを考えていた。ヒイロが作った孤児院はこの世界の各地に少しずつ浸透している。拠点としているイバール国だけでなく、フクール国やトチギル国、更にはトキオ文明国にも最近建てることが出来てきたのだ。

 もちろんそれぞれの施設は、国からの援助を基本に運営が成り立っている。何故、国からの援助を受けられる様になったか、それはヒイロから各国に条件を出したからだ。ここまでの魔王討伐で貢献度が一番高いのは言うまでもなくヒイロだった。このまま、魔神及び《最後の神判》まで、世界のために戦う。その条件として、ヒイロが行っていることに各国が援助をする。そんな内容だ。

 そして今度はさらに孤児院の他にも別の施設を作ろうとしている。一つは乳児院。ヒイロが建てた孤児院はその特性上、一番歳下の子どもでも2~3歳以上の子どもしか引き取れない。何故なら基本、身の回りのことを自分で出来ないと、職員の手が足りなくなってしまうからだ。そのために自分のことをある程度自分で出来るというのが最低条件。もちろん2~3歳の子は一人で全ては出来ないが、少しの援助さえあれば食事から着替え、排泄まである程度できる。出来るだけ受け入れたいが、それが今の限界であった。

 以前はそこまで乳児院の必要性を感じてはいなかった。流石に道端やそこら辺で赤子が捨てられていることはなかったのだ。必要と感じたのは、孤児院を設立するにあたって、教会と関わりを増やすようになってからだ話を聞くと、貧困からか教会などに、生まれたての赤子が置き去りになることも少なくないのだと言う。だが、その受け入れてくれる教会の絶対数が少なく、後は……森や海、良くて売られてしまうとのことだった。

 そして乳児院の次は保育所である。前世の保育所と違うのは、通う子もいるが、孤児は入所施設として暮らせることである。通所としても機能させるのは、親がいても貧しかったり、忙しかったりと育てる環境が難しい家庭のためだ。元保育士としては、色んな感覚が身につき始める、それこそ小学校入学前の6歳前後までは、ゆっくりと丁寧に育ってほしい。

 理想としては、0~3歳までは乳児院。3~6歳を保育所、そして6歳から15歳までを孤児院と、それぞれが連携して出来るようにしていきたいと考えていた。

 最後は障害児施設である。もちろん、この世界でも、全ての種族において、先天性の障害児は一定の確率で生まれている。そしてほとんどが、異種族同士であり、見た目でわかるほどの先天性は、そのまま忌子として捨てられるか、殺される。怪我や病気等での後天性も同じ。一人で生きていくことが出来る可能性のない命を最後まで育てられるほど、この世界は優しくなかった。

 だが、ヒイロにとっては、命は平等であり、生まれてきたからには、少しでも幸せに生きる権利はあると信じていた。障害が軽い子は遅くても不器用でも少しずつ出来ることをすればいい。重い子は生きるだけでもいい。そこに少しでも幸せを感じられる様に。

 ヒイロのこの考えは前世から自分の夢として心の中に秘めていたものだ。前世のときは、世界中の戦争や紛争、飢餓など全ての不幸から子ども達を救いたい、全ての国に施設と保育所を作りたい……そんな夢の様な夢だった。ただ結局前世では何一つ出来なかった。目の前の子ども達を守るので精一杯だった。

 でも……今なら、転生した今なら力も能力もある。協力してくれる人がいる。後押ししてくれる人がいる。だからヒイロは真っ直ぐだった。無理なことはない。今の自分ならなんでも出来ると信じている。

 世界のためなんかじゃなく、前世からの自分の夢……偽善、エゴ、自己満足……前世の自分は、そう言われることを恐れて、誰にも言えなかった夢。

 子ども達が戦争に怯えることなく、飢餓に飢えることなく、病気、障害、虐待、環境……あらゆるものに虐げられることない世界。

 生まれも育ちも環境も、国も言葉も人種も、病気も障害も、全てが違っても……全ての子どもが幸せな世界を作りたい。だから自分の天職は《保育士》。

ヒイロは、それでいいと思った。

勇者や賢者は、世界を救えばいい。

自分は子どもを救う。

 ヒイロは今日もまた、子ども達のために進む。時間は足りないのだ。今も、世界中のどこかで辛い思いをしてる子どもはいる。その全てを、世界中の子ども全てを助けるまでヒイロは進む。それがヒイロの夢であり、転生させてくれた神様から受けた使命ではない、自分がこの世界で決めた使命。

 それから数日後、ヒイロはイバール国首都、ミトに来ていた。ミトのギルドマスター ナットと一緒に、イバール国の王に会うためだ。イバール国の王に会うのはこれで3度目になる。過去2回はSSランクになった時、最初の魔王を倒した時だった。

