【改訂版】元保育士の異世界物語〜子どものためなら魔王もワンパン!?天職保育士!?創造魔法と神獣召喚で世界の子どもたちを救います〜

イル

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第五章〜悲しき戦い〜

第79話 〜古代エルフの記録〜

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 SSランク冒険者 《天空の魔女》シルフは、トチギル国の奥地にあるエルフの里に帰っていた。エルフ族はドラゴン族の次に長命であり、人型の種族の中では、一番古い種族の一つである。

 長命だからか種のバランスのためか、繁殖力は高くなく生涯で子どもを産むを人数は一人又は二人まで。世界中の森には、大小少なからずエルフの里があり、一番規模が大きい、シルフの郷里は、エルフ族の里の中、最も古く、始まりの里のとも言われていた。ただ、それでも、住んでいるエルフ族は300人程度だった。

 シルフはこの里の中でも、若くして才能を開花させたエルフ族の寵児と言われ、一族の習わしによって、世界を知るために里を出て、その恵まれた才能により、SSランクの冒険者へと駆け上がった。

 本来、エルフ族は保守的な種族であり、そのほとんどが森の中で一生を過ごす。だが、それだけではなく世界の記録者としての一面もあり、古代エルフ族から現在の世界《シャングリラ》の全てを記録してきた種族でもあった。

 そのため、シルフのような優秀な個体は、あえて里の外に出て、その時代の流れを知り、記録を残したり、世界全体を記録できるように、世界のあらゆる森に散らばり、里を作る使命もあった。

 そのシルフが今回帰ってきたのは、魔神や《最後の神判》について改めて調べるためである。ドラゴン族が代々、言伝で記録を残すように、エルフ族は書物にして、記録を残していた。前にドラゴン族の竜王から聞いた話だと、世界の始まりの前、善神と悪神の戦い、魔神について教えてもらった。世界の記録者とも言われるようにエルフ族なら、同様に古い書物に何かしら書いてあるはずと思ったのだ。

 シルフは里の族長に許可をもらい、里の神樹 《世界樹》の根元にある祠へと入る。そこにはエルフ族の宝物や古い書物が保管されている。シルフはその深い祠の奥の奥、最も古い記録や宝物が保管されているところまで進む。そして、その中でも最も古い箱を開けてみると、予想通り書物があり、シルフは一番古そうな書物を開く。

 その本の名は《始まりの神判》ーー

 ーーこれは世界を作りし神の話しであり、我らが祖先、古代エルフ……ハイエルフから語り受け継がれる歴史。

 その昔……この世界《シャングリラ》にまだ、知能を持つ生き物がい存在していなかった時代、この世界を創造した神が、この世界を《シャングリラ》と名付け、自分の一部から知能を持つ命を授けようとした。その種族の名は精霊族と妖精族。精霊と妖精は、すぐにこの世界と馴染み、自然と溶け込み、水や風、土の妖精など色々な種類に分かれていった。しかし、それだけであった。自然はさらに豊かになり、美しい世界へと変わったが、それ以降は世界は変わらなかった。

 その次に生み出されたのは天使と呼ばれる種族だった。神は天使に神の力の一部と小さな欲が芽生えるようにした。そうすると天使は、少しずつだが順調にこの世界で文明を築き、豊かに育くんでいった。だが、ほんの少しずつ天使の中でも、欲が強い者が現れてきた。その欲が強い者は行動力があり、積極的に世界を豊かにしていこうとした。善神はその変化に満足し、その者に任せ、そのまま、消えていった。

 神が離れた後も天使達は、そのまま順調に世界を豊かにし、天使の数も増え、栄えていった。ただ、いつまでも平和が、栄えることが続くわけではなかった。増えすぎた天使の中で、稀に強い力を持つ天使が現れ、その他を率いるようになっていった。

 その強さの違いが勝ち負けを生み、その勝ち負けが優劣を生み、その優劣が更なる欲を生んだ。

 天使の増え方は子どもを産むことではなく、分裂していく増え方。だから、その逆をする天使が現れた。弱い天使が強くなるために、他の天使を吸収して強くなろうとしたのだ。

 そこから世界はおかしくなっていった。

 多くの天使を吸収し、強くなりすぎた天使は欲に塗れ、そのまま闇に堕ちた。その闇に堕ちた天使はさらに他の天使を吸収し、神の一部から生まれた天使が、一つの集合体となることで、神に等しき力を持った天使が生まれたのだ。

 その天使は、優秀過ぎるほどの強さと使命感を持ち、この世界の創造神のために、世界をより一層豊かにしようと努力をした。だが……その天使は、いつの間にか悪神と呼ばれ、悪神にはさらに、同じように強くなっていた3体の天使も悪神側に着き、それらは魔神と呼ばれた。他にも、力が強い者、欲が強い者を中でも欲や力が強かった者たちを6大魔王とその配下となった。

 光に溢れ、輝いていた世界《シャングリラ》が、闇に溢れて暗い世界となっていた。神は驚き、その原因となった悪神を消そうとした。悪神はそれに反抗し、魔神や魔王と共に反乱を起こした。残った天使は神につき、善神と悪神、光と闇の戦いが起きた。そして、善神が戦いに勝ち、悪神は滅びた……それが《始まりの神判》……

 ……と、書物には書いてあった。シルフは今までの情報と照らし合わせ、考え込む。

(確かにこの書物には《始まりの神判》と書いてある。そして、善神と悪神の戦いも書いてある。この書物と今まで集めた情報、魔王の話しと合わせることでつながる。善神と悪神の戦い、光と闇の戦い、それが《始まりの神判》……だとしたら《最後の神判》も同じ?もう一度その戦いが始まる?)

「とりあえず、これをみんなに報告しよう。」

 シルフはこの書物を持ち、イバール国のミトのギルド本部に向かった。ギルドマスターのナットに会い、集まれるだけの人に集まってもらった。

 翌日、ミトのギルド本部には、シルフとナットの他、ヒイロ、ロイ、グランが集まっていた。そして、その書物を開く。その内容はヒイロがある程度予想していたものと同じだった。

「なるほど……。興味深い話ですね……」

「皮肉じゃな、神の行いが悪神や魔神を生んだ。そして人と同じく、欲があればあるほど栄える。欲はある意味、人の行動する上での根源でもあるからな。」

「はい……。難しいですね……だからきっと、今でも悪神の残留思念の人の悪意や負のエネルギーが結びつき、悪魔や魔物が生まれてくる。」

「とりあえず、この話しは各国の極秘情報として流し、魔神の他に最悪、その悪神も生まれることも考えておこう。」

「僕たちは魔神、そして悪神に勝てるのでしょうか?」

「わからない。でも、生き残るためには勝つしかないのかもしれない……。」
 
 そう言いながらも、ヒイロは少し気になっていた。

(悪神が生まれるなら、こっちも善神が生まれる可能性があるのではないか……?なら、俺は何のためにこの世界に転生をした?善神が生まれるなら俺が必要ではないはず……。ましてや勇者と言う存在もいる。それに魔王サタナキア達の事を考えると、話しの繋がりに更に違和感を感じる……)

「魔王を倒して安心と思ったら、魔神に悪神、そしてトキオ文明国の謎の国境封鎖……次々と問題は出てくるんもんじゃな、いったいどうしたらいいもんかのう」

 グランのその言葉に、その場にいる誰もが、答えることが出来なかった……。
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