 イバール国王は、賢王としても名高く、政治も決して独断王政ではなく、議会を中心とした政治を行っており、国王は議会で決まったことを承認する形を取っている。ただ、それでも政治への影響力が強い。今回はヒイロからお願いがあって、ギルドマスターのナットに仲介してもらい、王の住む城へと謁見に来ていた。

「ミトのギルドマスターナット様、及びSSランク冒険者 《神降ろしのヒイロ》様、ただ今お見えになりました。」

 王の間の入り口にて、左右にいた護衛の兵士が、内側からの了解の合図を聞き、声を張り上げ、大きな扉を開ける。そして、ヒイロはナットの後ろについて行き、護衛の兵士に指示された所で止まる。

 王様が黙って頷くと大臣らしき、王様の隣にいた人物が手で王の前まで手で招く様に指示をする。ヒイロは指示された通り、玉座の前にある階段の手前まで来て、片膝をつき、腰を下げる。

「SS冒険者ヒイロよ、王様が直答を許された。表を上げよ」

 ヒイロは大臣の指示に従い、国王の顔を見る。国王はヒイロの顔を見て、優しい笑顔で笑いかける。

「久しぶりだな、ヒイロ。お主の活躍、よく聞いておるぞ。」

「ありがとうございます。陛下も変わりなくお過ごしのようで。」

 若くして賢王と称されたイバール国の国王は、まだ40歳手前のはずだが、心労が出ているのか、見た目はもう少し老けて見える。もしかしたら威厳を見せるために、あえて老けているように見せているのかもしれない。ヒイロは、なんとなくこの王様が好きだった。前世の自分と同じくらいの年齢だろうと勝手に親近感を持っていたのが、きっかけだったが最初に会った時に、20歳前後のヒイロに、威張る事なく丁寧に接してくれたからだ。

「ありがとう。だが、この国や世界が平和なのは、私の力でなく、お前たちの活躍のおかげなのじゃ。感謝しておる……して、今回は何か話しがあってきたのだろう?」

「……ありがとうございます。陛下のおかげでこの国をはじめ、各国にいくつもの孤児院を建てさせていただきました。」

「そう、かしこまる必要はない。本来ならば国が気付き、行なわなければならないことをお主がやってくれているだけのこと。むしろ、余の方からお礼を言わなければならない。」

「そんなことはございません。これは、自分自身の生き甲斐でもあります。そして、よろしければさらに陛下にお願いがあるのですが……よろしいでしょうか?」

「どうした? 2度も魔王を倒し、魔王配下をいくつも倒してきたお主の願いなら、出来るだけ余は、聞き入れたいと思っておるぞ。」

「実は、孤児院の他に、赤子のための乳児院、幼い子どもの保育施設、そして、障害がある子どもを引き取る福祉施設を作りたいと思っているのです。」

「ほう……。孤児院と言うものもそうじゃったが、乳児院、保育?福祉?の施設……?どれも初めて聞く名前じゃな。どういうところじゃ?」

「まず今、運営させていただいている孤児院には、一番幼くても基本3歳から、15歳までの身寄りのない子どもが住んでおります。」 

「まぁ15歳になれば、祝福も受けられ、冒険者や商人、それに職人と、見習いとして働けるからな。ある程度独り立ちできる年齢か。」

「はい。施設に住んでいる子ども達は皆、幼い頃に捨てられたり、親が罪を犯し親がいない、親はいるが貧しく育ててもらえないなど、理由は様々です。おかげ様で最近では各施設で少しずつ15歳となり、天職を授かり、見習いとして職人に弟子入りしたり、農家では住み込みでの働き手になったり、または冒険者になり、巣立っている子どももおりますし、希望者によっては、その施設の職員なってもらうなどしています。」

「なるほど。孤児院という施設はある程度理解しているつもりだ。では、その乳児院とやらは?」

「乳児院はさらに、3歳未満の子どもを対象とします。何故、孤児院と一緒ではないかと言うと、孤児院では最低限、自分の身の周りのことをある程度出来ることを前提としていることで、大きい子どもが小さい子どもの面倒を見れるため、職員も比較的少なく運営できますし、施設のカリキュラムもそのような作りをしています。……ただ、こと3歳未満については、1対1での関わりに重きを置き、身の周りの世話など、特に0歳の子どもは手厚くしなければならず、人手や特別な環境を必要とします。」

「なるほど……乳児院は身寄りのない赤子のための施設か」

「その通りです。貧しい家庭、事故や盗賊、魔物等により親を失う孤児は様々な理由でおり、また年齢も様々です。」

「確かに……特に貧しい農村部やスラム街に多いと報告も来ておる……力不足を感じている……」

 王様が悩む様な顔をしていると、流石に隣にいた大臣らしき人物が口を挟んだ。
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